リアルで印象的な色使い


英保 左/ 油彩 ・ 右/ 透明水彩

土曜日といえば岩田です。

今回は、土曜午前クラスの英保さんの作品をご紹介します。
とにかく様々な視点から描く対象を探しては、油彩、水彩様々に画材を駆使し作品に落とし込んでいく英保さん。風景を元に描いた作品を2点掲載しました。

左の油彩は実際に訪れたポルトガルの風景を描いたもの。
白壁に囲まれた島の中を巡り、路地の一角にある石造りの階段を中心に据えた景色を選びました。
強い日差しによって作られた壁面に美しいコントラストが印象的です。沢山の人の往来によりエージングされたその様もリアルで、空気遠近によって描かれた階段の空間も美しいです。

右はアフリカのサバンナ、テレビの中のワンシーンを描いたものです。
徐々に朝日が昇り、暗闇が彩を増してくる中、豹の群れが活動を始める様を表現しました。
紺色や紫、オレンジから黄色に至るまでの色を上手くブレンドしながら極彩色のグラデーションを作り上げています。
豹達も逆光でありながら、ただ黒を置いた訳でなく微妙な色の対比を作り上げているのを見て取れるでしょう。

英保さんの作品は、どれをとっても色同士の響き合いを大事に描かれているといえますね。

川崎総合科学デザイン科の受験デッサン

大竹です。こちらのデッサンは川崎総合科学のデザイン科を目指す学生のデッサンです。受験日まで約2週間、いよいよ大詰めです!
川崎総合は90分で構成デッサン(一人ずつモチーフが配られ、自分で置き方・構図を決め描く)を描き上げなければいけません。短い時間の中でいかに正確に形をとらえ、モチーフの特徴を押さえつつ沢山のデッサンの中で主張できるものに仕上げられるか?彼等のデッサンを見てみると、まだ形の取りかたが甘かったり、輪郭線が強く立体感が弱くも感じますが、見える物全てを隅々までとらえて描いてやろうとする気迫が感じられます。私も川崎総合の出身で受験期はミオスでデッサン対策をしていたので、毎年この時期になると自分の受験期を思い出してしまいます。自分では今描ける限界まで出して描いているのに、形が狂ってる!色が単純!モチーフをよく見てない!と指導され「なんでー!!?精一杯描いてんのにこれ以上どうすればいいの〜?!」と講評の度に内心頭を抱えていました。しかしその精一杯を繰り返す事で、当時の受験倍率約3倍を乗り越え、今では指導者側に立っています。なので、毎回もうこれ以上描くところはない!自分が見て描ける限界!というところまで描く事が何より大切だと私は思っております。

本番ではこれまで学んだ事を忘れず、穴が開くほどモチーフを観察し、隅々まで妥協せず描写して描き切って欲しいと思います。今年もミオスから新たな後輩が出来ることを願っております!

内側から描く

こんにちは、ホノカです!
今回は小学生クラス1月のカリキュラムであるウマの絵をご紹介したいと思います!

年末の授業でリースを作り終えた子は干支のウシを描いていたのでその続き?と思いきや実は少し違うんです。今回のウマの絵は2月に行うオリジナル動物を立体で作るカリキュラムと繋がっています。今回の授業で骨格から動物について学び、絵を描くことで、オリジナルの動物を制作する時でもリアリティのあるものが作れる様になります!

授業のはじめはノリ先生が作った資料を参考に、種類によって動物の足の形が違うことや、その違いがどの様なメリット・デメリットを持つのかをレクチャーしていきます。

そしてその資料を見てウマの骨格を考えながら下書きを進めていきます。普段、動物や人を描く時には外側の形だけを見て描いてしまいがちですが、今回は内側から考えることで、足の曲がり方や動き方をしっかりと再現できていたと思います。

下書きをした後はそれを踏まえて画用紙にバランスを見ながら頭を描いて首を描いてと進めていき、足の前後関係などなど様々なポイントを押さえながら描き進めていきます。体の立体的なイメージを平面にするのに苦戦していた子も多くいましたが、資料をじっくり見てみたり、自分の指をウマの足に見立てて前後関係を考えたりして、しっかり平面の絵に表せたのではないでしょうか!

最後にクレヨンや色鉛筆で色を塗って完成ですが、そこでも生徒たちは奥の足は体の影になるから暗い!前に進んでいる足は上を向いているから明るい!などに注意して立体感と戦いながら色を塗っていました。

そして、「難しいー!」「分からないー!」という声も多かったウマの絵の完成です!しっかり骨格を意識したのでどれも自然に歩いていたり走っている様に見えませんか?
さて、次回からは今回学んだことを活かしながらオリジナルの動物を作っていきましょう!

大豊作!


大澤 油彩

布団から出たくないですね、一平です!本日は水曜クラスの大澤さんの油絵をご紹介します!

豊かな花々や畑や木々を鮮やかな色彩で描写されています。町というよりも村という雰囲気でなんだか暖かい空気感ですね。色が鮮やかだと、とても綺麗なのですが立体感が捉えにくくなってしまい絵全体が見辛くなってしまう人が多いのですが、大澤さんの今回の作品は色彩、立体感、奥行き、どれを取ってもかなり高いレベルです!鮮やかな色を映させるために影や壁の側面をしっかり暗くしています。木の緑の葉っぱにも緑だからそんなに暗くならないはず…と遠慮せずにガッツリ暗い色を入れていて結果として素晴らしい立体感が出来上がっています。また、奥に行くにつれて少しずつ色のトーンを変えて奥行きを演出したりと「頭では分かっていてもいざやると難しい」的な事がバッチリ出来ています。

今回の作品、ペインティングナイフを使いこなす為に厚塗りの絵を探し模写をしていらっしゃいましたが、色々と掴めたものがあったのではないでしょうか。普段大澤さんは風景を遠目から見ている構図を描く事が多いので思い切って拡大した動物や年季の入ったレンガなどテクスチャ(そのものの質感、風合いの事)が強い物を、今回習得した技術で描いてみるとまた違った角度で発見があると思います!

僕の大学の友人はB2サイズ(515×728)の紙にめいっぱい大きく自分の左手を精密にデッサンしていました。モチーフ自体は見慣れたものですが、とんでもないパワーがあったので『描いているものの大きさを変えて見てみる』、というのは自分の中の引き出しを増やす手軽な方法の1つかも!

どうぶつのかきかた

オバラです。小学生クラスの新年の課題は『動物を描く』です。そこで、見本を見なくても動物が上手に描けるようになる為、『強化訓練★上達の秘訣プリント』を作ってみました。
動物を上手く描くコツはズバリ、骨格を知っていること。
「哺乳類は実は骨格が同じなんだよ。」から話が始まり、動物の歩き方レッスンでは、どうやったら草食動物を食べられるか、どうやったら肉食獣から逃れられるかを実践。最後にはなぜか泥棒ウォーキング講座まで。(そして脱線しまくるいつもの癖で、強盗との違いまでベラベラ話し出すノリ先生…もう動物の種類の違いじゃない、職業?の違いだ。)「人生で3回泥棒に入られて、現場検証されてるからこそ、知っています!語れます!」と、訳の分からない自慢話になって導入が終わりました。

プリントは中高生にも評判です。「馬がスゲー躍動感あるように描けた!」など、好評頂いていますので、大人クラスの方でも欲しい方には差し上げます。どうぞお声掛けください。

透明水彩を極めましょう。


殿山 透明水彩

久しぶりの雨模様の土曜日、岩田です。

本日は土曜午前クラス、殿山さんの作品をご紹介致します。
透明水彩を中心に描き重ねてきましたが、特にそのクオリティーが上がってきています。

画像右、やかんと洋ナシを描いた作品を描いた頃から絵の具の扱いが格段に良くなってきました。
滲みやぼかしといった、絵の具を紙に置いた時に現れる自然の現象を筆で馴染ませ過ぎてしまうと、紙の上で乾いていない絵の具同士が混ざってしまい絵自体の鮮やかさが失われてしまいます。
殿山さんは、そうしたことにご自身が気づき、絵の具、水、紙との関係性に介入し過ぎないように配慮することで、透明水彩の長所を生かした絵が描けてきていると感じていらっしゃることと思います。

例えば、銅製のやかんの色合いを見ても鮮やかさが失われていない上に、その質感がとても自然に表現されているのが見て取れます。
左手の娘さんを描いた作品も、肌に透明感を感じると共に着物もとても華やかに表現されていますね。以前から娘さんの作品は何枚も描かれていますが、こちらの作品の色使いが最も美しいと感じます。

これからもこの調子で、透明水彩を極めていってください。

多種多様なクラス


優 中3 ペン / 愛 高1  切り絵 / 操希 中3 油彩 / 心音 中3 水彩

大竹です。本日は紹介し忘れていた半年以上前の作品です。中3の三人は受験勉強が本格始動する前の時期、高1は受験が終わってホッとした時期に制作しました。
毎回皆で同じものを制作する幼児や小学生クラスと違い、学生・大人クラスは自分のペースで好きなものを制作していますが、学生クラスは特に色々な制作物が入り混じるクラスだと思います。水彩や油絵をやっている子の隣で粘土や紙工作をしていたり、離れたところでは受験生が試験対策のデッサンに取り組んでいたり、はたまた学校の美術の課題を持ち込む生徒もいたりと多種多様なクラスです。この間は川崎市美術展に応募する為の絵を制作していました。額装まで自分でやらなくてはいけないので、のこぎりやトンカチ、クギを持ってと日曜大工のような光景でした。
大人クラスでは1つの作品に長ければ半年以上かけて取り組む方もいらっしゃいますが、学生達の方は完成までの期間が短い印象があります。ペースが早い分色々な制作の過程が見れるので、眺めているだけでも面白いクラスです。何より作品を見たり生徒の子と話していると、自分が学生時代に思っていた事・考えていた事なども思い起こされて懐かしい様なこそばゆい様な気持ちになってきます笑

市美術展の結果も後日ブログで紹介させて頂きますのでお楽しみに!

タブーへの挑戦


佳菜穂 高3 パッケージデザイン

お久しぶりです!水曜小学生クラスをお手伝いしています、カナホです。最近耳が凍えるほど寒いですがいかがお過ごしですか?

さて私事ですが、川崎総合科学高等学校デザイン科の卒業制作展で、なんと最優秀賞を頂きました!自分がやろうとしていることが世間に少しでも伝わった気がして舞い上がりました。
ミオスの生徒さんも見に来てくれたそうで、辛い状況の中、足を運んでくださりありがとうございました。

私は作品展に、生理用品関連のパッケージデザイン提案を発表しました。

私の中で「生理=恥ずかしいもの」というイメージがあります。
生理用品を隠してお手洗いに行ったり、購入する時グレーの袋に入れられたり、異性から「生理?」と言われると嫌な気持ちになったり、会話に出すと気まずかったり……。
「生理だから」を理由に気持ちが沈んでしまう方が多いように感じます。
そんな生理のイメージを変えたくてこんな生理用品を提案しました。
「贈れる生理用品」

初めての生理
パートナーの生理
大切な日の生理
すべての生理に想いを贈ろう。

花柄やピンクといった女性向けのデザインを一新し、どんな人でも気軽に贈りあえるようなデザインを目指しました。
この提案を通して、性別に関係なく誰もが生理に対して前向きな気持ちで考えられる世界になったらいいなと思います。

1年間、0からブランディングデザインをしてみて、本当にこれを見て人の気持ちを動かせるのか?生理用品を発表することは受け入れられるのか?と沢山考えながらデザインの難しさを学びました。
その中でミオスの先生方、並びに支えてくれる友達がいて、本当に心強く人との繋がりを大事にしようと思えた1年でした。

大学生になってからも興味のあること、疑問を抱いたことを逃さずに人の繋がりを大切にしながら、今度は頼られる人として成長していきます。
後輩さん達も悩んだら周りの人達を信じて、沢山頼ってくださいね。ファイト〜!

記憶の中のオレンジ


木村 油彩

メガネを買い替えました、一平です!本日は日曜クラスの木村さんの油絵をご紹介します。

屋形船が数隻停泊している情景を切り取った一枚。オレンジ色の風景が小学生の頃の遊びから帰ってくる夕方を思い出させ、ノスタルジックな気分に浸らせてくれます。そのような記憶を揺さぶられる温度や色彩、時間というものが人には色々あると思いますが、木村さんの今回の絵はかなりの大多数の人に「なんだか懐かしい」と感じさせられる暖かく優しい雰囲気に仕上がっています。(少なくとも僕はそうでした。)

先程オレンジ色と書きましたが、実はオレンジ色は船と奥の橋以外にはほとんど使われておらず、絵の中でいうと水面の深い青や木々の緑の方が面積的には大きいです。ですが、ここまでオレンジ色の風景に感じられるのは手前の水面の揺らぎにオレンジ色などの暖色を反射光として入れることで、水面の青や緑を使いつつも全体の絵の雰囲気を暖かい風合いに見せているのです。水面に漂っている右下のサインもユーモラスで素敵ですね。どこを主役にするのか、そしてその主役を目立たせるためにはどうしたら良いのか。構図を変えるのか、いらないモチーフを切るのか、色で魅せるのか。その辺りの勘所が木村さんは毎回素晴らしいです!

僕は写真を参考に描いていると、「これ結局絵よりも写真の方が良くない…?」と自分の描写力に嘆きがちなので、木村さんの油絵の特性を引き出しつつ元の写真に縛られすぎない感じに憧れます!クヤシイ!

美術系高校進学

オバラです。今年は美術系高校へ進学希望の中3が7名在籍しています。川崎総合科学デザイン科受験予定5名、女子美術大学付属高校受験が2名。今年は割と多いですね。

希望者に最初に言う言葉は、「最終目標が美大進学であれば、美術系高校にこだわりすぎる必要はない。逆に大学はデザイン科以外の学部に行きたくなったら、高校の課題はデザインばかりで自分の希望の科の制作をやる暇はなく、目標大学に合格し辛くなる可能性もある。それでもチャレンジするか!?」という覚悟を決め腹をくくらせる誓い(呪い?)のセリフ。
26年間のうち何人かは、浪人して苦労の末に美大に行ったり、一般大学に進路変更したり、高校を中退しています。美術高校にさえ行っていなければ、もっと効率良く大学受験勉強をして、最短距離で人生設計ができたのです。
そういうリスクをきちんと説明して、本人に納得させて選ばせないといけません。
今年もそんな覚悟を持った学生達が、毎日切磋琢磨しております。

たかだか14~15年しか生きていない中学生が受ける高校入試に求められるのは、生まれ持っての絵のセンスではありません。(そんなものありません。)
時間を掛けただけ、枚数を描いただけ、誰でも身につけることのできる基礎的な画力です。
課題を的確に読み解く国語能力、出題者の意図を探る心理学、実力に見合った時間配分、満点の構図、質感・固有色・遠近感に見合った鉛筆の選択・使うタイミングなど、鍛えなければならない事は山ほどありますが覚えてもらいます。
そうでなければ、例えば「5点足りなかったから不合格だった」というのが、運が悪かったで片付けられてしまうからです。勉強のテストと同じように、5点もらえない理由は明確にあります。

常に頭を使う癖を身に付け、「合格したい!」ではなく、「誰よりも上手くなりたい!常に最高の答えを出したい!」という気迫が絵から伝わってくるように、残り少ない受験勉強期間、死ぬ気で描かせます。