藝術祭り

サトルです!来週9/5(金)~7(日)の3日間、東京藝術大学で作品展示、販売をするので告知させて頂きます!

藝祭では毎年全学生が作品展示を行います!絵画は勿論、彫刻や陶芸、伝統技術を使った工芸品や現代アートまで幅広く展示されていて紹介しきれません!!!!芸術分野のほぼ全てが藝祭では鑑賞できます。あまりにも数が多いので全て回るのはほぼ不可能….。僕が展示するのは50号の人物日本画です。7月から制作していて今までで一番描き込みました!描き込みで絵の具が割れてしまったりして大変でしたが、なんとか修復して現在も制作中。展示場所は藝大美術校舎の門を入って右奥にある絵画棟3階の一番奥の部屋です。

展示とは別の場所で小作品の販売も行います。会場は上公園噴水広場で6日と7日に行われるアートマーケットです。沢山の学生がそれぞれのテントで出品していて、絵画作品からアクセサリー、陶芸作品など様々です。

僕は一番上野動物園に近い位置の角にあるテントで5000~10000円の日本画を出品します。上野公園内にあるスターバックスの目の前ですので見つけやすいと思います。「花胡粉」という店ですので是非お越しください!金曜日は売っていないので注意してください!

作品販売:上野公園竹の台広場(噴水広場)145番テント
販売時間
9/6 10:00~17:00
9/7 10:00~17:00
サトル店番時間
9/6 10:00~11:00
9/7 16:00~17:00

さて、お次は毎年一年生の作る藝祭神輿!藝祭の目玉である御輿は一年生が4グループに分かれて制作します!去年僕達は孔雀の御輿を作りました。今年の一年生はデザインと芸術学チームがカエルの御輿、日本画と工芸チームが麒麟の御輿、油画建築チームが巨人の御輿、彫刻と先端芸術表現チームが金魚の御輿を作ります!現在僕は2年生なので、藝祭実行委員として制作のサポートをしながら制作途中の御輿を見ているのですが、カエルの御輿がとてもいい感じです!5日の午前10時から御輿のパレードが行われますので是非ご覧下さい!!

その他にも模擬店やステージでのライブなどどこに行っても楽しいイベントが行われています!国内での美術イベントとしては最大級の規模ですので、楽しむためだけではなく、作品を鑑賞すること、また、駆け出しのアーチストの作品を購入する場としても、とても有意義な1日になると思います!是非お越し下さい!

夏の記憶をとどめる

山本 岩絵具/和紙・パネル

大竹です。今回ご紹介するのは、山本さんによる日本画の作品です。

ひまわりといえば、太陽に向かって真っ直ぐ咲く姿が象徴的ですが、本作では盛りを過ぎているのか、うなだれながらもなお鮮やかな黄色を放つ姿が表現されています。花びらの一枚一枚に残る夏の香りは、過ぎ去ろうとする季節を惜しむかのようで、観る者にやがて地に落ちていく未来の時間までも想像させます。少ししおれたひまわりを選び取った眼差しに、作者の感性の豊かさが表れていますね。花の美しさは、決して瑞々しい瞬間だけに宿るものではなく、弱さや衰えの中にも情緒や美が存在することを伝えてくれるかのようです。夏の終わりに漂うもの哀しさは、どこか懐かしい気持ちを呼び起こし、心を静かに震わせます。私はこちらの作品を拝見した時、井上陽水の少年時代が頭の中を流れていきました。少し切ない気持ちになってくるのは、まだひまわりたちが眩しいほどの黄色を有しているからなのでしょうか。

背景の青も印象的で、夏の強い日差しの熱感というより、湿度を帯びた空気を思わせるような柔らかい青で描かれており、岩絵の具の持つ質感が巧みに活かされています。この青があることで、ひまわりの黄色がいっそう鮮やかに浮かび上がり、画面全体に静かな深みを添えています。日本画ならではの重なりと透明感が、季節の移ろいを鮮やかに浮かび上がらせ、鑑賞者の心に余韻を残す味わい深い作品です。

暑さも落ち着く早朝

林 岩絵具/和紙・パネル

こんにちは、マユカです!今回は林さんの日本画をご紹介していきたいと思います。

青の冴えわたる早朝に美しく鮮やかなピンクを見せる朝顔を描きました。明るい青ではなく、海のように深い青を使用しているため、ピンク色がより際立ち画面の中で一層映えています。少し眠たい朝に朝顔の咲いているところを見た時の、少し目の覚めるような感覚がこの作品からも感じられますね。画面下の朝顔はその花の形をしっかりと感じさせる立体感と花びらの厚みさえ感じるような陰影がついており、瑞々しさのある質感がしっかりと描写されています。

よく見てみれば一際大きな朝顔の隣には、膨らみ開花を待つ蕾が。左の支柱に絡まる蔦に透ける赤や、支柱の留め具などの観察眼あふれる細かな描写が林さんの作品を魅力的なものにしており、情景にリアリティを付加し、説得力が生まれています。また、全体的に暗い背景が夜をイメージさせるのですが、朝に咲く花がメインにあしらわれているというアンバランスさに見る人を惹きつけてくれるような魅力があり、配色の美しさだけではなくそこから得られるイメージを利用した画面の調整がとても上手いと感じました。夏の茹だるような暑さの中でも、涼しさを感じられる素敵な作品ですね。

あんなにも暑くてビタミンカラーの似合った今年の夏も終わりに近づき、最近は少しずつ朝と夜に秋の風を感じるようになりました。季節の変わり目は体調を崩される方も多いので、皆様もご自愛くださいませ。

夏の彩り

釘宮 岩絵具/和紙・パネル

北海道旅行から帰ってきてこちらの蒸し暑さに悲鳴をあげています、ナツメです。本日は日曜大人クラスより釘宮さんの作品をご紹介します!
タチアオイをモチーフに日本画を描かれました。この地域でも道端や庭先で見かけることができる身近な花です。

画面いっぱいに広がるタチアオイは、下から上へと連なる花々のリズムがとても印象的です。茎の縦のラインがすっきりと構図を支え、その上に連なる花がまるで空に向かって舞い上がっていくかのよう。背景には淡い水色から緑がかった色へのグラデーションが用いられており、花々の鮮やかなピンクを一層際立たせています。空の透明感と花の柔らかな質感が調和し、画面全体に爽やかさと清々しさが広がっています。また、ピンクの花の中に白い花を混ぜ込むことで、画面に軽やかな変化が生まれています。単色で埋め尽くすのではなく、あえて濃淡をつけ、ところどころに明るい部分を加えることで、一つひとつの花が際立って見えるよう工夫されています。

制作の過程では、まず胡粉で花や葉の部分を下塗りし、その上から色を重ねて仕上げることで、発色の明るさや絵具の重なりに奥行きが生まれ、花の軽やかさや光のあたり具合まで感じさせる仕上がりになっています。日本画の技法は一見シンプルに見えても、ごまかしがききにくく、ひとつひとつの花びらや葉を丁寧に描き込まなければ成立しません。そのため、根気強い作業の積み重ねが必要になります。とくにタチアオイのように花が無数に連なる植物を題材とする場合、同じ形を繰り返すだけでは単調になってしまうため、それぞれの花に微妙な違いをつけながら描き分けていくことが大切です。非常に根気のいる作業だったと思いますが、その丁寧な仕事ぶりが作品全体に生き生きとした表情を与えています。

堂々と咲き誇る姿でありながら、気品を感じさせる佇まいが魅力的です。花言葉の「大望」にふさわしく、凛とした存在感と上品な美しさを兼ね備えた一枚となりました。

おめでたいモチーフ


左 陽飛 高3 / 右 佳美 高1  岩絵具・和紙・パネル

 

タイシです。今日も学生クラスから日本画を紹介しますが、2枚共「鶴」をモチーフにした作品です!

まずは左、陽飛の作品です。赤い夕日と富士山を背景に、遠くを眺める鶴を描きました。
夕日、富士山、鶴という日本らいし三つの要素をバランスよく配置しました。背景の夕日の橙色から黄色へと移りゆく自然で美しいグラデーションは、富士山の青とは補色の関係にあり、画面に奥行きと鮮やかさを与えています。日本画科の聡先生も書いていましたが、岩絵具で技術的に一番難しいのが、フラットな塗りとグラデーションですので、陽飛のレベルの高さが伺えます。
鶴は頭部に赤・くちばしの黄土のアクセント色を持つ、白黒の鳥です。縦構図の上下で、上は夕焼けと鶴の鮮やかな色の部分、下は山の藍色と鶴のモノトーンの部分、とはっきり区切ったところが、より美しい配色を際立たせ、静かでありながら確かな存在感を放つ、デザイン画としても見ごたえのある作品となっています。

右の佳美。岩絵具は初めての画材でしたので、混色や着彩の過程で緊張や戸惑いを感じましたが、実験を重ね見事に鶴の動きや雪の勢いを感じさせる作品となりました。
さて大きく羽を広げ向かい合う二羽の鶴は、求愛しているのか、それとも争っているのか――調べてみると、鶴の求愛行動と喧嘩はとてもよく似ており、しかもダンスの表現方法からはオスとメスの区別がつかないとのことです。
ちなみに作者に聞くところ、この絵の向かい合う二羽の鶴は、求愛ダンスのシーンとの事で、付き合い始めのつがいほど、息の合った洗練されたダンスを踊るそうです。
見る人にさまざまな想像を促す、とても興味深い表現ですが、全体として力強く生き生きとした印象の作品に仕上がっています。

2枚の日本画はどちらも鶴を選びながら、「静と動」伝えたいイメージが真逆で、大変面白い比較をさせてもらいました。

厳かさを描く

ひとみです。今日も学生クラスから莉緒と瑞希の日本画作品を紹介します。


莉緒 中3  岩絵具・和紙・パネル

莉緒は、木々に囲まれた境内にひっそりと建つお社を描いています。手前の部分を細部まで描きこむことによって奥側との遠近感を演出しています。社の屋根は手前側と側面側で明度を変えて描くことによって、地面からの反射光が当たっていることが分かる細かな演出が美しいです。
また画面左側の日光が当たる地面や手前側の縁側に差し込む光に緑色を混ぜることによって、彩度の高い木々と逆に彩度の低いお社の色味が分断されず調和を保った画面構成になりました。
写真を見ただけではこのような色味は使えないでしょう。こういう感覚は天性のものと、色彩の勉強で身に付くものです。勉強で、と言いましたが、座学で本を読むだけではなく、たくさんの実験から得られる感性ですので、莉緒は「この色を混ぜたらどんな印象になるかな?」と、小さい頃より工夫を重ね自問自答したに違いありません。その色彩感覚を活かし、神社の厳かな建物と青々とした緑を、それぞれ同じ比率で存在することで、重々しくなりすぎず清々しい印象でまとめることができました。


瑞希 高1  岩絵具・和紙・パネル

瑞希は、闇夜の雲の切れ間から現れたかのような龍を描いています。
鱗や角、細部まで形や色使いに気を使っていて、頭部に近い鱗は明度の高い色味で、下腹部の鱗は明度が低い色味に、また形にリズムがあり単調な部分がありません。このような違いをつけることにより頭部が目立つような視線誘導、遠近感を演出できているのです。
右上の雲は、龍に近づくにつれて背景の藍色に溶け込むように描かれています。小スペースにでも手を抜かず、龍を際出させる工夫はさすがですね。
また龍の身体の部分に水のような紋様が入ることにより、写実的になりすぎずに、平面的なデザイン性も含んでいます。
画面全体に余すとこなくはめ込んだ龍は厳めしく迫力がありながらも、表情にどこかユーモラスさを感じ、近寄りがたいだけの存在に留まりません。そこがこの絵の最大の魅力でしょう。

二人の絵は龍と神社、一見別の題材のものに見えるけれど、実は「厳かさ」を描いていると見て取れます。それでも色の使い方や雰囲気の持って行き方でそれぞれ静かな厳かさ、動きのある厳かさをみせる工夫が施された作品となっています。

作家的制作

駿 岩絵具/和紙・パネル

サトルです!今回は土曜学生クラスから大学生のシュンの日本画をご紹介します。なんと短い期間で二枚も完成させました!どちらも日本画独特の質感を使いこなし、美しさと力強さを兼ね備えた傑作です。

まずは左の赤い芙蓉の花を描いた作品です。背景の夜のような暗い雰囲気と花の生き生きとした赤い色の対比がかっこいいですね!色の対比だけでもかなり良さが出ていますが、近くで見てみるとその多彩な質感に圧倒されます。特に葉の部分は、深黄緑の色で固有色を出した後、上から暗い青と紫を重ね更に深みを出していきました。極め付けは中心にある花付近の空色の絵の具が、抜群のセンスを放っています。この効果は、花を際立たせつつ、暗い部分から鮮やかな赤の繋ぎ役をしています。背景は葉の周りから攻めるように、葉の輪郭をはっきりと際立させながらも、近い色でまとめることで安定感のある画面になっています!

次は右の睡蓮の作品です。独特な形の取り方が魅力的な一枚。正確な形を取ることが難しいと割り切って、絵の中で良い形を探しに行く姿勢はかなり作家的。上部の葉の形は特に魅力的で、独特のタッチを見せつつもしっかりと遠近感が出るように奥にかけて小さくなるように描いています。花も同様に折れ曲がっている花びらの様子や、隙間から見える赤みなどを上手く使い、リアリティを出す事ができました!
水面に映る睡蓮の表現も魅力的ですね!横向きのタッチで波の反射を描きつつも、しっかり睡蓮だと分かる虚像の形になっています。

どちらの作品も形・色を選ぶデザイン的センスが非常に良いと感じました。モチーフの特徴を上手く捉えつつ、画面の中でバランスよく配置する事が出来ていて、これならどんな塗り方してもカッコ悪くなるはずがない!と恐れ入りました。日本画は形が最重要と言っても過言ではないので、これからも機会があれば是非日本画を描いて欲しいなと思います。

ひそやかな輝き

木佐貫 岩絵具/和紙・パネル

大竹です。今回ご紹介させていただくのは、木佐貫さんによる日本画作品「睡蓮」です。

睡蓮という名は、「夜になると花を閉じ、まるで眠っているように見える」ことから由来しているといいます。夏に咲く花でありながら、静けさや神秘性をたたえ、日本画の題材として数多く描かれてきたポピュラーな存在です。

こちらの作品では、幾重にも塗り重ねられた青が、まるで水の奥深さを映し出すかのようにグラデーションを描き、観る者を引き込んでいきます。その深い水の世界から、まるで白い睡蓮が光をまとって浮かび上がってくる様にも見えてきますね。その花びらには、薄く透き通るような柔らかさと、光を受けて宝石のように輝く部分とが共存しており、神々しくも美しい姿を描き出しています。
大きな葉の落ち着いた緑と、花の清らかな白、そして淡い桃色との対比は華やかで、まるで水面に咲く舞台の主役を見ているかのようです。岩絵具の質感により、その美しさは一層際立ち、画面全体に上品でやわらかな印象を与えています。

水面の深みを出すために幾度も色を重ね、花びら一枚一枚の表情を探りながら描き出したことが伝わってきます。決して派手さに頼らず、ひと筆ひと筆を誠実に積み上げてきたからこそ、この一輪の睡蓮は凛とした存在感を放っているのでしょう。

涼しげな水辺の雰囲気を描く


左 美雪 / 右 菜々美  共に中2  岩絵具・和紙・パネル

マユカです!お久しぶりです。今回は美雪と菜々美の作品をご紹介します!

二人はとてもイラストを描くことが好きなのですが、それだけではなくさまざまなジャンルなどに興味があるようで、どんなものでも描きたい意欲に溢れた子たちです。今回の作品も初めての日本画で素敵な表現をしています。それでは美雪の作品からご紹介していきたいと思います!

蓮の花が咲く水面を描いた作品です。原色に近い青が美しく、金色の葉とのコントラストが芸術的です。中心の花以外ほとんど白を使用していないため、明るく彩られた花弁に視線が向きやすく、凛と咲き誇る様子をうまく表現することができています。また、こちらの葉は金を多用したように見えますが、ほとんどが泥です。小学生クラスで作った泥絵具の水分を干上がらせて水干にしていたものを利用しました。泥は一見ただ茶色いだけに見えますが、色の組み合わせによってはこれほどまでに美しく彩る材料になるのです。

それでは菜々美の作品です。水面近くを泳ぐ二匹の鯉を描きました。上の鯉の背のオレンジ色は、実物の方が鮮やかで美しいのですが、こうして写真で見てもしっかりと目を引くような配色です。こちらの模様は、濃さの違いで鱗をも表現しており、塗っただけでないリッチさがあります。また、その下を泳ぐ鯉も水面の厚みを感じさせるようにかなり濃い色で塗っていますが、ベッタリとした印象にさせずに仕上げています。ごく自然に泳いでいる様子が、メインの鯉を邪魔せずに画面に彩りを加え、一体だけでは寂しい画面に上品なアクセントを加えています。

水をテーマにした作品はやはり涼しげな印象を与えてくれますね。まだまだ暑い日が続きますが、皆様も水をテーマにした作品で心を涼ませてみてはいかがでしょうか。

花を捉える

ナツメです。本日は学生たちによる日本画を2点ご紹介します!


あかり 高2  岩絵具・和紙・パネル

一枚目はあかりの作品。夜空に大きな月を背にした花々を描きました。画面右側を大きく占める月は、柔らかな黄色と白が重なり合い、神秘的でありながら温かさを帯びています。その月明かりに照らされるように、画面左から流れるように花々が咲き並びます。花びらには紫や薄桃色が差し込まれ、静かな夜気の中にやわらかな彩りを添えています。花が一方向に流れるように描かれていることで、画面全体に動きとリズムが生まれ、幻想的な世界観を強く感じさせます。
さらに目を引くのは構図の工夫です。花々は川の流れのように斜めに連なり、視線は自然と右上の月へと導かれます。その流れに沿って画面全体が大きなうねりを持つように設計されており、花と月をどのように配置すれば互いを引き立てられるかをよく考え抜いた構成力が光っています。幻想的でありながら、広がりを感じさせる一枚です。


ひなた 高1  岩絵具・和紙・パネル

二枚目は、夜の闇に無数の白い花が咲く様子を描いたひなたの作品。より写実的な視点から花の姿を捉えています。濃い背景に浮かぶように咲いた白い花は、ひとつひとつの形が繊細に描き分けられています。花びらには淡いピンクや紫が散らされ、白の中にも豊かな色調が息づいています。背景は深い色合いでまとめられていますが、その重さが花の明るさを一層際立たせ、浮き上がるような存在感を生み出しています。枝や葉も決して脇役にとどまらず、花のリズムを補うように画面全体を構成し、静謐な中にも確かな生命感を漂わせています。
さらに、画面の端から端まで対角線を描くように枝がのび、その上に花が散りばめられることで、画面にリズムが生まれています。奥に向かう枝を薄く、手前の花をしっかりと際立たせることで遠近感が表現され、花そのものの美しさだけでなく、花が「空間の中にある」という実在感が強調されています。

描き方や雰囲気は異なるものの、共通して「花をいかに美しく見せるか」という工夫が感じられます。月明かりに包まれて流れるように咲く花も、暗い背景に浮かび上がる花も、どちらも画面の中で花そのものを主役として輝かせることに成功しています。幻想的であれ写実的であれ、花の存在を大切に描き切ろうとする姿勢こそ、この2枚に共通する魅力だといえるでしょう。