坂本 油彩
こんにちは。土曜日・大人クラスの京谷です。今週は疲労困憊の引越し作業から解放されまして、晴れて全身筋肉痛を忘れてのお教室でした!元気になった分、皆さんの作品を前についついコメントが長くなり、制作のお邪魔をしてしまったかもしれません。ごめんなさい。
今日、作品をご紹介いたします坂本さんも、私の話を辛抱強くお聞きくださる方のお一人ですが、作業については悩みつつも、いつも淡々と進めていらっしゃるところがまた素晴らしいです。今回は、ご自身が用意なさった数葉の写真をもとに、想像の風景画を作成されました。大胆な構図や、光と陰のコントラストによる独特な空気、世界が表現されています。油彩絵の具の扱いなど、最初の段階では若干控えめな坂本さんでしたが、今回はいろいろな混色を試されていらっしゃいましたね。筆の種類やタッチも要所要所ごとに工夫がなされています。少し個人的な感想で恐縮ですが、完成した坂本さんのこの作品を拝見して、20世紀初頭のフランスで、詩人/美術評論家として様々な芸術活動に関わったギヨーム・アポリネールが画家マリー・ローランサンに宛てた詩「Crépuscule」(黄昏時)を思い出しました。夜明け/曙ではなくて、黄昏の刻の光にこだわっていらっしゃった坂本さんの世界観に通ずるものがあるように思えたのです。とても文学的、詩的なものを感じます。太陽が沈み、上空は既に群青色。しかし、地平線には未だ夕陽の名残。黄金の光が瑞々しく草原や木々、川面に輝きを与えています。アポリネールの詩では、その日一日が終焉を迎える瞬間「黄昏時」に、単なる「終わり」ではなく、「再生」あるいは「循環」という意味が込められています。さらに「錬金術」を暗示的に表現している・・・と、ここまで書いた時、坂本さんの作品には、そういった雰囲気が確実に存在している?!とちょっと勝手ながら感動してしまいました!作品の前景、画面のほぼ半分近くを占める人物の存在、彼女の問いかけるような視線が、画面内の世界と鑑賞者との間に、不思議な緊張感を伴った関係の構築を促しているように感じられます。
様々なものがたりが頭の中に浮かんできて、とても奥の深い作品です。
植松 透明水彩

2月7日のクロッキー会の様子 / 右は先週
梅田 『風景』 油彩