吸収と拡散

麻場 油彩

土曜日は岩田がお届け致します。

今回は、土曜日午前クラスの麻場さん。油彩を描き続けている方です。暗がりの中のオープンカフェと言いましょうか、灯りが灯る下でテーブルを囲んでいる風景ですが、情景がとても自然に表現されています。

卓上に灯された蝋燭、それを中心に人々の顔や周りがほの明るくなっています。そこに充てられた色の微妙な差異が上手く響き合い、その場の雰囲気を魅力的に描き出しています。手前から奥にかけて、人のシルエットにさえぬくもりのようなものを感じますね。

普段、幾枚かの画像などを組み合わせたりしながら一枚の絵を創作していくことも多い麻場さんですが、今回の油彩は、元の実画像に対して、比較的忠実に描かれている点では、ご本人の中で、対象を素直に描いてみるという意図があったのかもしれません。
とは言えその色合わせなどは、麻場さんの審美性を感じることもできます。

そういう意味でいうと、此度の行為はどちらかというと、「吸収」と捉えることができます。その反対に、自分の創造する世界を画面に投影させることは「拡散」です。吸収という行為がしっかりできる人は、又拡散という行為もしっかりできる。お互いは振り子の両極みたいなものだからです。
だからといって、全てを2言論的に語るつもりはありませんが、偏ったフィルターをかけずに素直に吸収できる人は、その吸収したものを上手にはき出すことができるのでしょう。

だって女の子だもの

大学を卒業したてホヤホヤの大竹です。今更ですが、時間が掛かってなかなか終わらなかった子達の自画像です。(自画像の授業についての詳しい様子は以前のブログに記載されています。)なかなか完成しない子が5〜6年生女子に集中したそうで、これについてはオバラ先生曰く「やはり自分を醜く描きたくないという美しさへのこだわりでしょうな。この時期のそういう自意識は、全然鼻に付かないどころか、むしろなんだか可愛いねー!」とのことでした。たしかに、ハロウィンの仮装の時も小学生女子達はチークやアイシャドウなどに興味津々でしたね。ファンデーションつけてつけて!と頼まれても、シミひとつないツルツルテカテカの若い肌のどこに粉をまぶせというのか…と戸惑った記憶があります。

私は小学生の頃はゲームばっかりやっていたオタクっ子で、服なんて着れればいいじゃん!というような美意識とは程遠いこどもだったので、同じように自画像を描いてもここまでこだわれなかったかも

柄じゃなくても

木村 油彩

花粉が無くなれば世界から戦争がなくなるらしいです。一平です。
本日はいつも誰にでもフレンドリーな日曜クラスの木村さんの油絵をご紹介します!

今回の作品のハイライトは、なんといってもこの目を惹くロマンチックな絵作りと言えるでしょう!2人の男女が浜辺で沈みゆく夕日を見ているのでしょうか、登りゆく朝日を見ているのでしょうか。全体の空気感は寒色系が多いのに奥の太陽により暖かい雰囲気が感じられ、優しい絵になりました。
海の上に浮かぶうろこ雲もとても美しく、この空の効果は、横に広がる水平線と波打ち際を、縦方向に引っ張り奥行きを出させる素晴らしい構成として一役買っています。
女性のドレスの質感や海の水面の表現など細かいところは、さすがミオス・ベテラン!といった所です。

そしてこの絵の最も凄いところは「描いた人がどんな人か分からない」という点にあると僕は思います。例えば、ピンク色の背景に可愛らしいキャンディやケーキが描いてある絵を見たら、ほとんどの人が「描いた人は女の子だろう」と考えると思います。でも描いた人が全身黒い服の長身男子だった場合、「驚き」や「その人やその人の作品に対する興味」がもっと湧いてくる、という良い意味での裏切りが発生するのです。要はギャップです。

僕は制作過程を見ていたのでどんな方が描いたか知っていましたが、もし完成したこのロマンチックな絵だけ見たら「若い女性の方かな??」と思っていたでしょう。そこが木村さんの作品の凄い所です。(狙ってやってないから更に凄い!)
過去のメルヘンな絵もぜひご覧頂下さい。

「自分ぽくない絵」を描くというのはとても難しい事です。「型破り」は型を知らないと破れないからです。なので最初は難しい事ではなく「普段はこっちの色を使うけど今日はあっちにしてみよう!」や「普段は人物ばかり描くから今回は車にしてみようかなぁ」など小さな実験や近くの所から少しずつ変えてみると、いつもと違う雰囲気で描けて、見る人を騙せるかもしれません。(笑)
皆さんも木村さんのように、たまには「柄じゃない」絵に挑戦してみるのも良いかもしれませんね!

大人クラス勉強会

左 / 鉛筆デッサン ー ひまわり 土曜午前クラス 眞田

5月25日(土)16:00 ~ 17:20 / 講師・岩田主催 【花の絵】 勉強会のお誘い

大人クラス・学生クラス・チケット制に在籍の生徒の皆様が参加できる、年に一度の勉強会のお知らせですが、まず最初にお詫びを申し上げなければなりません。私、岩田の展覧会の関係で、予定しておりました日時(4月6日)を変えることになってしまいました。すでに予定を組まれていらした方には、多大なるご迷惑をお掛けしますことお詫び申し上げます。 

今年の勉強会テーマは『花』。
最近、「花ってどういうふうに描いたらよいのでしょう?」そうした質問を投げかけられることが何度かありました。
そこで今回は、花の構造やその描き方のポイントをお伝えし、皆さんにも実際に描いて貰います。
なかなか美しい花を描くことが出来ない方、花というモチーフと今まで対峙してきたことがない方も、あらためて「花」と向き合い、真正面から捉え直してみましょう。

※小菊、ガーベラのような中央に蕊(しべ)があり、周りに花びらが囲んでいるものをモチーフとします

日 時 5月25日(土)16:00 ~ 17:20(入室は15:45以降)
持ち物 デッサン用筆記用具
費 用  2,000 円 (参加申し込み時に徴収させて頂きます)
定 員  16名位

川崎市美術展 入選作品

オバラです。今年も川崎市美術展に、学生クラスの作品を応募してきましたが、下記6名のみ入選致しました。部門ごとに入選数が決まっており、かなりな倍率が予想されます。
毎年こちらの思惑(予想)と違った作品の入選に、指導する立場の我々講師も翻弄されっぱなし。「なんでこの絵が落ちるの!?」は当たり前、「え?この絵でいいの?これ飾って大丈夫?」という作品もあり、基準が全くわかりません。まさに賭博!

左 萌恵 高2『蛇喰鷲』油彩 / 右 由紀 高2『鹿児島県産豚肩しょうが焼き200g』油彩

 今回はその賭けを見事に裏切ってくれた?代表作、写真右側ー由紀の『鹿児島県産豚肩しょうが焼き200g』。だいたいタイトルの意味が分かりませんし、作品自体も中2病っぽいし。
元々はアンティークな花瓶と薔薇の花の写真を見て描いていたのですが、花びらがなんだか分厚くなってきて「もういっそ肉にしちゃおうか?
」と買いに行かせました。しかし器用に肉を巻いて薔薇の花を作り、模写をしたまでは「まぁ面白くていいんじゃない?」だったのですが、まさかそれをそのまま題名にするとは!その豪快なセンスに脱帽です。入選しなければただの変な絵だったかと思うと、この絵に価値を与えてくれた市美術展に感謝ですね。

打って変わってその隣の萌恵の『蛇喰鷲』。小さい頃から小鳥を飼っている鳥類好き。好きこそものの上手なれで、前回ブログに載せたカラスの鉛筆デッサンも、繊細で素晴らしい描写力でしたが、今回は油絵の具特有のマチエールをふんだんに使い、迫力満点な風格をまとった鷲になりました。特徴的な鉤型に曲がった嘴と鋭い目の輝きがリアルです。また猛禽類とはいえ小首を傾げた仕草は鳥類共通で、らしさを丁寧に追い掛けました。静かで真面目な萌恵の安定感ある仕事っぷりは、何をやらせても信頼できます。そこを評価されたようで本当に嬉しく思います。

左上から 藍 高1『自画像』 油彩/ 優 中1『江の島 in 俺』油彩
さくら 高2『貴方の全てを食す』油彩 / 大志 中1『ゾンビバスター』水彩

こちら4枚は、以前にブログでご紹介していますので、記憶に残っている方も多いのでは?タイトルをクリックして頂けると前回のブログが見られます。

土曜日まで展示されていますので、お時間ございましたらぜひご高覧下さいませ。

 第52回記念 かわさき市美術展 入賞・入選作品展
川崎市民ミュージアム 2F 企画展示室2
2019年3月2日(土)~3月16日(土)9:30~17:00(入場は閉館の30分前まで)
※3月16日(土)のみ15:00まで
観覧料 無料 / 主催  川崎市・かわさき市美術展運営委員会

学芸大学 美術専攻 合格

史織 高3 石膏デッサン

皆さんお元気ですか。土曜日の人岩田です。

今回は、主に土曜日に来て頑張っていた受験生、史織が合格したご報告です。見事『学芸大学 教育学部 B類 美術専攻』に合格しました。
B類とは中学校・高等学校の「美術」の教育学を専攻します。
実技試験は石膏デッサン。勿論当日は、どんな石膏が出題されるかわかりません。デッサンを描く上で、4時間という決して長いとは言えないこの限られた時間で、画像のようなデッサンを描きます。

彼女は美術部で描くことが好きというだけあって、高1でアトリエに入会して描き始めた当初から、様々なモチーフを素直な目で描くことができていました。ただ石膏デッサンに関しては、どうしても観念的になってしまう傾向がありました。
観念的というのは、対象を見ているつもりでも、ついつい自分の思い込みで描いてしまうことです。

石膏像は、ヨーロッパにある大理石彫刻をプロトタイプに石膏取りをしたものなので、こと形に関しては徹底した観察眼を要します。
向かって右側の画像のアマゾンのデッサンが試験前のものですが、時間を掛けて仕上げた左2枚と比べるとその捉え方に上達の証が見えます。
更に実際の試験と同じ時間で描いたことを考えると、大きな進歩といえるでしょう。

こうして受験生は日々試験に向け練習を積み重ねるのです。学科試験と実技試験の両方に重きを置く教育大学美術専攻の受験でありますので、その事を考えると美大や一般大学のそれよりも大変なのかもしれません。
それにしても、こうして生徒が目指していた大学に合格してくれることは、指導者にとってこの上ない喜びです。
本当におめでとうございます。

幼児・小学生対象ワークショップ

春のワークショップ、幼児・小学生対象のケーキ作り講座のお知らせです。

みんな大好き食べ物工作、今回は【ケーキ作り】! 発泡スチロールの芯材をスポンジケーキに見立てて、びよ~んと伸びる粘土をカラフルに色付け何味のクリームしましょうか?
パティシエ帽子も作って気分を盛り上げ、オリジナルデザインを盛り込んだバニラエッセンスたっぷりの甘いケーキを作ろう!

日 程:3月 28日(木)、29日(金)
時 間:10:00-11:30
対 象:新年少、新年中、新年長、新1年生からの小学生
参加費:3,000円  
持 物: 作品を持ち帰る為の袋
※保護者様退室願います。

 <お申し込み方法>
事前にメールで、  ① ご受講希望日・希望講座名   ② 氏名と学年(4月からの新学年)   ③ 住所   ④ 電話番号  をご連絡ください。定員がございますので、参加可能かどうかや、入金方法・規約を返信します。
mios@ace.ocn.ne.jp

小学校高学年・学生 デッサン春ワークショップ

見本作品ー 真彩 中3 片手20分×2本の計40分の鉛筆デッサン

春のワークショップ、中高生対象のデッサン講座のお知らせです。
美術解剖学の視点から分析し、手の構造を理解します。また思い込み(腕・指は長いetc)を払拭し、見えたままを描くコツを学びましょう。最終的に想像と記憶だけで手が描けるようになれば、イラストや漫画でもイキイキした人物画が表現できるようになります。自分の弱点を確認して、目指せ画力アップ!

日 程:3月 19日(火)
時 間:18:30-20:30
対 象:中学 新1年生 ~ 高校 新3年生
参加費:2,500円  ※内部生との合同授業です
持 物:鉛筆4B,HB,3H・消しゴム


見本作品ー 真彩 中3 1枚15分の鉛筆デッサン

春のワークショップ、小学校高学年・中学生対象のデッサン入門講座のお知らせです。
「もっと絵が上手くなりたい!」そんな向上心溢れる意欲的な生徒におすすめの講座です。
基礎的な形の取り方・陰影のつけかた・立体感の出し方を球体のデッサンを通して学び、学校の授業や趣味の絵をスキルアップさせましょう!

日 程:3月 29日(金)
時 間:13:30-15:00
対 象:小学 新4年生 ~ 中学 新3年生
参加費:2,300円 ※保護者様退室願います 
持 物: 鉛筆2B,B,HB・消しゴム

<お申し込み方法>
事前にメールで、  ① ご受講希望日・希望講座名   ② 氏名と学年(4月からの新学年)   ③ 住所   ④ 電話番号  をご連絡ください。定員がございますので、参加可能かどうか・入金方法・規約を返信します。
mios@ace.ocn.ne.jp

弥栄高校美術科 合格作品

大学が春休みなので、最近色んなクラスに出没している一平です。
大竹先生、岩田先生、田中先生に続き高校受験の中学生の作品を紹介したいと思います!今回は春から弥栄高校美術科に通う真彩のデッサンです。
「3つの題材を自由に構成し、60分でデッサンせよ」という試験でした。

真彩は以前から小原先生に「優しさが足りないんだよ!!もっと優しさをくれ!」とデッサンに対して(性格かも?)よく怒られていましたが、入試直前に「私、柔らかいもの描くの苦手だから毛糸ある?貸して!」と自らモチーフを選び3枚立て続けに描きましたが、なんと今年の弥栄高校のモチーフは毛糸!!当たった!!(毛糸の作品はこちら)

しかしそのせいか「合格再現作品を描いて」と頼んでも「もう飽きた。描きたくない」と若干キレられながら断られてしまいました。(笑)
なので今回は彼女の今までのデッサンを見ていきましょう。

中学生3年生が描いたとは思えないデッサンが並んでいますね。そして小原先生にたくさん怒られたからかトイレットペーパーや布など柔らかいものと、金属やガラスなど硬いものの質感の差がしっかりと描写されています。構成も妙な余白が出来ないようにきちんと考えられていて、画面全体に違和感なく置かれています。このデッサンが高校生のデッサンの中にあっても全く見劣りしないでしょう。そして技術はもちろんのこと、彼女はこの半年間でなんと、辞書ほどの分厚さになるくらいデッサンを描いてきたのです。そしてどの絵を見ても1枚も描くことに対しての疲れや手抜きを感じさせる事なくそれぞれから気迫が伝わってきます。

僕はその枚数をこなし身についた技術力、集中力、そして根性こそが真彩が獲得出来た合格の先にある、もっと大きい価値のあるものだと思っています。「合格はゴールじゃなくて、スタートだよ」とノリ先生や幸介先生は僕に教えてくれました。真彩には目の前の合格に満足せず、「上手くなりたい!」という欲望を失くさないで、これからの制作のエネルギーにしてもらいたいです!

都立総合芸術高校 合格作品

どうも幸介です!本日は、続けて美術系高校に合格した生徒の作品。都立総合芸術高校の入試は、大物のモチーフを4時間かけて水彩で描くという、受験生の中3にはハードな内容。まるで美大の入試のようです。

本日載せている水彩画は、そんなハードな入試を見事に突破したマイ(中3)の作品。4時間という時間は長いようにも感じますが、出題されるモチーフの大きさや量もさることながら、質感も様々な物が出され、構図を見つけて下描きをして形をとって色をつけて……と、なかなかやることが多くて4時間とあっても中3にとってはギリギリ描ききれるかどうかというところ。一度描いたところを、あとから描き直すor描き足す時間なんて無いんです。

それにしても、よくここまで描けるようになったもんです。自然物なら多少形が狂っていても誤魔化せますが、ここの入試は工業製品というか、人工物も多く配されるようですね。形のハッキリ決まっているモチーフは、しっかりと捉えなければデッサン力が無いと判断されてしまう可能性もあります。かといって形をとるばっかりに時間も使えない。とにかく間違えたり描き直したりすることが命取りになるので、試験も並々ならぬ集中力で臨んだのではないでしょうか。

遠いところからミオスまで通い、自分のファッションにも手を抜かず(こういうこだわりは美術系には大事ですよね)、悩みながらも前進し合格を掴み取った彼女を全力で誉めたいです!!試験後のアトリエの授業では「何もやる気がしない…」と抜け殻のようになっていたマイですが、また四月から切磋琢磨の日々が待ち受けてますので、今はゆっくり休んでほしいです。とにかく合格おめでとうございます!