空気遠近法を使って

古屋  透明水彩

土曜日の先生、岩田です。
本日は古屋さんの透明水彩の作品をご紹介致します。古屋さん花を描くのが大好き。今回は雑誌の表紙になっている風景を描かれました。
こちら、ひたち海浜公園にあるみはらしの丘、4月になるとネモフィラという花が広大な土地いっぱいに咲き乱れる場所です。

一輪一輪の花がまるで絨毯のように咲いている。こうした場面を描くのって一見すると難しく思えますよね。まさか手前から画面奥まで無数に咲いている花を一つ一つ描くわけにはいきませんし。
そこでこういう時は空気遠近法を使うわけです。前景は比較的強めの色や鮮やかな色、暗い色を多用しはっきり描き、後景は青みがかった色を多用しながら比較的明るく鈍い色でぼんやりと描いていくようにするのです。つまり奥に行くにつれて、空に溶け込んでいくようなイメージというと分かり易いですね。

古屋さんの作品もまさしく、空気遠近法で描かれています。今回は花の色自体が青色ということもありますが奥は徐々に空と同化していくようです。作品全体から醸し出される印象はまるで桃源郷のようです。手前の花々は葉や茎といった部分もしっかり描かれていることで、更に遠近感が感じられるのですね。
今度は一つの花をじっくり描いてみるのも良いかもしれません。

森の賢者の視線

武田  日本画、絹本

大竹です。
今回ご紹介させて頂くのはチケット制の武田さんの作品です。武田さん、小原先生の作品が絹に描かれていることから「ぜひ真似してみたい!」と、今回初めて絹本(けんぽん‐と読みます)に挑戦されました!
絵を傾けると絹が光を反射しキラキラと小さく輝きます。絹の織り目が効いたマチエールと滲みを活かしながら、時間を掛けて仕上げたので羽根のやわらかさが自然に感じますね。触った時の羽のフワリとした感触が見て感じ取れます。
凛々しい顔と落ち着いた佇まいとは裏腹に、ガッシリとした足からは力強さが感じられ、猛禽類の魅力が存分に引き出されていますね!濃い橙色の瞳の視線は、鑑賞する人によって、何を見つめ、何を思っているのかを想像させてくれます。(ネガテイブ思考気味の私は、眼を合わせるとやましい考えを見透かされてしまうようで、少しドキドキしてしまいまた…!)
いつもブログの画像だと細かいところが潰れてしまいがちですが、その潰れてしまっている状態からでも羽根の模様が一つ一つ細かく描かれているのがよく分かります…作品に込められた時間と熱意がヒシヒシと伝わってきますね。
背景の緑も最後まで手を抜かず、様々な色を使用して工夫されていました。明るい部分と暗い部分を作ることにより、単調になりすぎず、うるさくなりすぎずちょうど良いバランスでメインの梟を引き立てていますね。

キャンバスや紙とも違う初めて扱う素材である絹で、ここまでのクオリティに仕上げられた武田さんの技術と制作に対する熱意、素晴らしいです!次回作も、そのパワーで素敵な作品が生み出されるのを楽しみにお待ちしております!

幼稚園児 夏に描いた絵

3歳~6歳児が在籍する幼児クラスの作品です。こちらもご紹介するタイミングがなく、遅くなってしまいました。夏に描いた作品ですが、7・8月はイベント続きでワークショップ記事がずっと続いていたことを理由に、今頃・・・・。季節外れのご紹介になった事をお詫び申し上げます。

こちらの作品は、四つ切り画用紙にクレヨンだけで描くということで、2週に渡り時間をかけて制作しました。普段四つ切り画用紙に絵を描くときは、背景に絵の具を使用することが多いのですが、今回の作品は画材クレヨン限定のコンクールに出品する為に、全面クレヨンで描くことに挑みました。13人、一人一人描きたいテーマが異なるので、構図の説明や人物の動きの描き方など、個別の細かいアドバイスが多くなり、私たち先生は、子ども達から質問責攻めのお呼びがかかり、大忙しの授業でした。

各自がテーマを決めて描く課題では、『誰と誰が どこで 何をしたのか(したいのか)』という事を子ども達との会話から聞き込み調査して、構図を考えていきます。子ども達との会話では、現実的な話をしてくれる子もいますが、お話していくうちに、実生活の話からどんどん空想の世界に入り込んでいってしまう子もいます。お話している中で、一番おもしろいと感じたところに焦点が絞られるように、先生がアプローチして描きました。一人一人が何を描きたかったのか、感じていただける作品だと思いますので、じっくりご覧ください。(Eri Ito)

 

小学生の油絵模写

上 大人クラス神宮さんの油絵  /  下 小学生の模写・油絵 5・6年のみ

オバラです。まだありました、油絵ネタ。ご紹介が遅くなって申し訳ございません。出し惜しみしていたかのようですみません。
皆様「小学生でこんなに上手に描けるの!?」と驚かれたことでしょう。油絵で模写をさせる課題は小学生クラスでは一度もやったことがありませんでしたが、この出来栄えを見ると、今までカリキュラムに取り入れなかったことを後悔してしまいます。
そもそも模写をさせたきっかけは、昨年の秋に神宮さんが開いた個展で私が上記作品を購入させて頂いたことから始まります。神宮さんお得意の写実画が並ぶ個展会場でふと『あ、こんな静かな絵を模写させたらどうなるだろう?』とひらめきました。まぁしかし花や風景・人物画などたくさんの作品が飾られている中、躊躇なく酒瓶に手を出してしまうのは飲兵衛の悲しい性かな、ですが子どもだって未知のアルコールに心惹かれるのは分かっていたので選んだんですよ!ホントほんと。結果がそれを証明していますし。

さて、解説を。目の前にある3次元の立体物を良く観察して描くことが絵画の基本ではありますが、実はほんの少し見る位置が変わっただけでデッサンが狂ってしまうという危ない罠が潜んでいます。例えばこのようなモチーフの場合、座る位置が10cmズレただけでグラスと瓶の隙間が狭くなったり広くなったりしてしまいます。落ち着きのない子どもには酷な話です。
その点2次元から2次元に写すのはどこから見ようが変わりません。(正確には長方形のキャンバスが台形に見えたりするのですが…)そう考えると逆に簡単に思えてきますね。
またこの絵は背景が無機質でモノトーンなコンクリートというところもポイントです。グレーという色にはどのような色味分解の解釈も受け入れる大らかさがありますから、打ちっぱなしコンクリートはオリジナリティのあるグレーを持ち込むのにもってこいの逸材。それぞれが自分なりのバックを表現できました。背景こそが隠れた主役と言っても過言ではないでしょう。

いやそれにしても、見ているだけで酒が飲みたくなる、実にけしからん絵が出来上がりました!小学生にそんな絵を描かせるとは、なんと不謹慎な!嗚呼、こんな油絵が飾ってある南フランス辺りのバーに飲みに行きたいなー。

力強いデッサン

左上 渡邉 / 右 有馬 / 下 野澤

どうも幸介です!!本日は大人クラスよりデッサンのご紹介。いずれも若い女性の生徒の皆さんの作品ですが、どれもしっかりと描写され、力強い印象ですね。モチーフ選びにもそれぞれの個性が出ていて面白いです!!

まず渡邉さんの作品ですが、ランプに縄にブーツにと、どれもディテールの細かいモチーフを並べています。ランプ周辺のしっかりとした陰影や、ソールの質感まで感じるブーツの描き込みなど、床まで含めて徹底的に描き切ったことにより存在感をしっかり感じられる気持ちのいいデッサンですね!

そして有馬さんの作品、コーヒーミルにぬいぐるみ(しかも学生クラスの生徒の作りかけ)という、なんとも言えないモチーフ。なかなか纏めるのが難しいモチーフかなと思いましたが、細かな段差や映り込みまでカリっと描いた金属のテクスチャー、ぬいぐるみの中の綿まで感じるような柔らかいタッチなど、その繊細な「鉛筆使い」のセンスを感じる作品です。

野澤さんはコーラにブロックに縄と言う、少しポップなモチーフ。縄の繊維の描き込みが素晴らしいですね!その細かい繊維まで、鬼のように描き込んであります。ここまで描くと悪目立ちして前後感がちくはぐになりがちですが、縄に負けないぐらいギュッと描かれたコーラの瓶で、しっかりと立体感が出せています!

…ということで、なかなかここまでデッサンと向き合っている社会人の生徒さんのいる教室も珍しいのではないか!?なんて思った今日この頃。皆様の次作にも期待しています!

芸術の秋に人物画を

前回のクロッキー会の様子

次回の人物クロッキー会のお知らせです。
いよいよ芸術の秋到来!気ままに人物画を描いてみませんか?静物を描くのとは違った緊張感が良い時間となりますよ!
10月のクロッキー会は女子高生にモデルをしてもらう予定です。
画材は各自でご持参下さい。(厚口画用紙は四切100円・八切50円で販売もしております。)鉛筆はB以上の柔らかめの鉛筆を数本、消しゴムは練りゴムを準備する事をお薦めします。スケッチブックはお好みのサイズ・紙の質で構いませんが、10~20分単位で、それなりの枚数を描く事を想定して選んで下さい。同一ポーズでじっくり描き込む内容ではありませんのでご注意ください。またあまり小さい紙ですとお人形さんのようになり、初心者にはかなり難易度が上がります。
原則として20分×5本をモデルさんの休憩を挟みながらクロッキーします。座りポーズ・寝ポーズ・捻りの効いた基本立ちポーズなどをとってもらう予定です。筋肉や骨格を観察しパーツで描写したり、全体のフォルムを描いてみましょう。人物画に慣れていらっしゃらない方は、あせらず、例えば手だけをじっくり観察しスケッチするだけでも勉強になるはずです。
指導・講評はいたしませんが、アドバイスをご希望の方は、お申し出頂ければモデル休憩時間に拝見させて頂きます。人物画が初めての方には、始めのポーズ中にデモンストレーションもさせて頂きますのでお申出下さい。
美術を勉強中の学生や、外部の方でもご参加頂けますので、どうぞ多くの皆様のご参加お待ちしております!
日時   10月7日(土) 16:00~18:00 (入室は15分前より可能です。)
参加費 1500円 (ミオス生徒 1000円)
持ち物  スケッチブック、画材etc (イーゼル、画板、イスなどはご用意してあります。)
お申し込みはお電話でお願いします。   044-411-1600

メルヘンを感じる絵です。

木村 油彩 

岩田です。太陽の日差しもほんの少し影を潜めてきた感があるこの頃皆様いかがお過ごしですか。

本日は日曜日クラスの木村さんの油彩をご紹介致します。木村さん、建築物を描くことが多いのですが今回も小さな教会や城など、メルヘンを感じさせ、どことなく女性的な作品達。しかし木村さんをご存知の皆さんはお分かりになる通り見た目は屈強な男性。そのギャップにとても魅かれるものがあります。

特に左の作品は星いっぱいの夜空に流星が流れる美しい絵です。水面の映り込みも絶妙です。因みにこちらは新婚の方のお引越し祝いにプレゼントされたようです。

右はノイシュバンシュタイン城、ドイツ国内でも名高いお城です。森の中に鎮座する立派な城に歴史を感じます。大きい城だけに窓が多い、そこはかなり苦労されたところだと思いますが全体のパースが今以上ににカチッとしてくると更に良い印象になるでしょう。緻密な筆運びが木村さんの繊細さを表しているようです。 
今度これ描けば?と木村さんに城の写真を渡してご提案した仲良しの佐藤さんも、さぞ喜んでいらしゃることでしょう。

佐藤さん、木村さんに又何か描くネタをご提案してあげて下さいね!私としては木村さんの次作は、日本のお城など良いと思うのですが・・・。

工作が上手くなる本 発行しました

今秋、小学校受験工作のためのサポートブック『こうさくが うまくなるほん』を発行いたしました。

『えの かきかたが わかるほん』シリーズをお買い求め頂いた方々から「良い工作の本を知りませんか?」とお問合せ頂くことが増えました。そんな声にお応えして、基本から応用までを網羅した『こうさくが うまくなるほん 』を作りました。小学校受験で求められる制作技術を、基本から応用まで楽しく身に付けられる内容になっております。工作を通し、柔軟な思考力・発想力を伸ばせるよう、作品を応用発展させるアイデアを紹介していますので、受験の立体制作にお悩みの方も、得意な工作に更に磨きを掛けたい方にも、お役に立てると自負しております。

本書は、STEP1・2・3と難易度を3段階に分けて構成しています。お子様の技術に応じてどこから始めても構いません。基本的な道具の使い方を学び、STEP1から手先の巧緻性を習得し徐々にレベルアップしていく事もできます。興味のあるテーマから始めても良いでしょう。
制作の経験を積むことが大切で、完璧に作る必要はありません。本書に掲載された作り方を応用して、幅広く作品を作って頂ければ幸いです。

手を動かして試行錯誤する経験の積み重ねが、必ず自信へと繋がっていきます。
「好きな材料を使って自由に作って下さい。」という課題に「任せて!」と果敢にチャレンジできるようになることが、本書の最終目標となっております。

アトリエで、主に小学校受験クラスに在籍される方の家庭学習用に販売していますが、生徒さん以外でも書店購入またはアトリエから配送することも可能です。ご自宅でミオス式工作メソッドを学んでいただけます。
ご家庭でどのようにお子様に工作を教えて良いか分からない、やったことはあるけれど今一度確認したいなど、ぜひ、ご家庭での工作の時間のサポートとしてご活用頂ければと思います。

『こうさくが うまくなるほん』3,000円(+消費税)

<アトリエ教室内で直接購入>
 3,000円(+消費税240円)

<配送>
 メール(mios@ace.ocn.ne.jp)でお申し込みください。
 お名前・配送先住所・電話番号・お子様の学年をご連絡ください。
 確認の返信を3日以内に致します。もし返信がない場合お手数をお掛けしますが、再度ご連絡頂けますと幸いです。

 3,000円(+消費税240円)+送料360円  合計3,600円
 下記振込先に合計金額(3,600円)をお振り込みください。ご入金確認後、配送致します。

 振込先:三井住友銀行 元住吉支店  0609714   名義 小原京美

 <書店で購入> ※10月中旬より店頭販売予定。正確な日程は分かり次第ブログでお知らせします。
 ・天一書房 日吉店 
  東横線・地下鉄グリーンライン 日吉駅 日吉東急3階

 ・紀伊國屋書店 武蔵小杉店
  東横線・南武線 武蔵小杉駅 グランツリー武蔵小杉3階

 ・ACADEMIA 港北店 
  地下鉄グリーンライン・ブルーライン センター北駅 ノースポートモール3階

秋に美術館デビューはいかが?

本日は、小さいお子さんと一緒に行って楽しめる美術館情報をお伝えします。ブログを読んでくださっているアートに関心のある皆さんなら、「芸術の秋!そろそろ美術館へこどもを連れていきたいな」と思われることもあるでしょう。最近では、こどもの美術館デビューを後押しするサービスや施設も増えてきていますが、ご紹介する横須賀美術館は、親子で美術鑑賞する他にもいろいろお楽しみがあるところです。

横須賀市観音崎公園に隣接する横須賀美術館は、美術館目の前に海(9月も後半ですが、時々暑い日もあるので、まだ海に足を入れて遊べますよ!)が広がり、入り口前の芝生広場では、子どもたちが思い切り走り回ることができる、海と山に囲まれたアートと自然が共存したおすすめのスポットです。屋上は東京湾を望む海の展望台となっています。海を行き交う船をのんびりと眺めて休憩することもできます。また芝生スペースもあり、アート鑑賞のあとにはここでのんびり寛いだり、子どもと一緒に休憩したりと、従来の美術館にはない開放感が何といっても魅力的。また館内建築も見どころ満載。建物にはたくさんの丸窓があります。そこから差し込む光によって、まるで海を進む船のなかにいるような気分にも、木漏れ日の差し込む森のなかにいるかのような感覚になります。真っ白な広いスペースの中に点在する丸窓を探して、そこから見える景色も楽しめます。

99()から開催されている『ぼくとわたしとみんなの tupera tupera 絵本の世界展』に2週間前に見に行ってきましたが、絵本原画作品のデザイン性の高さと、手作業の驚くべき細かさと色彩の美しさに圧倒されてしまいました。展示作品は、どこの書店の絵本コーナーでも一番目立つ場所に置いてある絵本の原画ばかりなので、きっと見覚えのある方も多いと思います。一見デジタルで制作したかと思ってしまいますが、繊細で妥協しない手作業を間近で見られるのは、大人もぐっと惹きつけられます。こちらの展覧会は、115()まで開催中です。元住吉から車で1時間ほど。秋に親子で美術館デビューはいかがでしょうか?(Eri ITo)

ありがとうございました!

水曜朝クラスを担当していました、山下です。
私事ではありますが、本日をもって水曜クラスの担当を外れる事をご報告させて頂きます。
今後はピンチヒッターとして時々お手伝いに伺います。
 
私は現在大学4年生の身で、卒業まではお世話になる予定だったのですが、卒業制作や授業の関係によりクラスを毎週担当する事が難しくなってしまい、急ではありますがこのような形をとらせて頂く事になりました。
週に1日だけではありましたが、たくさんの方々の作品に携わるお仕事を頂けた事、とても嬉しく思います。
1年に満たない短い期間でしたが、私にとって非常に貴重な経験ができました。
選んだアトリエがミオスで良かったな、と思います。
水曜朝クラスの皆さん、ブログを読んで下さった皆さん、ミオスの先生方、ありがとうございました!