
佐々木 岩絵具/和紙・パネル
涼しくなる日を今か今かと待ち望んでいます、ナツメです。本日は日曜大人クラスの佐々木さんの日本画をご紹介します!
大きく川が広がり、その奥に街並みや橋が描かれています。静かで落ち着いた雰囲気をたたえ、まるで物語の挿絵のように空気感を伝える描写力があります。現実から少し離れ、過去の記憶や夢の中の景色に迷い込んだような気持ちになり、不思議な時間の流れを感じさせます。実際の光景をそのまま写し取ったというより、むしろ心に残る記憶を風景として描き出しているように思えます。
画面の半分以上を占める水面は大きな見どころのひとつ。水の反射や段々と深くなっていく水の色がとても綺麗。普段は透明水彩を扱っている方なので、色を重ねて深みを生み出す経験が日本画にも生かされているのが伝わってきます。
川沿いの街並みは細やかに描き込みながらも、全体では似た明度の色を多く用いた滲むようなグラデーションが作られています。水面に写った鏡面反射の黄土色や、手前の川の深い部分に紫も入れて、水まで暖色に感じます。
実際の作品は岩絵具の粒子によってザラザラとした質感があるため、その特性が風景の空気感をいっそう引き立てています。風景を描いた一枚でありながら、その場の空気や時間までも閉じ込めたかのような表現がなされており、記憶や心を静かに揺り動かす作品です。