
松尾T ミクストメディア
サトルです。本日は松尾さんの作品をご紹介します。
常に実験的な制作を重ねる松尾さん。2月にブログにアップした前回の作品(こちら)と比べても進化しているのがわかります。
アクリル板の裏から油絵具でガラス絵のように描いたパーツ。写真ですと七宝焼きにも見えるかもしれません。
和紙を張った木製パネルに、パーツと同じ形に穴を開け、パズルのようにはめ込み、はんだ(錫と鉛の合金で、低温で溶けやすい特性を持つ金属)で接着しています。薄い和紙を二枚重ねにして描いており、下の紙にも絵が描かれています。写真ですと見えづらくなってしまいますが、じっくり観察すると薄い線が見えてきます。
手は顔以上に感情や考え方を示す物。人類の文化、歴史、宗教などには必ずと言って良いほど特定のハンドサインが登場します。合掌、指差し、握り拳など様々な形の手が描かれていますね。しかしこちらの作品では意図的に意味をなさない形として描かれているのではないでしょうか。無地の背景に丸みを帯びた線で描かれているからか、特定の感情や思想を感じられません。それに対してアクリル板には猫の一団が太陽の下で寝転がっていいる様な可愛らしい手が描かれています。
様々なものを表す人間の手に対し、猫の手は形が変わるものではないので、ハンドサインは存在しません。そこを逆転させ、人間の手を無感情に描き、猫の手を生き生きと描くことで独特の「違和感」を生み出したのではないでしょうか。
先日、今回の作品で実験したパネルに穴を開けてアクリル板を嵌め込む方法や、はんだを使った画面分割をさらに昇華させた、新しい作品を完成されました。今回の作品よりもさらに複雑な構成にも挑戦し、非常に見応えのある作品に仕上がっていましたので、後日紹介させていただきます。








