
木佐貫 岩絵具/和紙・パネル
大竹です。今回ご紹介させていただくのは、木佐貫さんによる日本画作品「睡蓮」です。
睡蓮という名は、「夜になると花を閉じ、まるで眠っているように見える」ことから由来しているといいます。夏に咲く花でありながら、静けさや神秘性をたたえ、日本画の題材として数多く描かれてきたポピュラーな存在です。
こちらの作品では、幾重にも塗り重ねられた青が、まるで水の奥深さを映し出すかのようにグラデーションを描き、観る者を引き込んでいきます。その深い水の世界から、まるで白い睡蓮が光をまとって浮かび上がってくる様にも見えてきますね。その花びらには、薄く透き通るような柔らかさと、光を受けて宝石のように輝く部分とが共存しており、神々しくも美しい姿を描き出しています。
大きな葉の落ち着いた緑と、花の清らかな白、そして淡い桃色との対比は華やかで、まるで水面に咲く舞台の主役を見ているかのようです。岩絵具の質感により、その美しさは一層際立ち、画面全体に上品でやわらかな印象を与えています。
水面の深みを出すために幾度も色を重ね、花びら一枚一枚の表情を探りながら描き出したことが伝わってきます。決して派手さに頼らず、ひと筆ひと筆を誠実に積み上げてきたからこそ、この一輪の睡蓮は凛とした存在感を放っているのでしょう。











