色を育てる

麻場 油彩

こんにちは。土曜・大人クラスの京谷でございます。
私事で大変恐縮ですが、来週に引越しを控えてもっか全身筋肉痛状態でございます。でも、段ボールや荷物でごった返す自宅を抜け出し、アトリエでみなさんと制作についてお話しできるのは、何にも代えられない素晴らしいひとときです。ありがとうございます!

さて、今回ご紹介いたします作品は、麻場さんの油彩風景画です。なんともお洒落に仕上がったこの作品は、ご自身撮影の写真を元に、点描画家ジョルジュ・スーラを参照として制作されました。スクウェア画面に綺麗に納まった、まるで入れ子細工のようなパズルのような色面の数々。お写真の方も拝見いたしましたが、ついあれもこれもと欲張ってしまいそうになる風景の中
の要素をスッキリと整理して、小さめのキャンバスサイズにもかかわらず、ゆったりとした雰囲気になっています。四角い渦巻き状の構図ともいえますが、中心部よりややずらした並木道の奥の消失点がとても巧みに処理されていて、穴ぼこにならずに、心地良く風景の奥へと視線を運んでくれます。前景と中景の木々の落とす影のブルーとパープルのグラデーションも、全体の柔らかいパステルの色調をぐっと引き締めています。画面左下、赤で決めたサインも作品の一部となって、とても素敵です!点描技法は、視覚混合技法とも呼ばれ、パレット上で絵の具を必要以上に混ぜないで、鮮やかなままのそれぞれの色のドットを積み重ね配置していく技法で、観ているひとの網膜に直接的に色の混合を促します。そのことでより純粋で豊かで美しい色彩を目指す技法です。この画像では少々分かりにくいかもしれませんが、麻場さんの作品も、じっと拝見していると、本当にいろいろな美しい色が語りかけてくるのです。制作中、麻場さんが色を積み重ねて作業が進むにつれて、画面に優しい光と空気感が加わったことを思い出します。
色も育つのだ、とあらためて実感した瞬間でした。