女子供に紙芝居

今回は紙立体の課題。             (南澤)

今回は紙立体の授業ということでしたので、開始前から嫌な予感がしておりましたが、「南澤先生、お得意の建築的課題ですから、構造についてしゃべってくださいねっ」などとまた無茶ぶりをされて始めました。そもそも工学的な事など、まったく知らないからデザイナーが勤まるワケです。無理なカタチを考えては、大工や職人にヒーヒー言わせて作らせているのです。とは言うものの、女子供よりはマシだろうと、精一杯、紙の扱いを語るのでした。

紙の加工方法には、切る、曲げる、折る、貼る。があります。更には、溶かす、燃やす、噛み砕くなどの事も可能でありますから、君たちも是非、と言いかけて、親御さん達の顔が頭をよぎりましたので、普通にいきました。「さあ、なるべく高くなるよう作ってみよう」

火曜日クラスでは、僕と生徒達とで対決いたしました。事前に月曜クラスのカンニングしていた僕は、L字アングル状に折った柱材を量産して積み上げ、大人げないタワーを造り完勝。圧倒的な建築工学知識を児童に見せつけます。そんな権力闘争に明け暮れた火曜日とは違い、他の曜日の作品(写真下)には、紙の軽さや張力を活かした素晴らしい作品がありますね。素材の特性をなるべく活かした構造こそ、工芸の真骨頂であると大学時代に教授が言っておりました。そして、それは華厳思想の息づく日本のモノ作りの根幹であることを言わせていただき、本日は勘弁していただきますー。

人物クロッキー会のお誘い

前回のクロッキー会の様子

今年最初の人物クロッキー会のお知らせです。
2月のクロッキー会は女子高校生にモデルをしてもらう予定です。寒い季節なので、肌の露出は少な目です。

画材は各自でご持参下さい。(厚口画用紙は四切100円・八切50円で販売もしております。)鉛筆はB以上の柔らかめの鉛筆を数本、消しゴムは練りゴムを準備する事をお薦めします。スケッチブックはお好みの紙の質で構いませんが、20分×5ポーズですので、それなりの枚数を描く事を想定して選んで下さい。同一ポーズでじっくり描き込む内容ではありませんのでご注意ください。サイズはあまり小さいと、人形や漫画を描いているような仕上がりになってしまいます。B4以上の大きさが望ましいでしょう。

座りポーズ・寝ポーズ・捻りの効いた立ちポーズなどをとってもらう予定です。筋肉や骨格を観察しパーツで描写したり、全体のフォルムを描いてみましょう。人物画に慣れていらっしゃらない方は、あせらず、例えば手だけをじっくり観察しスケッチするだけでも勉強になるはずです。
基本的に自由に描いて頂く授業ですので指導・講評はいたしませんが、アドバイスをご希望の方は、お申し出頂ければモデル休憩時間に拝見させて頂きます。
美術を勉強中の学生や、外部の方でもご参加頂けますので、どうぞ多くの皆様のご参加お待ちしております!

日時   2月3日(土) 16:00~18:00 (入室は15分前より可能です。)
参加費 1500円 (ミオス生徒 1000円)
持ち物  スケッチブック、画材etc (イーゼル、画板、イスなどはご用意してあります。)
お申し込みはお電話でお願いします。   044-411-1600

英保さん展示会のお知らせ

英保 油彩

皆さん暫く寒い日が続きそうですがお元気ですか!
今回は土曜午前クラスの英保さんの油彩をご紹介致します。

こちらは英保さんがアメリカ・ボストンへ旅行された際に撮られた一枚を元に描かれたものです。日本には見られない雰囲気のあるアパートメントですがこの赤い扉こそが英保さんの心を動かしたのです。

こうした建物を描く場合、英保さんは比較的時間をかけじっくり仕上げていくのですが今回は短時間でその場の雰囲気を出すという心構えで挑んだ作品。脇役はチャチャっとあしらい、主役の扉をバシッと決める。そうした潔さが画面にメリハリをつけ、特段この白い枠に囲まれた赤扉を際立たせているのです。
そして左側からすっと伸びた有機的なグリーンを配し、扉と対比させながらも補色関係を作ることで画面バランスをちゃんと取っているという策士の英保さんの一面が伺えます。

こちらの作品は、2月11日から有楽町で元同僚の方々で開く展覧会に出品されるそうです!

「おおぞら展」
2月11日(日)~2月17日(土) 11:00~18:00(最終日17:00まで)
交通会館(JR有楽町駅前)地下1階 エメラルドルーム
千代田区有楽町2-10-1
Tel 03-3214-4288

どうぞご高覧下さい。

ディープな世界

ここのところ寒い日が続いていますね。この間なんかは、平成で一番寒い日だったみたいです。ということは、私は平成生まれなので生まれてから一番寒い日だったわけです。
ここにきてやっと「寒いを通り越して痛い」「寒さが腰にくる」の意味がわかりました。

さて!小学生のパステルの記事が続いておりますが、木曜学生クラスもパステル画にチャレンジ致しましたよ〜!
パステルの特徴について各先生方が紹介なされていましたが、本当に奥深い画材です。豊富な色数に加えて、線の濃淡、色の混じり具合、重ね方、ボカし方も多様で面白いです。画材の特性上偶然の産物が生まれやすいようで、生徒はそれもまた楽しんでいました。
学生は計算して意図的に遠近感を出せるよう手前は色濃く奥の部分は淡く着彩したり、夕日や月の光を反射して色づく雲をやさしいタッチでボカしたり、頭を使って描いていました。
どうしても粉っぽいので、パステルの持ち方を誤ると手には着くわ絵の濃度は薄れるわでなかなか難しく、生徒は手を真っ黒にさせ苦戦していました。
小学生が力を込めてグリグリ塗った作品も味が出てとても素敵でしたが、学生の作品は少しテクニカルでまた違った魅力があり、とても良い仕上がりになりました!
遠目から見るとなおさら良く見えるので、部屋に飾るのも◎ 菅原

上記、学生クラスのパステル画ですが、2枚程小学生の作品も紛れています。わからないでしょう!?今回のパステルは小学生も中高生もクオリティー高かったですね!

ユニークな魚たち

今週の幼児クラスのテーマは、「さかな」です。上の写真が完成した紙版画作品です。まずこちらの紙版画を制作する前に、魚の部位とその名称、またどんな場所にその部位は付いているか等、こども達とクイズ形式で考えてみました。頭の中で考えていてもなかなかイメージがわかないので、実際に目で見て手で動かすことで、魚の仕組みを遊びながら学びます。紙の魚の部位をバラバラにして、福笑いのように正しい位置にパーツを置き、魚の全体像を完成させました。下の写真は、魚のパーツを正しく貼り合わせた後、リアルな魚の絵を描いている様子です。

紙版画は皆様ご存知の通り、画用紙など紙を版にする版画の方法ですね。画用紙は、何枚か貼り合わせて層にして刷るのですが、インクをつけて刷ると、重なった紙の微妙な段差に色がつかないので、絵柄が浮かび上がってきます。画用紙をハサミで切った形がシャープに浮かび上がり、また紙を重ねた凸版部分が木版画とは異なる紙質の柔らかさが美しく表れています。クレヨンや絵の具で描くのとは違い、版作りの途中ある程度想像はできても、版画が刷り終わるまで果たしてしっかり写し取れるのか、版から紙をめくってみるまではドキドキですが、全員大成功でした!!紙版画の魚は、実存する魚にはないような、ヒレや尾の形を自由にデザインしたり、版となる素材もマットな画用紙だけでなく、様々な凹凸のあるテクスチャーを選んだので、鋭い角があるユニークな魚やロケット型の斬新な魚も誕生しました。それぞれの個性的なデザインやアイデアを生かした魚の名前を考えられそうですね。(Eri Ito)

小学生パステル -色彩の豊かさ-

水曜日担当の滝口です。
パステル画のブログで、3回目ですね。水曜日の小学生コースの作品もどかっと並べてみました。描いている姿を見ていると、各自持ち寄った写真を見て描いていたので、とっても悪戦苦闘していましたが、こうして時間を置いてから見ると、みんな頑張っていろんな色を使って描いたな〜と思います。 パステルは、色の幅がとっても豊かで色の混ぜ方でも変化があるので、絵の具とは違う感覚で描けると思います。
 とっても良いのは、パステルの持っている色幅が豊富なこと。普段固定概念で描いてしまうことも、例えば空の色だと「いや、この青じゃないな?こっちのもうちょっと紫色に近い青かな?」とか、山の色とかも山は緑!とか勝手に決めてしまわないで、色々とどんな緑色なのかを探して塗れるのは、パステルならではだと思います。下から2段目の真ん中の絵も、山の色が青ですよね。教えてる時も、ちょっと色が違うと「その色違くない?」って逆に指摘されるので、小学生でもしっかり色の幅は持ってるんだなと思います。人間は数百万色の色を見分けることができるらしいですね。アトリエに置いてあるパステルを見ると、本当に驚きますよ。1ケースに赤系しか入ってないとか、こんなに色はあるのかって思います。ぜひ1度は体験されると良いですよ!!

 ところで、ちょっと告知ですが、僕は今東京芸大の大学院の方に通っていますが、1月28日から2月3日まで東京芸大の卒業制作展が開かれます。僕はまだ修了ではないですが、関連イベントで初日の1月28日に東京芸大の附属図書館で、アートブックの解説イベントというのを行います。普段は、芸大生しか利用できない図書館に入ることができて、このイベントのアートブックを見ることが出来ます。もし、東京芸大の卒業制作展を見に来られる方がいましたら、是非初日の28日(日曜日)に見てもらって、終わったら図書館にもお立ち寄りください。最先端の芸術三昧な日をおくれますよ。
ちなみに、僕が下のポスターの写真/デザインを担当しました。
https://www.facebook.com/events/145656872812818/

パステルとは

明るい色調とグラデーションがひときわ美しく魅力的なパステル画。まさか小学生が描いたとは思えないでしょう?
パステルは、クレヨンに似たチョーク状の画材。クレヨンより粉っぽく柔らかいパステルで描くことで、パステルカラーと呼ばれる明るく淡い色調や、ぼかし・グラデーション効果を出すことが可能です。美しく軽いタッチが魅力的に仕上がった作品、重ね塗りねて油絵のような重厚感のある作品、子ども達それぞれの個性や性格が反映された制作になりました。

今回使用したのはハードパステル・ソフトパステル・色鉛筆タイプのパステルです。
ソフトパステルはハードに比べてかなり柔らかい素材で、ふんわりとした淡い色合いを表現したり、広い面積を一気に塗ることができるので、描き出しに使用します。しかし筆圧の高い子どもには難易度も高く、元々太い円筒だったのが分からなくなる程、
粉々に折られました。
次に輪郭や
細かい部分を表現する為に、硬いハードパステルを使います。その硬さ、エッジのきいた四角形を生かし、シャープな線を描き質感を出します。
最後に太めの色鉛筆のようなパステルを使い、仕上げのアクセントを加えました。
一口にパステル画と言っても技法は奥深く、紙の種類や色を変えれば全く違う仕上がりになる画材。現在大人クラスでも流行らせていますが、まだ触った事のない方はぜひ一度制作してみて下さい!今なら子どもの残りカス?のパステルが500本くらいありますので、レンタル料など不要ですよ!   オバラ

パステルの色彩


小学生クラス パステル画

どうも幸介です!本日ご紹介するのは、昨年のクリスマス前に制作いたしましたパステル画。各自が持ち寄った風景などの写真をモチーフに描きました。パステルとは、粉末の顔料を棒状に固めた画材。柔らかい色彩や、その色彩の抱負さが魅力の大人っぽい画材ではありますが、チョークやクレヨンのように扱って小学生でも素敵な作品を描くことが出来ます。

いかがでしょうかこの美しい色彩!顔料の粉ですので、描き重ねる事で画面上で混色していきます。混ざりあったり濁ったり、荒く塗って下の色が透けたり、なんとも美しい色彩に仕上がりました。小学生ならではの「意識しない」ことによる美ですね。ついつい自分の場合などは美しい色彩にしようと統率を取ろうとしてしまうのですが、こういう偶然性を孕んだ色彩にはいつもハッとさせられます。まるでどれも巨匠の絵のようです!!

クレヨンなどを使っても同じような技法が出来ますので、皆には是非学校の課題やお家でもやってみてもらいたいなと思います!

色が美しく響き合っています。

上野 油彩

岩田です。今回は土曜午前クラス、上野さんの油彩をご紹介致します。
上野さんカメラが大好きな方で、足しげく色々な場所に行って撮影をされています。昨年は仲間と一緒に写真の展覧会を都内で開催されました。
さて、こちらの作品もご自身で撮影されたものですが場所は北海道の釧路湿原です。時間は夕暮れ時と見え、空の色も丁度美しい頃合いです。そんな色とりどりの空が湿地に映り込んでいる様もふんわりとした雰囲気を大切にして描かれていますね。

湿原を描く上で筆の動かし方や色の使い方など、気遣いをしながら描いてるのが見て取れます。主に筆を水平方向に動かすことで湿原を覆うヨシといった植物の柔らかい印象や手前から奥までの自然な空間を演出しているのです。
又絵具が画面上で変に混ざり過ぎて濁ることも無く、色同士がいい具合に響き合っています。

具体的に描くのか、或いはその場の空気感を描く為に筆致や色の魅力を最大限に引き出していくのか、ここから更にどういう方向性に「表現」をしていくのかを明確にすることで作品がより輝いていくでしょう。

青とオレンジの魅力

秦野 左上 アクリル / 他 透明水彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、アトリエ・ミオスで最も水彩画がお上手とまことしやかにささやかれていらっしゃる、水曜夜間クラス秦野さんの作品です。ここに紹介しなければ講師作品と見紛う完成度です!左上はイギリス郊外のアパートメント、左下はクロアチアの朝市、どちらも小原先生の旅行の写真を見て描かれました。右の2枚はモチーフ棚にあるので、皆さんもご存知のアイテムではないでしょうか?

左上イギリス郊外のアパートメント こちらはアクリルで制作されているので、他の水彩作品とはまた違い、絵の具がもったりと乗せられた少し重ためな雰囲気ですね。それでも、地面のオレンジとアパートの屋根の青の組み合わせは秦野さんらしさが伺えます。干された真っ白な洗濯物からは住んでいる人の生活感が感じられ、今にも中から人が出てきそうです。建物や地面は暗めの色が使われていますが、クリーム色の空が作品の印象を柔らかくしてくれています。

左下のクロアチアの朝市 お店に落ちるパラソルの影からは、朝市らしいさわやかな空気感が伝わってきます。使われている色一つ一つがどれも魅力的です。光背後は細かく描写、というよりも色を重ねて表現されていますが、それでも沢山のお店が並び賑わっている様子が伺えるのが秦野さんの技術の高さが伺えます。オレンジをつまみ食いしたいる店主や、肘を脚に置いている女性など、人物のちょっとしさ仕草がまた良いですね。

右上のランプとホオズキ 鮮やかなオレンジのホオズキが見ていて心地よいですね。ホオズキの繊維やシワも見逃さず描写されていて、触れたらクシャッとしてしまいそうな脆い質感もよく伝わってきます。主に鉛筆デッサンのモチーフとして長い事ミオスで活躍している錆びかけのランプですが、水彩で描かれるとまた違った一面があるんだなあと奏野さんの作品を拝見して思いました。錆びた色となると、濁った色や暗く重たい色合いになってしまいそうですが、影になる部分に青を使う事で鮮やかに仕上げつつ、ホオズキのオレンジと補色の関係でお互いを引き立てあってます!素晴らしいですね。

右下のマスク アトリエのモチーフ棚の中でも特に怪しい雰囲気を放っているヴェネチアンマスクですが、こちらの作品では秦野さんのお人柄が現れているのでしょうか、なんだか暖かく優しそうな印象になっています。秦野さんの作品はどれもオレンジと青の対比が上手く使われています。マスクの淵の装飾や、羽の根元飾りなど細かい部分もしっかりと追われています。羽の先やマスクの紐の描き過ぎずサラッと仕上げている辺りもお上手ですね。

私は個人的に、クロアチアの朝市の作品が好きです。パラソルのピンクと手前の水色の組み合わせがとても可愛らしく、なにより一目見てここに行ってみたい!と思いました。