影からうまれたものは・・・?

本日をもちまして、夏のワークショップ全ての講座が終了しました!約1ヶ月半の参加人数は、いったい何人でしょうか?(ノリ先生、教えてください)本当にたくさんの方にご参加いただきました。ありがとうございました!!

幼児クラスは通常授業に戻り・・・・、この日はお昼寝?写真を見ると、みんなで大きな色画用紙に寝転んでますね。いったい何をしているのかというと、自分の体の輪郭線をお友達にクレヨンでなぞってもらい、影を写し取っています。寝転ぶ時には、足や腕を曲げて面白いポーズをとってもらったので、出来上がった形は分身ではあるけれど、不思議な形をしています。その形を違う角度から見ると、ますますヘンテコな形に見えます。このヘンテコな形を生かして、どんな「かいじゅう」になるかなぁと、お絵描きしました。

このテーマでは、最初に『かいじゅうたちの いるところ』『かげ』という2冊の絵本を読んで、「かいじゅう」と「かげ」をイメージしてもらいました。さらに、実際に布と懐中電灯を使って、布に映る影から何を連想するかという影遊びもやり、いつもより導入に時間をかけてからの制作でした。

影(体の輪郭線)を逆さまにしてみると、自分の足部分だったところが、かいじゅうの角になっていたり、思わぬところから羽がついていたり、びっくりするような大きな口があったり、こんなものがあったら楽しいな!面白いな!というものをかいじゅうの体にどんどん付け加えていきました。授業の最後には、お迎えにいらしたお母さんたちの前で、かいじゅうについての発表会も開催!まさか、こども達の体を元に描いたとは思えなかったようで、出来上がった作品からボディラインを探すのも面白いですね。(Eri Ito)

ご高覧ありがとうございました

小原京美 『ひそやかに たゆとう』 絹本・墨・透明水彩

昨日で10日間続いた個展が終了致しました。長い間お休みを頂き、申し訳ございません。ご迷惑をお掛けしました。
また暑い最中に銀座まで足をお運び頂いた皆様には、恐縮しながらもうれしさで胸が一杯です。心より御礼申し上げます。

戦前の着物の裏地を使い、古い染みや機織りのよれ、破けたほころび、透ける素材にインスピレーションを受け制作を始めけて15年、この媒体の面白さは計り知れません。描く度にフレッシュな気持ちで楽しみながら制作しております。
今回は心象風景を中心に、どこかで見た景色・いつか経験したいと思っている現象・懐かしい場所など、見る人それぞれが好きに思い描いて気持ちを乗せてもらえるような風景を描きました。何か少しでも心に感じいるものが残って頂いていれば幸いです。

美術を教え、心の内を表現することの大切さを説いている身としては、いつでも自信を持って『これが私の作品です。』と胸を張ってお見せできなければならないと思っています。また常に新作を発表し続ける義務を果たす努力も必要だと思い制作しています。
ご高覧頂いた皆様より授かった貴重なるお言葉を大切に心にとめ、新たなる作品に反映できればと思います。

最後に重ねて御礼申し上げます。

木曜クラスも画廊ツアー!

木曜学生クラスの菅原です!
お盆は連日の雨で夏らしい予定が丸潰れになってしまいがっかりすることが多かった上に、雨のどよんとした空気に落ち込み気味でしたが、最近はお天気が回復してきて嬉しいですね。

火曜の学生クラスに続いて木曜クラスも画廊見学に行って参りました!
もう何度か行っている生徒もいますが、銀座の街は何度行っても慣れない様子で、いつもうるさいお喋りも銀座に到着するなり急に静かに。
見学の流れは(昨日の田中先生の記事に書かれていますが)、小原先生への質問も交えてそれぞれ自由に観覧した後に、自分の気に入った作品をピックアップし感想をプレゼン形式で伝え合うというものでした。
美術館の企画展に行くことはあっても個展に行く機会はなかなか無いと思うのですが…作者が在廊している個展の良さの一つは、直接作者と会話が出来るということです!
なのでドンドン小原先生に質問してと促しまくり、絵を入れる額へのこだわりや表現のバランスの話など、貴重な話を聞き出すことができました。
そしてプレゼンタイムですが、さすがはみんな高校生といった所で、とても大人な感想を聞くことができました。特に印象に残っているのは、(今回の小原先生の作品は抽象的ながらも植物や森・川の情景を感じる物が多かったのですが)作品を見て「私には星雲に見えました。先生はどのように考えたのですか」と、見たままの感想に加えて自分の知識からもイメージを引き出していて、深く作品を理解しようとする姿勢にとても好感が持てました。
 
絵の面白いところは、絵は喋らないし全てを説明してしまった文章を付けて展示することもナンセンスなところです。
私は芸術作品を何を伝えたいのかも誰に宛てたかも明かさない作者からのメッセージだと考えています。それは100%が受取手次第のメッセージなので、自分の意図がそのまま伝わっていることもあれば、悲しい絵を描いたつもりが嬉しい絵に感じられたり、嬉しい絵のつもりが切ない絵に受け取られたりするのですが、受け取り方を限定しないからこそ観る人の心に寄り添える絵が生まれるのだと思っています。
だから、そんなに作者を前にしても堅苦しく考えずに気楽に感想を言えるようになってほしいな〜というのが私の感想です(笑)

学生クラスのプチ課外学習


火曜学生クラス 画廊見学

どうも幸介です!学生達の夏休みもほぼ終わり、朝の風も冷たくなってきました。そんな夏休み最後の学生クラスのイベント、火曜クラスの生徒で小原先生の個展へ画廊見学へ行ってまいりましたー!!

ほとんどの中学生高校生が、なかなか画廊へ行く機会って無いかと思います。そもそも銀座に用事が無いかな?学生達からしたら異次元すぎて、場違いかも!?とすら思わないかもしれません。普段行く機会のある、美術館ともまた違った空気感の画廊。しかもそこで個展を開いているのが知人とは、なかなか中高生にしては貴重な時間だったんではないでしょうか。

まず画廊にお邪魔して作品を閲覧しましたら、各々が気になった作品について意見を述べます。作者の意図に気づいたり、自身との共通点を見つけたり、物の捉え方の違いに悩んでみたり、普段の授業と違うカッチリとした小原先生に戸惑ってみたりと、意見も様々です。絵は、作者の内面を顕著に表します。ようは作品を見ることによってその内面と直に対話するわけですので、生徒達からしたら気恥ずかしさもあったのかな?

一般的に学生は、家と学校とで形成された、ごく限られた世界で生活しています。たまーに旅行なんてイベントあるけれど、基本的なテリトリーはせいぜい広くて習い事ぐらいまででしょう。自分もそうでした。世界が狭いので、ちょっとでも家族や友達と嫌なことがあると「もうほんとにこの世は終わった」ってぐらいにダメージを受けてしまいます。

そんな彼らが、ちょっと大人の世界というか、こうやって外に出て新しい経験を積む機会があって、なんだか生徒の皆を羨ましく思ってしまいました。自分も学生の時に銀座で画廊行ってお茶するなんて、セレブリティなライフスタイルを送りたかった〜。そしたらもっと余裕のある心の広い人間になれてたかも。笑
ということで、今回の経験、何か彼らの糧になっていればいいなと思います!

人物クロッキーのお知らせ

岩田です。今回は来週土曜日のクロッキー会のお知らせです。

下記にアップした画像は私が7月にクロッキー会で描いた人物。左側は描き出し。頭から描いて最後に足を・・ではなく、初っ端は構図も含めて全体を大きく捉えると良いですね。その際も表面からは見えない中身、特に骨格がそのポーズによってどのようになっいるのかを探ることが大切。
下段中央の画像は、レントゲンのようにみえるかもしれませんが描いている途中で、皆さんに分かり易いように頭蓋骨などを描きました。

クロッキーと言っても、人物の全体を画面に入れても良いし、手や顔など部分をクローズアップして描いても良いのです。普段は殆ど人物を描くという機会がないと思いますのでこうした時に参加されてみて下さい。

クロッキー会では、大体いつも私も描いていますので今回ご覧になっている途中経過も見て頂けます。ある意味描く途中経過を見るだけでもどのようにモノを捉えるのかを理解して頂けるでしょう。
次回のクロッキー会は来週です。奮ってご参加下さいね!

日時   9月2日(土) 16:00~18:00 (入室は15分前より可能です。)
参加費 1500円 (ミオス生徒 1000円)
持ち物  スケッチブック、画材etc (イーゼル、画板、イスなどはご用意してあります。)
お申し込みはお電話でお願いします。   044-411-1600

お魚に変身☆

大竹です。なつやすみワークショップの最後は幼児クラスの「お魚になって竜宮城を建築」でした。教室に入るとそこには竜宮城と門番の龍、そしてなんだかカエ先生にソックリな乙姫様が…?!乙姫様の為に、家族のお魚をみんなで描いて、竜宮城をより豪華にしてあげましょう!

まずはサメやカジキ、トビウオなどの魚を一つ選びクレヨンでお絵かき。カジキの長い上顎やトビウオの大きな胸ビレなど特徴もよく捉えられています。画用紙いっぱいに大きく泳ぐ魚たちが沢山生まれました。

そして今度は自分自身がお魚に変身するための帽子作り!キラキラの目を貼り、鱗を切ったら好きな場所に貼り付け、クレヨンで模様を描いたりして変身したいお魚にしていきます。最後にカラフルな尾ビレをくっ付けたら完成!早速被って竜宮城を探索します。みんなお魚になりきっていて、天井から吊るされた紙テープの間をスイスイ泳ぐ用に縫っていっていました。

その後は男女のグループに分かれ、男の子チームは竜宮城を紙テープで飾り付け、女の子チームは竜宮城の屋根をクレヨンや紙で豪華にしていきます。男の子チームは紙にテープを貼る係と、それを竜宮城に貼る係で分かれチームプレーが光っていました。女の子チームは最初に描いお魚をまた描いてみたり、中には乙姫様を描いていた子も…!最後に屋根を取り付けて竜宮城の完成!立派になった竜宮城に大喜びな乙姫様と一緒に記念写真を撮り、みんな笑顔で竜宮城から家へと帰っていきました。

ワクワク魚釣り

親子クラス夏のワークショップ、最終章を迎えます。ラストは『ワクワク魚釣り』です。最初こども達が絵本を読んでもらっている間に、お母さん方にこっそり模造紙に白クレヨンで海の生き物をたくさん描いてもらいました。絵本が終わり「みんなで海を作ろう!」と、青い絵の具で模造紙一面をさ~っと塗ると、お母さん達が描いてくれた絵が浮き出てきて、あちこちからかわいい海の生き物が続々と出現してきます。あっちの海には何がいるかなぁとお友達のところに行ってみたり、大勢いるとできる遊びも増えて楽しそうです!

海を泳ぐ魚は、魚の形をした台紙を3枚選んで、そこにシールやクレヨンでウロコ模様を作っていきます。同じ材料と画材でもシールの貼り方やクレヨンの描き方がそれぞれ個性的。そして、最後は釣り竿で魚釣り大会のスタートです。釣り竿には、マグネットがついているので、クリップ付きの魚にピタッとくっつけば、楽々釣ることができます。だんだん要領得て吊り上げるスピードが速くなり、あちこちで大漁の歓声が聞こえてきました。

夏のワークショップは、通常親子クラスの定員より多く、10組で行っていましたが、それでも毎回キャンセル待ちする方が増えた為、1クラス増設しました。8月でワークショップは終了いたしますが、9月以降も定員数とクラス数を継続して増やすことになりました。

今後の予定です。月曜と火曜日の授業は、同じ内容となります。

【月曜クラス)9月11日・25日、10月16日・30日、11月13日・27日、(12月は火曜クラスのみ)

【火曜クラス】9月5日・19日、10月3日・24日、11月7日・21日、12月5日・12日(クリスマス会)

☆どちらの曜日を選んで頂いても構いませんが、火曜クラスは既に全日程定員に達している為、キャンセル待ちでのお申し込みとなります。月曜クラスの空き状況は、お電話にてお問い合わせの上、お申し込みください。

(Eri Ito)

淡く力強く幻想的に

松岡 水彩

水曜朝クラスの山下です。

夏と思えない雨の連日かと思いきや、また暑さが戻ってきましたね。
 
今日ご紹介するのは、水彩画です。
作者の松岡さんは、水墨画も習われていて、都美術館にて開催された現水展で受賞した事のある程の腕前です。
 
私も、初めて作品を目にした時からその実力の高さに圧倒されました。
その描写力の高さは、作品を観る人を納得させる強さがあります。
同時に、松岡さんの作品は現実に存在しているようで、どこか異世界のような幻想的な魅力を感じます。
筆跡のない絵の具の表情、淡く広がる色…そんな表現のこだわりが夢の中のような世界観を見せてくれているようです。
画面上部から降り注ぐ花の鮮やかな色が華やかさを演出すると共に、落ち着いた雰囲気に鞭を打つような強さがあります。
 
画面には光を感じる白がありますが、こちらは白絵の具ではなく紙の白。
紙の白色は白絵の具より、何よりも明るい色なんです。
紙の色を完全に潰さず、画面が絵の具で密閉されていないので観ていてとても心地良いですね。
 
透明水彩というのは、水で薄く溶いた絵の具を何層にも重ねて重圧的な表情を創る、お手軽だけど修正の難しい画材です。
その為どのように描き進めるか、計画的な創作が重要となりますが、松岡さんはどこにどの位の暗さをつくるか、絵の具の鮮やかさはどの程度にするか等、常に思考を巡らせながら制作を進められていました。
こちらの作品も何ヶ月もかけて制作されていましたが、そんな1つの作品に対するまっすぐで熱心な姿勢、私も見習わなくてはなと思います!

是非ご高覧下さい!

小原京美 『たえまなく』 絹本・墨・透明水彩

昨日から個展が始まりました。(詳しくはこちら)
今日は学生クラスの画廊ツアーもあり賑やかに締めましたが、会期はあと1週間ございますので是非多くの皆様にご高覧頂ければ嬉しいです。(※日曜休廊)

私は週7日授業があり休日が無いので、制作は夜間大人クラス後の片付け・翌日の準備の終わった真夜中から朝方までとなります。しかし睡眠時間を削った絵がすばらしいかと言えば全くそんなことはなく、鼻歌交じりで短時間で描いたものでも良い絵はキチンと評価されますので、私のやり方は褒められたものでも自慢できるものでもありません。苦労は美徳なんて時代でもありません。不要な努力はしない方がスマートです。不器用な人間だと個展の度に思い知らされます。

そんな人間ではありますが、普段授業中に下品でくだらないギャグを連発したり、ガミガミ怒鳴り散らしたり、大口で爆笑しているノリ先生ではなく、精神を消耗させながら孤独に制作している作家としての小原の仕事を見てご講評頂けましたら幸いです。
最後に、会期中授業を欠席させて頂き大変申し訳ございません。来週の水曜日より授業に復帰します。

初めての透明水彩

上段左 西井 / 上段右 村中
下段左 岸 / 下段右 白仁田
 

どうも幸介です!本日は大人クラスより、水彩画のご紹介。本日ご紹介する4名とも、入会されて一年未満、基礎のデッサン後に挑戦された作品です。皆様デッサンで吸収した技術をしっかりと反映し、一枚の絵として完成度がとても高いです。学生クラスの生徒のお手本にしたいような作品ですね!

西井さんの作品は、厚く重ねられた木々の濃淡が、空の明るさを引き立てています。そしてこれだけ多くの緑を使っていながら、画面が単調になっていないのが素晴らしいですね!ひとつの絵の中に、明度も彩度も色相も違う、バリエーション豊富な緑をこれだけ使えるのはすごい…!小屋も反対色の赤の色調で、木々の緑に対してとてもいいスパイスになっております。一見色の幅の少ないように見える作品ですが、実際はすごく色彩豊かな作品ですね!

村中さんの作品は、透明感・瑞々しさ、そしてそもそもコップのデッサンがしっかりとしています。背景の白が透けるようなブドウの実は、その水分までも感じ取れますね。ブドウも少し半透明なモチーフで、グラスももちろん透明。透明水彩に適したモチーフではありますが、その透明感をここまで保つのには塗り過ぎずに紙の白をキープしなければなりません。そのおかげか、透明なものの美しさをダイレクトに感じます。とてもバランス感覚が良い作品だと思います。

岸さんの作品は、初水彩静物でまさかの貝殻!しかもチェックの布に、透明なビンという、すごくハードなモチーフでした。鮮やかなチェック、貝殻の細かな起伏と暖色の表面、そしてビンという、描きこみ過ぎてしまえばしつこくなるようなモチーフを、実在感がありながらも爽やかに仕上げたのは素晴らしいなと思います。今も水彩を制作されていますが、きっと水彩が合ってると思います。そして、「岸さんなら大丈夫!」と思って、いつも難しいモチーフ提案してすみません。

白仁田さんはご夫婦で通われていますが、こちらは奥さんの作品ですね。唐辛子の束な感じ、といいますか、実のそれぞれ微妙に異なる意匠の描写が繊細なのに、バラバラにならずにひとつのまとまった「束」として描かれています。ついつい細かく追ってしまいがちなのに、この纏まり感は凄いですね!重さも、立体感も、味も感じます。持った時にするであろう音も感じます。デッサン力をこれでもか!と水彩に発揮された作品ですね!

ということで、ぜひまた水彩画を制作していただき、もっと皆さんの作品を見てみたいなと思いました!

ちなみに水彩絵具には、不透明水彩と透明水彩の2種類があります。
皆さんが小学生の時に使用していた水彩絵の具は、不透明水彩です。大人がこの絵の具を使い重ね塗りをすると、絵に厚みが増し重厚な表現が可能ですが、にごった印象になるのも否めません。
一方、今回ご紹介した皆様の作品で使用されている透明水彩は、定着成分が強く上に別の色を重ね塗りしても、下に塗った色がセロファンを重ねたように透けて見えるのが特徴です。
また、透明水彩における水彩画は、白の絵の具を使わない画法です。透明感のある美しい水彩画は、物に光が当たっているところは塗らず(もしくは薄塗)に、紙の白さを生かす技法によって生み出されます。
その為、光が当たって明るく見える部分に色がにじんでしまったら、綺麗な綿布やティッシュで押さえて吸い取りましょう。透明水彩絵の具が持つ輝きをアピールするには、紙自体が持つ白さを生かすことが必須なのです。絵の具を重点的に置くのは、主に影の部分だけであること。まずはこのことを念頭に、水彩画を描いてみると良いと思います。

まだ水彩画を描いた事がないという皆様も、チャレンジお待ちしております!!