ここ数日のすさまじい暑さにめげそうになっている酒井です。夕方にならないと外に出たくない・・・などと駄々をこねているわけにもいかないので、気合を入れて水曜夜クラス石山さんの油絵をご紹介致します!
異国情緒漂うレンガ色の建物と、空と水面の鮮やか過ぎないトーンが美しい作品。石山さんがヨーロッパ旅行に行かれた際ご自身で撮影された写真が元になっています。丁寧で柔らかなタッチで描かれた空は決して重苦しい雰囲気では無く、適度な湿度を伴った異国の空気の匂いを感じます。グレイトーンの空色や鮮やかな建物のオレンジ色が、水面に色とりどりに反射する様子も繊細に再現されています。
そしてなにより、空と水面に挟まれた建物群の壁に降り注ぐ光の形がとても美しい!!実はこの建物部分が、今回石山さんが一番苦労されたところでした。ズラッと立ち並ぶ建物は、描き慣れないと傾いたり、描き込みのバランスが自然になりません。窓枠や建物同士の隙間など、細かい部分を何度も消しては描き直し、やっとこの柔らかい日差しの表現を確立させました!建物の中から感じる光の美しさまで想像出来るようです。
ヨーロッパの風景画の歴史は案外浅く、人物の背景としてではない純粋な風景画は19世紀になってからだとも言われています。風景はあくまで人物の引き立て役、という発想だったのですね。西洋の美術がいかに人体表現を重要なテーマとしていたかが窺えますが、石山さんのこの作品は、人物を一人も描いていないにも関わらず、一番手前に「人」が使用するための自転車を置くことで、すぐ側にいる「誰か」の存在を匂わせています。 さらに橋の手すりを入れることで、橋の上からこの風景を撮影している作者自身の目線も感じさせ、風景画の中に絶妙な「人物の気配」を融合させているのです。これこそまさに「見せない美学」!風景と人物、どっちが主役!こっちが偉い!等と野暮なことは言わない石山さんのセンスにため息をつくばかりなのでした。
