素直に観察


空 / 千紘  共に中1・油彩

気温も落ち着き、肌寒い日も増えてきましたね。ひとみです!今回は中学1年生2人の作品を紹介したいと思います。

ソラ 『人物』という描くのが難しい題材への挑戦!そもそもなぜ人物画が難しいかと言えば、複雑な上、似ているか似ていないかのジャッジまである為です。(花はそれっぽければ皆「花」と認識してくれますが、人物の判断は厳しいもの。)苦労しながらも丁寧に表情を追い、自然な仕上がりになりました!それに対比しジャケットはざっくり描かれているので同系色でも飽きがきません。また背景を暖色とすることで青い花が際立ち、更には花の隣のアンニュイな表情に目を引かせる『視線誘導』の効果が出ました。良い配色です。

チヒロ 森林の中でスズメが1羽止まっている構図。手前の枝をカチッと決めることで奥の緑と前後感が出て、スズメがより目立つようになっています。固い豚毛の筆が多い油絵で、細かいものを描くのは至難の技ですが、スズメの特徴である羽の茶色の小さな斑点の描き込みもしっかりされていて、遠目で見てもひと目でスズメであることが分かります。小さく儚い生き物に愛情を注ぐあたたかな眼差しに、「細部にいたるまで観察しよう」、「それをキャンバスに写し取ろう」という意欲をプラスしました。そんな気持ちが伝わります。

半年前まで小学生だったのですから当たり前ですが、途中、苦戦して意気消沈したよう顔も見られました。しかし「自分で選んだ題材は上手く描きたい!」と気持ちを奮い立たせ、微妙な色の変化や、細かな特徴を追いました。これからも好きな題材を描くことで、表現力を高めていけるといいですね!この絵も日曜日に元住吉駅に飾りますので、皆さんご覧ください。

素直で明快


璃子 中2 油彩

岩田です。本日は、璃子の作品をご紹介します。

とても美味しそうなパフェを拡大し、且つとてもリアルに描いたのは、小学校2年生からミオスに通う、現在中学2年生。
リアルに描けるのは、それだけ長く何かを作ったり、描き続けたりした結果もあると思うんだけど、あまり難しいことを考えず、とにかく素直にものを捉えているなあというところに共感を憶る絵。

果物それぞれに艶の感じがちゃんと違うし、生クリームの少しマットな質感も実に良く捉えています。

もうなんかこういうのって、この筆を使って、こうして描けばこうなるっていうテクニックではなく、とにかく「これ綺麗だなー、リアルに描きたい!」という気持ちが先ずありきで、その一心で描いていたら、いつの間にか自分でも感心してしまうぐらいの絵が描けていましたーって感じなのだと思う。

所謂ゾーンに入るというか、頭で考えるよりも、とにかく楽しくて、感覚的に絵の具をチョイスして、筆を運んでいるような感じ。

大人になると、ついつい描く上で、考えすぎてしまうことが多くなると思うんだけど、こうした明快で、好奇心を持って、ワクワクしながら描いている絵は、やっぱり良いなぁと単純に思うのでした。

素直にまっすぐ


芽依 / 希  共に中1・油彩

ようやく涼しい風が吹くようになりました。ハルです!今日は中1の油絵作品を2点紹介させていただきます。

メイ 小原先生がメキシコに行った時の写真を選び描きました。噴水は重厚な色合いで、コンクリート製ではなく、石を積み上げて出来たものだと分かります。しかし画面の大部分が暗い為、下手をすると沈んで見えてしまうところを、バックにあるお家のサイコロのような形状・カラフルで明るい壁が、軽快なリズムを作りました。空の手前に見える噴水口から出る水の輝きと迫力がリアルでかっこいいです。難しい形もしっかり取れていてすごい!

ノゾミ 身を寄せ合う3羽のインコを描いています。向き合い方が可愛らしく素敵ですね。隅々までよく観察されていると思います。ぱっと見で伝わる柔らかな羽毛一枚一枚の丁寧なタッチに比べ、背景のジャングルを思わせる緑の大胆な筆運びのコントラストが効いています。苦労した綱も良いアクセントになりました。一番描きたかった小鳥達の表情を最初に見てもらえるよう、構図を下寄りにして、顔が画面中央になるよう工夫したところも素晴らしい!

2人とも小学生クラス時からアトリエに通っており、油絵にも手慣れていますが、真っ直ぐにモチーフと向き合う姿勢に好感が持てます。こちらの作品も元住吉のお祭りで展示します。雨天中止(小雨決行)とのことなので、どうか晴れますように。たくさんの人に見てもらえますように。

光と、その表現


悠華 中3 油彩

マユカです!今回は学生クラスから出来立てほやほや?の悠華の作品をご紹介します!

彼女が今回描いたのはマメ科の植物の花。隙間から差し込み、葉や花を透けさせるような光が美しく、よく見れば暗くなっている場所の葉っぱも、葉脈までしっかりと描きこまれていることが分かります。中心にある紫色の花には、黄色く光が透けた場所や、水色が混ざり合っている部分、一か所に花弁が重なり、濃い青色に変化している場所など、様々な色を使ってその柔らかさを表現できています。彼女自身も葉と花のできには満足していたらしく、「ここしか描きたくない」と言い出すほどでした。色の映り込み方や葉の形状で単調にならないよう工夫がされ、こだわりを感じることが出来る1枚です

さて、こちらの作品…実は今日の授業の最初までまだかなり下地の赤の部分が多くありました。元住吉駅の展示に出品する為、今週完成させなければいけないはずが、おしゃべりに夢中になり案の定終わらず、授業の後も残って描くことに…焦らせる為に、アトリエの電気を一ヶ所残して全て消し、先生が一人帰り、また一人帰り、私も21:30に帰宅し、最後には鬼の形相の(しかも無言、もちろん手伝わない)ノリ先生に睨まれながら、結局21:50まで制作したそうです…
「作品を出す」と決めたなら、計画的に描き進めて納期に間に合うようにしないと!と、なんだか私も気が引き締まる思いでした笑

是非10月6日(日)実物を見に元住吉駅までいらして、彼女のこだわりポイントである青々とした葉の部分に注目して見てください。画力の高さに反比例したノリ先生のディスリスペクトも聞けるかもしれませんよ!?

はじめてのお裁縫

久し振りに幼児クラスのお手伝いをしました、ナツメです。
現在、小学生クラスで制作中のカバン作りですが、幼児クラスでもイベントで染めた布を分けてもらい、人生初のお裁縫にチャレンジしました。さすがに持ち手を付ける所は布が何重にも重なり厚い為、こちらで最初にやってしまいましたが、サイドの部分は一人で縫いました。

白い糸を二本取りにしてなみ縫いし、両端とも終わったらひっくり返してできあがり。次は裏か表、どっちに針を刺すんだっけ?などと迷いながらも、ちくちくと順調に針を進めていき、初めての裁縫にも関わらず短い時間で見事に完成させることができました!

私自身手芸が好きで、中高で家庭部という裁縫や料理をする部活に入っていたため、楽しみながらのお手伝いでした。わからないことばかりだった頃の初心を思い出しながら、昔の自分より幼い年齢で、遥かに上手に縫い進めていく様子に内心驚かされました。流石の飲み込みの早さですね。絵を描くときとはまた異なる、地道な積み重ねが形になる達成感が裁縫の醍醐味だと思っていますが、完成したカバンを見て喜ぶ姿を見たとき、同じような達成感を味わってくれていたら嬉しいと感じました。

初めて作った手提げカバン、ぜひお出かけのお供に使って下さいね!

気持ち悪い?いや、かっこいい!


瑞希 中3 油彩

サヤカです。やっと秋らしい気温になりましたね!気温差で風邪をひかないようにお身体に気をつけてください。今回は中学3年生の瑞希の作品をご紹介します。

これまでも動物愛溢れる作品を制作してきましたが、今回はリアルな蜂と鉱石を組み合わせるという創作的な要素も取り入れました。タイトルは『浸食』。冬虫夏草のように、虫が鉱石にじわじわと体を乗っ取られていく様を描きました。

まず目を惹くのは、何といっても鉱石の描き込みですよね。鉱石の面を意識して、角度の違う面ごとに濃淡やハイライトが入る位置を考え、鉱石の輝きを再現することは容易くはなかったでしょう。また鉱石を蜂の補色にしたところも瑞希らしいハイセンスさを感じます。鉱石を寒色系でまとめることで、蜂の体の黄色が際立ち、警戒色というアイデンティティが光りました。配置や構図にもこだわっていましたが、左右非対称に傾いた蜂の姿は、どこか危うい雰囲気が醸し出されています。力強い瞳でこちらを睨む蜂は、鉱石の重さに耐えられなくなったら、この後どうなってしまうんだろう…と思わず考えてしまいました。

一見気持ち悪く感じる虫をかっこよく描きたい!という動機でモチーフを探していましたが、その狙いは達成できたのではないでしょうか?虫が苦手という人もこの作品は「かっこいい!」と言わざるを得ない!

藝祭御輿

金曜日に自己紹介させて頂きました髙木聡です。今日は先日行われた藝祭にて展示していた御輿について紹介させていただきます。


僕が担当しパレードで担いだ御輿です

通称『藝祭御輿』と呼ばれている御輿は、何十年も前から受け継がれてきた藝祭の伝統行事です。少し前までは美術学部の全科が一基ずつ作っていましたが、今は日本画と工芸、油画と建築、デザインと芸術学、彫刻と先端芸術の4隊に別れて四基の御輿を作ります。ちなみに担当するのは1年生だけ。


晴先生が担当した御輿(晴先生、パレードではサンバ隊でも活躍していました!)

4月からデザインを考え、粘土で模型を作り、夏休みが始まる8月から9月の藝祭までで実物を作りました。猛暑の中、1ヶ月という短い期間で御輿本体を作らなければならず、毎日朝4時に起きて夜中まで制作するハードスケジュールでした、、、、、、。
完成した時は思わず涙がこぼれました。


他の学部の御輿

藝祭では美大ならではの生徒の作品展示、音校の演奏会はもちろん、ステージでのライブや屋台などの学祭らしい出し物も沢山あります!今年の藝祭は大盛況で、歩けないほどの人の数でした!後日ミオスの生徒さんからも「行きましたよ!」と声を掛けてもらい、とても嬉しかったです。来年の藝祭も是非見に来てください!

写真展のご案内

岩田です。この異常な暑さはいつまで続くのでしょうね…
さて、ミオスの授業は今日から三連休を頂いておりますが、生徒さんの展覧会のご紹介を。
チケット制会員の上野さんの写真展(三人展・テーマは『間』)です。
実は上野さんには私の作品写真の加工をよく依頼しており、そのくらい技術のある方です。
写真に興味のある方は是非行ってみて下さい。

会期  9月21日(土)13:00~19:00 22日(日)11:00~19:00 23日(月)11:00~17:00
会場 自由が丘駅の正面改札口を出てカトレア通り4分 自由が丘2-8-8Le ciel bleu 3F

ギャラリーのHPはこちら「ル シェル ブルー」

よろしくお願いします

9月から正式に日曜日の学生・大人クラスを担当しております、東京藝術大学日本画科一年の髙木聡です!今回は遅ればせながら僕の自己紹介をさせて頂きます。

僕が最初にミオスに来たのは高校生の頃に友人(ミオスの生徒)に小学生クラスのアシスタントに誘われたのがきっかけです。バイトをさせて頂きつつ、学生クラスに生徒としても通っていました。その後高校卒業と同時に藝大受験で浪人するために一度辞めたのですが、4浪の末合格しこうして戻ってくる事が出来ました。

僕は今大学で日本画を勉強しているのですが、実は1浪までは油画科を目指していました。一浪まで積み上げてきたものを捨てて二浪からまた再スタートとなってしまったので、とても遠回りな浪人生活だったなと思います。大学に入ってからも、純粋に最初から日本画を目指していた人と比べると、画風が少し違う(油絵のアプローチが混じっている)と感じます。

とは言えミオスで講師をやらせて頂くには、その遠回りな勉強こそ役に立つ最大の武器になると、ポジティブに考えています。
2浪から4浪までの浪人中3年間はひたすらデッサンと水彩画を描いていました。特にデッサンはとても得意なのでなんでも聞いてください!もちろん1浪までは毎日朝から晩まで油絵を描いていたので、こちらもお任せを!
日曜以外も、不定期で他のクラスにお邪魔することがあると思います。皆様どうぞよろしくお願い致します。

透明なものの描きどころ


花音 高1 油彩

マユカです!今回は花音の油彩画をご紹介していきたいと思います。

袋に詰められた星形のキャンディ、キュートでポップな印象ながらも、重みも透明感もしっかりと感じられ、それぞれの色の飴はどんな味がするのか想像するのが楽しいですね。初めての油絵で、しかもキャンディーの写真と実物のチェックの布のモチーフを合成させたので、袋の質感や奥が透けて見えている様子など、想像するのがさぞや難しかったと思います。飴には実はかなりたくさんの色を混ぜてあり、緑の飴の透けている部分には黄色い光を入れたり、ピンクの飴には青い反射光を入れたりと、透明ならではの光の映り方、屈折の仕方を上手くとらえています。

ビニールのような透明な物を被せると実物よりも色は薄く、形が少し歪みます。花音の作品では、布の模様を見ればそれが分かるかと思いますが、特に緑の飴のビニールはくちゃくちゃになっている分、その変化がはっきりと見えてきます。こういった光の屈折の描写がされているだけで、立体感だけでなく奥、間、手前とレイヤーの分かれ方まで伝わり、さらに実在感が増すのです。

透明な物を描く、となるとどうしても「透明だから描かない」「輪郭線以外見えない」ということが起きます。グラスであればガラスの厚みで、ビニールであればシワの形に沿って、透明な物の奥にあるものの歪みや色の濃淡の変化を探せると、透明な物を描くのがより楽になりますし、描き込みするのが楽しくなりますよ!

追伸 元住吉東口オズ通り商店街と西口ブレーメン通り商店街が主催するお祭りが、10月6日(日)に開催されます。(詳細は後日)今年は学生達の作品を駅に展示させてもらえることになりましたので、こちらの作品もぜひ実物を生でご覧ください!