矢作 油彩
土曜・大人クラス担当の京谷です。春分も過ぎ、これからまさに花盛りの季節となりますね。とはいえ、花粉症でお悩みの方々も多く見受けられます。どうぞいましばらく辛抱、お大事にしてくださいませ。
さて、今回は私の担当曜日でないのでなかなかお会いできない方なのですが、昨年の展覧会のおり、その力強い表現で一際注目を集めていらしたこちらの狼の油絵の作者、矢作さんの近作をご紹介したいと思います。今回の作品は、狼の鋭い迫力のある眼差しを描かれた時とは全く違って、光に満ち、ゆったりとした自然のなかで二頭の馬が佇み、また草を食む、本当に美しい風景画です。モチーフは、小原先生が以前に旅行したギリシャのスキロス島-アトリエ・ミオスの名前の由来ともなった『アルテ・ミオス教会(ギリシャ語のスペルはアトリエ・ミオスとほぼ一緒)』という、山奥の天然の洞窟に聖人を奉ってある教会(祠?)がある、人口3,000人の島-の写真なのだそうです。人口より家畜の方が数が多く、観光客は全く来ないのどかな島だとのこと。描かれた馬たちの、この堂々たる無防備感にも頷けますね。アトリエにて実際の作品を拝見いたしましたが、矢作さんの色彩感覚の素晴らしさ、センスの良さを特に感じました。筆のタッチなどは印象派を彷彿とさせますね。遠景の山並みや地中海地方独特の乾いた陽光が降り注ぐ石灰岩を多く含む大地の煌めきや、赤毛と白馬、全ての色に艶があり、ハーモニーを奏でています。隣り合う色と色、色面同士が呼応し合って、それぞれに高め合っている・・・ちょっと抽象的な表現になってしまいましたね。例えば、複数の色が重なり合って作り出された遠景の山並みの色彩に、赤毛馬の「赤茶色」の肌合いがぴったりマッチしているところ。その赤毛馬が中景・近景を橋渡しして、地面のベージュと淡いペパーミントへと続きますが、手前の白馬の「白」が、絶妙な配置で画面全体を引き締めています。大変バランスの良い構図であり、「ホッとするような安心感」を感じます。オリジナルはお写真ですので一度切り取られた風景なのに、矢作さんの作品には窮屈さがなく、むしろ描かれた空間に広がりを感じるのです。
矢作さんの作品を拝見してから、私も行ってみたくなりました。アルテ・ミオス教会のある、スキロス島!