ピントを合わせたい場所


悠華 / 瑞希 共に中2 油彩

なんだか若干涼しくなってきたような気がします。マユカです!本日は火曜から引き続き、学生クラスの中学二年生の油画をご紹介します!
寝転がる猫と、じっと一点を見つめている蛇。どちらの絵も左右だけでなく、前後感を意識した構図と描写で空間を感じさせる一枚になっています。
二人とも顔周りは目を中心に重点的に描き、しっかりとピントを合わせて鮮明に描けていますね。身体の部分もしっかりと描いてはありますが、顔部分との対比でぼかされているように見えるのもとても良い。

悠華は特に、猫の目に力を入れていたため、途中何度か目が大きくなりすぎてしまうなどあり、2,3度描き直したりしていました。その甲斐あってか瞳の球体らしさや潤い、目元の凹凸感はしっかりと表現されています。目よりも少し手前に肉球が来ていますが、それよりも目元にたくさん筆が入っているのが小さな画面からもひしひしと伝わってくるあたり、並々ならぬ情熱があるようです。また複雑な毛色も茶系統の色だけでも5色ほど使い、地道に塗り重ねていました。

端希に至っては顔に焦点を当てる為、意図して蛇の体がぼやけるようにと絵具を塗り重ねたり、擦ってみたりと試行錯誤を繰り返して、より自分が一番見て欲しい部分の顔に目が行くようにと工夫していました。鱗の様子がベタ塗りにならないぬよう様々な技法を試した甲斐あってか、リアリティが格段に上がっています。鮮明に描いた顔周りは特に、目元から首元にかけてのうろこにビビットな黄色を使ったり、先に白い絵具で立体感を付け、乾いてからまた色をのせる…といった油彩のテクニックを駆使していたため、まるでトリックアートのように浮き出て見えてきます!

今回の作品たちは生徒作品展で展示する予定ですので、その細かさや立体感は是非実物をご覧になっていただければと思います。ちなみに彼女らは木曜クラスおしゃべりチームの一員。特に悠華は手数より口数の方が倍以上多い。その割にはテクニックもありムカつく存在(ノリ先生談)…なのでノリ先生はほとんど見ないし手伝わないし口をききません(笑)。それでも折れずにひたむきに描いている姿を見ると、やっぱり絵が好きなんだろうなと感じます。息抜きもほどほどに、次の作品にも同じくらいの情熱を持って取り組んでくれるといいな…!

表現したいこと


璃久 / 愛菜 共に中2 油彩

ナツメです。昨日に引き続き、木曜学生クラスから2人の油絵をご紹介します!

璃久は北海道旅行での猛吹雪、先に歩く白いスキーウエアーの弟がだんだん見えなくなっていく様子の写真を見ながら制作しました。夜の雪ということで色味が少なくモノクロに近い画面ですが、雪の影一つをとっても水色や茶色など変化をつけて色を置きました。地面と街路樹、そして雪かきで集められた雪の山と、厚みや密度の違う雪の積もり方が一目瞭然です。所々に使われた街灯や看板の暖色も、アクセントとして画面の中の寒さを強調しています。また、手前の街頭は暗くはっきりと、奥に行くに従いぼんやりとさせることで吹雪の視界の悪さの中の奥行きまで感じられますね。実際に歩いた時の空気感を追いかけ、見事に表現できています。

歴女(城マニア)の愛菜は、王道の富士山。神秘的で、荘厳で、繊細で、静かです。夜明けのなんとも言えない空の色の移り変わりも非常によく描けていますね。画面中央に堂々と大きく富士山を配置しながらもその周囲に時間をかけたのは、この富士山を取り巻く景色の方に魅力を感じたためでしょう。富士山がほとんど白とコバルトブルーの2色で塗っているのに対して、空や水面の反射は思わず近寄って見たくなるほど色彩豊かに描かれています。また、空を点描で描き、水鏡の反射は絵の具を伸ばして置くことで色だけではなく質感の差からもアプローチをすることで実像から虚像(映り込み)への視線誘導もバッチリです。

どちらの絵も何を魅力に感じたのか、何を表現したいののか意図をもって描いたのがよく伝わってきます!絵はフィクションなので右から左へと写真を描きおこすのではなく、伝いたい点や完成形をイメージすることで、より魅力的な作品になったのでしょう。

思い出の一枚


まなは / 心菜 共に中2 油彩

夏休みの終わりが見えてきて、若干の焦りを感じていますサヤカです。
今回は中学2年生のまなはと心菜の作品を紹介します。2人とも自身で撮った思い出の写真を油絵で描きました!

まずまなはの作品は、旅先で食べたあんみつが描かれています。一筆一筆無駄がなく、緻密に描かれていると同時に、昼下がりの茶屋の空気のように優しい温度を持っています。(画像では伝わりづらいのがとても惜しいですが、生徒作品展には出品しますので、どうぞ本物をご覧ください!)グラスやスプーンの反射、うつわの柄、お盆の木目などからも、まなはの技術の高さがわかりますね!また、写実的に表現するだけでなく、あんみつが運ばれてきたときの高揚感まで画面の中に表現された素敵な作品です。

次に心菜の作品は、紅葉の景色をローアングルから切り取った作品です。元々の写真も見せてもらいましたが、このアングルから写真を撮ろうと思うセンスにまず感心しました。構成も素敵ですが、それを表現できる画力も素晴らしい!手前の紅葉を丁寧に描き込み、奥をざっくりとしたタッチで描くことで、自然な遠近感が生まれています。秋も深まった見事な紅葉ですので、画面中央の緑は常緑樹なのでしょう。赤と補色の関係にある濃い緑のビリジアンを使った木々があることで画面が引き締まり、色彩のバランスがとても良いです。

2人とも実際自分自身で体験した景色ということもあってか、空気感や情景が想像しやすい作品に仕上がっていますね。私は、普段あまり写真を撮らないのですが、2人の作品を見て、思い出が記憶に残ることの素敵さを感じ、もっとカメラを活用しようと思いました!そしてそれを更に絵画で残すことで、より思い出深い景色に昇華させた彼女たちに感服です。

宝箱☆魚釣り

親子クラス担当の伊藤です。8月の制作は、「宝箱作り」と「魚釣り工作」でした。宝箱作りは、木材を使う制作なので、最初は木っ端で造形遊びから。絵本『ぎょうれつ ぎょうれつ』のストーリーに真似て、色々な形の木っ端で行列を作ります。どんどん繋げていくと、お友達の行列に連結して、ながーい行列になりました。行列遊びの後は、長四角や三角など形や大きさが豊富な木っ端を重ねたり組み合わせて、何の形に見えてくるかなぁ、親子でお話しながら制作。一人ひとりが木っ端を組み合わせて、そこから発想したものは、街・家・ウサギでした。

宝箱は、ベースとなる木箱に好きな木っ端を貼って、形を変形させたり、飾りをつけていきました。さらに宝箱の全体を絵の具で色を塗り、この配色がとても素敵です!!

魚釣り工作は、海のBGMを聞きながら、スポンジでダイナミックに波を描きました。青・緑・ピンクの絵の具がどんどん混ざりあって、色が変化していく様子をじ~っと眺めている女の子。絵の具が『おもしろいな!』と感じる瞬間ですね!おもしろそうだから絵の具を『使ってみたいな!』という気持ちになって、絵の具を使ってみたら『楽しいな!』と感じて、次は大きな紙に『もっと、もっと、描いてみたい!』と。絵の具制作の楽しい循環ですね!

魚の形をした色画用紙には、シールとクレヨンで目や鱗を作り、カラフルな魚がたくさんできました。最初に描いた海の絵に魚を泳がせ、マグネット付きの釣竿で、魚を何匹釣れるか親子で競争~!釣り方のコツを掴んだら、親子で本気勝負でした。

ワクワクドキドキの1作目


佐藤・Y 油彩

岩田です。
今回は、佐藤さんの油彩をご紹介します。選んだ題材は仮面ライダーアマゾン。実に佐藤さんらしい、面白いモチーフを選んだなーという印象です。

昭和生まれの私にとって、幼き頃の記憶にあるアマゾンライダーは、緑の地に赤い血管のような模様が描かれたスーツを纏った野性味溢れるキャラクターでしたが、平成(令和?)のアマゾンライダーは、ベースの色が赤になって、よりシャープでメカニカルな姿になったのだなあと感心した次第です。

今回の作品を見てみると、暗闇の中に颯爽と立ち現れたような、今にも必殺技を繰り出しそうな躍動感がたまりません。
アマゾンライダーを描いたタッチは油絵の具の特性を生かし、マチエールをつけてやや凸凹しています。光が当たるとキラキラと輝くパール調の質感も表現されていますね。

ここまで来るには見えない努力がたくさんあります。今まで鉛筆デッサンを描かれていたので、白黒のモノトーンで捉える勉強はされていましたが、初めてのカラー作品です。体・スーツの立体感を、色彩の明度で置き換えるのには苦戦されていました。単純に赤に黒を混ぜれば影に・赤に白をまぜれば光が当たったように見える訳ではないからです。その色選び・色作りは、暗めの背景に抑えめな光量のワンシーンを選ばれた為に余計分かり辛く、難しかったことは想像に難くありません。

しかし油彩1枚目で、技術的な面など足りぬ部分はあると理解しつつ、佐藤さんが「これを描いてみたい!」という素直な衝動がストレートに画面に表れており、絵の具を始めて扱ったワクワクドキドキ感が内包されている作品。
ご自身にとって記念碑的な作品になることでしょう。

作品展の搬入日にようやく完成した渾身の作。皆様是非会場でご覧になって下さい。

どのフルーツが好き?

大竹です。夏休みも残りわずかですね。幼児クラスの夏休みワークショップも折り返しです。3週目の『キャンバスにチャレンジ!水彩画』では、本物の果物を観察しながらアカデミックな描き方に挑戦しました!

まずはキャンバスにアクリル絵の具で下塗りをしていきます。白いキャンバスにそのまま色を塗るよりも、一旦色を前面に塗った方が後から塗る色も綺麗に見えてきます。また、塗り残しも目立ちにくくなります。ペンティングナイフという油絵で使用する道具でパンにジャムを塗るように絵の具を塗っていきます。

下塗りが乾いたらクレヨンで果物の形を取っていきます。好きな果物を3つ選ぶ際、3つとも同じ形・色にならないよう組み合わせを考えたり、果物を描く位置が単調な横並びにならないよう、構図のコツを指導して制作していきました。

そしていよいよ色ぬりです。今回は筆ではなく、めん棒を使って点描画の様に色をのせていきました。黄色や緑、ペールオレンジや赤など様々な色をキャンバスの上で混ぜる様に塗っていきました。そのお陰でとても豊かな画面になりましたね!どのフルーツもとっても美味しそうです。

見本の果物はフェイクのものから本物まで一列に並べていました。どれが本物か、触らないで当ててみたり、この中で一番高いものは何か予想したりしました(ちなみに、この中で1番高いものはシャインマスカット!2500円でした。)

そして来週はいよいよワークショップラストです。次回の制作は『粘土と針金で作るカラフルな鳥&フラミンゴを描く』です! 粘土や発泡スチロール球を使い、カラフルな鳥を制作します。カラフルなフェイクフェザーを沢山用意しますので、好きな色を選んでオリジナルの鳥を生み出しましょう!工作の後は、なが〜い首や足を持つフラミンゴをお絵かきします。どんな鳥さんが出来るかな?
まだまだ募集中ですので、興味のある方は是非ご参加ください。(詳しくはこちらからどうぞ!)お待ちしております。

柔らかな雰囲気を纏う


鳥光 油彩

最近豆腐ばかり食べています。マユカです!今回は鳥光さんの油彩画をご紹介します!

ふかふかのクッションにゆったりと座るネコ。まん丸の瞳がとてもかわいらしいです。毛並みのふわふわとした質感に思わず顔を埋めたくなってしまうようなリアリティを感じるこちらの作品。実は鳥光さん初めての油絵で、愛猫を描かれました。ざっくりと塗り重ねられたクッションと背景に対し、繊細に描かれた猫ちゃんは背中の毛並みと顔周りの毛並みの対比がされ、背中のふわふわサラサラとした毛に対して顔はシュッとスマートに描かれており、猫ちゃんのお顔に目がしっかり寄っていきます。背中はふっくらと息遣いが伝わってくるかのような柔らかさを持っており、手のひらで優しく撫でたくなりますね。顔は目の上の毛やひげの細くしなやかな様子を見れば、その細かさがより分かるかと思います。
ちなみに鳥光さんは以前にもアクリルでネコを描かれています。その時の作品はこちら

こうしてみると油彩とアクリルの描画材による、質感の表現の差がありますね。アクリル絵具ははっきりとした発色が特徴で、ぼかしたり滲ませてグラデーションを作ったりなどという、特にやわらかい動物や毛並みなどの写実的模写にはあまり向いていません。過去作のネコを見ると、細かい毛や広がる毛並みを再現していますが、やはりイラストレーション感は強くなります。

油絵具は乾いた絵具の上に更に塗り重ねたり、乾く前に上から絵具を重ね混ぜることで、柔らかい雰囲気や光、複雑な色の透け感・混ざり合いが自然にでき、よりリアリティをもって描くことが出来ます。島光さんの描写力や観察力がレベルアップしたのはもちろんですが、描きたい作品のイメージによって適した画材を選択することで印象が変わるのです。
アクリルと油彩どちらが描きやすいか?好みでも分かれるでしょうけれども、鳥光さんは油彩の方が気に入られたようで、早速道具を購入されていました。より身近になった油彩で今後は何を描いていくのでしょうか?これからの油彩作品も楽しみです。

繊細な表現


岩井 鉛筆デッサン

ナツメです。8月も残すところ1週間となりましたが、一体いつになったら涼しくなるのでしょうか。本日は水曜大人クラスの岩井さんの作品をご紹介します!3枚目のデッサンになります。瓶の水差しと植物、そして金属製のポットを組み合わせました。

今回モチーフに選んだポットは鏡のように周囲の風景が映っていますが、ポットに映り込む教室内の様子まで非常に良く観察して描画されました。そのおかげで、ツルツルとした金属の映り込みの表現のみに留まらず、このモチーフがどんな環境で描かれたのかという周囲の状況までもが手に取るように伝わります。反射率の高い瓶とポットも、どちらもしっかりと描き込んだ上で見え方の差をつけている点が素晴らしいですね!デッサンは8割が見る作業だと言われるほど観察が重要なのですが、ここまでそれぞれの特徴を掴み細部を描き分けることができているのは、真摯にモチーフと向き合い観察した成果でしょう。

中間色(グレー)の表現も巧みです。一番色の濃くなる黒い水差しに強く暗い色を乗せたため、画用紙の白から水差しの黒までの画面全体の明暗の幅が広くなっています。反射や布の僅かな明暗の差をコントロールすることで、より繊細で具体的な描写をすることができました。

『デッサン』とは形をとらえて描く基礎トレーニングですが、こちらは岩井さんのフィルターを通した美しい『鉛筆画』として額に入れて飾れそうですね。デッサンとして形や質感を追うだけではなく、モチーフそれぞれがどんなものなのかと向き合い、岩井さんの感じ取った魅力が伝わる作品になりました。基礎デッサンを終えどんな作品を描かれるのか、楽しみにしています!

動物が持つオーラ


左 暁希 / 右 凌太郎 共に中2 油彩

こんにちは!飼い犬がみるみる大きくなり、毎日驚いていますサヤカです!

今回は、中学2年生の暁希と凌太郎の作品を紹介します。2人とも小学生クラスから通っていることもあり、さすがのクオリティですね!

まず暁希の豹を描いた作品ですが、迫力があり、一目見た瞬間に引き込まれる表情が素晴らしい!こちらを睨み、威嚇をしているような表情から、弱肉強食の自然界で生きている豹の逞しさが伺えます。体の模様はもちろん、逆立っている眉毛や、なびくヒゲなど、細かなところまで描かれていて豹のオーラまで再現できています。背景の色を寒色にすることで、画面が引き締まり、より凛々しい印象を持った作品になっていますね!

次に凌太郎は、猿と紅葉の景色を描きました。暁希の作品とは対照的に、穏やかな雰囲気を纏った作品に仕上がっています。存在感溢れる中央の猿ですが、紅葉に染められたような黄色がかった色彩と影のコントラストがとても綺麗です!この影の暗さによって、背景の紅葉の鮮やかさが際立っています。様々な色が混ざって織りなされる紅葉の繊細さ、一本一本色を変えて描かれた幹から、色使いのセンスの良さが伝わってきます!

どちらも動物を描いた作品ですが、それぞれ動物の印象が正反対に違うのがとても面白いですね。この面白さを感じられるのは、暁希と凌太郎の表現する力があってこそです!2人とも毎週おしゃべりしながら(時にはだらだらしながら?)進めていましたが、出来上がった作品のクオリティに驚かされました!これからも楽しく作品作りをしてくださいね。

お手紙ポスト

オバラです。展覧会が1か月後に迫り、続々と大人クラスの額装された作品が集まって来ています!
小学生・学生は、まだ制作中の子も多く、ハラハラしながらお尻を叩いています!
スタッフは、展覧会を盛り上げるべく事務作業に追われ始めました。

写真は作品に対するお手紙を入れる為のポストです。今回は、個人用ポストを作ることにしました。
左上は学生用ポスト。ポストのボディーに自分で絵を描きます。
右奥は大人用。「出品作品も未完成なのに、ポストまで手が回りません!」と言うご意見も頂き、無地のものにしようかと考え中。(ボディーは色々な色でカラフルにする予定。)
手前は小学生のアクリルケースのポスト。脇には球体関節人形が設置されます。

但し、出品作品の下=つまり床に置くので、ちょっと見辛いのが難点。かと言って作品と離してしまうと、せっかく書いたお手紙を入れる作者へのポストを探しづらいし…まだ改善の余地がありそうな、なさそうな?
何かご意見やアイデアございましたら、授業中に教えてください!