
サトルです!大学前期の課題の講評が終わり、夏休みに入りました。今年の夏は沢山スケッチするぞ!と意気込んでいますが、あまりの暑さに心が折れかけています。今回は水曜午前クラスの菊地さんが旅行で訪れた知床五湖を描いた水彩画をご紹介致します。
こちらの作品は制作途中を見ていなかったのですが、完成品を見た時、「なんて美しい水彩画なんだろう」と感嘆いたしました。広大な山々と手前に広がる湖の風景からは、その場に訪れないとわからない澄んだ空気の香りを感じさせます。写真では伝わらない、絵でしか表現する事の出来ない雰囲気を表現されていますね。
よく見ると、それぞれのモチーフがとても細かい筆使いで描かれています。細かく描き過ぎると全体感が失われて、空気感の無い絵になりそうですが、菊地さんはとても繊細な色使いでタッチを積み重ねる様に描かれているおかげか、全体の明るい空気感を損なわずに完成度を上げる事が出来ていますね。色が濃くなりすぎて絵の具を洗い流した跡も見られないので、とても丁寧に描かれたのでしょう。特に、奥と中間の山脈は複雑に色を重ねて深みを出しながらも、明るさをキープする事で遠近感を生み出せています。
湖の水面も素晴らしいですね。反射した山を描きながらも表面の波打った感じも表現する。口で言うだけでも簡単では無いのが伝わってくる難所だと思いますが、全く苦戦している様に見えません。
写真だと見づらいですが、空と雲を絶妙な色の違いで描き分け、周りのモチーフを邪魔しない様にしている所も気が効いています。
絵が上手くなることは、二つの軸で考えることが出来ます。それぞれ、『技術』と『見せ方』です。技術はひたすら枚数を重ねて鍛えていくものですが、『見せ方』はただ沢山絵を描くだけでは身につきません。『見せ方』というのはなんなのかというと、例えば人物画を描くとき、この人物を一番魅力的に写すにはどんな構成をしようか、どんな色で描こうか、どの部分を目立たせようか、など、作品を魅力的にするためのアクセントとなる部分の事です。これはただ描くだけでは身につきませんから、沢山絵を鑑賞したり、誰かにアドバイスをもらったり、美術理論を勉強したりと、制作以外で学ばなければなりません。
『技術』は「訓練」で、『見せ方』は「勉強」だと捉えると分かりやすいでしょうか?
菊地さんは『技術』はすでにプロレベルだと思います。繊細な色使いと丁寧な塗りは、ほぼ完璧と言って良いでしょう。しかし、『見せ方』はまだまだ伸び代があります。例えば左下の木はこの広大な風景の空気感を見せるためには少し邪魔に感じます。右下の一本だけ生えている木もポツンとしていて目が行ってしまいますね。もう少しアップでトリミングして、画面の右2センチくらいを切っても良かったのでは無いでしょうか。
他にも、湖の彩度と山の彩度にギャップがあり過ぎるので、もう少し湖を淡いトーンにするなど、見せ方の改善点は所々見受けられるので、今後は巨匠の絵をよく見たりして、「どの様に絵を構成しているのだろう?」と分析するなど研究をしてみてください。
少し辛口になってしまいました。しかし、教える立場からすると、クオリティの高い作品をみるとこちらも熱くなって、ズバズバ言ってしまうんですよね….。今まで菊地さんの作品を数枚見させて頂きましたが、どんどん上手くなられていて、水彩絵の具を極められているなと感じました。『技術』と『見せ方』の両立を目指して、今後もどんどん水彩画を描いて下さい!









