色遊びの極意

増村 『再会』 油彩

ナツメです。どこもクリスマス一色になり年末の気配を感じます。本日は水曜大人クラスより増村さんの作品をご紹介します!

中東の路地裏で交わされる再会の一瞬を描かれました。シチュエーションや魅力的な色選びからは温かな雰囲気が伝わってきて、この瞬間の前後の流れまで想像させられるようです。

なんと言ってもまず目を引くのは、画面中央に差し込む強い光です。右側の建物の壁は暗く沈み、奥の路地に向かって光が大きく広がっていく構図になっています。このコントラストが人物の身につけている色の濃い衣服も相まって存在感をさらに強めており、視線を自然と画面中央へと導いています。

また、建物の壁は細部を描き込みすぎずに土壁の素朴な質感を捉えているため、光のメリハリや人物の存在が際立っています。左右の壁は装飾のないシンプルなつくりですが、単調にならないようジェッソをしっかりと盛ることでマチエールを作り物理的に立体感を生み出しています。

よく見ると多くの色が使われているのに画面が散らからず落ち着いて見えるのは、明暗の設計がしっかりしているからです。たとえば暗い緑の中に急に明るい青を入れると一気にごちゃごちゃとしてしまいますが、明度の近い色同士なら色相が違っても自然とまとまりが生まれます。(これの特性を使ったトーンイントーン配色という配色技法もあります)

増村さんの作品も白黒で見たときに人物と壁、光の明暗がきれいに整理されていて、主役がどこなのかが一目で伝わってきます。

色を明るさで捉えるのに慣れないうちは、カメラのモノクロフィルターを使って確認してみるのもおすすめです。明暗が整理されているだけで絵はぐっと見やすくなるので、ぜひ皆さんも意識してみてください