時間と絵の具を重ねて


晴花 高1 油彩

サヤカです。春の長期休みを活用して、大阪旅行に行き、太陽の塔を見て来ました!50年以上前のアートとは思えないほどの存在感に圧倒されてしまいました…!さて、今回は学生クラスの晴花の作品をご紹介します。

ブログ執筆中に私の携帯を覗き込んだ友人たちは、「え!?写真かと思った!」と感激していました。確かに写真と見間違うほど、カエルの立体感やぺたっとした質感が忠実に表現されていますね。指先の吸盤がぷっくりと半透明になっているところまでよく観察して描けています。また、背景にも工夫が伺えます。まず、手前の葉っぱに水滴を描くことで、カエルと背景の親和性がより高まっています。加えて、手前と奥に描き込みの差をつけることで、画面の主人公であるカエルに自然と視線が誘導されます。緑中心の画面ですが、まったくつまらない印象になっていないのは、とても素晴らしいです。

小学生クラスの時に何枚も油絵を描いている晴花ですが、学生になってから久し振りのチャレンジに、油絵の具の扱いが思ったようにいかず翻弄されていた様子でした。
アトリエの油彩道具をレンタルなのをいい事に?これでもかというほど、絵具を盛っています。毎回、物凄い色数の緑を作り、大量の絵具を消費し、イメージと違えば惜しげもなく残し(使わず捨てる)…という豪快に見える制作風景でしたが、小原先生曰く「晴花は小さい時から不器用だから、なんでも人の倍の時間・画材が必要。失敗も人の倍するが、それでめげることもない。」そうです。作品から、晴花がしっかりと時間をかけてモチーフの向き合ったことが伝わって来ます。これからも晴花の作品を楽しみにしています!

大人の本気マジパン

マジパンで『食べられる工作』をした大人クラスの方々。さすがに上手いですね!右端の女の子は、髪の毛1本1本ピンセットで植毛していました!器用!マジパンについてはこちら

メリークリスマス!本日クリスマスイブですが、美術系高校受験の中学生5名は冬期講習に来ていました。明日の25日も3人来ます。震え上がるような厳しい叱咤が私(オバラ)からのクリスマスプレゼント。本当に欲しいもの(合格)は、もらうもんじゃない、自分でつかみ取らないとね!

さて、恒例の年末年始スタッフ徒然ご挨拶が、明日から1月7日まで続きます。学生アシスタントは『自分の学校で受講している授業や課題などの紹介と、アトリエでの仕事に対する意気込み』など、社会人の大竹先生・岩田先生・私オバラはフリーで書かせて頂きます。お正月休みにゆっくりできる時間がございましたら、ぜひスタッフの人となりが分かるこちらのブログを見てくださいね!

忘年会しました!

ナツメです。今日は年末最後の水曜授業ということで、水曜夜間大人クラスの皆さんから忘年会にお誘い頂きました!

お酒を片手に、皆様と和やかで楽しい時間を過ごすことができ、大変嬉しく思います。幅広い経験をお持ちの皆様から貴重なお話を伺う機会に恵まれ、気づけば盛り上げ役のつもりが、すっかり聞き入ってしまいました。話は制作中の作品の話からアトリエの出来事、最後には社会の話題にまで広がり、時間を忘れてしまうほど(解散はなんと23時過ぎ!)楽しいひとときでした。ありがとうございました!

少々酔いが回っておりますので、今日はこのあたりで失礼します!水曜クラスの皆さん、来年も影響し合い刺激をもらって素晴らしい作品を制作してください!

光と、その表現


悠華 中3 油彩

マユカです!今回は学生クラスから出来立てほやほや?の悠華の作品をご紹介します!

彼女が今回描いたのはマメ科の植物の花。隙間から差し込み、葉や花を透けさせるような光が美しく、よく見れば暗くなっている場所の葉っぱも、葉脈までしっかりと描きこまれていることが分かります。中心にある紫色の花には、黄色く光が透けた場所や、水色が混ざり合っている部分、一か所に花弁が重なり、濃い青色に変化している場所など、様々な色を使ってその柔らかさを表現できています。彼女自身も葉と花のできには満足していたらしく、「ここしか描きたくない」と言い出すほどでした。色の映り込み方や葉の形状で単調にならないよう工夫がされ、こだわりを感じることが出来る1枚です

さて、こちらの作品…実は今日の授業の最初までまだかなり下地の赤の部分が多くありました。元住吉駅の展示に出品する為、今週完成させなければいけないはずが、おしゃべりに夢中になり案の定終わらず、授業の後も残って描くことに…焦らせる為に、アトリエの電気を一ヶ所残して全て消し、先生が一人帰り、また一人帰り、私も21:30に帰宅し、最後には鬼の形相の(しかも無言、もちろん手伝わない)ノリ先生に睨まれながら、結局21:50まで制作したそうです…
「作品を出す」と決めたなら、計画的に描き進めて納期に間に合うようにしないと!と、なんだか私も気が引き締まる思いでした笑

是非10月6日(日)実物を見に元住吉駅までいらして、彼女のこだわりポイントである青々とした葉の部分に注目して見てください。画力の高さに反比例したノリ先生のディスリスペクトも聞けるかもしれませんよ!?

居酒屋のポスター!?


瑛太 高3 アクリル

サヤカです!あっという間に七月末ですね…!今回は、暑い夏にぴったりな学生クラスの瑛太の作品を紹介します。

先週『遂に完成!水のデザイン』としてアップしてしまいましたが、実は41人目の本当の最後の人がいました!小原先生の言い訳では「この絵は私の中では居酒屋のポスター制作だったから、水のテーマのデザイン課題が全員終わったつもりだった。だから本人の許可を得ず、ちょっと趣向を変えて暑中見舞いということにしてみた。」とのこと。また「完成して本当に良かった。毎週制作中の絵を見る度に、授業後にレモンサワーを買いに行きたい気持ちを止められず、現在売っている全メーカーのレモンサワーを飲み比べ、語れるほどになってしまった。不謹慎極まりない絵だ!」と、理不尽なことまで言っていました。(笑)

小原先生の言うとおり、躍動感ある水飛沫とレモンのカラーが爽やかで、炭酸を一気飲みしたくなる作品ですね!荒々しい着彩の仕方が、よりダイナミックさを際立たせています。水飛沫の荒々しさとは対極に、ジョックの厚みの表現や、レモンの陰影や反射からは丁寧な観察力が伺えます。実際にジョッキとレモンを組み合わせてよく観察している姿が印象的でした。また、周りに縁(白く残す部分)を取らせましたが、枠からはみ出るデザインにしたのは彼一人。与えられた枠に囚われず、選んだモチーフの魅力を最大限に引き出しています。勢いがあって実に豪快!乾杯!

透明水彩デモンストレーション解説

岩田です。暑くて暑くて、ほんとにこれからどうなるの?って感じですが、皆様お元気にお過ごしでしょうか。

先日、しんちゃん先生の着彩のデモンストレーションが行われました。
今年、東京藝大の日本画科に進学した学生で、モノを描くセンスと技術はピカ一です。今回は、彼の描いたプロセスを追いながら、解説を加えていきます。

透明水彩も扱い方で、進め方も様々ですが、対象を立体的、空間的にリアルに描くことを目的とした描き方です。画像では、花の陰が黒っぽく写っていますが、実物は、光を感じさせる美しい陰色です。

先ずは、構図決め。
セットされたモチーフの中で、主役は間違いなく花です。この花を中心に構図を組み立てています。
花をできるだけ見やすい位置に描き入れたいので、上端ギリギリにならないよう、間を空け、左右の空きもどちらかに大きく偏らないよう配慮されています。左にジョッキを置いたので、全体のバランスを取るように貝を右下に配置しました。その為、下が多少詰まるのは仕方ありません。だからといってモチーフを小さくしてしまうと、こじんまりした印象になるので、そこは描き方で、収まりの良い構図に持っていきます。

透明水彩を始められた方からよく聞く質問で 
「どのくらい下描きするべきですか?影は付けた方が良いのでしょうか?鉛筆の線が汚く残りそうで、おっかなびっくり描いているのですが…」という答えとして、
鉛筆での下書きは、デッサンという言葉で置き換えることができます。リアルに描く場合は、それほど鉛筆における仕事を重視して良いのです。
絵の具を乗せるので、鉛筆で塗り込める必要はありませんが、この時点で、形は勿論のこと、そのものらしさ、質感、空間性等をしっかり感じられる位、入念に描きます。
とは言え、見て分かるようにそこまで黒々した線でないのが分かるでしょう。最後に練り消しを転がして、余計な鉛筆の粉を取ってあげても良いでしょう。

しんちゃん先生も時間が許せば、本当はもっとデッサンを描きたかっただろうと、見ていて感じました。

透明水彩を始められた方からよく聞く質問2 
「最初にどのくらい濃く絵具を乗せたらいいか分かりません。消せないと思うと怖いです。」
「どこから描いた方が良い(もしくは楽)など正解はありますか?」
の答えとして、濃い色のモチーフは始めから濃く、薄い色のモチーフはどちらかというと慎重に絵の具を乗せていって下さい。
色の暗い葉っぱなどを描く場合、先に鮮やかな下色を置いた後は、その上からは、濃度の高い絵の具を思い切って乗せてみましょう。
とは言え、これも加減がありますから、失敗を繰り返して丁度良いところを知るということになりますが、一番やって欲しくないのは、怖がって水っぽい絵の具を何度も何度も重ねることです。
そうしたやり方をしていると、出来上がった絵の発色が悪く、個々の質感も失われ、湿っぽく重い感じになってしまい、カラッと軽やかな印象がなくなってしまいます。

今回はデモンストレーションということもあって、花を他よりも、かなり先に進めていった経緯があると思いますが、基本的に全体的に進めていくのがベストです。とは言え、あくまでも主役の花をある程度先行して描いていきながらというのは間違っていません。
基本はデッサンと一緒で、空間や個々の関係性を確かめながら、全体的に進めることで、短時間で合理的な仕事ができ、私が良く言う、最小限で最大限の効果を生むことが可能になります。大きい仕事から細部へという流れがムダのない描き方をする為のベースです。

皆さんも、しんちゃん先生のプロセスを参考にしながら、同じモチーフを描いてみてはどうでしょう。凄く勉強になると思います!

飲み会しましたー!

岩田です。
本日は、土曜午後クラスの方にお誘い頂き、飲み会に行ってきました。
実は私の制作が切羽詰まっていた為、昨年末から4ヶ月以上延期してもらっての宴会でした!

生徒さん同士、お互いに描いている作品が気になっていても、中々声はかけにくいもの。
お酒の入った席だからこそ、みんなとてもフランクにお話しできました。

私にとっても久しぶりの飲み会で、皆さんの人となりが分かったし、素晴らしい時間となりました。

どうも有難うございました!

龍の掛け軸 – 大人編 第3弾


左から 石山 / 寺内 / 當山 / 藤原 / 赤塚

岩田です。今回は、何と第三弾。墨汁の黒にカラフルな色付きの絵も相まって、賑やかになりました。年齢、性別を越えて、一口に龍と言っても、様々な捉え方があるものだと関心してしまいました。
普段、みんなで同一のモノを描くことなんてまずありませんが、教室の中一杯に並ぶ龍を見ると、又とない良い機会だったと感じた次第です。それでは、お一人づつ講評していきましょう。

石山さん一筆さばきが実に良い。濃淡の作り方を見ても、墨に普段から慣れていらっしゃる感があります。風格を感じる1枚。

寺内さんー好きなアニメのキャラクターをモチーフに選んだ作品。ワイルドでありながらどこか可愛く、とても楽し気で良い。

當山さんー叫んでいるような顔、執拗に描き切った鱗、圧力がとにかく凄い。表現したいという欲望がストレートに出ている。

藤原さんー遠くから、雲を突き抜けて登る龍の光景をただただ傍観している。とても静かな空気が流れ、見ていて心地良い。

赤塚さんー龍なのに怖さは全くなく、何だか惚けたような龍の表情がとてもコミカルで、親しみを感じずにはいられない作品。

 


佐藤Y

佐藤さんーこちらはポケモンのミニリュウ。幅は一緒で、長さの短い掛け軸。こうしたところにも作者の拘りを感じさせてくれます。

今年の授業は本日でおしまい。今年も1年お疲れ様でした!

忘年会!

ナツメです。水曜夜間大人クラスの皆様に誘われて、忘年会に参加させて頂きました!楽しい時間をありがとうございます。海外と日本の芸術の浸透度の比較や、人間性の違いがいかに絵に反映されるのかなど、普段の授業内では時間がとれないようなお話をすることができました。美味しいご飯とお酒を頂きながら、人生の先輩方に社会を学ぶ機会になりました。

私は本日が年内に担当する最後の授業だったのですが、皆様のおかげで楽しい授業納めとなりました!来年の授業で恩返しさせて下さい!

龍の掛け軸 – 大人編 第2弾


左から 坂本 / 横山 / 山﨑 / 服部 / 鈴木Y

岩田です。落款印を押す位置や、一文字(上下に貼る帯-くわしくはナツメ先生のブログ参照ください)の選択などにも個性が出て、非常に面白いですね。墨の濃淡、黒い地、と白黒の世界の中に、朱色の落款と、古典的な和柄の一文字の色彩が入ると、作品が引き締まり格調高くランクアップするから不思議です。
では、お一人ずつ講評していきます。

坂本さん一生懸命頑張って昇っているような表情を見せる龍の顔が印象的。坂本さんの描く猫も可愛いけど、龍を描いても、どこか可愛らしい感じになります。

横山さんー実在感を追求したというより、デザイン的、イラストレーション的な表現。敢えて平面的に捉えたところがカッコよく、オリジナリティーが溢れる。

山﨑さんーこのサイズでは足りません!と言わんばかりのパワーを感じます。怒気に満ちたような顔が、画面内から実世界に飛び出してきそうなほどの勢い。

服部さんー螺旋を描くように、鱗側から腹側に体を反転させているところが面白い。大空を蛇のような長ーい長ーい龍が回遊しているようなイメージを覚える。

鈴木さんーやっぱりここにもメルルちゃん(愛犬)登場。人のようで龍のようなその顔が実に個性的。雲を挟んで2者が対話しているかのような、そのあどけなさが魅力。

前回、「筆と墨を使うなんて、何年振りだったのでしょう?」と書きましたが、消しゴム判子の落款印を作る際に使った彫刻刀も、実に久方ぶりだったと思います。誰も指を切らなくて良かったです!(小原先生は、朱肉を買う時、一応絆創膏も一緒に購入していたそうですよ。(笑)