園芸、ときどき薬瓶


凌太郎 中1 『これからの花』 油彩

まだ8月にしがみついていたいです、ナツメです。今日は火曜学生クラスの遼太郎の油絵を紹介します!じょうろ、花、スコップと園芸関連のモチーフが並ぶ中に薬瓶が置いてある光景が不思議で面白いですね。今回はアトリエにあるモチーフを組み描画しましたが、それぞれが誠実に描かれているのが印象的です。

金属、ガラス、布といったそれぞれの質感を表現するために、筆のタッチを変えることで表現の幅を出しています。少しマットでさらりとしているの薬瓶や、小さめながらもずっしりとしたレンガの重さなど、質感・重量感共にどんなものなのかが伝わってきますね。じょうろやスコップなど、形を写し取るのに手間取ったであろうモチーフもめげずに描き切りました。特にスコップの薄い鉄の板の曲がり具合や先端が地面から少し浮いているところは難所ですが、色や影に気を配りザクザクと地面が掘れそうなスコップが表現されています!

「同じ布の上に置いてある」という状況が伝わるのは、明暗や影の付け方など、デッサンで学ぶ基礎的な部分が身についている証拠です。いくら一つ一つが上手く描けたとしても、同じ空間に置いてあるように見えなければちぐはぐな印象の画面になってしまいます。遼太郎の絵は同じ量の光を均等に当て、その上でそれぞれに焦点を当てて描いたため自然な静物画になったのでしょう。

ここまで良く観察&それを元にした描写ができるなら、次回はもっと色で遊んでみてもいいかもしれません。丁度アトリエが油絵ギャラリーになる年に一度のチャンスなので、今のうちに小学生の絵からも技を盗んでみてね!

二つの像


藤原 油彩

急に冷え込みましたね、湿気はまだ残っていますが涼しくて嬉しいです、ホノカです。
今回のブログは大人クラスから藤原さんの油絵のご紹介です。
こちらの作品は、藤原さんが自身で撮影された景色を、油絵で描いたものになります。描かれている景色は島根県にある金言寺という場所で、メインにもなっているイチョウの木は、樹齢700年にもなるそうです。また、水面に綺麗に映るこのイチョウの木は観光スポットとしても名高い場所とのこと。

作品の中ではそんなイチョウに目を惹かれますが、実際の風景には家屋や他の木々なども周囲にはありました。その中でイチョウをより目立たせるため、あえて描かない計画で進められていましたが、ばっちり作用して落ち着いた自然の中に佇む大きなイチョウに目を奪われますね!
また、実像のイチョウと、水面に映る虚像のイチョウの描き分けも繊細に行われており、虚像が少し暗くなっています。逆さ富士などもそうですが、水面に反射した虚像の部分は実像よりも暗く見えます。これは実像側に当たった光が乱反射し、その光の一部が水面に反射して、見る側の視界に入るため、実像より反射する光が少なくなり暗く見えています。
全体をみると、反射しているということで、半分は水面に映った同じモチーフがあることになりますが、空も雲が少しかかっているようなくすみがあったり、同じ青でも水面では深みや鮮やかさのある青を利用することで、印象が全く異なっています。

さらに、イチョウには鮮やかなレモン色のような黄色がとても良い効果を生んでいると感じます。途中まではイチョウはもう少しくすんだ黄色などで塗られていたため、秋らしい色ではありましたが、背景の一部と似通ってしまっていました。そこで途中から明るい黄色を少しずつ足し、光の当たる部分を明確にしていきました。明度差のある部分は飛び出して見えるため、元のくすんだ色たちも影響しあって立体感や存在感のある木になっています。

藤原さんはこちらの作品で油絵に初挑戦とのことですが、とても油絵らしい色の重なりが穏やかな風景にマッチしていて暖かみのある作品になっています。
今もさまざまな画材にチャレンジしている途中だと思いますが、今回の油絵で楽しみながら制作されたように、今後とも挑戦して頂きたいです!

夏祭り~縁日ごっこ~

親子クラス担当の伊藤です。日中はまだ暑い時がありますが、朝晩は涼しくなってきて、お店では栗やサツマイモ関連のお菓子などを目につき始めましたね。

8月ラストの親子クラスでは、夏を締める制作として、『夏祭り~縁日ごっこ』を行いました。提灯がぶら下がっていたり、ドラえもん音頭の音楽が流れていたり、入室した途端何だかいつもと違う雰囲気で「何が始まるんだろう?」と皆さんキョロキョロ。

まずは、縁日ごっこで使うものを制作。たこ焼きは、濃さの違う茶系の折り紙を使って作ったので、一つ一つ焼き加減が違ってリアルです。ソースをたっぷり塗って、青のりと鰹節も忘れずにトッピング。出来たて熱々のたこ焼きの出来上がり~!カラービニール袋でテルテル坊主のような形を作って両端に目をつけると、可愛い金魚になりました。ちょっと太った金魚や尾びれの長い金魚もいて、カラフル&個性的です!かき氷は、3種のシロップを用意しましたが、勿論!味をミックスしたくなりなすよね~

最後は、クレープも作りました。こちらは、フルーツ色の画用紙をハサミで切って、クレープ生地にトッピングします。ホイップ粘土は、クリームみたいにトロッとしているので、間違って舐めてしまいそうなくらいリアルです。

屋台の商品ができたら、お楽しみの縁日ごっこ♪写真の笑顔がとても良い表情ですよね!

来月の予定 9/6・20(火)  10:30~11:30

 

岩田展覧会のお知らせ

岩田です。先週から展覧会『木村勲 岩田俊彦展』が始まりました。
住宅街の中、一歩足を踏み入れると江戸時代に作られた上座敷書院の間と三角形のギャラリーからなる独特な空間が広がります。
季節や時間によって、風を少し通したり、光を閉ざすことも。
多くの方にご高覧頂ければ幸いです。

 

『obi gallery オープニング記念-開廊第4弾 木村勲 岩田俊彦展』

木村勲 人里離れた山奥でひとり作陶
岩田俊彦 閑静な鎌倉で漆を塗る

2022/8/19(金) – 9/5(月)10:00 – 19:00(木曜休廊、開廊 金・土・日・月、予約制 火・水)
〒251-0012 神奈川県藤沢市村岡東3-12-7 obi gallery 
tel 0466-25-7581

楽しい思い出のおすそ分け

大竹です。夏休みも終わりに近づき、少し涼しくなってきましたね。幼児クラスでは、夏休みの思い出をテーマに絵画制作を行いました。
まずはみんなで夏の間の楽しかったこと、遊びに行ったところなどを話し合います。祖父母の家に行ったり、花火をしたり、プールで泳いだり、遊園地で遊んだり…様々な楽しい思い出が出たところで、その中から一番楽しかった思い出を絵にしていきます。今回は一人一人違う絵になってくるので、大きな画用紙を床に広げて描いていきました。自分が主役となるよう、画面の中で一番大きく描いていきます。いつもよりも大きい紙でしたので、顔の色を塗るだけでも大変でしたが、楽しい思い出を描いていた為かみんな一生懸命でした。
クレヨンで描いた後は余白を水彩絵の具で塗っていきます。絵に合わせて明るい色を選び、見ているこちらも楽しい思い出を分けてもらえるような作品が完成しました。
来年はどのような思い出ができるでしょうか?ワクワクしてきますね!

複雑な色の重なり

夏休みも終わってしまう時期になりましたね。なんだかさみしい気分…マユカです!

小学生の油絵も完成した子がちらほら。完成までまだかかりそうな子や、あと少しで完成しそうな子も、夏休みの思い出を話しながら楽しそうに描いています。青い面に赤や紫を混ぜたり、光が当たっている所には白だけでなく黄色を混ぜてみたり…。そこにその色使って大丈夫!?となることもありますが、最終的にはそれが立体感だったり、自然な雰囲気を出すためのピースになってたりと、間近で見ていて驚くことが多々ありました。

様々な色を使いながら、自由に塗っていく小学生たちの姿から私も学ぶことがあったため、今回はその話をさせていただきます!

夏休みの間、私が大学から出された課題が風景画だったのですが、写真をもとにして絵を描いていると、どうしても写真と全く同じ色を使ってしまい、別の色を混ぜるにしても「緑の面に青」のように、同系色でまとめてしまっていました。
かなり単調な画面に違和感を覚えつつ塗り進めていたわけなのですが、小学生たちが描く油絵の、単調なところが一切ない「素敵」を集めたような、色とりどりの画面を見ていて、受験生の時に言われた「固定概念にとらわれない」という言葉を思い出しました。これはこの色!と決めつけて塗っていると、面白くない作品になってしまう。
写真を基にしていても絵に正解なんてないんだから、好きに、自由に描いていいんだと小学生の皆からインスピレーションを受け、家に帰ってから、課題として描いていた緑あふれる風景画に、ビビットなピンクや真っ赤な絵具を追加してみました。リアリティは薄れましたが、不思議なことに魅力は格段に上がったんですよね。

時間をたくさんかけて、じっくりと向き合ってきた油絵。たくさんの色が織りなす、魅力あふれる作品を見たらきっと、お部屋に飾りたくなること間違いなしです!

のんびり鑑賞?


王 油彩

5時に寝て10時に起きています、ナツメです。土曜クラスの王さんの作品をご紹介します!

どっしりとくつろいでいるパンダを描かれました。油絵は2枚目とのことですが、そうとは思えないほど画材を使いこなしている印象を受けます。

イラストやぬいぐるみだと愛らしいのに比べて動物園に行くと結構ワイルドに笹を食べていて、実物とのギャップランキングNo1の動物なんじゃないかと思っています。模様がなければただのクマなのになあと身も蓋もないようなことをたまに考えるのですが、王さんの描かれたパンダは手前にちょこんと置かれた手やつぶらな瞳など、白黒に頼っていない(!?)愛嬌がありますね。体を丸めているためシンプルなシルエットながら、黒の中でもパーツによって少しずつ色を変えているためがっしりとした大きな体格も伝わってきます!

小学生クラスの油絵を見ていて油絵具がめちゃくちゃ濁りやすいことを実感しており、少しでも暗い色を混ぜると一気にくすんでしまうため混色の塩梅が難しいと感じます。しかし、今回空の色に明るいライトブルーを置き、パンダの顔の下の影も黒などの強目の暗い色ではなく茶色系統の比較的鮮やかな色にすることでそれぞれの色面がとてもクリアに表現されています!

何かを見つめている動物/人の絵は、その視線の先に広がっている景色やその心中を想像させることが多いです。こちらのパンダはぼーっと空中を見ているようにも見えますが、動物園にいるということは檻の外のこちらを眺めているのでしょうか?絵を、そしてパンダを鑑賞しているハズが、いつの間にかそんな私たちがのんびりと鑑賞されているような不思議な気分にさせられる一枚です。

油絵あるある

小学生の生徒たちに夏休みの思い出を聞くことが趣味のようになりつつあります、ホノカです。
今回はなんとフリーテーマでブログを書けるとのことなので、現在アトリエ歴10年以上の私からアトリエの油絵あるあるをお話しさせて頂きます!

現在小学生クラスでは油絵を鋭意制作中ですが、私も小学生クラスで油絵の授業を受けていた経験があるので、日々過去の自分を思い出しながら授業をしています。
油絵の進め方などはノリ先生のYouTubeなどもご覧ください!

油絵あるある①すごい汚れる
こちらは言わずもがなですね。油絵具のチューブが横から破れて、中身が漏れやすいことや、水彩絵具などと違い乾くのが遅いため汚れが広がりやすいことが原因です。生徒の中には全身を油絵で汚してしまう子もいるくらい、とにかく汚れやすくなっています。また、自身の気づかない間に腕や服に絵の具がついていることも多く、知らぬ間に汚れている原因に挙げられます。講師の私も自分の意図しない部分に絵具が付いていて驚く事があるので、小学生たちはもっと大変なことになっているでしょう

油絵あるある② まだ乾いてないの!?
油絵具の特徴の一つですが、乾くのに多くの時間を要します。私が小学生の際にも、完成して1週間後に持ち帰った油絵に、まだ乾いていない部分があり、持ち帰り中の母の手にベッタリ油絵具を付けてしまい怒られる。という苦い思い出があるくらいです。通常は1週間程度で表面の絵具は乾くのですが、絵具の厚みやその時の気温や湿度によっても乾く速度が異なります。そのため、小学生クラスの保護者の皆さまは、生徒たちが持ち帰った絵も念の為気をつけて頂ければと思います!(アトリエでも持ち帰りの際に乾燥しているか確認していますがその様な時もあります

油絵あるある③ いつ終わるの!
油絵は今も昔も小学生クラスでは珍しい、2ヶ月かけて行うカリキュラムです。どうしても様々な色を作り、点描のように描くやり方は時間がかかってしまいます。私も幾度となくまだ終わらない…..まだ…..という気持ちになっていたのでよく分かりますね。いくら楽しくても何故か早く終わらせたくなっていくので、後半にかけて早く終わらせたいな〜と思い、適当に同じ色で塗ると、もっと色沢山作って!と声が飛んできてしまうのです。ですがその時間がかかった分達成感や完成度の高さが生まれるので、今の私は生徒たちに心を鬼にして檄を飛ばしています。

以上私が思う油絵あるある3点です!
生徒のみんなはあと少しで凄くいい作品ができるから頑張ろう!作品の完成を待つ方々には、日々手を絵具でベタベタにしながら帰っていますが、それだけ時間と手間がかかった分、見た時に思わず驚いてしまう作品になっていますのでお待ちください!
また、今後のブログでも油絵の授業の様子が紹介されます。そちらもご覧ください!

 

木製パネルに水貼りする方法

オバラです。突然ですが、画用紙に水彩絵具やアクリル絵具で絵を描くと、紙がふにゃふにゃになって描き辛くなったり、波打って額に入れて飾れなくなったり、困りますよね。
厚紙ボードもいいですが、枚数が重なると段々取って置くのもかさばりますし、値段も高いです。
木製パネルに画用紙を水貼り→紙が乾くと紙が縮むのでピシッします。 どんなに水分を多くした技法でも紙が歪まず、最後まで綺麗に真っ直ぐな紙で完成します。 ちょっと面倒に見えても、覚えてしまえば意外と簡単にできますよ! ぜひこちらのYouTubeを見て、お試しください!

余談ー30年前はデザイン科の受験に、事前に水貼りしたパネルを持って行ったのですが、最近はボードがもらえるようになったので、デザイン科の予備校でも水貼りの方法を教えてくれない所が多く、上手に貼れないデザイン系の人間も多くなりました。(私は油絵科出身なのでキャンバスを貼る方が100倍上手いです。笑)

1年半の成果


出町 鉛筆

岩田です。本日は出町さんの作品をご紹介します。

こちら人物スケッチなのですが、2021年1月から書き始めました。初めは、外国人が多い。その中でも突然現れる古今亭志ん生、とても味わい深く描いています。

一冊通してみても、上達していることは分かりますが、2冊目になるとそれぞれの人物の特徴を良く表現しています。
中には内容を詰めて描いているものもあれば、そこまで深追いしていないものまで様々。同一人物を3枚描いているものまで。

3冊目は一番最初に描いたであろうモデルをリベンジして描いているものまであります。比較してみても見違えますね。
こうした一つの行為をずっと続けるということは、大変なことであり、同時に非常に価値あること。近作は、人物としてとても自然に描けています。

そんな中でも僕が好きなのは、チャーチルと安田顕。互いに特徴は捉えているものの、やはり近作の安田顕の方が名前を見ずとも誰かは一目瞭然、1年半で確実に進化しているのが分かります。

また新作見せて下さい!

出町さんのYouTubeはこちら