
田中 油彩
大竹です。今回ご紹介させていただくのは田中さんの油彩の作品です。その大きさはなんと15号!美大生ならともかく、趣味での制作としてはかなり大きいサイズになります。アトリエで見ていてもかなり大きく感じます。
手前の煌めく葉っぱの黄緑と、水面の深い青色がまず目に入ってきます。自然の色は目にも心にも優しくて癒されますね。奥にもぼんやりと森の木々が感じられ、上には空が覗いています。この少しだけ見えている空の部分が抜け感となっているので、木々が生茂る森の中でも圧迫感は感じさせません。また、奥の森、中間の葉(左上)、手間の枝(右下)をそれぞれ作る事によって画面の中に広い空間を作り出しています。これにより視線も自然と奥へと吸い込まれていく様です。
葉っぱで隠れている左奥の森の部分も、水面に映る像によって見えてくるのがなんとも魅力的ですね。人が宝石の様なキラキラしたものに惹かれるのは、先祖が水を求めた名残ともいわれており、この煌めく葉や水面の美しさは我々の本能を刺激するものなのかもしれません。
火曜学生クラスが終わった後、翌日の大人クラスの準備の為にこちらの絵を出していると、同じ油彩に取り組んでいる学生達が絵の前に集まり「すごい……どうやったらこんな色が出せるんだろう?」と隅まで眺めていたのが印象的でした。遠くから見ていても、思わず引きこまれてしまう力があるのでしょう。
田中さんはいつもぼんやりとした輪郭を先に描き出し、早くに作品の雰囲気を仕上げています。ある程度全体がイメージに近づいたら、そこから形ある物をハッキリと描いていくといった手順で製作されています。まるで霧の中から少しずつ形が現れていく様な製作過程がとても面白いのです。(お見せできないのが残念です。)この少しずつ色の層を重ねていく作業によって、油絵の持つ特性を引き出し深みと奥行きのある色合いが生まれるのでしょう。