光を読む。


箕輪 岩絵具 / 日本画

本日は、土曜日午前クラスの箕輪さんの作品をご紹介します。
土曜クラスの方々は、夏に何名かが揃って日本画をスタート。皆さん、最初は慣れない材料や描画法に戸惑いなどもありましたが、岩絵具の特質を徐々に把握しながら面白い作品を制作されていきました。

箕輪さんは朝顔をモチーフにされました。濃淡を活かした背景に紺色の花が映えています。ツルもバランス良く配され、そうした構図取りにも箕輪さん独自のセンスが感じられます。
何枚かある葉に強弱をつけて描き分けている分、それに伴いツルの中にも背景に溶け込むところやそれとは逆にコントラストをつけるところを作り、前後関係を明瞭にしても良かったでしょう。

平面上に3次元的仮想空間を構築するには、一方向から差している光を設定することがキーポイントです。以前私が行った勉強会でも花単体を描く時に光の設定の話をしましたが、今回のようなツルを描く上でも大変重要な事柄なのです。

そういう意味では、箕輪さんが現在取り組んでいる石膏デッサンは、ものに光がどのように当たっていて、それによってものがどのように見えるかを観察する良い機会です。「光」を意識し対象を観察しましょう。

この少女の未来は?


野中 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは野中さんの油彩作品です。

灰色の雲が青い空を覆い、遠景の草木は少女を囲むように生えており、ひそひそと囁くように揺れています。いびつに伸びた葉のない木は片側が切り落とされ、その木には白いワンピースを着た少女がしがみつき、見る人の心の底の不安を掘り起こすような不穏な雰囲気が漂っています。
絵画や映像では基本的に右が過去、左が未来というように画面上に時間軸があり、左から右へ時間が流れていきます。今回はこの法則を野中さんの作品に当てはめ、この少女に想いを巡らせてみましょう。

大きな木は画面の右側、過去に置かれています。更に切り落とされた太い幹も右を向いており、過去にあった何か大きな出来事が忘れられているか、断ち切られたのでしょうか。過去のものである木に少女はしがみつき、身を預けています。少女にとって大切なものか、頼りにしているものの象徴なのかもしれません。少女の白いワンピースも右にたなびいており、彼女の気持ちも過去に向いているのでしょう。白いワンピースは純粋無垢、子供らしさを感じさせます。
少女がしがみつく先の木の枝は葉もなく頼りなさげですが、左側の未来の方向へ伸びています。怪しげな雲行きも、よく見ると左側はチラリと青空が覗いていますね。もしかしたら、この少女の未来には明るいものが待っているのかもしれません。少女はまだ過去を向いていますが、枝の指す方へ振り返り駆け出していけば、きっと画面の先に広がっている青空を見る事が出来るのでしょう。

不穏な絵に見えて、実はすぐそこにある明るい未来を予感させる一枚なのかもしれませんね。一枚の絵の美しさや絵の具の表情を楽しむ他に、描いてあるものが何を表しているのかを考えるのも鑑賞の楽しさの一つでしょう。(要は妄想ですね)みなさんには、この少女はどのように見えましたか?

おやこ・夏のワークショップ 7月

ナント!親子クラスのブログが1ヶ月ぶりとなってしまいました!スミマセン!78月中授業がお休みで記事がなかったのでははなく、逆に夏のワークショップが一番多かったクラスでした。1ヶ月半に渡って行われた5回のワークショップが、今週で全て終了しましたので、まとめてご報告させていただきます。ご参加いただいた親子の方々ありがとうございました。

本日ご紹介するのは、7月のワークショップ2回分です。写真上段は、723日開催の『ビー玉とボールでコロコロアート』の様子です。大きな段ボールの中にボールを入れて、上下左右に揺らしたり傾けたりすると・・・。転がっているボールには、絵の具がついているので、コロコロと転がった場所に絵の具の跡がついて、長い長い色の線ができます。ボールを床に落とさないように慎重に転がしながら、偶然にできた絵の具の線を楽しみました。お友達と一緒に制作するので、赤・青・黄色の線がたくさん混ざって、だんだん色数が増えてきれいな模様になってきました。

次は、個人制作に移ります。今度は、お菓子の空き箱にビー玉を入れて、箱の中でコロコロと転がしてみます。こちらも先程と同様に、ビー玉に絵の具が付いています。ビー玉をポトンと落としたときに出来る模様はまるで花火のようです。スピーディーに転がる玉は、シャープな線に。ゆっくり流れるように転がる玉は、ゆらゆら波のような線に。箱を傾けるちょっとした感覚の違いで、様々な線ができました。きれいな線模様は、箱の表面にコラージュして、宝箱の完成です!!

こちらの写真は、730日開催の『リズムでポンポン!』の様子です。親子クラスでは、普段の制作中でも音楽をかけることがよくあるのですが、この日はリズミカルな曲に合わせて、ダイナミックに絵を描きました。ペットボトルの表面にシールを貼ってデコレーションします。そしてその中にどんぐりを入れて、元気よくシャカシャカとペットボトルを振ると、マラカスのできあがり!マラカスの底面に絵の具をつけて、打楽器のようにリズムをとって、模造紙にポンポンとスタンプします。絵の具遊びとリズム遊びが同時にできるマラカスですね!(マラカスの底面には、プチプチ梱包材を付けたので、スタンプしたときの模様も素敵ですよ!)大きな紙なので、あっちでポン!こっちでポン!大忙しのスタンプ遊びでした。

の具遊びの最後は、もう恒例ですね!もちろん、手も足も絵の具だらけ。こういう制作は、汚れを気にしていたら楽しめませんからね。絵画教室ならいくらでも絵の具まみれOK!最初は、手に絵の具が付くことが嫌だったお子さんが、今では誰よりも率先して、手足に絵の具を塗って得意げな表情を見せてくれます。まだ2歳だから無理かなぁと心配なお母様もいらっしゃいますが、今日ご紹介した作品のように、遊びながら制作が進んでいく内容も多くありますので、ご安心ください。体験授業は随時受け付けておりますので、お問い合わせ下さい。(Eri Ito)

人物画クロッキー

外部の方もご参加可能な人物クロッキー会です。9月は女子高校生にモデルをしてもらう予定です。

画材は各自でご持参下さい。(厚口画用紙-特厚シリウス紙は四切100円・八切50円で販売もしております。)鉛筆はB以上の柔らかめの鉛筆を数本、消しゴムは練りゴムを準備する事をお薦めします。スケッチブックはお好みの紙の質で構いませんが、20分×3ポーズですので、それなりの枚数を描く事を想定して選んで下さい。同一ポーズでじっくり描き込む内容ではありませんのでご注意ください。サイズはあまり小さいと、人形や漫画を描いているような仕上がりになってしまいます。B4以上の大きさが望ましいでしょう。

座りポーズ・寝ポーズ・捻りの効いた立ちポーズなど、ご希望がございましたら伺います。(ご希望に沿う事が難しい場合もございます。)筋肉や骨格を観察しパーツで描写したり、全体のフォルムを描いてみましょう。人物画に慣れていらっしゃらない方は、あせらず、例えば手だけをじっくり観察しスケッチするだけでも勉強になるはずです。
基本的に自由に描いて頂く授業ですので指導・講評はいたしませんが、アドバイスをご希望の方は、お申し出頂ければモデル休憩時間に拝見させて頂きます。
美術を勉強中の学生や、外部の方でもご参加頂けますので、どうぞ多くの皆様のご参加お待ちしております!

日時   9月7日(土) 16:00~18:00 (入室は15分前より可能です。)
参加費 1500円 (ミオス生徒 1000円)
持ち物  スケッチブック、画材etc (イーゼル、画板、イスなどはご用意してあります。)
お申し込みはお電話でお願いします。当日のお申込みでも参加可能です。
044-411-1600

手で考える


出町 木版画(一版多色刷り)

今、父方の祖父母の家に来ている一平です!
本日は日曜日クラスの出町さんの木版画をご紹介します。
般若の青白く恐ろしい形相が、背景の鮮やかな色合いと面白いマッチングを見せてくれています。全体的にくすんだ感じが逆に絵の雰囲気をより強く醸し出していて怖いけれどもっと見たくなる、とても面白い作品です。

原版となるものは同じなので一見同じ絵が並んでいるように見えますが、こちらは膨大なトライ&エラーの繰り返し!よくみると色が鮮やかなものや、顔のほりが深いもの、背景が鮮やかなものなど様々なパターンがあります。

「正直、どれも似たようなものじゃないの?」と思った方、違うんです。一回刷って「なんか違うもしかしてこうか?」と考えていく事がとても重要なのです。たとえ1番最初に刷ったものと100枚目にようやく出せたこだわりの1枚が最初のものと全く一緒だったとしても色々試した98枚は全く無駄ではありません。それは自分の答えに近づくための98枚であり、これからの自分の作品へのどこで筆を止めるべきか、ここにどんな色を使えば映えるのか、など判断基準を作ってくれます。そういう意味で出町さんのこの様々なパターンは今回だけでなく、これからも活かされていくでしょう!

なので頭で考え過ぎるのではなく、ある程度のところでとりあえず手を動かしてみる、という事はとても必要だと思います。
絵を描く人にとっては手の方が脳みそに近いでしょうしね!

様々な色を取り合わせて


河内 岩絵具(日本画)

岩田です。ようやく日射しも和らいできました。

本日は、土曜日午前クラスの河内さんの作品をご紹介します。
花が密集しているだけに、大変細かい描き込みが必要となるモチーフですが、日本画の題材としては巨匠と言われるかつての御仁たちもその美しさに魅かれ、絵に描いているのを良く見かけます。

河内さんの作品も梅雨から初夏にかけて旺盛に咲き誇っているその姿を美しい色合いで表現しています。一つ一つの額の中にも中央から外へと向かって濃淡を上手く作って描いているのを見てとれます。
浅葱色、濃紺といった同系の色を取り合わせた繊細な描き込みは河内さんならではでしょう。又、花だけではなく葉に使われている色も赤みを帯びたものから背景の緑青色まで、所謂緑といわれるような中にも様々な色を取り入れているところも見逃せません。

紫陽花という花は、一度描いただけでは中々一筋縄にはいかないものでしょう。是非今度は違う描画材でも描いてみて欲しいです。

こだわりの絵

綱島 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは綱島さんの作品です。

左の絵ですが、こちらはこれで完成!と写真を撮って持ち帰った後、翌週に「やっぱり気になるところがあったので描き直しました!」というのを45回ほど繰り返されたのち、ようやく完成されたこだわりの一枚なのです。一つ一つの作品を終わった後も愛してあげているのが絵から伝わってきますね。絵の具の粒が集まって風景を形作る様な筆使いも魅力的です。ラベンダーの花や地面の草の部分も、何度も色を重ねて調整した事で深みのある色合いになっています。穏やかな風景ながらも、存在感のある一枚です。

右の海の絵は逆にあまり沢山色を乗せずに仕上げてあります。水平線に続く海と眩しいくらいの白い雲がたなびく青空の広がりを感じさせます。ぽつぽつと受かぶヨットも可愛らしいですね。自然の青色の中に人工物の黄色やピンクがアクセントにもなっています。手前の人物もすごく小さく描かれているのですが、海を楽しむ男女の様子がよく伝わってきますね。少ない手数で人間の身体の感じをよく捉えられています。ターコイズブルーの海の色合いも美しいですね〜!光が当たってきらめいてる部分や、底が深い部分の暗い色合いが上手くマッチしています。私はバリバリのインドア派ですが、こうした美しい海の絵を観ていると浜辺に遊びに行きたい気持ちが湧いてきます!

小原グループ展のお知らせ


小原京美 墨・透明水彩・絹本

小原です。2週間前に個展が終わったばかりですが、火曜日からグループ展に参加しております。
10人での展覧会ですので、3枚程しか出品しておりませんが、お時間都合付きましたらお立ち寄り頂ければ幸いです。
私は明日の金曜日オープンから17:00まで在廊しております。

『チョイ 怖い絵展 Ⅱ』
人間には感動が一番尊いことで、無感動な人間ほどつまらないものはない。人間の進歩というものは、インスピレーションや感動から始まる。とは安岡正篤氏の言葉ですが最近、目に見えぬ怖い絵に心をワッシと掴まれてしまった。以来、鍛錬陶治し、感動していただければと、集めてみました。是非ともご高覧賜りますように。

[会  期] 2019年8月20日(火)〜29日(木)※日曜休廊
[時  間] 11:00〜18:00 (最終日 16:00まで)
[会  場] あらかわ画廊 東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビル3F
       有楽町線 銀座一丁目駅 出口10番11番より徒歩1分
       銀座線 京橋駅 出口2番より徒歩2分

聖母子像を画く、皆さまへ


永瀬 油彩

どうも幸介です!お盆休みも終わり、季節も夏から秋へと切り替わりのタイミングになりました。続く酷暑で夏バテ気味で、さっさと秋になってくれという気分ですが、皆様お元気に過ごされていますでしょうか。

さて、本日ご紹介するのは大人クラスより永瀬さんの作品。生まれた頃のご長男とご自身の写真をモチーフに制作されました。永瀬さん独特のグレイトーンやアースカラーを感じさせる落ち着いた色合い(しかし決して地味ではなく豊かな色幅)や、ガーゼのように重ねられた筆使いが、人肌の温度や赤ちゃんの匂いまで伝えてくれます。
陰影はクッキリと描かれずに、立体感を追うタッチではありません。しかし永瀬さんの作品にはいつも人物の存在感や息づかいまでが描かれいます。すべて統率の取れた色彩ではなく、細部に濁るように使われた補色(肌の部分の緑など)がその魅力の理由でしょうか。今回の作品では手が特に素敵ですね!デッサンだけ見ると写実的ではなく少し不安定なようですが、柔らかいものに添えるしなやかな手が、すごく良いなと感じました。

永瀬さんのコメントは、
「聖母子像というのはきっと母親になった女性には描けないと思います。神聖化して絵の題材にできるのは、客観的にしか子育てに関わらず毎日の慌ただしい現実を知らない男性が描くものではないでしょうか?でも、母親にだって生まれた時は子どもに対して確かに果て無き純粋な愛情があったのです。それを思い出す意味も込めて取り組んでみました。」
と、暖かな画風に反してやや重いテーマ。そして、その言葉を聞いて、ハッとさせられました。今まで散々聖母子像など目にしてきたつもりで、アトリエなどでも散々親子の姿を見て来たのに、そんなこと気付きもしなかったです。いまだに子どものように好き勝手生きている僕は、一生その域には達せなさそうです。

今まで永瀬さんの作品は、少し抽象的な表現の作品を目にすることが多かったので、今回のようなストレートにモチーフと想いを描いた絵は新鮮に思います。そして、今までとは違った側面の永瀬さんの性格が見えたように感じます。日々の小さな気づきから、人生・死生観まで足を伸ばすアイデアは、自身を表現する手法として興味深いですね!あと、ちょっと皮肉めいたブログタイトルにしたこと、永瀬さんは許してくださいませ!!

小学校受験 指導者講座

小学校受験を控えるお子様をお持ちの保護者様、塾やお教室などの先生が対象の『指導者講座Vol.14』です。まずはバランスの良い人物の描き方を学び、その後、受験で他のお子さんと差が付くクオリティ、テクニック【多人数を構成させる人物画】を勉強します。

例えば、短時間でもう一人画面に加えるには、紙の端に見切れるように、頭の半分を入れます。(最初に頭を入れることにより、続きが描きやすくなります。)
この見切り人物の描き方を覚えれば、短い時間で人数を増やすことが可能になります。
また、近景・中景・遠景にそれぞれ人物を配置するコツをお話ししますので、実際に描いてみましょう。

日 程:9月 17日(火)
時 間:10:30-11:30
対 象:小学校受験予定児の保護者(幼児教室などの絵画指導者も受講可能)
参加費:5,000円  持物: 作品を持ち帰る為の袋    ※お子様の参加は不可

<お申し込み方法>下記の必要事項を明記の上、メールの件名を「指導者講座申し込み」として、e-mailアドレス(mios@ace.ocn.ne.jp)へ送付してください。お申し込みの確認とご受講料(5,000円)のお支払い方法を返信します。
☆必要事項 ①ご受講希望日 ②参加者氏名とお子様の年齢(保育・絵画指導者の方は、お子様の年齢の代わりに、ご職業もお書きください) ③住所 ④電話番号