向日葵とスイカ

大竹です。蒸し暑い日が続きますね。幼児クラスでは、そんな暑さにも負けず制作に打ち込んでいます!
工作のカリキュラムでは、夏らしくひまわりのクレヨン画&植木鉢づくりをしました。
先日、アトリエの向かいにある花屋さんに小さな向日葵が並んでいたので、夏の工作にピッタリだと即購入。まずはクレヨンを使いスケッチブックに大きく向日葵を描いていきます。花びらの数や葉っぱの形、色を観察しながら進めていきました。本物を見ながら描いた甲斐もあり、とても生き生きとした向日葵となりましたね。
その後は植木鉢に紙粘土を貼り付けて装飾をしていきます。ビーズを埋め込んだり、キラキラパウダーをまぶしたり、紐を巻いたりしてオリジナルの植木鉢を作っていきました。完成後はミニ向日葵を植え替えて持ち帰ります。可愛らしい手作りの植木鉢に、鮮やかな黄色い花はぴったりですね!暑い日が続くから、向日葵にはちゃんとお水をあげてね!

また、お絵かきのカリキュラムではスイカを食べる絵と川魚(淡水魚)の絵を描いていきました。
大きなスイカにかぶりつく直前の場面では、顔やスイカ、手などの描く順番を意識しながら進めていきました。(先に顔や体を描いてしまうと、スイカが描けなくなってしまう為)大きな口から覗く白い歯が可愛らしいですね。

スイカを描いた後は、魚の図鑑を見ながら淡水魚を描いていきます。普段は海の魚を描くことが多かったので、今回は池や川の魚に挑戦しました。ヒゴイやベタ、うなぎといった様々な形や色を持つ魚たちを合計7匹、大きな紙にぎっしりと埋まるほど描いていきましたが、どれもカラフルで可愛らしい出来上がりとなりました。毎回、大きな紙に描いた後は肘までクレヨンで汚れてしまいます。(時にはおでこにまで付いていることも…何故?笑)それだけ一生懸命描いたという事ですね。

そんな幼児クラスでは、8月に夏のワークショップを開催します。水彩やクレヨンを使ったお絵かきから、粘土や紙の工作まで、バラエティに富んだカリキュラムとなっております。絵や工作が初めてもお子様でも講師がしっかりサポートさせて頂きますのでご安心下さい。この夏の楽しい思い出作りにいかがでしょうか?(ワークショップについてはコチラの記事でご紹介しております)

色彩が与えるイメージ


植松 油彩

暑い日が続きますね、マユカです!皆様も夏バテには気をつけてくださいね!
さて本日は植松さんの作品をご紹介したいと思います。

青い壁に囲まれた幻想的な空間、青の街と呼ばれているモロッコのシャウエン…の一角を描かれました。
白い壁に反射した、周囲の壁から落とされる青い光が幻想的に広がり、何でもない普通の青い扉が、まるでアミューズメントパークの入り口のようにワクワクするものに見えてきます。 

白い面に青い影が落ちると、我々は先入観で雪のように見てしまいがちですが、植松さんはその冷たさを感じさせないために、青以外にも黄色や赤、紫と、様々な色を織り交ぜて描写しています。こうすることで青色だけでなく、全体的に色味に幅を持たせ、雪とは違う雰囲気を演出しています。暖色が青の次に多く使われている為、冷たさよりは涼しげな印象を受けますね、扉の前でゆったりとくつろいでいる猫が居るところからも、ここが心地の良い場所であると分かります。

モロッコは夏が長くうだるほどに暑い国だそうで、シャウエンの街が真っ青に染まっているのは、壁や床などに白、青という涼しげな色を使用することで視覚的にも涼しくする目的があるという説があります。日本でも、風鈴やかき氷、流水だったりを見ると、涼しさを感じますよね。実際の気温は高くとも、視覚で涼しくなることができるから、こういった配色になっている、街の工夫だそうです。
配色によって見る人の印象は変えることができます。赤やオレンジなどの暖色を使えば暑い・暖かいイメージを与えられ、青や緑などの寒色を使用すれば寒い・涼しいイメージを与えることができます。配色を工夫することで温度差を出すができますので、皆様も是非イメージに沿った色彩を使って作品を制作してみてくださいね!

夏の兆し


藤原 金箔・アクリル

ナツメです。今回は月曜大人クラスより藤原さんの金箔画をご紹介します!

水の中をゆったりと泳ぐ金魚。これから訪れる本格的な夏に涼を呼ぶような一枚です。少しずつ色を変え、金魚の白い部分の光沢や体の奥行きを丁寧に描写されました。ボディのハイライトも鱗によって体の表面に僅かな凹凸がある様子まで伝わってきます。金箔の部分が水になるということで、ひれや水草などの薄い箇所は透けている様子を意識して描かれました。水彩と違い水を多くしても滲ませることの難しいアクリルガッシュで、ここまで透明感を表現された技術と努力に脱帽です。

ブログをご覧になっているみなさん、一度ページの上に戻って、写真右下の金魚を指で隠してみて下さい。少し目線が止まってしまいませんか?
このように水草と金魚が全て別々の方向を向いていると散漫過ぎて、逆に絵を見た時の視線が停滞してしまいやすくなります。フレーム外へと泳いでいくこの金魚が
1匹いることで、真ん中から右下へと全体的な視線が流れるため、画面外の広がりを感じられるのです。
また、水槽の真上から水の中を覗いている立体感の出しづらい構図ながらも、一つ一つを丁寧に描くだけでなく、手前と奥のモチーフの前後関係を出すために水草と金魚も重ねて描写されました。

日本画油絵に続き今回は金箔画と毎回画材を変え制作されている藤原さんですが、描写力も着実に上がっています。様々な画材を扱えるようになった今、描けるものもだいぶ増えたのではないでしょうか。次の作品にも期待が高まります!

印象を描く


秦野 アクリル・キャンバス

佐藤です。本日は水曜大人クラスより、秦野さんのアクリル作品をご紹介します。
私は水曜大人クラスを担当したことがないのですが、いつも小学生クラスが終わった後に大人クラスの準備もしています。なので、秦野さんのこの作品は準備の時にいつもお見かけしていました。
そして作品を拝見する度に、「どことなく印象派のような雰囲気を感じる作品だなぁ」と思っていました。しかし印象派の技法といえば、筆のストロークを残すタッチや、絵の具を混ぜ合わせずにキャンバスに置く筆触分割が代表的。それに対して秦野さんの作品は緻密に陰影を描き込まれていますので、なぜ自分がそのように感じるのか、うまく言語化出来なかったのですが……。今回ブログでご紹介しようとアレコレ考えた結果、「光や空気のうつろいを感じるからだ!」と(勝手に)腑に落ちました。

そもそも、なぜ印象派の画家たちは従来の絵画のルールに反して混色を避けたり、あえて粗い筆致を残すような技法を産み出したのか。それは風景をそのまま写実的に描くのではなく、ある風景をみた時に個人の目に映った視覚世界と、それによってもたらされた印象・感覚を描き表すことに重きを置いたからだと言います。
また印象派の特徴の一つに戸外制作が挙げられますが、それによって印象派の作品からは、光や空間の遷移を感じることが出来るんですね。

この作品では、はっきりと光をモチーフとして描いているわけではありません。むしろ手前にある家や木はかなり陰っており、画面全体では暗い色の方が多く使われていると思います。しかし、その家々の奥に広がる空には柔らかく日がさしており、逆光で手前側が暗く描かれている分、いっそう空の明るさが強調されていますね。
アトリエで描かれた作品ですので、もちろん戸外制作ではないと思いますが、屋根の奥からわずかに見える日の光によって、刻々と変化していく世界の一瞬を切り取った という印象を強く感じます。
作品を見ていると、冬のキリリと澄んだ空気感や、うつろいゆく光、そして秦野さんがこの風景を絵に描きたいと思われた気持ちまでもを鑑賞者が一緒になって感じられるような気がします。
技法こそ異なれど、それは印象派の画家たちが目指した絵画表現にとても近いのではないでしょうか。

紫陽花・電車ごっこ

親子クラス担当の伊藤です。6月の制作は、「あじさい」と「電車」です。まずは、紫陽花制作からご紹介します。

紫陽花は、雨に濡れた時が一番美しいと言われます。雨の制作は、小さなチャック付きビニールに好きな雨の色の絵の具を入れ、そこに水を注ぎ手で揉んで、自分好みの雨を作ります。ビニールに小さな穴を開けて、画用紙に雨を降らせると、、、綺麗なしずくが垂れて、だんだん他の色とも混じり合って変化が楽しいです!

紫陽花は、立方体のスポンジに十字に輪ゴムをかけてからスタップすると、紫陽花と同じ形のお花ができます。葉っぱは、本物の紫陽花の葉に絵の具を塗って、これもスタンプしました。スタンプは、簡単に形が表現できるので、遊び感覚でどんどん楽しくなりますね!楽しくなりすぎて、絵の具を塗る延長で手にも塗り、そのまた延長で腕にも塗り、、、ついにボディペインティングになってしまいました~!

電車制作は、自分とお客さんが一緒に乗れるサイズです。輪にした模造紙に、窓や車輪は折り紙を貼り、運転手さん車掌さんお客さんはクレヨンで描きました。電車は完成後にお友達と遊べるように、大きな紙を繋げて街作りもしました。絵本「せんろはつづく」のストーリーと同じように、線路をどんどん繋げていきます。線路が繋がった所には駅を作り、街の好きな場所には自分の家も建てました。完成した電車は、とにかく速い!速い!超特急列車~!

学生武者見参

オバラです。小学生たちが作った兜を見て、「やりたい!」と言い出した中学生5人。小学生クラスのカリキュラム用の材料は与えず、作り方もほとんど教えず、見本を見よう見まねで制作しました。お菓子の空き箱を壊したボール紙をふんだんに使った、実際にかぶれるサイズです。(ゴディバのロゴをそのまま使っている男子も!)

全員、幼児クラスや小学生クラスから上がって来た子たちなので、工作の楽しさを十分知っています。だからたまに大人げなく(?)本気モードでクオリティーの高い工作をやりたくなっちゃうんですよね。その気持ちわかるゾ!さすがミオスっ子だ!

おや?なんだ、この写真?紛れ込ませてすみません。親戚一同で集った小原父の93歳の誕生日パーティーに、兜を借りて行きました。お陰様で最高に盛り上がりました!給仕の方々に「こんな楽しい誕生日会、見たことありません!」とお褒めの言葉?お世辞?も頂き母も大喜びして、後日お礼に豪華な菓子折りを一人ひとりにあげていました。みんな快く貸してくれて、ありがとね!

油彩のテクニック


渥美 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは大人クラスの渥美さんの作品です。
モデルはお父さんと姪っ子ですが、農業用トラクター(というのでしょうか?)の操縦席に乗せてもらってはしゃぐ孫と、嬉しそうなおじいちゃんの姿、背景の広い畑、遠くの山が、見せ場を心得て存在しています。主役の2人とトラクターは絵の具をたっぷりと使用し、それ以外の背景などはナイフで荒く描いたり、薄く塗って仕上げたりと油彩のテクニックの詰まった作品です。畑の土の匂いや、使い込まれたトラクターの鉄と油の匂いまで伝わってくるようです。
主役の1人のおじいちゃんですが、畑仕事で陽に焼けて赤らんだ肌の色がなんとも魅力的ですね。隣のお孫さんのはしゃぎ声まで聞こえてきそうな笑顔も可愛らしく、見ているだけで温かい気持ちになってきます。こういう大きな乗り物に乗れるだけで、子どもにはすごく楽しいですよね…何だか子どもの頃の気持ちが蘇ってきちゃいますね。
お孫さんの白い洋服は、陽光の当たる白色を表現するために様々な色を使われているのが見て取れるかと思います。例えば緑の葉を表現したい場合、そこに緑の絵の具を使うだけではなく、赤や青・黄色などを混色する事で、油絵らしい重く深みのある色合いを出す事が出来ます。トラクターも黄色と認識できますが、よくよく見てみると茶色や黄土色、緑といった色が使われているのが分かりますね。色が単調でお悩みの方は、黄色のものは黄色、といった思考を囚われず、様々な色で遊んでみてはいかがでしょうか。

右上からの光源を意識して、おじいちゃんの腕や太腿、つま先にかなり明るい光が加えられています。お孫さんも、頭頂部や体の右側に強い光が入っていますね。この光の色作りもまたお見事ですね!強い明暗差は人の目を惹きやすく、また明暗差によるメリハリは画面を引き締め主役をより一層目立たせてくれます。(受験でデッサンをする学生達にも、明暗差をハッキリさせて目立たせる様指導します。)このハッキリとした明暗差も、この作品が目を惹く要因の一つですね。明暗のバランスをコントロールするのは難しいですが、制作の際には意識してみると良いでしょう。

ミオスでは学生から大人の方まで、様々な年代の方による作品が壁に掛けてあるので、「こんな描き方もアリなんだ!」「こんなモチーフ(題材)でも絵になるのか!」と刺激になるかと思います。(幼児や小学生達も、時折壁の絵を見ては大人ってうまくてすごいねー!と感心する姿も見受けられます)渥美さんの今作も、壁に掛けて乾かし中の途中経過ですら、他のクラスのたくさんの生徒さんから「こんな風に描けるようになるのが理想です!」と羨望の眼差しで言われ続けていました。

 

木炭での経験


梅 / 杏 / 千佳 ー 高1 木炭

マユカです!!本日は高校生たちの木炭デッサンをご紹介していきます。
今回のモチーフは牛骨です。和紙のようにデリケートな木炭紙に柳の枝の炭で描き、食パンで消す、初めての古典技法に挑戦しました。

木炭デッサンの特徴として、そう何度も描き直すことが出来ない、鉛筆のように細くないので細かい箇所を描くのが難しかったりと、同じ白と黒のデッサンでも鉛筆とは大分描き心地も描き方も違ってきますが、3人とも上手く木炭を使いこなせていますね。牛骨の五角形にも似た全体的な立体感から、頭蓋骨に走る細かなヒビまでよく見て描写しています。

眼窩や鼻の孔の奥の方はより暗く描き、手前には光をしっかりと当てることで前後の区別をつけ、深さをしっかりと感じさせます。小さな画面では見づらいですが、角のざらざら、でこぼことした質感も描写されていたあたり、三人ともしっかりと観察しながら描いていることが伝わってきます。実際、授業終わりには3人とも手を真っ黒にしていました。
全員に共通して言えることですが、牛骨の口周り、歯の表面の凹凸と、ぽこぽこと空いた隙間から見える反対側の歯や角、後頭部、などの細部でかなり苦戦していたように思います。ですが木炭の濃淡を最大限活かし、周囲とのコントラストを調節したり、指で薄く消してみたりと、木炭の特徴を活かした方法で少しずつ調節し、完成させることができました。接地面の強い影が、その上にどっしりと乗った牛の頭蓋骨を支えて目を惹きます。ここまで思い切って炭を乗せることは初めてでしょうが、何にせよ力強く印象的なデッサンになったのではないかと思います。

似ているけれど普段とは全然違うデッサン。鉛筆ではないからこそ、制限されることや新たに表現できるようになることがあって、良い経験になったのではないかなぁと思います。自分の筆圧をより知ることもできたのではないでしょうか。
臨機応変な対応が求められる受験では、その人がどれだけのモチーフを何枚描いてきたのか、が重要になってきます。画材もしかり、急にこの鉛筆しか使ってはいけませんと言われることすらあります。そんな時に柔軟に対応できるようになるため、様々な技法や描き方を学んでおく必要があるのです。もしかしたら今回の木炭デッサンでも、鉛筆デッサンで使えるかもしれない技法を見つけられたかもしれませんね

段ボールあるところ、猫あり?


夏葵 中2 油彩

冷房の適温を図りかねています、ナツメです。今回は木曜学生クラスのナツキの作品をご紹介します!

段ボールに収まった猫の油画を描きました。上目遣いでこちらを伺うような表情や段ボールの上にちょこんと置かれた手の可愛らしさに癒されます。猫って空の段ボール箱を置いておくといつのまにか中に入っていますよね。家で飼っている猫はどんなおもちゃよりも喜ぶのですが、猫飼いさんは特に共感のできる「あるある」シチュエーションなのではないでしょうか。

ぱっと見ただけでもよく観察して描写されているのがわかりますね。瞳の立体感や箱の中の空間など、難しい箇所にも説得力を持たせ描いています。瞳の猫の描き込みが素晴らしい分他の部分との差が開き浮いて見えてしまいそうですが、折れも破れもほとんど無く描きどころの少ない段ボールも少しずつ色を変えた上で僅かな表情も見逃さずに描写したため画面全体のクオリティが高い作品になりました。猫は細い筆で細かく丁寧に、段ボールは滑らかに絵の具を置き筆のタッチで対比を作ることでふわふわとした毛並みを一層柔らかく見せています。的確な描き込み具合や筆の置き方は絵の「魅せ所」がしっかりと決まっているためでしょう。どのような作品にしたいかに合わせ表現したいところや強調したい部分に応じた描き方をすることで作品の魅力は大きく上がるので、ぜひ皆さんもどこを魅せ所にするか意識してみて下さい!

創作活動の醍醐味


奥 油彩

佐藤です。本日は奥さんの油彩作品をいくつかご紹介します。

まずは上記の「人」をテーマにして描かれた連作から。
早描きで有名な奥さんですが、今回も 3枚もの作品を同時に進められているかと思えば、翌週には新たにご自宅で描かれた作品を持参されることもあり。驚きつつ、今日はどの作品を描かれるのかな?と毎週楽しみにしていました。

作品によって模写元が写真か絵画作品かが異なるので、絵のタッチには作品ごとに違いがあります。それでもこうして5枚並べてみると不思議と統一感があるのは、奥さん特有の色使いによるものでしょう。赤・青・緑・黄など大胆な色相を用いつつ、明度や彩度はやや抑えており画面全体にはまとまりを感じます。色相は増えすぎると色が散らかって見えることもあり、扱いが難しいのですが、トーンを揃えて華やかさとまとまりを両立されています。

個人的に特に好きなのは、3枚目のマリー・ローランサンによる女性画の模写です!
キュビズムを感じる独特なデフォルメが目を引くこちらの作品。このデフォルメ度合いは元の作品を忠実に模写した結果ですが、実は模写元の作品は茶色系統の色でまとめられ、もっと平面的で朴訥としたタッチなんです。
しかし奥さんの作品では緑とピンクをメインに鮮やかな色が使われており、紅顔で今風の華やかさを感じます。女性像自体はとても丁寧に模写されていますが、全く印象の違う女性に見えるんです。
マリー・ローランサンの作風と、奥さんの独特な色使いが上手くシナジーを効かせていて、とても面白い作品になっていると思います。


写仏 油彩

続いて、上記は写仏のように描き進めていらっしゃった油彩作品。
写経とはお経や仏の教えを筆やペンで写すこと。 写仏は仏様のなぞり描き更に色を付けることで、この油彩も、まずはボールペンで仏様を写し描きしてから薄塗りで仕上げてあります。写仏は仏さまに心を寄せ、自分自身と向き合う事を目的として行うそうです。

アトリエに通われている皆さまにはきっと共感して頂けると思いますが、自分が表現したいものを一生懸命考え、アウトプットに一喜一憂しながら時間を掛けて作品を作り上げていくことは、とても根気や体力が要る作業です。
奥さんが絵を描かれている時もついつい、「こんなに多くの作品を描かれるのは大変じゃないですか?」と伺ってしまいました。
すると、「もちろん大変だけれども、その大変さも楽しい。いくつも並行して描くから、作品を完成させるのに長く時間が掛かることもある。だけど長い時間をかけた分だけ作品にも魂が宿っていくし、そうやって作品や自分自身に向き合い、四苦八苦しながら作り上げていくのが絵を描くことの醍醐味なんじゃないか」とのお答え。まさに写経・写仏にも通ずる境地ですね。

昨今は変化の激しい世の中ですから、10年20年先に自分や社会がどうなっているのかは、正直私には検討がつきません。不確実性の高さに、将来の不安を感じることもあります。
しかしこの先社会がどれだけ変化しても、奥さんがおっしゃるような「絵を描くことの楽しみ」が失われることはきっと無いだろうと思います。そう思えば、創作活動が身近だというのは自分にとって非常に幸運なことですよね。
奥さんの作品や創作への姿勢を通して、改めてそのことに気付かせて頂けました。