がっつり?じっくり?


植松 油彩

寒さに加え花粉も飛び始めたようで絶叫しています、一平です!本日は日曜大人クラスの植松さんの油彩をご紹介します。

写真集から気に入った一枚の写真を見付けて油絵を描かれる事が多い植松さん、プロのカメラマンは何故この写真を撮影したのか?から始まり、どんな場所なのか、どこから光が指しているのか、季節は?時間は?空気は?と丁寧に写真を読み解いていきながら絵を描いておられます。
こうして三枚の絵を並べてみると、水面や植物に当たる光の美しさや、建造物と自然物の質感の差など素晴らしい点がたくさん挙げられます。絵を見た人になんとなく、夏の日中、秋の日が傾き始めた夕暮れ、冬になりかけた季節の夜、など日時を感じさせる色彩も素晴らしいですね。

三枚とも通常目にする真横から見た構図=つまり大人が立ってカメラを構えた視点です。また特筆すべき共通点は、全てが真正面=水平にメインのモチーフが来ること。この真横から、そして真正面からの見え方は一般的ではありながら、奥行きが出しづらく平面的な絵になりがちですが、左の絵は滝の上に落ちる木の影、中央の絵は障子の奥の暗闇+縁側の上面で光を確保、右の二重橋は奥のお城(伏見櫓)や木の並びの見え方で奥行きを演出しています。光が当たっている部分と影が落ちている部分を明度差を変えながら交互に置く事で、遠近感を出す事に成功しています。
時間や場所によって臨機応変に伝え方を変えていく、植松さんの観察眼の賜物ですね。

自分の感情をぶつける事はもちろんですが、自分で選んだモチーフに対して静かにじっくり向き合ってみる。そういった植松さんのような姿勢も力が身につく方法の1つですよ!

どっさり素材を使って~鬼の顔~

昨日今日は暖かな日でしたね。暦の上では間もなく立春。2月3日の節分ももうすぐですね!今週の親子クラスでは、節分に向けて『鬼の顔』を制作しました。教室に入ると目の前の壁には、色とりどりの鬼の顔のベースとなるのっぺらぼうのお面がたくさん!!そして、制作に使う材料が盛りだくさん!!ベースのお面と材料を眺めているだけでも、何ができるのかなぁと親子でお話しながらワクワク楽しそうです!
のっぺらぼうお面は、色も形も様々なので、どれを使おうか迷ってしまいます。色で選ぶか?形で選ぶか?

ベースの形が決まったところで、次はどんな表情・性格を表現する顔にしたいか、絵本「かお かお どんなかお」を読んで、鬼のイメージをつくっていきます。今回準備した材料は、マカロニ・どんぐり・松ぼっくり・紙テープ・モール・ペットボトルキャップ・端布・フェルト・毛糸・バルサ材・スチレンボード・ダンボール・色画用紙です。顔のパーツの特徴をいかす素材は、何かな?異素材を重ねて貼ると、どうなるかな?切ったり、貼ったり、クレヨンで描いたり、、、思いがけない楽しい顔にどんどん変身!特に素材の使い方が面白いなと思ったのが、金色マカロニで作った歯とまつげ。そして、バルサ材を小さくカットしたものをぎっしり口に貼ることで、歯並びがとても美しい鬼に。

制作したお面はとても大きいので、かなりの迫力です。節分当日には、この鬼のお面なら豆を投げられても大丈夫そうですね!(Eri Ito)

藝大への挑戦


『切先』 藍 高2 油彩

今日は雪交じり、オバラです。19、20日はセンター試験でしたが、この日も雪でしたね。私が共通一次試験を受けた時も雪、寒い試験会場へ馬鹿正直に制服を着てくる現役生を「こいつらアホだな」と横目で見て、自分の頭の悪さを棚に上げ安心していたのを思い出します。

さてこちらの作品、神奈川県高校美術展で奨励賞を授賞しました!
正直、人体のバランスがメチャメチャ、椅子との関係もおかしい、とデッサンの狂いはかなり気になりますが、高校2年生でここまで油彩を自分のものと使いこなせているのは素晴らしい。また自分自身の内面への、この切込み方は魅力です。背景は敢えて上下ど真ん中で白黒に分け、後ろに置いたパネルの柱を脳天に突き刺さっているが如く配置、中央に頭が来るように工夫を凝らした足のトリミングも危うさに拍車を掛け、不安定な17歳の象徴そのものに見えます。
まだ成長過程の未完成な自分を、細い肩・尖った膝で強調しつつ、『切先』つまり『視線』だけは一人前の男の強さで自分以外のものを拒絶もしくは排除するように、こちらに向けて来ます。しかしそれは、未熟な自分を奮い立たせ、屈する事のない精神力をあたかも持っているかのように己に暗示を掛けようと、自らに向けられた『覚悟の切先』なのです。

1年前の自画像から比べると、絵作りの試行錯誤を苦しみながらも楽しんでいると見受けられます。これなら日本で一番受験倍率が高い藝大美術学部絵画科(とは言っても最近は20倍程度に下がっています)も門前払いにはならず、受験する権利位は得られたかなと思います。
私も高2の時に描いた自画像(藍とは逆の、にらめつけながら見上げる構図)が、東京都高校美術展で奨励賞をもらったのを思い出しました。当時は「美大受験しない人達も出品してるんだから、入賞なんて当り前じゃん。」と思っていましたが、藍にもその位の気概と生意気さでこれからも精進していって欲しいです。

オマケ  ちょっと話は逸れますが、私も藍も藝大受験をテーマに描いたブルーピリオドという漫画が好きでよく話をします。他のスタッフや生徒さんにも広めているのですが、スタッフで一番若い大学2年の一平先生は「読むと高校時代(研究所時代)のつらい記憶がよみがえってきて頭痛がした。とても一気には読めなかった。」と言っています。(受験から35年も経っている私ですら、当時の苦しみが思い出され吐きそうになりました。)しかし美大受験のあるある話を一般の人が読んで楽しいのだろうか?と思いましたが、2019年のマンガ大賞に選ばれていて不思議。とは言え読んだ人が藍のこの絵を見ると「ああ、これか!」キューンと来ること間違いなし!

赤い頬とブラウンヘア


野中 油彩

今夜は雪になりそうですね、大竹です。
今回ご紹介させて頂くのは野中さんの油彩の作品です。花飾りの付いた帽子をちょこんと被ったブラウンヘアの可愛らしい女の子、野中さんにとってはお孫さんのように思える年頃でしょうか。赤味の強い頬が子供らしさを感じさせます。小学生の時、いつも顔が真っ赤なのであだ名が「りんごちゃん」だった女の子の事を思い出しました。この頬の膨らみも何度か描いては修正、描いては修正を繰り返して幼児の丸い輪郭に近づけていきました。フワッとした柔らかそうな髪の毛の質感もよく表現されていますね。俯きながら微笑する姿が見る人の想像を掻き立てます。

しかし今回は、メインの少女以上に背景作りに悩まれていたように見えました。最初はもう少し無機質な、コンクリートのようなグレーだったのですが、青味を足して全体に少し彩りをプラスされていました。これにより少女の服の赤や、光の色がより綺麗に見えてきます。特にだんだんと薄くなっていく光のグラデーションは見事です。何度も手直ししていると、どうしてもそこばかりに集中して部分的に見てしまいがちですが、野中さんはしっかりと全体の色合いのバランスを見る事が出来ていますね。現在制作中の人物画はまたガラリと雰囲気の変わったものになりそうで、今から楽しみにしております。

全く違う世界観を作り出す。

長沼 油彩

寒い日が続きますね。岩田です。

本日は、水曜日夜のクラスに在籍されている長沼さんの作品をご紹介します。

サバンナで暮らしているような動物たちをモチーフに力強い色彩で迫ってくる長沼さんの作品群。活き活きとした栄気がみなぎっています。
どの作品を見ても長沼さんならではの独特の佇まいを有しているのですが、感心するのはどれを見ても同じような色使いが一つとして無いというところです。

パレットに置いた絵の具を感覚的に使っていると意識的に絵の雰囲気を変えているつもりが、あまり変わらない色使いとなり、結果的に同じような絵になってしまうことが私なんかは多々あります。
しかしここに掲載した作品は、一貫した作風でありながらどれも全く違う方向性と世界観を示してるのです。

例えば同じように象を描いた作品でも、左上のものは赤く塗られた象と背景がヴィヴィッドな色でまとめられ、現実と乖離した異空間の中に迷い込んだようにも見えます。それに対して右下のものは、夕闇の中を一団の象の群れがこちらに突進してくるような現実の風景として捉えることもできるでしょう。

長沼さんは、絵具を素材に描くことを心から楽しんでいらっしゃるのではないかと思います。

人物クロッキー会

新年最初の人物クロッキー会のお知らせです。女子大学生にモデルをしてもらう予定です。

画材は各自でご持参下さい。(画用紙-特厚シリウス紙は四切100円・八切50円で販売もしております。)鉛筆はB以上の柔らかめの鉛筆を数本、消しゴムは練りゴムを準備する事をお薦めします。スケッチブックはお好みの紙の質で構いませんが、20分×5ポーズですので、それなりの枚数を描く事を想定して選んで下さい。同一ポーズでじっくり描き込む内容ではありませんのでご注意ください。サイズはあまり小さいと、人形や漫画を描いているような仕上がりになってしまいます。B4以上の大きさが望ましいでしょう。

座りポーズ・寝ポーズ・捻りの効いた立ちポーズなど、ご希望がございましたら伺います。(ご希望に沿う事が難しい場合もございます。)筋肉や骨格を観察しパーツで描写したり、全体のフォルムを描いてみましょう。人物画に慣れていらっしゃらない方は、あせらず、例えば手だけをじっくり観察しスケッチするだけでも勉強になるはずです。
基本的に自由に描いて頂く授業ですので指導・講評はいたしませんが、アドバイスをご希望の方は、お申し出頂ければモデル休憩時間に拝見させて頂きます。
美術を勉強中の学生や、外部の方でもご参加頂けますので、どうぞ多くの皆様のご参加お待ちしております!

日時   2月1日(土) 16:00~18:00 (入室は15分前より可能です。)
参加費 1500円 (ミオス生徒 1000円)
持ち物  スケッチブック、画材etc (イーゼル、画板、イスなどはご用意してあります。)

新春カルタ大会?大乱闘?

アサヒです。小学生クラス新年初週の授業ということで、カルタ大会を開催しました!

小学生総勢25人で50音のカルタの絵札、読み札を作ります。「何にしようかな」と1枚を大切に仕上げる生徒さんもいれば、国語が得意なのか、すらすら2枚、3枚短時間で作り上げる生徒さんもいました。5文字だけの読み札も、5・7・5で川柳も。性格が出ていて面白いです。

鉛筆やサインペンで絵を描いたら、色鉛筆で色を塗って完成です。みんなでカルタ大会をしようと広げたところ、それはイロハカルタというよりもはや闇鍋。お花、ゲーム、アニメ、漫画のキャラクター、楽器……お正月というテーマはそっちのけで(もちろんおもちや除夜の鐘など新年要素が濃いものもありましたが!……多少)思い思いのカルタを作れました!みんなの好きなものが集まった多様性もさることながら、柔軟性には驚かされます。「カルタってこんなもの、こうあるべき」という固定概念に引っ張られない自由さを感じました。

カルタは日本文化の一つ。新年の遊びといえば凧揚げ、羽つきと並んでポピュラーな遊びであるカルタ。今ではもう昔遊びのカテゴリーになってしまうのでしょうか。読み札に教訓、ことわざが含まれていたり、絵札の絵が版画で味があったりして、結構好きだったのを覚えています。今回の生徒さんたちのように、読み札をなくしたり、絵札をなくしたりしたら、自分のオリジナルカルタを作ってみるのも面白いですよ!!

澄んだ空気感


菅原 油彩

寒すぎて朝早くに起きてしまいます、一平です!本日はチケットの菅原さんの油彩をご紹介します。

場所は菅原さんの地元の山形県の湯野浜海岸と鳥海山だそうです。手前の波、真ん中の建物、そして奥の山の奥行きの澄んだ空気感の表現が、わざとらしくなく自然に目に入ってきてとても素晴らしいです!立体感を失いがちな波の表現もハイライトを上手く駆使して手前でも見劣りしないクオリティになっています。空気遠近法を駆使した奥の山も、海・空の青同系色に溶け込みながらここまで自然に見えるのに、存在感が薄いわけではない、絶妙な表現です。

中央の建物群の中には菅原さんのご実家も隠れているそうです。見慣れた風景なので少しの違いですぐ違和感が生まれてしまうのを丁寧に修正されていました。
僕はまだ菅原さんと出会って1年経っていないくらいですが菅原さんはとても安定している、という印象があります。どんな題材に対しても「うーん、どう描こうかな〜?」とゆったり考えて、きっちりとクオリティを出してくれます。
提出期限なんてものはもちろんアトリエには存在しませんが、なんとなく菅原さん自身で期限を設定し、そこに向かって丁寧にやっているような、しっかりとプロセスを積み上げていく絵を描く方だなぁと感じます。
そしてちなみに菅原さんは昨年の展覧会でパンダとレッサーパンダを色鉛筆で描き、子供たちの票を大量にゲットしてお手紙ランキングで見事二位を獲得したミオスの猛者です!あんなに繊細な色鉛筆の使い方や、この絵のような澄んだ空気感を油彩で魅せてくださったりと、今後の菅原さんの表現の幅が広がっていくのが楽しみで仕方ありません!

皆さんも普段慣れた道具から使ってみたことがない道具を使ってみると新しい発見がたくさんあるのでは、と思います!

小学校受験保護者向け・指導者講座

外部の方もご参加可能な【小学校受験指導者講座-小学校受験をされるお子様をお持ちの保護者様・幼稚園や塾の先生対象】の講座のお知らせです。

今回は当校自慢の割りピン人形を使っての講習となります。
丁度1月の終わりに『新年長対象の受験クラス』で、割りピン人形を作るカリキュラムが組まれていますが、この指導者講座でも園児達と同じように割りピン人形を作って頂きます。漫画家が使う球体人形のような立体は、三次元を二次元にしなければならず混乱してしまいます。この平面の割りピン人形は、二次元から二次元なので、スムーズに平面絵画に結びつけることができます。複雑な動きのある人物画の描き方を練習し、人形を見なくても描けるようになれば自信が持てるようになるでしょう。

①作業効率を考えた制作
厚紙に印刷されたバラバラの体のパーツを切り取る時は、切る順序やそれを組み立てる前に、置いておく場所にも注意を払う必要があります。プラモデルを作ったことがある方ならピンとくるでしょうが、考え無しに切り始めたり、ぐちゃぐちゃにまとめて置いてしまうと、組み立てることは大変難しくなります。
無駄な時間が掛かってしまったり、必要なパーツがゴミと交じり捨ててしまうことのないよう、机上整理は作業効率をアップさせる為に大切だということを感じて頂きます。

②人形を使った絵画
次は作った人形を使い絵画に発展させる方法や、お子様へのアドバイスの仕方、良く間違えるミスをアドバイスさせて頂きます。

日 程:2月18日(火)
時 間:10:30-11:30
対象:小学校受験予定児の保護者(幼児教室などの絵画指導者も受講可能)
参加費:5,000円
持物: 作品を持ち帰る為の袋

<お申し込み方法>下記の必要事項を明記の上、メールの件名を「指導者講座申し込み」として、e-mailアドレス(mios@ace.ocn.ne.jp)へ送付してください。お申し込みの確認とご受講料(5,000円)のお支払い方法を返信します。
☆必要事項 ①ご受講希望日 ②参加者氏名とお子様の年齢(保育・絵画指導者の方は、お子様の年齢の代わりに、ご職業をお書きください) ③住所 ④電話番号

色彩の妙

今日は雪模様。岩田です。

今回は、土曜午後クラスに通われている奥さんの作品を一気にご紹介します。
前回の個展終了後から、少なくともここに掲載している作品群以上のものを制作されている奥さん。本当にパワフル且つエネルギッシュに活動を続けておられます。

その対象も、「ジャンル」などというちっぽけな言葉にはおおよそ縛られることなく、動物から人物、静物に至り、どんなものも奥さんの手に掛かれば、その世界の住人となっていくのです。

今回は取り分け、動物と人物の作品を並べてみたのですが、色使いの妙というか、良くこれだけ様々な色彩を用いながらも一つの作品にまとめ上げているなあと。それは感心を通り過ぎ感動の域にまで達していると言えるでしょう。

動物を描いた中で、私が最も好きなのがイノシシの作品。比較的小さい画面だと記憶していますが、それだけに細部に意識が届いていると感じます。絵の具の乗りも良く、質感も美しいと感じています。
人物で言えば、上段中央のボブデュランを描いたものでしょうか。彼独特の髪の毛の印象が何とも軽やかに描かれ、背景と人物の関係も明快で見やすい作品です。

これからもその情熱を筆先に伝え、多くの作品を紡がれていくことを望んでやみません。