情け容赦なく

アトリエ・ミオス代表の小原です。31年目として気持ち新たに邁進いたします。ときれいごとを宣言しておきながら相応しくない内容ですが、私の苦手(嫌い)なことを…
【真面目】と【優しさ】
こう書くと人間のクズですが、私のことをご理解頂いている生徒さん・保護者様には、言わんとすることが伝わっているでしょう。一般的な事をわざわざここで言う必要はありませんから、極端ではありますが『芸術に携わる人』への意見として書いています。
【真面目】 コツコツ丁寧が一番と思い込み、他の可能性を探さない=職務怠慢
【優しい】 抑揚を控え穏やかが一番と信じ、無難な行動しか出来ない=無精者
だと思っています。(年始の挨拶ブログでこんな事を言っていいのか?いささか不安。)

昨年は美大に入ったばかりの元生徒5人が新しいスタッフとしてミオスにカムバックしてくれました。(年末のブログで5人が見られます。)もちろん当校から毎年何人も美大に合格しますが、上記2つに該当しそうな学生はスタッフに勧誘しません。「行動も努力も態度も一辺倒なのに、結果を求めてもねぇ。楽なもの(現状維持)、運や偶然、己の小さな才能に頼ったって無駄だよ。美術ってそういうもんじゃないでしょ?変化を恐れてどうするの。もっと人生も人間関係も作品もかきまわしちまえよ。」と思っているからです。
まず行動し、結果が出なければどこが悪かったか考えて、改めて努力して欲しい。でももし指示待ち人間だったとしても、怒られて行動に移せる素直さがあれば成長します。ですので、自分から「ミオスで働かせてください!」と頭を下げて来た学生は伸びしろありと判断し、真面目で優しいだけでもアシスタントに迎えています。

話は変わりますが、受験目前の学生たちは必死です。冬休みに何人も私のプライベートレッスンを受講しに来てくれました。通常の授業ではほとんど美大生スタッフが教えています(年が近く、ちょっと前に受験を経験した人の言葉の方が響く)ので、私の指導の厳しさに耐性がない生徒は号泣してトイレに籠ることも。「もしお前が不安と苦悩に満ちているなら、それは歩みが進んでいる証拠だ。安心して落ち着ける場所は己を鈍くすると、お前自身も知っているはずだ。怯え続けろ。お前が予想するより世界は凶暴なのだから。」(なんの読み物に出て来た名言か思い出せず…)せっかく還暦近い人間なので、小手先の技術だけでなく、美術を通した生き方を熱く語っています。真面目で優しいだけでは、弱い絵しか描けません。美術の世界ではすぐに淘汰されてしまうでしょう。

悩み、迷い、自分の血を流して考え抜いた事しか身に付かない。苦しみが魂を磨く。逃げられない苦しみに耐えられる精神力は、ゆるい日常からは生まれない。努力や理論(ロジカル)では突破できない壁を打ち破る腕力(局面をねじ伏せる強さ)を備えなければ。
今後、ますます不確実になっていくであろう未来を生きる上で、美術の可能性を探究することが、きっと人生の多くのヒントを届けてくれると信じて、今年も【軽佻浮薄?】に【情け容赦なく】いこうと思います。

変化を楽しんでいこう!

本日から月曜クラスのみ授業がありますよ。(その後は受験以外10日までお休みです。)毎週土曜日に講師をいている岩田です。

もう今年で、アトリエミオスに来て何年になるでしょう。敷居をまたいだ日が、あまりに遠い記憶になっていて、マジで思い出せないくらいです。
当初は、町田の予備校の講師と兼任していて、途中からアトリエミオスだけに絞り、週1日の講師業を現在まで続けている次第です。それ以外のは、漆の仕事をひたすら自宅の工房でやっている毎日です。

漆の仕事に関していえば、昨年は、日本を出て、台北で開催された展覧会に参加するなど、新たな動きも出てきました。今年も台北での展覧会に出展する予定ですが、日本以外の地で作品が認められるというのは、言わずもがな本当に嬉しい事です。

そもそも台北で活動できるようになったのは、昨年、台湾と日本の漆芸作家の交流展が台湾工芸館なる国立の施設で行われた際、私の作品も展示されるということで、その展示を見に現地に赴くと共に、台北のギャラリーに作品を持って、売り込みに行ったことがきっかけでした。
これが欧米や、他のアジアの国だと今のようにはなっていなかったと、つくづく思っています。

というのも、台湾は皆さんご存じのように親日家が多く、年配の方だけでなく、若い人達も日本語が通じる方々が結構いるのですが、売り込みに行ったギャラリーの若いキュレーターも日本語が堪能で、そこで話がちゃんと通じたことが何を置いても良かったのだと思っています。そして何より、台湾人が日本人を信頼し、互いに尊敬し合う関係を築いて来てくださった先人の方々のお陰だと言わざるをえません。

私は今年54歳になりましたが、この年になってようやく作っていて楽しく、又自分でもしっくりくるものを作ることができてきたなぁと感じています。ようやくです。
10年前と比べても、作風もすっかり変わりましたが、生きていると、若い頃と感覚も変わってくるし、それに伴って自分が求めるものも変化してくるのが当然。やはりモノを作る上でも変化を怖がっては駄目だと思いますし、むしろ変化を楽しんでいきたいと思うのです。

2025年、私はもっともっと変化していきます。もっともっと今以上に自分の心に正直に人生を歩んでいきたいと思います。
今年も宜しくお願い致します!

昨年を振り返り…

大竹です。明けましておめでとうございます、今年もどうぞ宜しくお願いいたします!もう書くのも何度目かも分からなくなってきましたスタッフブログ、ネタも尽きてきたこの頃。学生スタッフは『学業について』とテーマがありましたが、社会人スタッフは『自由』。私は2024年を振り返り、大きな3つの出来事について書かせて頂きたいと思います。

2024年の振り返りは
★新しい家族!大暴れ猫
★父、救急車に乗る
★かわさき市美術展、コミュゼ大賞受賞!
の3本立てで書かせて頂きたいと思います!(2/3は絵に関係が無い…)

★新しい家族!大暴れ猫
厳密には2023年の12月30日に、保護猫を迎えました。お迎えが決定したのはなんとその前日。大慌てでトイレやベッドを新調する運びとなりました。家に来たその日に撫でさせてくれる様な人懐っこい子猫でした。これは安心と床に着いた翌朝、部屋の床には初雪の如くズタズタのティッシュがこんもり積もっていました。好奇心旺盛なヤンチャっ子なのか、机にある全てのものを蹴散らし、夜中になると電光石火の如く部屋を駆け巡ります。(幸い私の睡眠欲の方が強かったので夜もグッスリでしたが)1年経った現在、体の長さが倍になりました。来たばかりと現在の比較画像を用意致しましたので、ご確認頂けましたら幸いです。

★父、救急車に2度乗る
9月頃、仕事終わりになんだか胸が苦しい…という父に母が受診を勧め、翌日病院へ行く事に。近所の病院で受信すると、なんと今すぐに大きい病院へ向かえ!と紹介状を貰う事に。呑気に昼食でマックでハンバーガーを食べた後、大きい病院へ行くと即検査・即入院に。私はその時ミオスで勤務中でしたが、母からの知らせで慌てて病院へ向かいました。結果は軽い心筋梗塞!そして川崎の更に大きい病院へドクターカー(1回目)で運ばれる事となり、その日の夜に緊急で心臓バイパス手術(ドラマでよく聞く名前ですね)をする事に…。今の医療の発展は凄いもので、バイパス手術の死亡率は0.8~1.46%だそうです。手術も無事成功しましたが、母が心労でグッタリ。しかも数週間の入院の後、退院した日の夜にコロナ感染が発覚。コロナが落ち着いたと思ったら今度は腸の調子が悪くなり、再び夜中に救急車(2回目)で病院に…。更には痛風も再発し、もう大変な1年でした。(主に父が…)現在は落ち着きましたが、母は厄払いへ行くことを決意したそうです。

★かわさき市美術展、コミュゼ大賞受賞!
私の運営する教室アトリエ・パステルのお話で恐縮ですが、昨年の第57回かわさき市美術展に初応募した中学生の子が中高生部門でコミュゼ大賞を受賞しました!(中高生部門で1番の賞です)ミオスでは何度も経験がありましたが、うちの教室では初応募の年でしたので、大躍進でした。(コチラに掲載されております)他にも入賞1人、入選が2人と大変めでたい結果でございました。
大賞の子は小学生の頃、版画の授業で人物をアニメ調に描こうとしましたが、担任の先生にはもっとリアルに描くようにと下書きを却下されてしまったそうです。その下書きを手に半泣きでアトリエに相談しに来た事がありました。恐らく、アニメ調だと線が少なくなってしまい、版画として見栄えがイマイチでボツにしたのだと思います。しかし小学校の先生ですから専門的な美術の知識がなく、その説明が難しかったのだと思います。「ダメなものはダメ!」と理由なく却下された彼女の悔しさは、きっと皆さんにも覚えがあるでしょう。今回、この市美術展にて自分の好きな作風で大賞を獲った事で、かつて悔し泣きしていた彼女は報われ、リベンジを果たした事になるでしょう。自分の好きな物を曲げずに拘って制作し続けた彼女に敬意を表すと共に、彼女の作品を評価してくれた審査員の方には感謝の気持ちで一杯です。

今年は健康第一に、前年以上に前向きに取り組んで行きたいと思います。皆様も良い1年となりますよう!

一年一年の積み重ね

現在  武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科在籍なつめです。昨年のブログで「次が最後の1年」と書きましたが、実は来年度から映像科に転科することが決まり、もう1年皆様とお付き合いさせていただくことになりました!デザイン科で過ごした4年間を振り返りながらお話ししたいと思います。

大学では、本当にたくさんの学びの機会が用意されています。たとえば私の学科では、3年生から4年前期の1年半で、3つ以上の選択必修授業を履修しないといけません。この履修の進め方は人それぞれで、毎学期1つずつ堅実に取る人もいれば、3年生の間に一気に履修して4年生を就職活動にあてる人もいます。

これらの授業は種類がとても豊富で、広告業界で活躍されていた先生から学ぶブランディングの授業、パッケージデザイン、映像制作、製本、イラストレーションなど、多岐にわたります。どれも魅力的で、シラバスを眺めているだけでもワクワクしてしまう授業ばかりです。3年にもなると「専門的な内容に絞る時期じゃないの?」と思いがちですが、この幅広い選択肢には理由があります。それは、自分の表現をどう的確に伝えるかを模索するためです。様々な手法を試しながら、自分に合う表現方法を見つけていく過程が大切だと感じます。

さらに、授業以外にも学びや成長の機会がたくさんあります。同級生とのグループ展、先生から誘われるプロジェクトへの参加、ゼミ旅行、学祭での作品販売など、挑戦の場がたくさん用意されています。ただし、これらは自分から動かなければ何も得られません。「次でいいか」と後回しにしていると、いつの間にかチャンスを逃してしまうんです。自由な時間をどう使うかが問われる環境ですが、正直なところ、授業や制作に追われてやりたかったことが思うように活動できないことも多く感じています。残りの1年をどう使うか改めて考えながら、最後まで頑張ろうと思います。

今年もアトリエでは小学生クラス用のテキスト制作(どのような本かは、後日ブログでご紹介します)を担当し、大学で履修した製本の技術を活かす機会をいただきました。大学でも決して机上の授業だけではなかったのですが、たった16ページのテキストの細かな部分までチェックする管理がまだまだ甘いと痛感しました。アトリエ・ミオスの名前で5,000部も発行する重責に身の引き締まる思いで取り組む経験を、社会人になる前に実践させていただけましたこと、心より感謝しています。

アトリエの授業を通じても生徒の皆様から多くのことを学ばせていただきました。この4年間で積み重ねてきた経験を糧に、映像科での新たな挑戦にも全力で取り組むつもりです。改めまして、新年もどうぞよろしくお願いします!年明けの授業でお会いできるのを楽しみにしています。

自分の力を集約した一年に

多摩美術大学グラフィックデザイン学科のマユカです。皆様冬休みはいかがお過ごしでしょうか。
私はと言えば、家で 食う 寝る 遊ぶ で幸せいっぱいです。今年は就職が待っていますから、今だけ…作品制作は明日から!
去年は必要最低限の単位が大方取れていたので、大学自体行くことが少なくなり、なんだか逆に時間が過ぎるのがあっという間に感じてしまいました。ついこの間まで銀杏が綺麗に色づいていたと思っていたのに…この調子だと4年生になってもあっという間なのでしょう。

去年は個展、展覧会を想定した課題が初めて出されました。今までは1課題に1つの作品を出すのが当たり前だったのですが、展覧会の想定ですから一回につき複数枚提出する必要があります。
あくまで課題ですので、規模は小さく、一人当たり2m×2mの大きさの壁を埋める程度の作品を持ち寄ります。とはいえ、一人で埋めるにはちょっと広いので、私も当初12枚+α…描く予定でした。せっかくなので多摩美の芸祭でもグループ展を開くことにし、架空の生き物のデザインをする事に。しかし時間が迫り、期限に間に合わないからと作品数を減らし、代わりにポスターサイズを大きくして5枚+装飾用の絵5枚に押さえました。こういった小細工やリカバリーは大学入ってからの3年間で大分うまくなりました(笑)。

この「展示会」の課題。大変でしたがそれ以上に自分の筆の速度や、世界観のまとめ方、いかに豪華に見せるかといった技術を知る良い機会になりました。パネルを使って立体的にしてみたり…と平面的な絵に物理的なメリハリをつける工夫も知ったので、今年の秋のミオスの生徒作品展で、課題で培った技術を生かして、役に立てればと思っております。

長くなってしまいましたが、今年は大学生活もミオスでのアルバイトも最後になってしまうので、これまで以上に気を引き締め、皆様一人一人に寄り添った仕事をし、また新人スタッフ達へミオス・スピリットを伝授してまいります。それがお世話になった生徒さんや保護者様の皆様、小原先生へ恩返しができる私の最後のミオスでの役目だと思っています!
今年もよろしくお願いします。

絵は嘘をつけない?

あけましておめでとうございます!年始トップバッター、青山学院大学教育人間科学部心理学科のサヤカです。現在唯一非美術系のスタッフです(笑)小原先生のお声がけで始まったミオスでのアルバイトも、そろそろ2年になり、時の流れの速さに戦慄しています。

今回は、私が大学で学んでいることについてお話ししたいと思います。皆さんは、「心理」と聞くと何を思い浮かべますか?

以前心理を勉強してますと言ったら、「それじゃあ占い師になるんですか?」なんて言われてしまったことがあります。確かに多くの人は、占いや性格診断を思い浮かべるのかも知れません。心という抽象的なものを扱っていますが、実際は、心を測るために尺度を作り、人の心の傾向を統計で明らかにする学問です。数学的で占いなどに感じるロマンはあまりないですね。

また、一口に「心理」と言っても、幅広い領域があり、それぞれ全く違う色があります。うつ病などの精神疾患を扱う臨床心理、いわゆる嘘発見機で汗や呼吸から心理を読み解く認知心理など…。その中で、私が興味を持っているのは、人がどのように成熟しているのかを研究する発達心理です。赤ちゃんの視力が、ちょうど抱っこしているお母さんの顔が見えるくらいと知った時は、示し合わせたような人間の構造に非常に感動したのを覚えています。さらに、心と絵の関連にも興味があります。小原先生が美大油絵科を目指す受験生に対して「絵を描くことは、裸で街中を走るくらい自分を曝け出す恥ずかしいことだ」と話していました。その言葉の通り、絵には言葉にならない想いまで現れます。心理検査の一種として、絵を描く検査があるほどです。ミオスでさまざまな年代の方の作品を目にしますが、穏やかで暖か、真面目で几帳面、天真爛漫で元気いっぱいなどなど、個性豊かな生徒さんたちの内面が作品に現れているのを実感します。いい意味でも少し悪い意味でも、絵は嘘をつけないのかもしれません。私は、そこに平等性を感じ、とても愛おしく思っています。発達心理を勉強し、文字や言葉で気持ちをうまく表現できない人の力になりたいと考えています。

…と、普段のブログではお話しする機会がないテーマで、夢まで語ってしまいました。ミオスで日頃学んでいるたくさんのことが、私の興味関心や考えの支えになっています。今年も非美術系スタッフだからこそできることがあるということを忘れず、精進します!何卒よろしくお願いいたします。

ハーフ還暦


星川 透明水彩
(生玉子を『初日の出』に見立ててピックアップしました。
フレッシュで濃厚な黄身、さらっと描いているのにどろっと見える白身、お見事です。)

1994年の6月に元住吉に絵画教室を立ち上げ、あっという間に30年が経過いたしました。
当初バブルな学生気分でしたので、自分なりに描いた絵画教室のイメージを目標にするだけでは続かなかったでしょう。
社会人の生徒さん達から、仕事の面白さ、そして素晴らしさを教えて頂きました。
今後もプロ意識とプライドを持って、仕事に取り組んでいきたいと考えています。
31年目として慢心にならず、常に一生懸命働きます。
本年も、どうぞよろしくお願い申しあげます。

絵画教室アトリエ・ミオス 小原 京美

30年の感謝


小学校受験資料『お手伝い』より抜粋 ー 皆様、年末大掃除お疲れまでした!

お陰様で今年の6月にミオスは30周年となりました。
生徒さん・そのご家族・スタッフから、たくさんのお祝いも頂きまして、本当に感謝しております。
無事ここまでこられましたこと、今までミオスと関わってくださった皆様のあたたかいご支援と信頼に、心より御礼申し上げます。
来年から31年目、新たな一歩として進んで参りますので、今後共どうぞよろしくお願い致します。

絵画教室アトリエ・ミオス代表 小原 京美

失敗は次作の肥やしとなる

東京藝術大学日本画科一年生のサトルです。僕は毎年恒例、祖父母の家で親戚一同集まり新年を迎えます。しかし浪人中は試験が目前に迫り、帰省中もなかなか心が休まらず、早く家に帰って勉強や絵の練習をしたいと感じていました。きっと受験生の皆さんも同じ心境でしょう。とは言え年末年始が終わると試験まで全く休みがありません。四浪した僕からの助言、「休める時にしっかり休みましょう!」それが受験生に求められるパワフルで情熱的な絵を描く秘訣です。

大学では日本画制作の課題が出され、大体月に一枚制作しています。大学の課題で絵を描くというのは自分で想像していたより難しく、ただ楽しいだけではありませんでした。時には自分の描きたくないモチーフを描かないといけない時があります。自分の好きなモチーフを描くときはスムーズに進み、締め切りより大分早く仕上がります。半面、描きたくないモチーフの時は遅々として進まず、締め切りギリギリでも上手くいかない事が大半です。しかし年末の課題が終わり一年を振り返ってみると、自分が描きたくない物を長時間かけて無理やり描いた時が一番成長していたなと感じます。皆さんも絵を描いていてあまり上手くいかない作品や、描いていて楽しくない作品があると思います。しかしそういった作品ほど新しい発見があったり、なんとか良い作品にしようともがくことで自分の技術が成長しているはずです。手こずった作品は決して失敗では無く、未来に描く沢山の作品の糧となることでしょう。是非今年一年描いた作品を振り返り、苦労したところを思い浮かべながら、「来年はこんな作品に取り組みたいな」希望、「今までチャレンジしなかったモチーフにトライしよう」挑戦、「受験生と同じ課題を同じ時間内で完成させてみよう」勇気(ちょっと違うかな?)と、お正月に考えてみてください。

高校生の時に小学生クラスのアシスタントをやらせてもらい、受験で一度離れましたが今年から再びミオスに来て、社会人の生徒さんと接することで沢山のことを学べたこと、有難く思っております。僕もまだまだ美術を学び始めたばかりなので、来年からもたくさん日本画を描いて多岐にわたる勉強をして、少しでも多くのことを皆様に伝えられる様に頑張ります!来年もよろしくお願いします。

感覚の探求

武蔵野美術大学視覚伝達科1年のカサネです!中学生の時からミオスにお世話になり、高校時代は小学生クラスのアシスタントをさせて頂き、美大受験を経てまた戻ってきました。改めてミオスの皆さんと関わる中で、大学での授業とリンクすることも多々ありとても助けられました。今回は私が入学した武蔵美の視覚伝達デザイン(通称視デ)のことを書いていこうと思います!

どこの美大でも大抵1学年は基礎を磨きますが、視デの基礎は少し変わっています。私達が何にどう反応するかについてなど思考・感覚意識します。目隠しをして校内を練り歩くことから始まり、墨汁をぶちまけたり卵を高所から落としたり…。どれもしっかり理由はあるんですけどね笑(たとえば目隠し散歩は五感で一番頼る視覚を塞ぐことで他の感覚を研ぎ澄まし、新しい方向から日常を視る、という狙いがあります。)
入学前のイメージや噂は「真面目な視デ」でしたので、堅苦しく小難しい授業をするかと思いきや、不思議な授業が多く「いったい何を学んでいるのか」を常に自分で考える必要があります。課題の受け取り方、探索方法、制作方法、何をとってもかなり自由で、評価ポイントは課題と生徒らがどれほど化学反応を起こし、新しい発見をするか、なのです。毎時間必ずレポートを書き、中間講評で発表しなくてはいけないほど「言語化」を大切にしており、講評も先生からのコメントは少なく、生徒同士での意見交換がほとんどです。
課題に対しての姿勢は「作品制作」というより「研究」の方がしっくりきます。(よく他の美大と比べるときにグラフィックデザインの括りにされがちですが、中身は別物のように感じます。)

受験では常に一定の正解というか、正攻法があり、型の中で技術と発想を駆使するのが勝負方法でした。しかし大学ではそこに加えて「自分なりの発見」を求められらようになり煮詰まることが多くなりました。
そんな時に思考の一時休止や、新しい発想と価値観を得られる場所であるミオスにとても助けられました。大学ではある程度自分と似た境遇、趣向の人が集います。その点ミオスでは幼稚園児から小中高生、社会人など、様々な視点を持つ方がいますので。

少し前にオリジナル地図をつくる授業がありました。新しく世界を見るにはどうしたらいいだろうと考えた時に、アトリエのみんなのことを思い出しました。小学生クラスでやった課題を学生クラスですると、違う視点のものを作り出してたな、と。小学生だったらどうだろう、小学生になりきって歩いてみよう。もっと視界が低くなるだろうから、道に落ちている物に注目するのかな、とか。そうすると自然と案が出てきて、「自分以外になりきって世界を視てみる」という考え方が生まれました。

逆に学校で得た知識をアトリエの授業に活かせることもたくさんあります。感覚への探求で、言語が未発達の小さな子達の「視る触る」への共感もよりできるようになりました。
まだまだ至らない所が多いですが、大学での学びとアトリエでの学び、活かし合い、化学反応をさせながら精進していきたいと思います。来年もよろしくお願いします。