好きは未来の第一歩


駿 高3 色鉛筆・アクリル

お鍋の季節がやってきましたね!マユカです! 〆はラーメン派です
今回は駿の作品をご紹介します。

こちらの作品は芸術系の学部へのAO入試で必要なポートフォリオに入れる、最後の作品として制作しました。アクリルで描いた背景の上に、色鉛筆で描いたイラストを貼り、コラージュのようにしています。キャラクターと背景を別に描くことで、バックは自然になり、なおかつ描きやすいという一石二鳥、またサイズもそこそこに大きな(B2)作品なので、見ごたえもあります。

背景をぼんやりとさせたので、服と同系色でありながら、メインキャラクターがくっきりとして見えますね。今回は背景のみリアル寄りにすることで、アニメのような表現に近づけました。

彼はポートフォリオのためにデッサンとイラストを交互に描いていましたが、特にイラストレーションに対する熱意はとても強かったです。
ポーズの工夫や形のとり方、バランス、頭身の比率など、イラストにおける大切なポイントなどは、押さえるのがとても速く、また模写など、自主的に描いたものを持ってきてくれたりすることもありました。少しの隙間時間でも絵を描こうとするその情熱は素晴らしいものだと思います。
その意欲が実り、先日、見事合格を頂くことが出来ました!基礎のデッサンを描いていた頃からずっと担当させて頂いていたので嬉しいです。本当におめでとうございます!これからもその好きの気持ちを絶やすことなく、たくさん絵を描いてほしいなぁと思います。

波に誘われ


小川 油彩

ここ数日の寒暖差に惑わされています、ナツメです。今回は水曜大人クラスの小川さんの作品をご紹介します!

早朝の海岸と向こうに見える日の出。明け方の密やかな空間に、打ち寄せる波の音のみが響いている情景が思い浮かんできます。逆光になっている鳥居と陽の光を映し出す水面から神聖さが感じられます。

一見静かに見える海面ですが、砂浜を覆う波には躍動感がありますね。波の泡立ちには、絵の具を多めに乗せてマチエールをつけ、変化をつけずに平坦に塗っている他の部分と差をつけることで、波が泡の立体感を引き立たせることにも一役買っています。

段々と日が昇り、緑を侵食するように明るく淡いピンク色へと空が移り変わっていく描写も素晴らしい!緑とピンクは補色の関係にあるため、二つの色を混ぜてグラデーションを作ろうとすると境になる色が濁って汚く見えてしまいます。淡く鮮やかな色同士なので混色のコントロールも特に難しかったのではないかと思いますが、青や紫などの間に入る色を使い段階的に変化をつける工夫をしているため、非常によく馴染んでいますね。

黄緑やピンクは手前の波にも使われています。カラフルなようで黄色~緑とピンク色を基調として全体的に使っているためちぐはぐな印象にはならず、統一感のある画面になりました。まだ暗さの残る中でキラキラと揺れ動いているようにも見える色彩には、閑静かつ幻想的なこの風景へ誘われているような感覚にさせられます。

☆待ち遠しいクリスマス☆

未就園児の親子クラスから、11月の制作をご紹介します。こんなに大きなクリスマスソックスがあったら、クリスマスまでワクワクしてきますよね!赤い色画用紙に、大小の緑色の三角をバランスよく貼ると、かわいいクリスマスツリーができました。ツリーのオーナメントは、クレヨンで描いたり、キラキラシールを貼ったり、豪華なツリーになりました。白い絵の具は、雪に見立てて、丸いスポンジスタンプで表現しました。スタンプは、楽しくなってしまい大雪警報です!

最後にソックスの縁を縫うように、モールで綴じていきます。モールをねじる制作は、幼稚園生でも難しいですが、コツを掴んだようで、一人でしっかりと綴じることができました。

こちらは少し制作時間が余ったので、粘土でミニサンタとミニツリーを作りました。クリスマスソックスの制作導入で読んだ絵本『まどから おくりもの』のワンシーンを背景に撮影してみました。

クリスマスリース作りは、絵本『さんかくサンタ』に登場する三角からイメージして、サンタクロースとトナカイを作りました。オーナメントには、大小の〇△▢の色画用紙を使って、自由制作です。プレゼントは、四角と三角の組み合わせで簡単にできます。〇△▢の組み合わせで、何に見えるかな?と親子でお話しながら制作すると、まだまだ色々なアイデアがうまれそうです!(伊藤)

描きたい!という気持ち


湊 3年 / 莉央 4年 / 空 6年

サヤカです。街はすっかりクリスマスムードに切り替わり、年末が待ち遠しくなってきました。今回は、小学生クラスの油絵を紹介します。

湊 湊の表情を見て、悠々と流れる川を眺めながら何を考えているのかな?ただ黄昏ているだけかな?と、 想像してしまいますね。元住吉を流れる渋川のようですが、建物や木の高さのパースもうまく撮れていて遠近感が伝わってきます。筆跡が残るタッチで描かれていて、水面や青空が複数の色を組み合わせて、どの部分も雑なタッチにせず、丁寧に表現されています。川と空は、どちらも同じ青色ですが、水面は光を反射して空よりも明るい色の組み合わせになっているのも良いですね!また、洋服をパッと目を惹く鮮やかな黄色(青の反対色)にすることで、画面内の主人公に注目が行きやすくなっています。画面全体の奥行き、見どころの分かりやすさに優れた作品です!

莉央 一年生から続いている莉央のユニコーンシリーズも今年で四作品目となりました。日々新しいものと出会う小学生時代に、四年続けて同じモチーフを選び、年々技術をあげ、クオリティをあげるのはなかなかできないことです。莉央のまっすぐさに感心してしまいます。今年のユニコーンは、翼を堂々と広げ、光に照らされた神秘的な雰囲気を放っています。全体は青・紫を基調としていますが、白や黄色で光を表現し、立体感をうまく表現できました。ピンクや赤などのアクセントが効いていて全体的に引き締まっていて、とてもおしゃれ!背景には、星のように散りばめられた黄色、右端には光源があり、小宇宙のようですね。描きたいものをとことん突き詰めて、表現する莉央、とってもかっこいいです!

空 愛犬とくつろいでいる様子を描いた一枚。全体的に彩度の低い色でまとめられ、落ち着いた雰囲気になっています。ワンちゃんを見つめる空の表情は柔らかく、ワンちゃんと空だけのゆったりとした時間が流れているんでしょうね。人物の表情をぼんやりと描いたり、犬の周りを緑・黄緑でまとめたりすることで中心の犬の存在感が際立っていますね。ワンちゃんの顔の陰影は、白をグレー、黒といった近い色を使いながらも繊細に表現しています。瞳と鼻先にハイライトが入れられ、リアルな生物の質感が出ています。人物の顔にも、淡黄でハイライトが入れられてるのに加え、頬にオレンジを入れることで表情が優しい印象になり、家族に向ける温かな眼差しであることが伝わってきます。

3人とも、自分の描きたいものに対して妥協せず、長期間(約4ヶ月)の制作を頑張りました!これからも、「これを描きたい!」という素直な気持ちを持って創作を楽しんで欲しいです。

流石というしかない


秦野 アクリル

今回は、秦野さんの作品をご紹介します。

青を基調に、入道雲が印象的な作品。道端に立って空を見上げた1枚の写真を元に描かれたアクリル画です。まるで見ているこちらが少年の頃に戻ったような、どこか懐かしい感覚をも与えてくれます。

暑い盛りの昼を過ぎて、日差しも少し陰ってきた午後4時頃でしょうか。
アブラゼミと、ヒグラシの声が同時に聞こえてくるような、その場の音さえも聞こえてきそうな絵ですね。
敢えて明瞭にしすぎず、どこかぼんやり描いているからこそ、見ている者が自身を絵の中に投影させ、色々な想像を膨らませることができるのでしょう。

逆光の雲の隙間、日差しを受けた真っ白な入道雲を起点に、視点は右手のアンテナから連なる建物の奥へ。標識のポールを伝いながらバス停のサインを舐めて、駐車禁止の丸い標識に。そこから上方の空へ向かい、最後には雲の様をゆっくり鑑賞する。

見ている側の目の動きまでもちゃんと意図されていて、1枚の絵を思う存分楽しませてくれるのです。

実に素晴らしい作品。流石の秦野さんというしかありません。

お休みのお知らせ

明日11月21日(火)より24日(金)まで、慶應初等部の受験直前プライベートレッスンを朝から夜まで行っている為、通常授業はお休みです。(幼児クラス・キッズ受験クラス・プレ受験クラスを抜かす)
お間違えの無いようお気を付けください。

なお、休業中はブログもお休みさせて頂きます。

現代的な富士


渥美 油彩

岩田です。本日は、渥美さんの作品をご紹介します。

こちらは、お父様の依頼で15号(652×530mm)のキャンバスに描いた富士山の絵です。画面も比較的大きく、とても立派な富士山が正面にそびえ立っています。

青を基調にした色彩の中に、手前には芽吹き始めた木々が。冬の寒さがまだ少し残りつつも、春先の澄んだ空気を感じられるような美しい色調で描かれています。

富士山といえば、富嶽三十六景を始め、昔から日本では代表的な絵画のモチーフですが、浮世絵の影響を受けたゴッホなど、海外の作家も自身の絵の中に富士山を描き入れたりしているのです。富士山という山の存在感、その均整のとれたかたちなどに描き手も魅了され、それぞれの捉え方で様々な絵画が現在まで生み出されてきました。

とはいえ、私よりずっと若い世代の方が富士山を描くというのは、もしかしたら珍しいのかもしれません。一昔前にあった古くさいイメージの絵ではない、どこかサラッとしていて現代的な富士山がここにはある気がします。

透き通る視線


山田 アクリル

大竹です。今回ご紹介させていただくのは、山田さんのアクリル作品。フクロウの写真集をもとに制作されました。

大きな瞳が印象的な1枚ですが、覗き込むとハイライトから瞳の水晶体に映り込むものまでが細かく描き込まれているのが分かります。下の絵の具を隠蔽する力が強いアクリル絵の具では、半透明なものを描く事が難しくなりますが、そんな中でうるうると濡れた質感がよく表現されていますね。森の賢者とも呼ばれるフクロウですが、この大きな瞳も相まってこのフクロウはなんだか子供の様な無垢さも感じられます。
羽毛の折り重なった繊細な描写も素晴らしいです。一本一本の毛先まで繊細に絵の具を重ね、触った時の感触までもが伝わってくる様!オレンジや茶色など濃い色を先に塗り、段々と薄い明るい色で筆の毛先を使って塗っていく事でアクリルでの細かな描写が可能となります。
また、透き通る瞳、フワフワの羽毛に続いて嘴の硬く艶やかな質感の描き分けもお見事です。隅々まで観察し、丁寧な仕事が行き渡り、作者の制作に対する真摯な姿勢が伺えます。油彩やアクリルは幾らでも加筆出来てしまうので、永遠に描き続けていられますが、描き続ける(絵に向き合う)気力や体力も必要となり、山田さんはその両方が備わっている方だといつも尊敬しております。

背景の色合いも美しく、ただ暗闇にするのではなく、青や緑が浮かび上がる様なグラデーションで作られています。周りに形ある物は描かれていませんが、観る人は夜の森の静寂な雰囲気が感じられる事でしょう。フクロウそのものの描写も素晴らしいですが、この背景の色選びもとてもセンスが良いですね!これからの作品も楽しみにしています。

黒インクから生まれる躍動感


佐藤M ペン画

マユカです!今回は佐藤さんの作品をご紹介していきたいと思います!

軽やかに駆けていく馬の姿、ふわりと宙に舞う尻尾と後ろ足がその躍動感を美しく見せています。パカラッと軽快でリズミカルな足音すら聞こえてきそうです。
今回の作品は半年前にご紹介したアクリル画とは打って変わって、ペンのみで乗馬の風景を描かれました。ハッチングなどで繊細に陰影を描写し、眩しい太陽光に溶けるように光に当たった部分を白飛びさせた為、競馬ウマの体重500㎏の重量感を出されるのに苦労されました。踏み込んだ足の力強さや、その筋肉のたくましさを見れば、その重さや力強さが伝わってきますね。

スケッチのようにさらりと書かれているように見えますが、どの個所を見ても細かに描写されており、馬は勿論のこと、上にまたがる人間もよく見れば服のシワや横顔の曲線の美しさなど、馬に引けを取らないクオリティで描写されていることが分かります。お互いに同じ進度で描き切られているために、絵として浮いたりせず、その場の雰囲気や空気感をより現実的に感じさせてくれるようです。同じくらいの完成度、というのは簡単なように見えて意外と難しいんですよね。
また、絵の重心が一点しかない馬の左足で支えられているという、不安定な構図をしているため、見ている人たちは少しのスリルをもってこの作品を見ることになるでしょう。このスリルが、絵をより印象深くさせてくれるのです。

色は付いていなくとも、その構図と時間をかけた描写によって、魅力あふれる一枚へと昇華された今回の作品。ペン一本でここまでの表現ができるのは、佐藤さんのデッサン力の高さと、光の扱い方が美しいためであると感じました。

遊び心を加えて


増村 油彩

新しい手袋が欲しいです、ナツメです。
本日は水曜大人クラスの増村さんの作品をご紹介します。
下地にジェッソを塗って厚みを出した上に、元々描いてあった油絵を潰して描かれたので、かなりマチエールが効いています。空ひとつをとって見ても、色のみに注目するととあまり変化のないように見えますが、画面の凹凸によって同じ色が置いてある箇所にも表情の違いが生まれているのが面白いですね。

ちなみに、キャンバスはP8サイズですので、よく見るFサイズのキャンバスよりも横長になっています。パノラマサイズの風景を描くのに適した比率です。

MMarine (海景)
Paysage(風景)
Figure (人物)
Square (正方形)

MSの順でキャンバスの短辺が長くなり、面積が大きくなります。

マリンブルーや、海に映る色をどのように表現するかに、かなり長い時間掛けて試行錯誤されていました。右にいくにつれて暗くなっているため、コントラストが強くなり建物との風合いが強調されています。元の建物はベージュや白などの落ち着いた色だったのですが、色で遊んでみたいと全体的にサーモンピンクのような華やかな色合いにされました。また、川に面している壁は鮮やかに描かれていますが、影となる側面はピンクを暗くしたような紫や茶色ではなく、群青に近いブルーや緑を乗せているところにも遊び心を感じます。

今回は細部まで描き込むのではなく、色合いを調節しながら全体の雰囲気を意識して描かれました。遠近感や水の映り込みなど必要な部分は押さえつつも、敢えて窓などの小さなパーツはぼかすことで、風景を空気感ごと切り取って収めたような「景色」を描いた作品になりました。