キャンバス上で鮮やかに


未奈 中3 油彩

大好きなお菓子が復刻していて嬉しかったマユカです!今回は未奈の油彩画をご紹介していきたいと思います!

未奈の初めての油彩です。元々画力のある子でしたので、断れない状況で難易度高めのモチーフを小原先生に押し付け(笑)られました。手前のトランペットは直線が多いうえ、形も複雑&質感まで難しいのですが、床に敷いてある布も柄の複雑さと布の歪みが相当描きづらかったのではないかなと思います。しかし、トランペットの形の複雑さにも負けずパースは割としっかりととれており、油彩では歪んでしまいがちな直線もかなりきれいに描けていますね。金属らしい表現も、大胆に濃い色を至る所へ差し込んでいるため、実物よりもキラッと光っている様子が描写できています。奥に置かれている花瓶との質感の描き分けも、同じ光沢のある物質でも片やガラスの透明感、片や金属の重量感というように、しっかりと区別されている辺り、描写力の高さが伝わってきます。
床の布はよく見ると実際にはない紫や灰色など、青以外の色を何色も使用することで単調にさせず、布特有のたゆみが更に引き立って見えます。同じ布製品であるウサギとは、色の違いがあるからだけではなく、立体物であるということも考慮し、差し色の入れ方にこだわりを感じました。形やパース、構図の正確さは保ちつつも、遊び心を感じる面白味のある仕上がりに、色を楽しんでいる様子がわかります。

油彩の魅力は明確な失敗がない所かなと思います。間違えても上から塗り重ねれば大丈夫、大胆に構図を変えたくなっても、厚塗りすることでカバーすることが出来たり、またそれにより新しい発見もできる…やり直す為に新しい紙が必要ないというのは、挑戦するハードルを下げてくれるものだなぁと感じました。未奈の油彩からは塗り重ねる事で、より深みを増すことが出来たのだろうと伝わります。一見合わなさそうな色でも、実際おいてみると意外と面白い組み合わせだったり…ということは多々あるので、皆様も挑戦的に様々な色をのせてみてくださいね!

色を重ねて


増井 油彩

春休みも残り1ヶ月となり悲しみに暮れています、ナツメです。今回は月曜大人クラスの増井さんの作品をご紹介します!

入会後の基礎デッサンを終えられてから初めての作品となる油絵。紅葉の時期のスペインの路地を描かれました。

抜けるような空に紅葉、秋の爽やかな空気が伝わってきますね!人通りこそありませんが、帽子が売られている様子からは現地での生活も感じられます。葉は点描で、建物や帽子などの人工物は絵の具を延ばして描かれており、初の油絵でしたがマチエールのコントロールもされています。

画質が荒くなってしまうブログ用の写真でも確認できるほど、葉の描き込みをされているのがわかります。木一本、植え込み一つをとっても、重なった点によって複雑な色合いが生まれていて興味深いですね!色の違う点が集まると色と色が混ざって見える『視覚混合』という錯視現象が起こるのですが(ジョルジュ・スーラの作品が有名です!)、まさに植物の絶妙な色の変化を捉えられているように感じます。

同じ緑色でも、植え込みにはビリジアンのような深い緑を中心に近似した色を使っているのに対して、緑の補色である赤やオレンジ色の葉と並ぶ木の緑は、色同士が馴染むように黄緑に寄せた色を選びました。また、手前に落ちている紅葉には画面内の多くの葉の中でも1番鮮やかな色を手前に置き、遠近感の表現へと繋げるひと工夫がされています。

私が初めて油絵の具に触れた時は不慣れな画材の扱いに戸惑った記憶があるのですが、増井さんは意欲的に、時間をかけて丁寧に筆を重ねられたため、ここまで魅力的な作品になったのだと思います。既に計画されている次の作品も壮大で、とても楽しみです!

雛人形・雪だるま

親子クラス担当の伊藤です。2月は雪が降ったり、暑くてTシャツ着たり、強風で材料が飛んで行ったり、目まぐるしい天候ですね。まずは、本日制作しました雛人形のご紹介です。昨年末振りの粘土制作ということで、参加者からの「たのしいね~!」の声が聞こえて嬉しいですね。柔らかい触感とカラフルな粘土は、やっぱりテンションあがります!

小さな丸い粘土はお内裏様(男雛・女雛)のお顔に、大きな丸い粘土は胴体にして、そこにカラー粘土で顔のパーツや着物の柄を装飾してしきます。胴体のフォルムはそれぞれとても個性的。顔の表情は一度見たら忘れない位、可愛さとユニークを兼ね備えてます。同じ量の材料からどんどんアイデアが広がって、素敵な雛人形になりました。赤の台座と金屏風には、お花型の千代紙を貼って、パ~ッと華やかになりました。

そしてもうひとつ、2月最初の制作は、雪が降った翌週の制作だったので、スタンプと色画用紙を使ったコラージュで、雪だるま制作でした。大小の丸スポンジに白絵の具をつけて、ポン♪ポン♪と水色画用紙にスタンプすると、あっという間に雪景色!雪のスタンプを重ねると、雪が積もった質感になったり、可愛い雪だるまも出来ました。絵本に登場しそうな雪だるま達。どんな物を身に着けているかなと、お母さんと会話しながらの制作は発展していきます。色画用紙の周りに紙片をランダムにコラージュして額縁風にアレンジしてみました。

来月の予定 3月19日(火)・26日(火)10:30~11:30

臨場感を生む


香那 中3 油彩

サヤカです。寒暖差に毎日振り回されています。せめてどっちか決めてほしいですね…今回は、中学三年生の香那の作品を紹介します。

前回の点描の油絵とは打って変わって、しっかりとした筆致で夏を表現しています。左の花火を描いた作品は、昨年9月の生徒作品展に展示していた作品で、季節もピッタリ、印象に残っている方もいるのではないでしょうか?展示中にも香那の作品を見て、小学生クラスや学生クラスの生徒さんが「花火の絵がすごく綺麗!」「何年生の人が書いたの?!」と話題にあげているのを耳にしました。

主役がより魅力的になる画面の切り取り方や色使いが巧みです。
左の作品は橋や奥に広がる街並みの明度をぐっと下げることで、花火の鮮やかさ、華やかさを再現できています。対照的にパッと明るい花火の彩色も絶妙なバランスで素晴らしいです!また、低い位置から見上げる『あおり構図』にすることで、奥行きと高さが伝わり、より迫力のある絵になっています。
右の作品は、まるで穏やかな波音が聞こえてきそうな没入感を与える作品です。海と空以外は、左右対称に直線で描かれています。それによって、曲線的な外の景色に自然と注目が向きます。陰影や着彩の技術がしっかりしているので直線が多くても、画面が生き生きとしていますね!

どちらも場面は夏ですが、迫力溢れる熱を感じる夏、穏やかで爽やかさを感じる夏といったように違った夏の側面を臨場感たっぷりで描きました。

現在制作中の油彩は、暖色と寒色を大胆に使い分けた非現実的な空想の世界です。中学生とは思えないほど落ち着いていて思慮深い香那なので、違う技巧を用いた作品にそれぞれ挑戦しているのでしょうか?これからの作品もとても楽しみです!

ファンタジーな油絵


藤澤 油彩

春服をもう出すべきか悩んでいたら、3月が目前に迫ってきて焦っています。マユカです!さて今回は藤澤さんの油彩画をご紹介していきたいと思います!

藤澤さん初めての油彩です。フランスの絵本作家ゲオルク・ハレンスレーベンの作品に憧れて、静物画でありながら絵本のような、ほのぼのとした画風を目指しました。一見鮮やかですが、背景やうさぎのぬいぐるみにパステルカラーの優しい色合いを活かし、温かみを感じる一枚になっていますね。特にうさぎの耳の中や脚がマルチストライプになっているところからも、ファンタジーな雰囲気を感じます。

この作品を絵本のように感じさせているのは、背景が描かれているからでしょう。文字がまだ読めない子や、苦手な子でも本を楽しんでもらえるように、絵だけでストーリーを伝える為には、キャラクターの動きや周りの風景の様子を書き込んでいくことで、どんなお話かを想像することができるようになります。

今回藤澤さんが選んだモチーフはポール・スミスの布製のうさぎ、果物、折り紙だったため、風がそよぐ草原にレジャーシートを敷いて、うさぎがピクニックに来ているように見えますね。見る人によってはもっと他の物語が見えてくるかもしれません。

藤澤さんにも「油絵とても楽しいです!」とおっしゃっていただけて、なんだかこちらも嬉しくなってしまいました…!物語を感じさせる絵を描くには主役の動きや背景がどんな場所か、季節は、何時頃なのか…といった情報を入れることで、見る人がストーリーを自由に考えたり、感じ取ったりすることができます。皆さんも絵の中に情景を入れ、物語を思い描いてみてくださいね。

〜お知らせ〜 

ミオスは本日22日(木)~25日(日)まで、授業がお休みとなっております。間違えてお出でにならぬよう、お気を付けください。またそれに伴い、ブログもお休みさせて頂きます。

自然を描く


植松 油彩

目まぐるしい寒暖差に風邪をひきそうです、ナツメです。今回は日曜大人クラスの植松さんの作品を二つご紹介します!

まずは左の作品から。広大な草原には辺り一面に雪が積もっており、厚い雲が空に立ち込めています。草原にぽつんと一軒屋が佇む光景はまるで絵本のワンシーンのようにも感じられます。無彩色の白と灰色をメインに使い、葉の緑と木々の茶色以外には有彩色をほとんど使用せず画面全体の色数を絞ることで冬の閑散とした雰囲気が伝わってきます。遠景なので木々の一つ一つは小さく写っていますが、遠くの枝などの細部まで丁寧に描かれているため、しっかり見応えもあります。雲の表現も素晴らしいですね!明暗の差で強い遠近感を出すだけでなく、無彩色で濃淡の他に所々で青や紫を乗せたり差し色としてアクセントに黄色を入れることで色の重なりがより絶妙な加減になっていますね。曇天が多い冬ですが、この後雲が引いて青空に変わっていくのではないかという予感がします。

そして右は日没のサバンナ。先程の作品とは対照的に鮮やかな暖色を多く使い、太陽の光とシルエットのコントラストも強く描かれています。沈みゆく太陽により大地が明るくなっている部分を幾度も調節されていました。大地の色をただ明るくして塗れば良いというわけではなく、太陽の影響を受け、明るいながらも赤みがかった色になっている難しい箇所なのですが、試行錯誤を重ねられた末に色思わず目を細めてしまうほどの眩しさを感じさせる作品になりました。手前をほとんどシルエットで描いたため暮れていく空の色の変化が印象的です。

どちらも自然の雄大さやその場の雰囲気がひしひしと伝わってくる作品になりました。これだけの差があるので並べてみるとよりお互いの絵の良さが引き立って見えますね。植松さんは今までも各地の風景を描いて来られましたが、それらも一度並べて拝見してみたい!という興味が湧いてきます。

惹きつける自然


舞 中2 透明水彩

数日雨ということで衣類乾燥機の守り番に努めています!サヤカです。今回は中学2年生の舞の作品を紹介します。

この絵は、絵葉書サイズの写真集を見ながら制作しました。オーロラのようにも見えますが、天の川でしょうか?画面いっぱいに広がる幻想的な風景に惹き込まれます。透明水彩の良さがとても活かされた作品ですね。透明水彩は、名前の通り透明なので重ね塗りによって複雑な表現ができたり、水のにじみによって色を変化させたりといった透明水彩ならではの技法があります。にじみを思い通りにコントロールすることはできませんが、舞の作品を見ると、にじみをうまく利用して大部分を占める空を表情豊かに描いています。のびのびと描かれた空とは対照に、家や草原は細かく形をとり、全体的に暗い色彩で描くことで空の鮮やかさが際立ちます。

圧倒する雄大な自然と対比するように、地上はライトアップされたような灯りの灯る建物に暖かさを感じられる素敵な作品です。舞の次回作も楽しみにしています!

ロゴデザイン、お願いしました。


夏波 高2

どうも幸介です!お久し振りでございます。本日ご紹介するのは、私が仕事関係で依頼されたロゴデザインなのですが、バスケットボールチームと福祉団体が共同で行うイベントで使用するとのことで、先方に「せっかくだから学生から公募してみては!?」と提案。すんなりOKを頂き、アトリエ・ミオスの学生の皆に原案を考えてもらいました。決して、自分の仕事が多すぎて時間が無く「学生に手伝ってもらっちゃお!」って思ったわけではございません。

さて、ロゴ作成の条件ですが、クライアントからの提示は①TとRを使用、②横浜市のイベントなので何か横浜を感じさせるモチーフを使用すること、②イベント会場で掲示するほか、選手の服にも印刷するのでシンプルな物、とのことでした。

いくつか案を出してもらった中から僕自身が第一選考を行い、残った5~6案をクライアントへ。バスケットボールチームの選手の方々にも選考してもらい、一番票を集めた木曜学生クラスの夏波さんの案をいただき、僕が細かな点を修正してロゴとさせていただきました。

TとRにカモメや波を連想させる形をからめ、シンプルで誰が見ても分かりやすい良いデザインになったのではないでしょうか。募集から締め切りまで1週間もない(しかもミオスの展覧会直前の大忙しの時期)!といった状態で皆に作成してもらいましたが、たくさん案を出してもらって感謝しています。特にギリギリにお願いしたのにもかかわらず、しっかりと考えてくれた夏波さん、ありがとうございました!!

ということで、何年振りか分からないぐらい久々にブログを担当いたしました!

複雑な色を丹念に表現していく


黒木 透明水彩

岩田です。昨日の室橋さんのブログに続いて、アジサイの透明水彩画のご紹介です。

こちらは黒木さんの描いたアジサイ。大輪の花が咲き誇っている風情ある1枚です。
青やピンク、様々に違う色のアジサイが梅雨の時期に、しっとりと落ち着きのある景色を演出している様が、見ているこちらのすぐ目の前に広がっているようです。

何と言ってもこれだけ沢山の葉を画面いっぱい描くのに、まず時間と労力を費やします。
更に花を1輪1輪丁寧に描くほどに、作品が完成する頃にはどうしても季節外れになってしまうのは仕方のないことです。

手前に鎮座する最も見栄えのする花だけでも、100以上のガクの集合体だと思われますが。手で触るとふわっと柔らかい、そのこんもりとした球形の様を、細部に執拗に拘り過ぎず、バランス良くここまで表現したなあと感心してしまうのです。

葉を描く際も、何度も絵の具を重ね、渋さと鮮やかさが同居する複雑な色を丹念に作り出していきました。透明水彩を描き進めていく度に、色の深みを出し、そのものらしさを表現するための術を着実に身につけていっている黒木さん。

いまチャレンジしている作品も完成が楽しみです。

旅行の気持ち


室橋 透明水彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、室橋さんの水彩作品です。箱根の登山鉄道モハ2形と、線路沿いに咲いた紫陽花を描かれています。

冬に完成したこちらの作品ですが、慣れない画材は季節を先取りして描き始めたつもりでも、時間が掛かってしまうということがしばしば起こります。室橋さんも透明水彩を始めたばかり。しかも電車のようなカッチリとした乗り物を題材に選ばれたのも初めてでしたので、なかなか苦労されていました。朱色のボディと、周りの緑の色の響き合いが美しいですね。自然物はにじみを多用して柔らかく塗り、反対に人工物(電車)はムラなく均一に塗る事で質感の差も作られています。また、紫陽花は電車よりも手前にありますが、あえて細かく描かない事で、電車にピントが合う様に設定されています。ただ、細かく描かないと言っても、絵全体を見た時は小さな花の集合である紫陽花の形が伝わる程度には描かれています。そのバランスがちょうど良いですね。
水彩の柔らかな雰囲気もあり、優しく穏やかな時間が流れている様に思います。箱根という観光地ということもあり、旅行の時のウキウキした気持ちが思い起こされますね。私も友人と何度が行ったことがあったので、懐かしい気持ちになってしまいました。

水彩は慣れるまで沢山描く必要がありますが、1つ1つを楽しんで制作していって頂けたらと思います。