現代版・赤富士


坂本 アクリル

少しずつ日が長くなってきましたね、ナツメです。本日は月曜大人クラスの坂本さんの作品をご紹介します!

今回は葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」より『凱風快晴』をアクリルガッシュで模写されました。アクリルのビビッドな色合いが冴えていて目を惹きますね!

アクリルガッシュはムラなく綺麗にベタ塗りをすることができるのが特徴の画材ですが、逆にほとんど滲まない上にすぐ乾いてしまうためグラデーションを作るのにはかなり不向きです。今回赤富士の麓は水分を多めにすることで2色を馴染ませるように塗り、グラデーションだった雲には一度白を塗った上に影の色として水色を置くことで、画材の特性を活かしながら作品の本来の色味を損なうことなく表現されました。頂上から山腹までの色の変化もお見事です!

また、空や富士山も単色で塗るのではなく、ベースの色に少し暗さを足したり色味を変えて絵の具を重ねているので、空の色ひとつをとっても絶妙な色の変化を見てとることができます。浮世絵は大量生産するために木版画が多く、使う色ごとに版を分けて一枚の紙に重ねて印刷していました。そのため、一枚の画像だけを見ても、一見ベタ塗りのような色面にも木目によるインクのムラが確認できます。その上世に出ている数々の凱風快晴は、刷り師、紙、版などが少しずつ違っているため、実は画像によって随分と表情の差が現れるのです。そんなアナログな表情まで筆で描き切った坂本さんの技量に拍手!お手製の判子も加わって、「現代版・赤富士」が誕生しました。

描き初め・鬼は外~!

親子クラス担当の伊藤です。遅ればせながら、今年もどうぞよろしくお願いします。

新年最初の制作は、やっぱり『描き初め』ですね!いつも参加してくれるお子さん達が随分と成長して、色々なことを自分で考え、お母さんのお手伝いがなくても考えを行動に繋げていけるようになってきました。たまには、お母さん自身も集中して制作する時間をもってもらうのも良いかなと思い、描き初めはお子さんとお母さんとそれぞれ分かれて個人制作となりました。

3歳児が制作する描き初めは、墨を使ってダイナミックにスパイダーマンを描くお子さんもいれば、大好きな赤色でウサギを描くお子さんもいて、自由に好きなテーマで制作しました。

だるまは、折り紙で制作。だるまの色には、青は学業才能向上、赤は家内安全、緑は健康など、意味がこめられています。可愛いだるまも飾って、1年が良い年になりますように…☆

お母さんの制作は、象形文字(トンパ文字)をご自身のセンスでアレンジして、こちらも1年の願いを込めた掛け軸となりました。左上のトンパ文字は、『健康』。右下のトンパ文字は、『福』と『増加』を重ねています。画面いっぱいに伸びやかな線で描かれていて、美しい作品ですね。

そして本日の授業で制作した作品がこちらです ↑ もうすぐ節分なので、親子一緒に鬼の工作です。かなり個性的な鬼達です。色画用紙で鬼の顔のパーツを貼っていくのですが、色や形の組み合わせがユニーク。トラの毛皮のパンツも良くできてます。鬼の手には、鋭く長いツメがついているのもポイントですが、さらにこの手は、お子さんの手を色画用紙にあて、手の形をなぞって切り取ったもの。最後は、豆の代わりに新聞紙を丸めたボールで、鬼は外~!

まるでそこにいるように


瑛太 高2 油彩

連日飼い犬のイタズラに振り回されています、サヤカです。さて、今回は学生クラス高校二年生の瑛太が初めてチャレンジした油絵の作品を紹介します。

1年間自ら課して白黒のデッサンを続け、ようやくカラー(着彩)に取り組みました。彼の描くかっちりとしたデッサンを見慣れていたので、自由でのびやかなフォルムに驚き!1年間の基礎デッサンの成果あってか、画面全体は堅苦しくないものの、どのモチーフも凛とした形を保っています。イタリアの街並みを題材に選び、昼でも薄暗いイタリアの裏路地に、赤いエントランスの屋根と、明かりが灯るピザ屋の看板が印象的。画面全体が薄暗いため、わかりやすい明暗に頼らずにメリハリをつける必要がありますが、繊細に微妙な色合いを捉え、街並みの立体感が表現できています。また、テーブルと椅子に関しては、手前を輪郭をはっきりと描き、奥はぼんやりと描くことで自然な奥行きが再現されました。路地の先には明るい道の様子が伺え、この道の先には開けた大通りが広がっているのだということが明暗の違いによって読み取ることができます。どんな風景が待っているのかワクワクさせられるような構図ですね!

まるで自分が実際にヨーロッパ旅行に行き、この裏路地に立っているようです。見る人がその場に入り込めるような臨場感が素晴らしいですね!次回作も楽しみにしています!

木版リトグラフ戦記4

今日は岩田先生がお休みなので、土曜ですがオバラです。
『リト戦Ⅳ』、そろそろ木版リトグラフを小学生にやらせる場合の基本制作方法をまとめてみます。

準備 版木(画材屋で購入‐シナ材)にやすりをかけておく

① 板に、油性の固形ペイント材『サクラ・ソリッドマーカー』(細くて固いクレヨンのような描画材)で絵を描く。描いた直後はベタベタしているが、擦っても伸びるほどではない。
② 1日~1週間 乾かす!
③ 平筆でアラビアゴムという液体をムラなく塗る。黒い面積が大きい場所は塗らない。
④ 1日~1週間 乾かす!

アラビアゴムとは ‐ 紙への接着性が高く、水彩絵具に入っている材料。甘味があり、飴などのお菓子の粘着剤としても使われている。

アラビアゴムを塗る理由 ‐ 描画部分以外の余白を親水性にする為。(親水性とは、 水に溶けやすい・水と混ざりやすい性質)
今回の版画に関しては、描画部以外に水がたっぷり乗らないと、インクが余白についてしまう。版木の表面が濡れやすい場合に「親水性がある」と言う。 反対の言葉は撥水性で、これは逆に水をはじく性質を持つ物質。(ソリッドマーカーがその性質を持つ)

⑤ ソリッドマーカーの部分についたアラビアゴムを拭き取る為、たっぷりの水で濡らし、柔らかいボロ布でこする。

左下 1度拭き取った後、確かめる為に霧吹きで水を掛けてみると、描画部分がほとんどはじいていない。
右下 もう一度濡らし、親の仇のようにゴシゴシ擦った後。描画部分がちゃんとはじいている。

⑥ 力を入れてゴシゴシこするのは、小学生では難しい。黒い面積が広い部分は特に、もう一度ソリッドマーカーで描き重ねる。これは、1週間乾かさなくても、問題なかった。

⑦ インクを付ける前に、机までビショビショになるくらい霧吹きで水をかける。

⑧ 木版用(凸版用)油性絵の具をゴムローラーで多めにつける。

均一につくように縦横転がす。版木の大きさ(幅)に合わせた長さのローラーが良い。(小さいと、ローラーのエッジにインクが溜まり、線ができてしまうので。今回は正月の為、大きいサイズのローラーを購入できず。)

⑨ 紙の中央に版木を置く。(逆に版木の上に紙を重ねると、紙で隠れて板が見えず、真ん中に印刷できない。)
⑩ 板が下・紙が上になるようにひっくり返す。その上に新聞をかぶせる。(新聞をかぶせないで直接圧迫すると、紙が湿っている為、破けてしまう。)
⑪ バレンでこすったり、足で踏む。プレス機の代わりなので、よーく体重や力をかける。

右の版画・フクロウの月はシャープにしたかったので、彫刻刀で彫っている。石版ではなく木製なので、彫刻刀が使えることもこの版画の魅力の一つだろう。

しかし、最初に版木にやすりをかけるの面倒だ。14年前はやすりを使った記憶がない。小学生にやすりをかけさせると、でこぼこへこみができてしまうのが関の山。さてどうしたものか?

追伸 実はここまでで正月休み8日間戦争は終わっており、このブログも1月9日に書き上げ下書き保存してありました。やすりを掛けさせるかどうかの壁にブチ当たっていたので、『リト戦Ⅰ』で「このブログ見てたら連絡ちょうだい!」と弱音を吐いたのでした。
するとどうでしょう!赤尾先生、千野先生ら元スタッフ、伊藤先生、田中先生、ついには元大人クラス生徒さんの山本さんからまでヘルプが!山本さんは現在版画工房に通われているとのことで、誰よりも詳しく教えてくださいました!私が知りたかった「なぜその画材をその段階で加えた方がいいのか?それをやらなかったらどうなるのか?」という種明かしや、代用品まで丁寧にご教授くださいました。ご自身の事を「相変わらず画材買いがちの女」と揶揄されていらっしゃいましたが、お陰で助かりお礼の言葉が見付かりません。本当にありがとうございました。感謝申し上げます。
5人のお陰で、やすりの問題も解決しました。(板を変えました!)小学生のカリキュラムが始まってからご紹介しますね。

踊る金魚


鳥光 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、鳥光さんの2枚目の油絵です。1枚目の油絵はペットの猫を愛情いたっぷりの眼差しで描かれましたが、今回は(よその家の)金魚を描かれました。良い意味でつきはなした距離感が、冷静に絵作りをする下地になったように感じます。

床の紫と金魚鉢の黄色が互いを引き立て合い、画面の中で効果的に使われています。色々実験をしながら描かれたのでしょう、かなり絵の具を盛って塗られており、全体に絵の具の凹凸が作られ魅力的な質感となりました。何もない平たい壁の背景も、様々な色が入り混じり見所が作られています。
主役の金魚を目立たせる為、輪郭の際に黄色や青の絵の具をベッタリとのせています。強調させたいものがある時に、あえて輪郭の外側から形を作り出すテクニック。金魚鉢は右上に配置、左下にできた空間をダイナミックに縦断する葉が、絵の中にリズミカルな動きを作っています。金魚達もくるくると互いに踊る様に水の中を泳いでいるのでしょう、動きを感じる描写となっていますね。
右の金魚が右下を向いていますが、顔の方向の先の画面を広く取る事で余裕ができ、バランスを保っています。(これが例えば金魚が逆方向を向いていたら、窮屈に感じられたでしょう。)
丸い水槽の中の描写も、絵の具で遊び楽しみながら描かれているのが伝わってきます。現実的に描くよりも、絵の中で色のバランスを考えた時に美しくなる様、計算して描かれたのでしょう。こうした絵の具の質感・表情そのものを楽しめるのも油彩の魅力の1つですね!

2作目も様々な気づきがあった制作だったのではないでしょうか。次回作もぜひ楽しみながら制作していって頂けたらと思います。

 

眼差しを感じる作品


横山 色鉛筆

自炊が楽しいです、マユカです!最近はミネストローネを作りました。さて今回は横山さんの作品をご紹介していきたいと思います!

優しい色合いのこちらの作品、横山さんのお友達の赤ちゃんを色鉛筆で描かれました。むっちりとしたほっぺやぷにぷにの腕、赤ちゃんらしいやわらかさを感じる肌の質感と、お母さんの柔らかくも少し骨ばった大人の手の書き分けが出来ているため、似たような肌色が隣り合っていても、リアリティを感じます。肌色も、母親は黄色がかっていて、赤ちゃんは赤みがかっていたりと少しの差にこだわりを感じますね。
また、色鉛筆特有の温かみあるタッチや質感が優しい空間を感じさせており、ふわふわとした新生児のぱやぱやとした髪の毛なんかは特に色鉛筆での表現がマッチしています。

横山さんは赤ちゃんの肌を可愛くやわらかく魅せるのに気を使われていましたが、赤ちゃんを主役にお母さんを大胆にトリミングしているので、暗い紺のスカートが穴に見えてしまったりと、赤ちゃんを取り巻く環境の処理なども苦労されました。よく見れば哺乳瓶のガラスの質感や、赤ちゃんが身に着けているお洋服の花柄の細かさに目を見張るものがあります。哺乳瓶越しに見える手や指の歪みからも、しっかりと写真を観察して描かれていることが伝わってきます。

今回の作品では大人が赤ちゃんを優しく見守っている様子を感じることが出来るのですが、きっとそれは、お母さんの抱っこする手の仕草が優しい所と、赤ちゃんの視線がしっかりと写真を撮っている人に向けられており、その表情が自然だからかなと思います。視線の相手や、その表情を想像するだけでとても暖かな気持ちになれる作品ですね。

積み重ねて


勘太郎 ペン・キャンバス / 右 鉛筆

気づけば一月も終わりそうなことに戦慄しています、ナツメです。本日は水曜大人クラスの勘太郎の作品をご紹介します!

高校生から大学生になった今でも通ってくれている勘太郎。「おじいちゃんとおばあちゃんのプレゼントを、今日中に描かないといけない」と、スクエアのミニキャンバスに、下書き無しでスラスラと、有言実行2時間で完成させてしまいました。ラフな線で特徴を捉えて、お洒落!タイルの絵付けにも見えて、こんなコースターも良いなぁと思ってしまいました。「ここまで愛のこもった贈り物を貰ったら大喜び間違いなしだよ!」と話していたのですが、後日送ったところ「嬉しかったよ、素敵に描いてくれてありがとう!!」と言われたそうです。勘太郎は度々御祖父母に絵を描いているのですが、今回背景に書いている文字を見ても仲の良さを感じられて微笑ましいですね。余白の使い方のテクニックにはいつも感動しています。

そして右の鉛筆画ではペンやインクなどの黒いモチーフが紙上に置かれている側、左上には猫の手が。私の家にいる猫は机の上にある小物を片っ端から床に叩き落とすのですが、このペン達の運命やいかに⁉︎一本猫の手が加わるだけでも途端に物語性が強くなり、想像の幅が広がりますね!黒いモチーフ群にもしっかりと明暗の差をつけた上で、明るい箇所や色の薄いところにハーフトーンを使い、鉛筆の色が綺麗に見える画面になっています。

制作にとても意欲的なので、このままどんどん作品の幅を広げ、自分の表現したいことを的確な方法で伝えることができるように積み重ねを続けてほしいです。

個性と工夫を込めて


暢彦 / 心 二人共中2 油彩

サヤカです。一月の終わりが見え始めているというのに、まだ「2024年」に慣れません…さて、今回は中学生クラスの油絵をご紹介させていただきます。

どちらも足掛け9ヶ月以上制作していたでしょうか?学生クラスでは、時々全員で一斉に同じ制作(デッサンや掛け軸など)をする期間があったり、テスト期間があるので、まるまるこの油絵に取り組んだわけではありませんが、それにしても長い…こちらの方が飽きて音を上げてしまいそうになるのを我慢して見守りました。

暢彦-自分で静物を組んで油絵で描きました。モチーフの形どりや、麻袋の描き方に苦戦したり、途中で背景を変えたり、試行錯誤しながら完成した作品です。瓶、グラス、麻袋、果物、質感が異なるそれぞれのモチーフをどれだけ表現できるかが重要ですが、どれも完成度が高いですね!薄いガラス素材でできているグラスは、反射を細かく描き透明感が表現され、対して分厚い素材でできている瓶は、影の色彩を落とすことで重々しい質感が伝わってきます。麻袋も、ただの布のようにならずゴワゴワした繊維が描かれ、モチーフの持ち味がしっかり表現できています。難しい題材でしたが、最後まで諦めずよく描き切りました!

心-静かな風景画を描きました。青々とした木の葉や縁側に置かれたスイカで、夏の景色だということが伺えます。何よりも印象的なのは、優しいタッチと光と影の使い方です。長い時間をかけて描いたことが伝わる丁寧なタッチで、手前の壁や奥の木など何色も使われていて深みのある作品になっています。同じく光と影も、よく観察して描けています。特に立体感を描くのが難しい木の葉の部分は、風に揺れる様子が見えるようなクオリティの高さです。また、白で強い光が表現され、いいアクセントになりました。室内に差し込む光や地面に落ちる木陰の空気感から、夏休みに訪れる祖父母の家の穏やかさを思い出し、懐かしくなってしまいました!

二人ともマイペースに半年以上かけて描いた作品ということで、どちらも個性や工夫がよく現れている作品になっていますね!これからも二人の素敵な作品が見れることを楽しみにしています!

木版リトグラフ戦記3

早くもシリーズ(?)3、『リト戦記Ⅲ』
以下に紹介する制作は、全ての工程の間に、丸一日以上の時間をあけていることを先に断っておく。

左 一般的なやり方 絵を描き、アラビアゴムを塗り、水を掛けて拭く
中 先にアラビアゴムを塗り、絵を描く
右 ドーサ(礬水)引き、絵を描き、アラビアゴムを塗り、水を掛けて拭く

この3枚、全て安いラワンベニヤ板。(うちはよく小学生が勢い余って?壁に穴を空けるので、裏が白いベニヤ板を常置)YouTubeで調べるとホームセンターで売っているベニヤ板で制作している人もいたが、ダメそうだ。(上記の板は、10㎝位の小さいサイズなので尚更かも)
前回の結論と同じ結果
・ベニヤ板では木目が荒すぎ、小学生では思ったように描けない

ちなみに「板にドーサ引きすると良い」という人もいてやってみたが、なぜドーサ引きするのか、理由は誰も言っていない。通常ドーサは日本画用の和紙に、にじみ止めとして使う液体だ。
描きづらい板に、少しでも繊細に描けるように…という意味合い、と解釈した。(その割に薄くしか刷れないところが謎だが。)

次に、版木として販売されている、木目が均一で彫りやすく反りが少ないシナ材で試してみよう(サイズは上記ラワンベニヤと同じく約10㎝四方)

左① ドーサ引き、絵を描き、アラビアゴムを塗り、水を掛けて拭く
右② 先にアラビアゴムを塗り、絵を描く

①のドーサは、版木で試したところで変わらない。(そして今回も薄い!)不要の結論を不動とす。
②は、結構イケてるが、版木が汚れてしまった

②の版木が汚れた原因は、『リトⅡ』で結論を出した
・版木は均一に刷れるよう木肌を化粧加工してある為、アラビアゴムが沁み込みにくい
為だろう。その事を考慮し、以下↓は最初にやすりを掛けてみた。

左③ やすりを掛けてから、アラビアゴムを塗り、絵を描く
右④ やすりを掛けてから、絵を描き、アラビアゴムを塗り、水を掛けて拭く

どちらも良好な結果。少しの違いを比べてみる。
③ 先にアラビアゴムを塗り、あとからソリッドマーカーで絵を描いている為、インクがベッタリ付き、ムラに見える部分がある
④ インクがソフト(薄め)な仕上がりなのは、水を掛けてアラビアゴムを拭く時に、拭き取りが甘かったようだ

今回の結論
・ベニヤ板は、(小学生には)描きづらく、版木として販売しているものを、やすりを掛けてから使用
・ドーサ引きは、作業工程を増やす割に、見栄え薄く不要
・先にソリッドマーカーで絵を描き、アラビアゴムを塗り、水を掛けて拭く際ゴシゴシ拭く +(小学生には)しっかり拭き取るのは無理なので、もう一度ソリッドマーカーでなぞらせる + 黒く塗りつぶす面積が大きい場所はアラビアゴムを塗らないようにする

もう少し実験を続ける必要がありそうだ。オバラ

見やすく、描きやすくする為に


鈴木M 油彩

岩田です。今回は、鈴木さんの作品をご紹介します。

掲載した2点ともに、お孫さんを描いた油彩です。
左手は、嬉しそうに煙モクモクの中で花火をしている姿が印象的です。
こんな笑顔をされたら、お爺ちゃんとっては、たまらなく可愛いいと思いますが、その気持ちが画面からストレートに表れていますね。通常とは違う下からの光源だと顔ってついつい怖くなってしまうものですが、とても上手く描かれています。

右手は、木に登ったお孫さんと下から見守る母を描きました。
とても味わい深い色合いで、木や葉の色がとても美しいと感じます。ただ地面や背景の設定というか色が未消化のようにも見えます。
木の幹と人物が完全に重なっている為、描き分けがとても難しいアングル。
構図的には、下1/3を切ってしまう。つまり木に登っているお孫さんのみを描いた方が分かり易い絵になったかもしれません。
そして、敢えて母は画面に入れず、視点の先に人が居るのを想像させ、「見守る母と・・・」といったように、描いていないものをタイトルで表現するというような攻め方もありでしょう。
又、母の服の色を明るい色に完全に変えてしまうなど、若干の設定変更で描き易くなることがあります。

写真に撮ったものを描く際に、光源や構図も含めて、シチュエ―ションを変える場合は、事前のエスキースを入念に行いましょう。