
當山 左/日本画(岩絵具) 右/鉛筆・色鉛筆
寒さ和らぐ日も多くなりました。岩田です。
本日は、土曜日午前クラスの當山さんの作品をご紹介します。
様々な生物をモチーフとして、見ているとどこかゾワゾワしてくるような、或いは気持ち悪さと美しさが同居するような蠱惑的な絵画を制作しています。
今回掲げた作品もそうした雰囲気が封じ込まれているのが見て取れます。
左手は蝉を描いたもの。数年もの間土の中で幼虫として過ごしたのち、地上に出て鳴き声を謳歌する時期はほんの数週間。
木の幹から地面に落ち、やがて風化し土に還っていく。こちらの作品を見ていると、そんな成虫期の命の儚さのようなものまで表現しているのではと感じられてくるのです。
静寂の中で朽ちていく儚さに美を見出す。いわゆる侘びやさびといった日本人の世界観をも作者は表現したかったのでしょう。
右手はカメレオンを大きく画面に取り入れた作品。
一点集中、質感までも徹底して描いています。こちらは蝉の作品に対して非常に大胆な印象を受けます。思わずグっと見入ってしまいますね。
色を使ってそこはかとなく描きこんだ部分とモノトーンで描き放ったところが美しく対比され、當山さんの柔軟な発想が功を奏した作品と言えるでしょう。
色々な引き出しから作品のアイデアを取り出し、一枚の作品へ仕上げていく姿に今後も期待します。










