ブログお休みのお知らせ

初めてお会いした方からよく「絵が上手くなるには何が必要ですか?」と聞かれます。
「向上心だけでは上手くならないのですよ。謙虚さがないと。」と答えます。
こんなちゃらんぽらんでいい加減そうなスタッフ達(伊藤・庄司先生を抜かす)を『先生』と呼んで下さり、アトリエに通っている時点で、もう皆さんすでに謙虚!
きっと上手くなります!

一週間、アトリエは秋休みを頂きます。
プライベートレッスン以外の通常授業はございませんのでお間違えのないようお気をつけ下さい。
(プライベートレッスンのご予約は現在全て埋まっております。キャンセルが出る事もありますので、ご予約を希望される方はお電話でご確認下さい。)

尚それに伴い、ブログも月曜日までお休みさせて頂きます。

展覧会のお知らせ

チケット制会員のSugawaraさんがハマ展に入選し、11月4日から10日まで、赤レンガ倉庫ギャラリーに展示されます。
無料ですので、ぜひ皆様おでかけ下さい!

第69回ハマ展(横浜美術協会)
会場 横浜赤レンガ倉庫1号館 横浜市中区新港1-1-1 入場無料
会期 11月4日(月)~10日(日)10時~18時迄(但し、最終日は前後期とも16時迄)
(日本画・彫刻立体・写真):11月4日(月)~11月10日(日)
前回のご紹介ページはこちら
         
Rika.Sugawara 「覚醒」 石膏 25×20×68 (完成品は展示場所で・・・)
靄のように渦巻くものがある。
闇と光は対立するものではなく、
常に変化しながら一体となり創りあげている。
混沌と秩序を繰り返すなかで新たなものが生まれるように、
光が差し込み目覚めが起きる。
この世界のように。
私が彫刻をするのは、世界への祈り。
最近、今起こってることと過去のことが、
シンクロしているかのように思われる。
まるで神経衰弱のように、
カードを1枚ずつ表にしていくようだ。
本当はこうだったんだ。
なぜわからなかったんだろう。
あの時を確認するかのように、
似た感情を呼び起こす出来事が導かれていく。
喜びもあれば悲しみもある。
思い出したくない過去もある。
でも、本当は大切なことだった。
この世界で起こることは
苦しみも悲しみも全て愛しく大切な出来事。
光も闇も
私達に忘れていたことを気づかせ覚醒させてくれる。
この世界で出会えた奇跡に感謝し、
感動し心が震えるため
私達は一度全てを忘れて降りてくるのだろう。

勝ち取るということ

20131028

どうも幸介です!本日ご紹介するのは学生クラスの旭の作品。ゲームとレゴが大好きな彼は(受験のため娯楽は封印中です)一見頭がよく注意深くて周囲に対しても気遣いのできる優しい男ですが、こと自分のことに関してはまるで何も分かっていない、そんな男です。例えるならば、公園のベンチでペンキ塗りたての張り紙を発見し、いち早く周りの皆に「このベンチ座っちゃだめだよ!!」と注意喚起するものの、自分は眼下の犬の糞を踏む、といった人間です。まぁ簡単に言うと憎めない人間ということですねww

突然ですが、僕には弟が(もしくは舎弟、鉄砲玉とも言う)が数名います。ちなみに鉄砲玉の強襲を受けるのは僕です。彼もその一人ですが、その鉄砲玉達の中でも絵に対する意欲は高く、凝り性な性格もあってか最近はこの「ペン画」を立て続けに制作していました。

周囲に対して優しいあまり、最近は自分のワガママをあまり通さない彼ではありますが、今回の作品は存分に我が出たようで嬉しく思っております。中学校の文化祭の表紙コンペ用ということで、神輿を描いたんですね。オリエンタルな構成の画面は魅力的で、海外から見た日本・アメリカ人の好きな日本感のようなものを感じます。うちの鉄砲玉は優秀ですので、もちろんコンペでも見事表紙を勝ち取りました。「選ばれた」のではなく、「勝ち取った」ということを心に刻んでほしい。ここ最近の彼は頼もしくて、とてもまだワキ毛がツルッツルのお子ちゃまとは思えないですね!!

ということで、彼が怒らないのをいいことにかなり好き勝手書いたわけですが、これを読んだ彼に鉄砲玉アタックされないか心配です。でも好き勝手といっても事実を歪曲しているわけではないですし、きっとマクドナルドを1回奢れば許してくれるでしょう!!コンペ勝ち取った勢いに乗って、このまま受験も受かりますように!!

田中幸介

横浜の風景

Asabayokohama1麻場 『瞬く』 油彩

本日ご紹介しますのは、土曜日午前クラスの麻場さんの油彩です。今日まで土曜日の午前の教室では、「THE横浜展」に向けて5人の方が作品を制作されていました。

お題は「横浜の風景」。皆さんご自分で取材された写真を元に様々な景色を描かれていました。そしてとうとう今日皆さん無事に作品をフィニッシュされました!

麻場さんのこちらの作品は今年オープンした「MARK IS みなとみらい」が出来る前、工事をしている場面を写真に収めたものを素材にしました。美術館側前の噴水をバックに建設現場が広がり、防護柵やクレーンなどが見えています。真っ青な空にそびえ立つビルが美しいですね。

ご本人曰く、「ビルなどが立ち並ぶ風景は初めてのチャレンジなので難しいです。」とのことでしたがこちらの作品とても雰囲気が良いです。空に浮かぶ雲など、上手に表現されていますよね。

希望を言えば、若干、ビルの印象が弱く見えているでしょうか。もう少し、特に画面中央に建っているビルを中心に焦点が合うと更に良くなると感じます。パースの関係上、カチッとした窓などを描くのは難しいですが次回、こういったモチーフを描く場合は是非チャレンジして下さい。

麻場さんもおっしゃっていましたがたまには、今回の皆さんのように出展に際して、描き終える締め切りがしっかり決まっているのも良いかもしれません。私も見ていて今日は皆さんどこかいつも以上に緊張感を持って描かれていると感じました。こんなふうに時々自分に負荷を掛けることも上達の一つの手段かも知れません。

鮮烈に焼き付ける

Nonaka_06野中 アクリル

今回ご紹介するのは、水曜午前大人クラスより野中さんのアクリル画初挑戦作品です。ずっと透明水彩で描いていた野中さん、不透明ですぐ乾いてしまうアクリルはなかなか慣れずに苦労されていました。何枚か試作をし、花を一つ一つ切り抜いて下絵に配置し構図も手直したりと悩みぬき、準備万全で着手となりました。それだけの手をかけた甲斐があります!今までの作品とはガラリと変わった、革命的な一枚となりました。

やはりなんといってもこの鮮やかさ!まさに鮮烈です。一面に咲き誇るチューリップ、それぞれの色が美しくお互いを引き立て合っています。試行錯誤し沢山の色を使いながらもまとまりのある作品になっているのは、見せたいところをしっかりと絞っているからです。中央の花だけ明るく鮮やかな色を使い、視線を引きつけています。他の花や葉は沈んだ抑え目のトーンで描くことで全体が引き締まっています。アクリルは発色が鮮やかですが、混色が難しく濁ってしまう危険もあります。しかし、葉のスモーキーな色などを見ても、トーンの落とし方も汚くならず美しいですよね!これは野中さんの強みです。水彩で培った色彩感覚は新しい画材に挑戦する時もしっかりと発揮されています。

Nonaka_07こちらは、完成作と色を極端に強調してみた画像を並べたものです。比べてみると、注目させたい部分の強さが感じられると思います。左手前の花のピンク色も一見激しい色に思いますが、この色調の中では思いの外抑えめになっているのが分かりますね。

皆さんは制作の途中で、新しい技法や色を発見するとついつい使いすぎてしまうことはないですか?(だって楽しいですから!)しかし、美しいタッチや色も漫然と全体に使うのではなく、的を絞って必殺!の心意気で一点にのみ使う気持ちで行きましょう。意識して抑え目にすることで見せたい部分、色やタッチが美しく活きるのです。今回の野中さんの作品はそこがうまくいっていますから、なかなかまとまった画面にならない…と悩んでいらっしゃる方はぜひ参考にしてみてください!

この作品は野中さんにとってまさに革命!水彩画鉛筆画と新しい世界を開き、しかしこのような作品を描かれるとは想像もしていませんでした。常に挑戦し苦労しながらそれを楽しんで作品を作り上げられる姿に、こちらまで楽しく燃え上がってしまいます!ブログ書きながらもテンション上がってしまいました! 庄司でした。

誰かに似てる?

Youji
幼児クラス
四方八方から絶え間なく、機関銃のようなおしゃべりが永遠と続く、何とも賑やかな幼児クラスです。
誰かが話していてもお構いなしに我が道を突っ走るトークは、幼児クラスならでは。
これだけ喋って口だけしか動いてない訳ではなく、同時に制作の手も動いていて、毎回完成度の高い作品を仕上げてしまうから、幼児との制作は楽しいですね♪

今週は、封筒と色画用紙と毛糸を使って分身人形を作りました。
年少さんは、ハサミを連続して切ることが難しいので、サクッと一回切りで出来た形をいくつか組み合わせて、「このかたちは、まゆげにしよう」とか「おおきいしかくと ちいさいしかくをかさねて めにしよう」とか、何かの形に見立てながら顔のパーツを作っていきました。
年中・年長さんは、思う形を容易に切ることができるので、顔のパーツはもちろん洋服の模様をおしゃれにデザインしています。細かい作業が得意な子は、色画用紙を細かく切って人物・花・食べ物などこだわりもって地道な制作をやり遂げました。
同じテーマでも、その子のできることを最大限に生かした作品になったと思います。
どことなく作者に似ている人形を見て、お迎えにいらしたお母さん達も楽しそうでした。

Oyako_3
親子クラス
そしてこちらの作品は、親子クラスで制作したものです。
お母さん達が一番こだわったのが髪型で、なかなかヘアスタイルが決まりません。その隙に子ども達は色画用紙や端切れなどをペタペタ貼って着々と洋服作りです。こども一人で制作できるところ、おかあさんと一緒に作るところ、それぞれお子さんのペースに合わせて制作しています。

伊藤

原点回帰

Jinguu左から 『増長天』  『薔薇と林檎』  『イマジン』   油彩 神宮

最初に神宮の作品を目にした者は皆、ここまでリアルな描き込みをした作品ながら決して踏み込めない一線に拒絶感を味わうだろう。それでいて磁力に吸い寄せられるかのように目が離せなくなるのは、画面から流れる画家の魂のようなものが伝わってくるからで他ならないのだが…。

神宮の仕事は、最初から最後まで一瞬の気も抜かず対象と真摯に向き合いキャンバスに写し撮る事に専念、従事する。妥協はしない。
しかしかといって原理原則や戒律を眼目とし過ぎるということはない。神宮の作品を見続けていると、その姿勢を前面化することでかえって画家の記憶と関わる心象風景のようなものが、じわりとにじみ出してくるような感慨をそそられるから不思議なものである。冒頭で書いた初対面の拒絶感とは真逆の感覚である。
その一方で、“早描き”(ここに一気に4枚の作品を紹介していることからもそのスピードを察して頂きたい)、“作品を販売している”(100号などの大作以外は全て完売しているというから驚きだ)という側面へも注目しておかねばならないだろう。
果たしていつごろからであっただろうか?神宮が作品を売るという楽しみを覚えたのは。
絵が売れ出してからというもの、制作のスピードも格段に早くなったように思うが、これを邪道と呼ぶのはそれこそ邪道であろう。絵を売ることは実に容易ではない。見ず知らずの家庭や企業に飾られることを意識し制作するのは強靭な意志の強さの表れに他ならない。
とは言いつつ自身が制作している等身大の現実をしっかり把握し、絵が売れているという現状認識となぜ絵を描くのかという明確な意思が求められる日に直面するのも近い予感がしている。
Photo『陶芸皿と葡萄』

そんな中で印象深い作品が生まれた。『陶芸皿と葡萄』である。モチーフを真上から見据えた構図はデザイン的でありながら堅苦しさは全くなく、むしろ解き放たれた自由な感性が見てとれる。概念的な絵画思考や他人の顔色を伺う邪心など感じない、日常にふと動いた心の機微を素直に紡ぎ出したかのような作品だ。手に入るささやかな幸福が漂っている。
ここに描くことの原点に画家を引き戻す手がかりを見た。

(神宮さん、目上の方なのに呼び捨てにしてごめんなさい!調子に乗っちゃいました!オバラ)

情熱の行方

「ノリ先生ってさー、女子の気持ちより俺らの気持ちの方がわかってくれてる気すんだよ。すげぇ理解あるしさ。
でもサカチャン先生いなくなったんだから、女子寄りにならなきゃダメじゃね?」と発破掛けられ、今更女子力アップは難しいと頭を抱えているオバラです。

先日中3男子が「この間アトリエで描いてたポスター提出したんだけど、美術の先生に自分が納得いかない手直しをされたから目の前で破って捨ててやった!」と鼻息荒く言うので、「ようし良くやった!その代わり次回のコンペで根性見せたれ!」と煽り、文化祭の栞の表紙に見事選ばれました。
(でもそれを聞いていた他の学生に「そこ褒めるところじゃないでしょ?普通美術の先生なら作品を大事にしなさい!って怒らなきゃマズイでしょ?」と呆れられました。)
話しは変わりますが、中学受験で4年前に退会した現在中3男子のお母様が「学校でせっかく描いた油絵を『かさ張るから』と枠から剥がして巻いて帰ってきたので貼り直せないか見てくれませんか?」といらっしゃいました。
巻いて持ち帰っただけあり内容も彼らしくない投げやりな画風。「残念ながら中学校の美術の授業は荒廃してますね?」と聞くと「ほとんどの子が丸めたり破いて捨てたりしたそうです。最初はうちの子も『私立だから油絵の授業もある!』と喜んでいたのに…。」とおっしゃっていました。
「どうせやるなら周りに流されずに大事にしたくなる作品を制作しろ!今度絵を丸めたら許さん!」と本人に直接伝えられず残念でした。

結果としては二人共自分の作品を無下にしている事になりますが、思い入れのベクトルは真逆です。
作品制作に情熱を注ぎ達成感を得る経験をしてもらう事が、改めて難しい仕事だと感じました。

受験の受難…!

20131021

どうも幸介です!本日ご紹介するのは、美大受験を控えた高校生の作品。…といっても彼女は今現在、ミオスではなく大手の美術予備校に通っています。

今年の春頃「美大考えてるなら大手予備校に通って、同じように美大を目指している生徒の中で切磋琢磨して揉まれるべき!!ミオスのぬるま湯の中じゃ危機感も生まれないし、美大に受かるかも分んないよ!!」と追い出したんですが、しばらくぶりに「作品を見てほしい」との懇願を受け、アトリエに来たのでした。

久々に見る作品には彼女の半年間の頑張りが目に見えて表れています!!デザインは全体的に色調が乏しく美しさに欠ける印象ですが、デッサンには率直で勢いのある画面構成に光るものが見えます。しっかりスキルアップしているようで心強く思いました。しかし美大は、その程度で受かるものではありません。だいたいデザイン系の科だと10倍以上の倍率だったりするわけですから、1人受かったら10人落ちるわけですね。そして、おそらくその10人が皆必死に絵を練習してきている。全国のそれぞれの高校で一番絵がうまい人たちが、さらに磨きをかけて受験しに来ているということだと思います。

数学などとは違い、絵は答えがいくつもあります。各々の身の丈にあった答えです。どんなに練習しても、受験会場でアイデアが降りてこないかもしれません。僕自身、武蔵美の受験のときにデザイン試験時間3時間のうち、1時間近くも頭ををひねりましたがアイデアが出ず、とにかく制作をはじめたものの2時間過ぎたあたりで「もうこの絵はダメだ!!」と思い、急遽水で絵を流して残り一時間でなんとか制作!!…なんてこともありました。

きっと、日々の学校や友達と過ごす時間、そして絵を描く時間と、悩む暇もないくらい目まぐるしく日々が過ぎているはずです。でも何だかこう、もう一皮むけたいのに行けそうで行けない。解決策の無い悩みがあるんではないでしょうか。彼女のどこか寂しげなデザイン課題には、それが顕著に表れている気がします。

アドバイスとしては、もうとにかく描くことですね!あたりまえですが大事です。そして出来る限りたくさんの作品を見る事!そこにはヒントが多く隠れていますので。そして極めつけは、いっそのこと絵なんか全然興味無い人(八百屋のおじさんとか)に作品を見て感想を言ってもらう事!!絵のことなんか普段全然考えないって人の感想のほうが、素直で的を得ていたりするもんです。(その分、作者としては傷つくこともありますが…)

ということで、これから冬が受験本番となります!!この冬休みが勝負ですね。小学生の時から教えている生徒が今こうして美大に入ろうとしている事実に、普段考えないようにしている己の老化を思い知らされた気もいたしますが、とにかく彼女がこの冬何かを掴める様に祈っています!!

田中幸介