夏休みのお知らせ

Photoアトリエ在住生物

本日より、「夏休み特別講座」「幼児クラス」「小学校受験クラス」「プライベートレッスン」以外の授業は2週間お休みです。
お間違いのないようお気を付け下さい。
※プライベートレッスンのご予約は、2週間ほぼ全コマうまっておりますが、最終授業の18:30~19:30のコマのみ数日空きがございます。
※月曜クラスのみ26日の授業があります。

小原呟き
実はこの2週間中に個展の予定を入れており、誠に勝手ながらお盆休みからズレた夏休みを頂いておりました。
が、授業に弊害が及ぶ程事務仕事が溜まっており、制作を断念し個展をキャンセルしました。
「だったら普通に授業やってれば良かった…」と一人ツッコミ。
ご迷惑お掛けして申し訳ありません。
この2週間は事務仕事に従事し、9月から充実した授業にしていくつもりですので、また皆様どうぞよろしくお願いいたします。

音が聞こえる絵画

Tokuda 徳田 油彩

8月も半ばを過ぎ、変わらない暑さに辟易してしまいますが、アトリエでは一足早く鈴虫が鳴き始めました。秋ももうすぐそこでしょうか。

さて今回は、チケット制の徳田さんの作品をご紹介致します!色とりどりの光が雨のように降り注ぐステージ。煌びやかな舞台の上は、けれどもほんの少しの寂しさを感じさせます。大きな絵画だったり、1本の大木だったり、広いステージだったり、なにか壮大で美しいものを見ていると、無性に泣きたくなるような感覚に襲われる時があります。その時のなんとも言葉にならない感覚を、そのまま切り取ったような作品だと思います。

私は徳田さんの秋を思わせる上品な色使いの大ファンなのですが、今回の作品は舞台の照明ということで光源がかなり強く、明暗のメリハリをつけるのになかなか苦戦。いろんな色を重ねて重ねて、回を経るごとにどんどん絵の雰囲気が移り変わっていきました。そうして辿り着いたのがこの作品!!鮮やかな黄色のスポットライトに、紫が温かみをプラスして絶妙に調和した画面が出来上がっています。実はこの組み合わせはとても理にかなっていて、黄色の光に反対色である紫や青色系の影を入れると、きれいに馴染んで一体感を出しやすくなるのです。陰の色に迷ったら反対色、オススメです!

前作の静物画でも紹介しましたが、色を置くような筆さばき、短いストローク、多彩な線の重なり合いが徳田さんの持ち味なのですが、今回はそれが見事に人物の躍動感を引き立てています。今にもギターの音が流れだし、歓声が聞こえてきそうです。静止した一枚の絵を見ているにも関わらず、続きが「聞きたい!」と思わせてしまう不思議な作品ですね。徳田さんの新しい魅力を知ることが出来た1枚でした!    酒井

一枚の絵と対峙する

Matuohotoke松尾 油彩

今回ご紹介しますのは土曜日午前クラスに通われています松尾さんの油彩です。
松尾さんの作品は比較的、物語り性を帯びた作品(前作前々作)が多いですが今回もそんな物語りの一部を切り取ったかのような美しい情景を描かれました。

この作品は、女性が合掌造りの建物の屋根裏に鎮座している聖母像を拝んでいるというシーンを描いたものですがこういったモチーフを選ぶのも松尾さんならではです。
主に女性を主役に画面を構成することの多い松尾さんですがその作品に登場する女性達はどこか影を感じるといった印象が強いです。こちらの作品の女性も何かを切に願う後ろ姿に哀愁を感じますね。そういった意味でも松尾さんの描く女性には見ている側が想像をかき立てられる魅力があります。

今回の作品に於いて私が今までの作品と比べて良くなったと感じたところは色使いです。私が見る限り、前回までの作品はどちらかというと絵具の生っぽい色が多いと感じていましたが特に今回、建物に使っている色の工夫が大変良い効果を上げているのです。一見すると茶系の色で統一された室内ですが古びた屋根裏の木材の質感を出す為に実に様々な色を使っているのです。近くで絵を見るとそれらの色は若干浮いているように感じるのですが遠くで離れて見た時に色同士が混然一体となって美しい色調で目に飛び込んできます。

そして今回私が感心したのは何と言っても作品に対しての作者の姿勢です。こちらの作品、制作期間は半年以上掛かっています。その間ご自分のペースで地道に描かれていました。今までの作品に比べると画面が大きいということもあるのですがやはりその真摯な姿勢というか作品を長い時間を掛けてコツコツと描かれていくその胆力というか、中々真似のできるものでは無いと感じてしまいます。それだけ一枚の作品に対しての思いや愛情を人一倍持っていらっしゃるのでしょう。

何でもスピードが求められる反面、色んなものが薄っぺらくなってしまったと感じる世の中ですが松尾さんのようにじっくり一枚の作品と対峙し、納得のいくまで描き切るということは素晴らしいことだと思います。

大人の夏休み!

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いつもと違う雰囲気…!?
今週の水曜午前大人クラスはお盆でお休みの方も多く、教室がやけに広く感じました。鈴虫の音も響く中コーヒーを飲みながらのまったり授業で、なんだか大人の夏休みな気分。
普段はじっくりと絵画に取り組まれていますが、たまにはちょっと息抜きも。ボンドにニスにと取り出して…工作教室も開催してしまいました!手際よく作業しながら話も弾み、これまた楽しいものですね。

右はその様子を西山さんがスケッチしたものです。その場の様子が写真より伝わるかもしれません。これは良い場面!と思ったら即鉛筆を取るその姿勢に感動!それぞれの人物の特徴もしっかりと捉えた良い作品に仕上がりました。やはり実際に見て描く重要性を伝えてくれますね。室内の背景の省略は悩ましいものですが、西山さんなら更に追求してより良い作品を作り出して下さると感じます。
そして…
13_8_16_02お二人が制作していたのは、小学生クラスで制作していた油絵の額でした!
左の長沼さんの油絵は現在制作中(完成をお楽しみに!)、右の永瀬さんのアクリル画は遊び心も冴えてます。サムホールの小さい作品は飾り方も工夫しがいがあって楽しいものです。こうして見ると質感や色合いも大人の作品にもマッチして、とてもオシャレです。子どもクラスのカリキュラムでも、挑戦してみたい!というものがありましたらお気軽にご相談ください♪

というわけで、やっぱり賑やか楽しい水曜午前クラスでした。まだまだ暑いですが、皆さん楽しい夏をお過ごし下さいね! 庄司

幼児ワークショップ第3弾

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大きな卵でしょ?写真の卵の大きさイメージできますか?直径15~20センチくらいなので、ダチョウの卵を少し大きくしたくらいと思ってください。幼児クラスワークショップで制作した石膏で作る卵は、ナントこんなにもビックサイズだったのです。
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どうやって中が空洞の卵を作れるかというと、風船の中にどろどろに溶かした石膏を流し込んで風船の口を結び、くるくると回していくと、風船の内側に石膏がつき、中が空の球体になるという訳です。クルクルと回す手がちょっとでも動きが止まると、一カ所に石膏が片寄って固まってしまうので、石膏の厚さが一様になるようにまんべんなく回すのがきれいな卵を作るコツ。しばらくの間ひたすらクルクル、クルクル回し続けます。石膏が固まってくるとちょっと重たく感じ石膏自体が熱くなるので、本当に卵を温めて中から何かが産まれてきそうな予感です。回している間に落とさないように大事に大事に時間をかけて作ったので、本当に待ち遠しい様子でした。固まった石膏を取り出す時がドキドキの瞬間!巨大な生き物が飛び出したかのようにり卵が割れたり、ツルツルのきれいな卵もできました。 途中で残念な思いをすることもなく、巨大卵が一人一個ずつ完成しました!!
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卵ができた後は、そこからどんな生き物が産まれたか自由な発想でお絵描きしました。実在しない生き物でもOKなので、正解も不正解もない自由なお絵描き。想像の生き物をどうやって描いていいか分からない、実際の生き物(正解)でないと描けないというのではなく、型破りな発想を今のうちにどんどんしてほしいです。常識に捉われず、オリジナルな工夫ををちょっと描き加えたり、色や形を変えることで、面白いなと感じる経験をしてほしです。

今週は幼児クラスのみ休講でした。間違ってアトリエに来ちゃった子、いませんでしたか?
来週は、幼児と小学校受験クラスは授業があり、他のクラスはお休みですので、皆さんお間違えのないように・・・・!授業日カレンダーをチェックしてくださいね!         伊藤
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暑気払い

Satoko
慧子(水曜夜間クラス) 高1 『多すぎる夏休みの宿題(まだあと3枚描かねば…。)』・鉛筆デッサン

オバラです。
今日は水曜夜間大人クラスの皆さん(メンツはいつもの20代、30代、40代、50代、60代、70代の世代代表メンバー)に、授業後に暑気払いの飲みに誘われてしまいました。
たった2時間半の間に2回も違う店員さんに「他のお客様よりクレームを頂いてしまいましたので、もう少しトーンを落としてお話し下さいませ。」と注意を受ける飲みっぷりで、写真を撮るのを忘れてしまいました!
(今度は個室を予約しないと出禁になるかも?)
一番盛り上がったのは、「カラスと積極的にしゃべろう!」だったかな?
すみませんが、かなり酔っ払っているのでこの辺で~♪

音楽を聞いて

Jyukenongaku
年長さん対象の小学校受験クラスで、“歌詞のないメロディーだけの音楽を聴きイメージを絵にする”という課題の為、アトリエの元生徒で音大に行った学生に頼んで短めの曲を作曲してもらい授業を行いました。
正解も不正解もない課題なので、出来るだけ想像力を膨らませ、絵を描く前によく考えることが大切です。
曲を聴いてどんな気持ちがしたか、どんな風景が頭に浮かんだか、絵にするにはどのような構図が伝わりやすいかを自分一人でイメージし制作しました。
上記の絵は左上から
森の中で見たこともない綺麗な模様の小鳥達と追いかけっこをして遊んでいるところ
とっても仲良しな妖精の親子が秋の森の上で手を繋いで踊っているところ
木の上で狐や狸を見付けて大喜びしているところ
春の野原でお友達や動物と縄跳びをして楽しい気持ちになっているいるところ
川の向こう岸にカブトムシを見付けたけど、取れなくて残念と思っているところ
森で鹿を見付けて馬のように乗ることができないかチャレンジしているところ
を思い浮かべて絵にしたそうです。
ちなみに作曲してくれたソウ君にイメージを聞くと“夏休みの思い出”だそうで、爽やかですが切なくもあり懐かしくもあるような曲で、どの子もよく想像力を膨らますことができました。
このような課題は現実的なお子さん(「海に冒険に行くなら何を持って行く?」の質問に「防水の携帯電話」と即答するようなタイプ)には厳しい問題です。「オーケストラの演奏を聞いているところ」などに類似した答えしか出ない場合も少なからずあるでしょう。
少しヒントを与えるとすれば、「どんな場所で聞こえてきたら似合う曲かな?」と問いかけると、「静かな場所」「静かな場所ってどこ?」「誰もいない宇宙」などイメージが発展できることがあります。勉強と違い無理強いして想像力が付く訳ではありませんので、私達もあくまで自主的に答えが導き出せるような言葉掛けを心掛けて行きたいと思っております。   オバラ

クールな空間

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神宮 「白い陶器のコンポジッション」 油彩

どうも幸介です!本日ご紹介するのは大人クラスより神宮さんの作品。陶器のティーセットが置かれた、リアルな描写の油彩。モチーフに当たる光が美しく、クールな印象を覚えます。神宮さんの作品は多摩川和室の風景など、「情景」を描くことが多い様に思っていましたので、今回のこの静物画には驚きました!

なんといってもこの作品で一番光るポイントはその構成力でしょうか。土壁と分厚く年月を感じさせるようなテーブル、そしてそこに置かれたモチーフ。モチーフの置き方も、『並べました!絵を描きます!』という作為的な感じがありません。これはモチーフの画面上での重なりや奥行きでの配置などが均等ではないためでしょう。しかし、麦の曲がる方向をモチーフの少ない方に重心を置いたり、垂れ下がるテーブルクロスの角度を、水平なテーブルに対しておおよそ45度の均衡を取れる角度で垂らしていることなど、そういった規則的な配置で画面全体をまとめています。垂直、水平で構成された構成された清潔な画面ですが、嫌味に感じないのはチェリーの赤が視線を惹きつけ、その規則感を乱してくれるからだと思います。

そもそも上記の構成力は、描写力があってこそ発揮されるものですが、もう描写の技術に関しては言わずもがな、だと思います。今回のこの作品は、今までの神宮さんの作品の中でもダントツにクールで、なんというかもうカッコいい!!というのが感想です。技術力や構成力を嫌味に見せず、さらっとやってのける。そこにシビれます。これは本当の大人じゃないとできないですね…しかも、作品が出来上がるまでの制作中の神宮さんは貪欲そのもので、あの姿からこの地に根張ってるようなズッシリとした作品が生まれることにも興味をひかれます。

僕の脳内からは生まれないであろう作品とその制作過程を目の当たりにして、得した気分でさえあります。次回神宮さんにお会いしたときは、ぜひその爪の垢を煎じて飲ませていただいて、その落ち着きやクールさを僕も身につけさせてもらおうと思います!

田中幸介

「見せない」美学

R2163566石山 油彩

ここ数日のすさまじい暑さにめげそうになっている酒井です。夕方にならないと外に出たくない・・・などと駄々をこねているわけにもいかないので、気合を入れて水曜夜クラス石山さんの油絵をご紹介致します!

異国情緒漂うレンガ色の建物と、空と水面の鮮やか過ぎないトーンが美しい作品。石山さんがヨーロッパ旅行に行かれた際ご自身で撮影された写真が元になっています。丁寧で柔らかなタッチで描かれた空は決して重苦しい雰囲気では無く、適度な湿度を伴った異国の空気の匂いを感じます。グレイトーンの空色や鮮やかな建物のオレンジ色が、水面に色とりどりに反射する様子も繊細に再現されています。

そしてなにより、空と水面に挟まれた建物群の壁に降り注ぐ光の形がとても美しい!!実はこの建物部分が、今回石山さんが一番苦労されたところでした。ズラッと立ち並ぶ建物は、描き慣れないと傾いたり、描き込みのバランスが自然になりません。窓枠や建物同士の隙間など、細かい部分を何度も消しては描き直し、やっとこの柔らかい日差しの表現を確立させました!建物の中から感じる光の美しさまで想像出来るようです。

ヨーロッパの風景画の歴史は案外浅く、人物の背景としてではない純粋な風景画は19世紀になってからだとも言われています。風景はあくまで人物の引き立て役、という発想だったのですね。西洋の美術がいかに人体表現を重要なテーマとしていたかが窺えますが、石山さんのこの作品は、人物を一人も描いていないにも関わらず、一番手前に「人」が使用するための自転車を置くことで、すぐ側にいる「誰か」の存在を匂わせています。 さらに橋の手すりを入れることで、橋の上からこの風景を撮影している作者自身の目線も感じさせ、風景画の中に絶妙な「人物の気配」を融合させているのです。これこそまさに「見せない美学」!風景と人物、どっちが主役!こっちが偉い!等と野暮なことは言わない石山さんのセンスにため息をつくばかりなのでした。