それぞれのデッサン

真佳 高3 / 依莉 高2 / 史織 高1

春が近づいて参りましたね。
これは、高校生3人のデッサンです。左から、3年、2年、1年の生徒で並んでいます。

質感やモチーフも随分と違う作品たちですが、共通しているのが構図を考えて配置している点です。
ダイナミックに配置した真佳(高3)のデッサンは、新聞の細かい書き込みやブロックの重さの表現により、全体的にずっしりとした雰囲気が出ています。双方ともマットなものでありますが、質感の違いががよく描けています。
次に、依莉(高2)も、バシッと配置できています。長方形の画用紙に対しモチーフの全体像も長方形のフォーメーションであるため、初心者向けのよいモチーフなのですが、こうしてきちんと画面上によく配置し描き進められたことで自信が付いたのではないかなと思います。必要なものしかいらないというスタイル、大事です。
そして最後に、史織(高1)。飛び出ているフランスパンに目が持っていかれます。中心のモチーフ(牛乳瓶と石榴)の向いている方向との対比が上手に出せているので、インパクトのある仕上がりに。こういう例も面白いです。
 
先週の大竹先生のブログや、昨日の田中先生のブログでもありましたが、構図がダメだったら、一つ一つのモチーフがどんなにパーフェクトに描写されていてもダメだと言われています。まさにその通りで、一番始めの基本の段階であるアタリをつける時に何と無く雰囲気だけで場所を決めてしまうと、後々悲しい思いをすることになります。まずはきほんのき、デッサンの手順の最初から気合を入れて吟味をする必要がありますね。なによりも土台が大切なんです。何事も。   菅原

戦闘力、デッサン力


学生クラス 構図の取り方・基礎編

どうも幸介です!先日の木曜日学生クラスで大竹先生が実施した構図の取り方講座を、たまたま火曜日クラスに来ていた大竹先生にお願いして火曜クラスでもやりました!詳しい授業内容は先日のブログをご覧下さい。もともと火曜クラスではやる予定はなかったんですが、たびたび火曜学生クラスの様子をブログでもお伝えしているとおり、このクラスの生徒達はあまりにも『絵画』的な事をしてなさすぎる!!ってかもはや絵を描きに来ていないのでは!?ということで、半ば強制的にこのカリキュラムにいたしました。

美術の学習においてデッサンは大事~なんて言われますが、デッサンをするということは、もちろんモチーフの質感などを描写する力を鍛えるということもあり、それと同じぐらい「構図を取る力」を鍛える行為でもあります。何枚も描いて、その構図を取るセンスが磨かれていくわけです。画面にどう納めるか、モチーフのどこを切り取って絵にするかというのは、実は作品を作る上でのキモなんじゃないかなって思います。そんな構図センスを鍛える授業でしたが、けっこう生徒達も久々に大人しく取り組んでいたので、中々手応えあったかな?という感想です! 

業界用語というか、デザイン系でよく使われる言葉で「デッサン力(りょく)」というものがあります。戦闘力や女子力と同じ感じでイメージしてもらえばいいと思います。仕事でデザインを行う、もしくは他人のデザインを見る場合、良い制作物に対してよく「デッサン力を感じるね~」なんて言ったりするんです。このデッサン力が高いデザイナーほど、デザイナーレベルが高いという訳ですね。”デッサン力”ってところを”構図センス”って置き換えてもらうと分かりやすいと思うのですが、そんぐらい構図って作品の良し悪しを決めるポイントなんですね。

ということでこのまま火曜クラスはしっかりと授業を行い、学生達の戦闘力、もといデッサン力をどんどん高めさせたいと思います!!

アクリル絵具で古びたタイルを

赤塚 アクリル・ジェッソ(左‐赤はキャンバス・右‐青はパネル)

どうもどうも岩田です。

今回はチケット制でいらっしゃっている赤塚さんの作品。アクリル絵の具を使っての制作でしたが赤塚さんにとって初めての画材です。アクリルガッシュは水性の絵具ですが不透明水彩絵具。透明水彩とは違います。只、水の分量により透明水彩のような表情を出すことも可能です。今回はそんなアクリル絵の具の特徴を活かし2枚1組の作品を制作しました。

作品のイメージは、古びたタイルを赤塚さんが撮影した画像。それを元に暖色系の画面、寒色系の画面を作ったのですがその古びた感じを出すために先ずはそれぞれの支持体にジェッソをペインティングナイフで塗り、表情をつけました。

ジェッソとは炭酸カルシウムを基材とする下地材です。絵具と比べると少しだけモッタリとしていて厚みを出し易いです。又、炭酸カルシウムの粒子によってザラっとしたものからきめ細かいものまであります。ナイフ、ローラー、筆など道具を変えることで画面に現れる表情が違ってくるのが面白いところです。白いジェッソを塗ることで絵の具の発色が良くなる他、その表情が絵の具に面白い効果を与えるのです。

今回はナイフで出来た凹凸に水を多く含んだ絵の具を塗ることで、窪んだところは絵の具が溜まり、出っ張っているところは絵の具を弾くといった現象がおき、なんとも言えぬ古びたようなイメージが顔を出しました。ザラッとした質感と共に同系色の絵具を何色か混ぜたことによる効果も大変美しいですね。中央付近、斜めに走る白い帯がアクセントにもなっています。

赤塚さん、アクリル初めてでこの作品は素晴らしい!使い方により、色々な質感を出すことが可能な画材、これからも色々実験していきましょう。

 

Sレアなふたり

左 利穂子 高2 / 右 果穂 高1  油彩 

大竹です。今回ご紹介する二枚の油彩画は高校生の作品です。二人とも普通高校で、美術系の大学を希望していないという共通点があります。高校生で趣味の習い事というのも珍しい上に、それが絵画教室とはかなりレアなのではないでしょうか?

利穂子
油彩初とは思えないほど落ち着いた雰囲気に仕上がっています。大人っぽいですねー。水面のゆらぎの描写が素晴らしい!手前から奥へ深い青から薄い青へのグラデーションが美しいです。空や海といった自然物の柔らかい筆使いだけではなく、道路や風車といった人工物のパリッとした描写もあり、絵の中にメリハリがありますね。雲にも白だけではなく、ピンクや緑がかったグレーなど様々な色が使われていて見ている人を飽きさせません。道の先には一本の風車が建っており、進路等の悩みに直面しているであろう高校二年生の作者の目標や道標の象徴とも思えます。 是非大切に保管して、大学2年生位になったら見返して「こんな絵を描いたなーそういえばあの時はあんな悩みがあったなー」としみじみして欲しいと思います笑

果穂
日々バイト戦士としてシュークリームを売りながらミオスへ息抜きに来る果穂。彼女は自分の中で好きなものがしっかりしているなという印象があります。可愛いものが彼女の創作意欲を掻き立てるようで、製作中も楽しんでいる様子が見て取れます。
今回の薔薇は色合いと筆使いに重きを置いていますね。花びらを少し厚めの白い絵の具を置いて表現し、様々な青で密集した葉を表現しています。補色の黄土色が青を引き立て、更にその青がバラの白さを引き立てています。写実性や細かい描写よりも、可愛くて綺麗な色合いを追っている部分が実に彼女らしい作品だと思います。これからも自分が好きだ!と感じる物やその感覚を大切にして作品作りを楽しんでもらいたいですね。

小学校受験制作

小学校受験プライベートレッスン 新年中・新年長作品

先週木曜ブログの小学校受験絵画続きまして、本日は制作についてです。制作課題は、絵画同様に多くの私立小学校で実施している入試問題です。試験で制作した作品の評価は、上手な絵や作品が必ずしも良いとは限りません。学校によって求める子どもが違うということから、制作の評価は変わってきます。与えられた指示通り美しく丁寧に仕上げた作品が良いという技術面を見られている学校と、少しくらい仕上がリが雑でも面白い発想を求める学校など、学校によって基準が異なります。また多くの学校で共通するところは、積極的な取り組み姿勢や時間終了までの諦めない態度などを見ているところです。なかなか取り組めない消極的な態度や、自分では考えずにお友達と同じ絵を描く作るなどの様子は評価が低くなります。

楽しい発想力を求める学校の制作では、色画用紙・折り紙・モール・紙皿・紙コップ・ストロー・お花紙などを使って自由な発想で制作に取り組みますが、あまり工作経験がなかったり、苦手意識があるお子様にとって、突然「何でも良いので、好きな材料を使って自由に作ってみて」と言われて作ることは無理なことです。まずは、苦手意識をなくし楽しい気持ちで制作に取り組めるようになることが一番大事です。楽しいな!⇒もっとやってみたい!⇒もっと上手になりたい!と気持ちの中に意欲が湧いてくると、お子様の方から積極的に取り組んできます。工作に必要な道具の使い方や材料の扱い方を学ぶスタートラインで、最初に「楽しい!」という気持ちが芽生えれば、その後で技術面はどんどん発展させていくことができます。授業では、まずこのスタートラインをとても大事にしています。

たとえ上手く出来なくて失敗しても、「ここは上手にできたね!」とできた箇所を褒めたり、「どうやったら、動物が立つようになるか考えてみよう」と先生と一緒に手を動かして試行錯誤する経験の積み重ねが、必ず自信へと繋がっていきます。レッスンでは、楽しい気持ちと自信をもって取り組んでいけるように、サポートしていきたいと思っています。

またレッスンで制作した作品は、お迎えにいらしたお父様お母様に発表(作品の説明)をしてもらっていますが、どんな作品に対しても「すごいね!」「がんばったね!」「どうやって作ったの?お母さんにも教えてくれる?」と笑顔で目を輝かせてお子様に語りかける親御様には、お子様も意欲的に発表してくれます。そういうお子様は、制作中もキラキラとしていて、一緒にいる私達講師まで楽しい気持ちにさせてくれる程です。

どんな事でも楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますが、1コマ50分授業のプライベートレッスンでは物足りないというお子様も多いです。「楽しかったから、明日も来たい!」「もっとやりたかったのに・・・」と言われる授業になるように、私達も頑張っていきたいと思います。(Eri Ito)

グループ展のお知らせ

水曜夜間クラス担当のアカリです。そして、2月から春休み終了まで水曜小学生クラスもアシスタントをさせていただいておりますのでどうぞよろしくお願い致します。

今日は私事で恐縮ですが、人生初のグループ展を開催する事になりましたのでこの場を借りて告知させて頂きます。

『オトメノハニカミ』展
〈開催日〉2017年 3月10日(金)〜3月12日(日) open 11:00〜18:00 (3月12日のみ 15時まで)
〈場所〉[GALLERY LIP]〒165-0034 東京都中野区大和町 1-14-6 2F 中央線高円寺駅から徒歩15分
TEL:03-5327-8340
 
このグループ展は、私の通っている武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科の友人4人で行います。クラスも、目指している進路もバラバラですが、1年生の内に自分の好きなことを表現した展覧会を開きたい!という思いがそれぞれにあり、今回開催する事になりました。
非常に小さなギャラリーですが、お洋服、鞄、インスタレーション等、様々な展示をします。
私は[19歳の私]をテーマにしたお洋服と、そのイメージ表現として写真を展示します。私自身もモデルとして撮影しました。
 
アトリエでお仕事させてもらってから約半年経ちますが、アカリ先生ってどんな人なの?一体何を作って、何を考えてるの?と生徒さん方はまだハテナだらけだと思います… 
この機会にぜひ私の事も知っていただければ幸いだな、と思いますし、色んな方とお話出来たらとても嬉しいです。
もしお時間がありましたらぜひお越しください。よろしくお願い致します。
 
(お越しいただける日や、時間帯には確実に在廊するように致しますので、興味のある方は気軽にお声掛けください!)

公募展に出品するには

奥 油彩 

精力的に油彩を制作する土曜午後大人クラスの奥さん。先月に岩田先生が奥さんの前作2点をご紹介したばかりですが、なにせご自宅でもバリバリ制作されていらっしゃるので、あっという間に作品が溜まります。
上記作品ではありませんが、3月に梅香る大倉山記念館での『港北美術展』に出品されます。この展示会は港北区主催の公募展ですが、奥さんは様々な公募展に出品されていらしゃるので「ここはあまり奇抜な作品にすると、理解されないのよね。」などと、傾向と対策を十分練って制作されていらっしゃいました。
近所ですので、ぜひ皆様足をお運び下さいませ。 

【展示期間】平成29年3月1日(水)~5日(日)10:00~17:00(最終日は15:00まで)
【会場】大倉山記念館
【体験講座】各無料~200円
4日:バルーンアート、昆虫クラフトキーホルダー作り、竹細工
5日:筆で一文字、竹細工

学生達のストレス発散

火曜学生クラス 木版画 一版多色刷り

どうも幸介です!受験シーズン真っ只中、というか、そろそろ合格発表もチラホラと出て来ておりまして、学生達と同じくドキドキの毎日を過ごしております…そんな学生達の版画を本日はご紹介!ちなみに本日載せているのは、受験生ではない生徒の作品です。

火曜学生クラスは、絵を描きに来ているというよりも、先生に甘えに来ているようなタイプの生徒が多いクラス。小原先生といつも「もしかしたら育て方を間違えてしまったかもしれない…」と反省会をする毎日です(笑)学生になると、例えば技術的なことに興味が出てきたり、小学生では扱いずらい画材に挑戦してみたくなったりするもんです。が、火曜クラスの某T君は「やだやだ、版画やりたくないしデッサンもやだ、でも僕にはかまって!」と言ったり、某Mさんは「えー疲れたーもうこれで終わりでいいでしょ?もう今日は描かないから」と言ったり、もう絵を教わりに来ているという最初の目的をとっくのとうに忘れている模様。某K君も「たぶん幸介先生の彼女って大したことないよね」とかとんでもない悪口言い始めるし、ほんとうにいつから火曜クラスは崩壊してしまったのか、と頭を悩ませる日々です…。ということで、思春期のやり場の無いパワーを発散する場所として存在している火曜クラスですが、明日のクラスは原点回帰・アカデミックな授業をして、今一度生徒の皆に『あ、アトリエって絵を描く場所だ』ということを再認識してもらいたいと思います!!

PS,親御様方、一応彼らも脱線しながらも作品は完成させておりますのでご安心ください!

この筆致から

河内 『馬鹿』 色鉛筆・鉛筆

岩田です、毎日頑張ってます。

本日は土曜午後クラス、河内さんの作品です。タイトル通り馬と鹿をそれぞれ異なった画材で描きました。色鉛筆は初めて使ったということですが、その扱いがとても良い感じです。

鬱蒼とした草の中からこちらを見ている鹿。主役を描く以前にこの草むら、どう攻略すべきか悩むところですがそこは河内さん、奥にかけて微妙にぼかしたり、手前の草と奥の草に強弱をつけるなど空間を自然に演出しています。特に鹿に使われているタッチがとても繊細。暗く落とした背景から浮かび上がるような角が印象深く描かれていますね。又、背中の辺りのうっすら光っているような毛並みも美しいです。

馬の方は鉛筆画ですがやはり光沢のある毛並みを鹿と同じく丁寧に描いています。頭部から鼻にかけての質感、筋肉による凹凸も良く観察していますね。河内さんの作品の特徴はなんといってもこの柔らかで繊細な筆致。丹念に重ねられた筆致からは、完成に近づくに連れてなにか妙にリアリティーを感じる像が浮かび上がってくるのです。この馬の作品、ノスタルジックな白黒写真のようで実に良いなあ。

 

よい構図わるい構図

大竹です。先日、木曜日クラスでは美術系へ進む学生達へ構図の取り方の講座を行いました。

まず初めに構図を取るときにやってはいけない事(モチーフが全て同じ向きになるのはダメ、上はギリギリでも良いけど下は影を描くために空ける等)を説明します。その後学生にモチーフを渡し、今度は自分でモチーフを構成しエスキースを5枚描いてもらいます。その中で1位から5位まで順位を付け、なぜ1位に選んだものは良い構成なのか、5位の何がダメなのかを本人に考えさせ、説明してもらいました。そして小原先生からの一人一人のエスキースについて講評が入ります。またタブーとされている構図でも、キチンと理由があれば良い事もあるという解説も挟み、自分の中での最終的な1位のエスキースが右の写真です。いつもは賑やかな木曜学生クラスも、この日は鉛筆の音がよく聞こえるほど静かでした。

どんなにモチーフが上手に描けていても、構図が悪ければ勝負の土俵にも立たせては貰えません。勘が良い子もなんとなく上手く構図は取れますが、何故その構図が良いのかを説明することは難しいでしょう。
しかし、知っていればこれから意図的に出来るようになりますし、自分でモチーフを組むときにもこの講座は役に立つと思います。
そして何より、「どうしたらよいか分からないから、なんとなくやって終わる」ではなく「どうすればより良いものなるか?」と考えるようになってくれればと思います。