
加藤 岩絵具/和紙・パネル
昨日から藝祭で大忙しのサトルです。藝祭は明日の日曜までですので、ぜひ多くの方に足を運んで頂ければ幸いです。詳細はこちらをご覧ください。
今回ご紹介するのは見ていると水辺に行きたくなるような加藤さんの日本画です。
南国の海を感じる浜辺に集まるのは、可愛らしい海亀の一家でしょうか?甲羅の表面の鱗板(りんばん)はさることながら、小さな鱗一つ一つまで正確に描写してあって、本当に日本画なのかと疑うほどのリアリティが出ています!
生き物を表現する際、鱗や毛並みなど表面に出ている質感を精巧に描きすぎると動物の持っている肉体の柔らかさや厚みが失われます。加藤さんは持ち前の観察眼で鱗や顔を細かく描き込みましたが、単調にならない様に茶系の絵の具などで必要な部分以外をぼかしたり、上からキラキラした粒子の荒い岩絵具で一部だけ目立たせるなど、抑揚を出すため様々な工夫をしました。そのおかげで生き生きとしたハリのある質感を生み出せていますね!
水面の反射にも同じように様々な技巧が見て取れます。エメラルドグリーンの明るいベースが鮮やか過ぎて少々単調でしたが、それを抑えるために何日もかけて荒い粒の絵の具を少しずつ塗り重ねました。海亀には更に沢山の岩絵具を使っていますね。岩絵具の中でも荒い粒の絵の具は下の色が隠れづらく、ムラにもなりやすいので扱いが難しいのですが、果敢に挑戦し見事な仕上がりに。まじまじと水面を見ていると本当に波が動いているのでは無いかと目を凝らしてしまいます。
加藤さん普段は水彩画を制作していらっしゃいますが、日本画と同じく絶妙な色の違いを見逃さずに、細かな仕事を重ねて深い表現をされています。が、もっともっと観察眼を鍛えたいと現在は石膏デッサンを描かれています。既に凄まじい描写力がありながらも更に高みを目指すその姿勢は1人の作家として尊敬の念を抱きます。絵画を描く上で最も基本になるのはやはりデッサンでしょう。デッサンを疎かにすると色の表現も広がっていかないものですから、僕も加藤さんを見習って今一度基本に立ち帰り、藝祭が終わったらデッサンを描いてみようと思います。