希望と絶望を対比して

藤澤 油彩

お久しぶりです、サヤカです。12月に入り一気に寒くなりましたが、皆様体調にお気をつけてお過ごしください。今回は、展覧会にも出品されていたこちらの油彩をご紹介します。

グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』から着想を得た作品です。タイトルもそのままズバリ『捨てられた子』。兄のヘンゼルが、道にパンくずを落として目印にしようとしている場面ですが、この物語のハイライトといえば、やはりお菓子の家だと思います。メルヘンなモチーフではなく、親に捨てられたことを悟った子供が知恵を使い、なんとか生き延びようとする場面を描く視点が藤澤さんならではですね。

森の入り口から射し込む柔らかな黄色の光が、兄妹の顔を優しく照らし出す一方で、その先に続く道は彩度を落とした暗いトーンで描かれています。この明暗の対比で、希望や絶望を表しているようで、より二人が進む道の閉塞感が伝わってきます。二人の表情もとても丁寧に描かれています。妹の不安に満ちた顔、兄の冷静に生き残るための道を進む覚悟が現れている表情がこの作品の見どころの一つです。童話の一場面でありながら、人間ドラマのような深みを作品に生んでいます。

「ヘンゼルとグレーテル」は昔から知っていましたが、森に捨てられる場面よりも他のキャッチーな場面に目が行きがちでした。この場面から、登場人物の人間味が感じられ、とても新鮮でした!藤澤さんがこの場面から何を感じたのか是非お聞きしたいです。