絵を描く集中力

馬込 パステル

水曜日担当の滝口です。
今日は、実は東京芸大のデザイン科一次試験のデッサンが昨日からあり、試験監督をして来ました。1日試験で石膏デッサンか構成デッサンの選択です。受験生たちの人生がかかった試験だけあって、やはり緊張感があり、黙々と絵に集中していました。試験監督仕事は見回りなので、そんな中邪魔はもちろん刺激してもいけないので、結構何もすることがなく辛い仕事なんですよね。堅いパイプ椅子に座りぱなしで、お尻がとっても痛いです。

それはさておき、今回紹介する馬込さんのパステル画とどういう関係のある前置きかというと、【集中力】です。
馬込さんは水曜日の夜の社会人の方ですが、とにかく集中力が凄いです。以前も油絵の方を描いているところ拝見させてもらい、教室は2時間のクラスですが、その時間は自分の制作する目的に向かってひた走るというか、自分の納得できる見え方までとにかく筆やパステルを動かし続けています。
このパステル画も、模写からのスタートでしたが、パステルの何度も塗り重ねたり修正できる特質を生かして、自分が見つけられる色や形をどんどん塗り重ねていきながら、現れた結果を見て違ければ直し、本当に絵が生き物の様に動き続けています。俯瞰映像を撮って見てみたらさぞかし凄い映像になるんじゃないかと思います。
もちろん人間が集中できる時間はおおよそ決まっています。1時間か1時間半ぐらいで集中力は途切れていくと思います。なので、ミオスの2時間という時間はとってもいい時間設定になってると思います。長すぎず短すぎず。その積み重ねで出来たこれらの馬込さんの作品は、集中力の痕跡だと思います。

美術の表現の魅力や楽しさは、もちろん美的感覚的なセンスの部分や、技術、知識、興味、創造性と多岐にわたって、これといった答えがないところが面白さだと思いますが、集中力というのも表現にとっても影響を及ぼすことだと思います。集中力がなくなると、どうも何を表現してるのか分からない、同じことを繰り返してしまうなどあまりいい影響がないと思います。絵を描きながら、そんな自分の心の状態を知っていくのもとても面白いですよね。

小学校受験 春休みワークショップ

お子様の春の進級を前に、園児・小学生の保護者様より体験授業のお問い合わせが非常に多くなっています。(明日の幼児クラスの体験授業参加者は過去最高の11人です!)小学校受験をお考えの方では、既に大手の幼児教室に通いながらも、絵画・制作の受験対策としてアトリエにご入会を検討してくださる方も多くいらっしゃいます。
はじめての小学校受験クラスの体験としてオススメの講座をご紹介します。
春休みワークショップで、お友達やお母様と一緒に、まずは無理なくスタートしてみませんか?

『小学校受験 指示制作』
指示制作で電車と車掌さんの帽子を作ります。新年長さんは一度でしっかり作り方を聞いて理解し、一人で正しく制作していきましょう。
新年中さんは保護者の方とペアで制作していきます。
完成後はお友達と仲良く連結して出発進行~!楽しく遊びましょう☆

日 程:3月30日(金)
時 間:15:30-16:30
対 象:新年中(保護者とペア)、新年長
参加費:5,000円
持 物: 作品を持ち帰る為の袋

❶事前にメールで、①ご受講希望日・希望講座名 ②氏名と学年(年齢) ③住所 ④電話番号をご連絡ください。タイトルは『春休みワークショップ申込』と記入下さい。定員がございますので、参加可能かどうかを返信いたします。

❷こちらからの返信後1週間以内に、下記の振込先にお子様の名前で参加費をご入金ください。ご入金確認後正式申し込みとなります。

振込先: 三井住友銀行 元住吉支店 普通口座 0609714 名義「小原京美」
※銀行の“振込み控え明細票”を受領書とさせて頂きますので、当日まで大切に保管ください。

(ご注意)
振込み手数料は、お客様のご負担でお願いします。
お振込みが1週間以内に確認できない場合、申し込みをキャンセルされたとみなします。
『講座開催日程10日前を過ぎてからのキャンセルは返金できません。日程変更も致しかねます。
※キャンセル返金はご指定の口座に、振込み手数料を抜いた金額で振込ませて頂きます。

紙の立体造形


小学生 月曜クラス ケント紙で作る立体造形

どうも幸介です。本日は2月の小学生クラスの課題の完成報告。今回の課題は帯状の紙を縦に折り、アングル(L字工)状態にすることで強度を出して立たせる事をまず学びました。小学生の工作の場合、糊しろや補強部分を考えずに、平面的な考えで(ハリボテのように)工作してしまい倒壊、という事がよくあります。今回は色など塗らない分、徹底的に「立体として成立」するよう、組む部分に重点を置いて制作しました!


なかなか不思議な家(?)が出来上がりました。高学年はアンバランスな見た目の造形ながらも、しっかりと建っていますね!低学年も、最初は先生と一緒に箱状の土台を作りながら工作しましたが、お城だったり遊具だったり、楽しい立体が完成いたしました!!壊れずにお家に持って帰れましたでしょうか。今回の作品は、なかなか保存しておくのが難しいと思います。もしお家に持って帰って破棄する場合は、ジェンガのように「どのパーツを外したら倒壊するのか」など考えながら壊すと、復習になって良いのではないかなと思います。

今回学んだ補強やアングルなどを使えば、学校での工作などでも他のお友達よりも強固で大きく頑丈に作れるはず!!そういった際にも、役立ててもらえたらなと思います!

色々な建物の模写

大西 鉛筆

岩田です。今回は土曜午後クラス、大西さんの作品です。
こちらはお手持ちの資料からの模写。古い建物の前に鎮座する甕と郵便ポストがとても印象的な写真です。田舎の建物というより、都会の喧騒の中、路地を入るとそこにひっそり建っているといった佇まいを感じます。

甕の上には打ち水用の柄杓、画面左手には朝顔棚と今に残る江戸の風情を感じさせてくれます。数寄屋門を潜ったところに矢竹のような細めの竹が見えます。笹の葉が密集していて描くのにはかなりの根気が試されます。
こうしたものを鉛筆を削りつつ描くのは大変。そこで今回は、笹の葉だけではなく木目の描写などもシャープペンシルを使って描いているのです。削る手間が省けるとこうした緻密なものも描くのが楽しくなってくるものです。

大西さん、今昔拘わらず色々な建物を鉛筆で模写されています。時に線の曲がりも許さぬような直線ばかりの近代的なビル、かたや今回のようなクラシックな古びた家屋。こうした経験がご自身で描かれているイラストにもきっと活きてくるでしょう。これからはデッサンをベースに透明水彩などの色を使って描いてみるのも良いと思います。

揺らぐ色

上野 油彩

F60号(130×97㎝)の大作の油絵です。私、大竹は普段大学で100号以上の作品を制作していますが、天井も高くスペースも広い美大の教室とは違い、アトリエの中で見ると「こんなに大きいのか!」と圧倒されるサイズです。アトリエで60号の油絵を制作されている方は初めて見ました。美大生や作家でもない限り、こんなに大きな作品を制作する事は殆どないと思います。(毎週アトリエへ持ってくるのも大変ですし!)

ボートに寄り添うような犬は持ち主の飼い犬でしょうか。心なしか忠犬ハチ公にも似ています。今は亡き飼い主とよくボートで釣りにでも出ていたのでしょうか?見る人に様々なストーリーを考えさせてくれますね。犬の足元の水面の揺らぎがとても美しく、犬の体もよく観察して描かれています。
暗い色で描かれたボートですが、ヘリに強いオレンジやグレーがキュッと入っているので形がしっかり分かります。ボートの中の座る部分の板もぼんやりとした明暗で描かれていて、作品全体の雰囲気とマッチしています。
移り変わって行く空の色も濁らず綺麗に仕上げられていますね。
主役はボートと犬ですが、青や黄、ピンクが入り混じり、それらを水面の上で揺るがしている湖も大きな見所の一つ。様々な色が混じり合う空とそれが写り込んだ水面に対し、手前の地面の色はハッキリと二色に分かれているのも面白いです。全体的に明るい空の色合いの中で、遠景の森や手前のボートとその影の暗い色が入る事により明暗のバランスも取れています。

ちなみに、作者のサインがどこに書かれているかお分かりでしょうか?写真では少々見えにくくなってしまっていますが、実はボートの側面に入れてあるのです。こうした遊び心も上野さんらしくて素敵です!

粘土でひな人形

昨日の幼児クラスは、久しぶりの粘土制作でした。粘土は、昨年のハロウィンとお正月飾りの制作以来?粘土を準備している段階から、みんな楽しみな様子。やっぱり粘土は、大好きですね~!

10日後は、ちょうど桃の節句ということで、ひな人形を作りました。着物の衿または帯は和紙で作りましたが、それ以外は全て粘土です。まずは、みんなが得意な大きなお団子作り。白い粘土を手の上でコロコロと丸めて作ったお団子は、お雛様とお内裏様の可愛らしいお顔になりました。顔のパーツは、一人一人にお任せしたので、十人十色。ウィンクしている好感度アップなお雛様、麻呂眉がポイントになっているお内裏様、大きな丸い目をしたおじゃる丸似のお内裏様も!!作者に似ているお人形も・・・発見!

着物になる部分の粘土には、絵の具を混ぜて着物の柄を作りました。白い絵の具をこねこね混ぜていると、中から赤や青の絵の具がムニュ~ッと出てくるので、みんなの手は真っ赤や真っ青になり、大騒ぎ!!絵の具をしっかりと混ぜて、ピンクとブルーの単色にしても良し。白と色がマーブルに混ざり合う好きな模様のところで着物の柄にしても良し。自分の好みの模様になるまで、粘土と絵の具をまぜまぜ~。体のポーズも一人一人に考えてもらったので、座りひな人形だけでなく、立ちひな人形もいくつかありますね。ひな祭りは、年に一度の祝い日です。健やかな成長を祈りつつ、この可愛い手作りひな人形を眺めてほしいです。(Eri Ito)

1枚の中に込めた想い

米本 透明水彩

 水曜日担当の滝口です。 水曜日の午前クラスでは4月にグループ展をされるので、皆さん集中力も高まってきていて、作品が仕上がるペースが早まってきています。でも、誰も一切手抜きなく持てる力を最大限に出し切って仕上げています。そこがアトリエミオスの皆さんの意識の高いところだなと改めて思います。小原先生の厳しさがしっかりと教室の雰囲気を作り出しているんだなと思います。

 今日は、そんな午前クラスから米本さんの作品を紹介したいと思います。米本さんは、僕がアトリエミオスに来てから同時期ぐらいにこの作品を始めたかなと思いますが、透明水彩も初めてでいらして、最初描きたい写真の画像を見せてもらうところから始まりました。正直この写真を絵にするのは難しいなと思うほど、雑多な草木の中にカラスがいる写真でした。この作品だけを見ると、言いたい事のイメージがとてもストレートに伝わって来ますが、この絵に行き着くまでには色々な駆け引きが米本さんにありました。どこの花を描くべきか、どう葉を描いたら良いのか。カラスの周りの明るい部分は目立たせたいが目立ち過ぎてしまったとか、それはもう多くの多くの苦難の道のりがこの1枚には込められています。
 生みの苦しみと言いましょうか、作品ってやはりどこか苦しい思いを体験した後に表現されることが、とても大事なんだと思います。でも、そんな苦しみは本人が言うべきではないということもあるので、本人に是非代わって僕が言いたいと思います。この小さな1枚の作品には、凄い想いがいっぱい詰まっています!!

 僕は、いろんな美術作品や音楽が好きで、大量に見たり聴いたりして、自分の好きな作品に出会えたら良いなと思って消費していますが、ふと立ち止まって考えてみるようにしてます。やはり一つ一つの作品に、もの凄い苦労や想いが込められていて、それこそゴッホのように命を削ってでも表現された作品もあるわけです。ついつい批評的に見てしまう側面や、軽く見てしまうこともありますが、でも造ったり表現したりするからこそ分かる作品の背景を感じ取ってみることは大切なことなんだなと、歳をとってみて思っています。
 ちょっとだけ、ほんの1分でも、この作品をじっくりと見てみてください。色んな声が、この作品から聞こえてくると思いますよ。

人物モデル

前回のクロッキー会の様子

人物クロッキー会のお知らせです。
3月のクロッキー会はスレンダーな女子高校生にモデルをしてもらう予定です。

画材は各自でご持参下さい。(厚口画用紙は四切100円・八切50円で販売もしております。)鉛筆はB以上の柔らかめの鉛筆を数本、消しゴムは練りゴムを準備する事をお薦めします。スケッチブックはお好みの紙質で構いませんが、20分×5ポーズですので、それなりの枚数を描く事を想定して選んで下さい。同一ポーズでじっくり描き込む内容ではありませんのでご注意ください。サイズはあまり小さいと、人形や漫画を描いているような仕上がりになってしまいます。B4以上の大きさが望ましいでしょう。

座りポーズ・立ちポーズなどをとってもらう予定です。骨格や関節を観察しパーツで描写したり、全体のフォルムを描いてみましょう。人物画に慣れていらっしゃらない方はあせらず、例えば手だけをじっくり観察しスケッチするだけでも勉強になるはずです。
基本的に自由に描いて頂く授業ですので指導・講評はいたしませんが、アドバイスをご希望の方は、お申し出頂ければモデル休憩時間に拝見させて頂きます。
美術を勉強中の学生や、外部の方でもご参加頂けますので、どうぞ多くの皆様のご参加お待ちしております!

日時   3月3日(土) 16:00~18:00 (入室は15分前より可能です。)
参加費 1500円 (ミオス生徒 1000円)
持ち物  スケッチブック、画材etc (イーゼル、画板、イスなどはご用意してあります。)
お申し込みはお電話でお願いします。   044-411-1600

うるさい油彩

学生クラス 知華子 油彩

どうも幸介です!本日は学生より、知華子の油彩をご紹介いたします。大雑把で声の大きい彼女の描く作品は、彼女自身の明るさがそのままダイレクトに感じられる作品ですね。っていうか声が大きすぎるのと、周囲の人の会話に気を取れられてついつい手元がお留守になってしまう事で、いつも僕や小原先生に怒られている彼女。講師とずっと話をしてしまうので、最近では「1回の授業につき先生を呼べるのは3回まで」という制限まで課せられてしまいました(笑)
ここのところ続けて油彩を描いていますが、そんな彼女に今描いている作品についてコメントをいただきました。以下コメントです。↓

『中学生の頃までは水彩を描いていました。高校生になり、美術系の高校に進学をしました。そこで3年間、基礎的なデッサンや油絵などを描きました。現在は美術系の大学には進まず、コンピューターや物理を専攻している大学2年生です。今では絵を描くのはアトリエミオスだけなので、趣味の場所として大切に思っています。ガイコツの油彩ですが、ただ真っ白にするのでは私らしさや、ガイコツらしさも出す事ができないと思い、周囲のフランス国旗のように描きました。
左の絵はロマンスカーです。ロマンスカーは、通っている大学の最寄り駅に停車しています。毎日乗りたいぐらい(通学に使いたいほど)ロマンスカーが大好きです。次回も違うロマンスカーを描きたいです。』

…長文コメントありがとうございます!ガイコツの絵ですが、ガイコツらしさと自分らしさの両立を図って、このような描写になったとのことですが、これ、すごく合点がいきます。このガイコツ、たしかに彼女らしいです。ガイコツなのに、どことなくうるさい感じが魅力的です。ロマンスカーも、停車中なのに賑やかというか、無機物なのに喋りそうな印象ですよね!なかなか面白いです。

だんだんと油彩の方向性が出来上がってきたようで、あと3枚は油彩を続けるようなので、次作も楽しみにしたいと思います!!

昭和40年男子

白仁田 鉛筆・色鉛筆

比較的暖かい日が続きますね、岩田です。
今回は土曜午前クラス、白仁田さんの作品をご紹介致します。こちらデュークジョーダン、「FLIGHT TO DENMARK」というタイトルのアルバムジャケット模写をした作品です。デュークジョーダンは1960年、70年代辺りに特に活躍したジャズピアニスト。こちらは1973年に録音されたものだそうです。私もユーチューブ上で聞かせて頂きましたがとても良いですわ。雪の中デュークジョーダン本人が佇む味わいある写真ですね。
ご自身ジャズ愛好者故、今回のようなモチーフとなるのですが、車にしても何にしても白仁田さんの1900年代のちょっと寂れた雰囲気のモノ選びのセンスが抜群。

こちらの作品、最初は鉛筆だけでという予定でしたが背景のちょっとグレーがかった調子を色鉛筆で再現、又紙ジャケならではのシミや汚れもニクイくらい素敵に表現してるんです。
鉛筆の上から色を付けたことにより、少しぼんやりした印象もありますが何故だかそうした所もむしろ魅力的に見えてきます。
今回も「昭和40年男子」のセンスに共感する私でありました。