まさかの・・・?!

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朝起きてびっくり!前日までの天気予報が大外れ!幼児遠足も毎年良いお天気なので雨が降るなんて、ウソでしょ~!!数パーセントの可能性をかけて、午前中は雨雲の動きを睨みつけていましたが、お昼になっても一向に止まない雨。しかたなく、ようやく諦め中止と決めました。幼児遠足が中止になったのは、12年位前に雨が降った時以来だとか。

遠足に行けなくなってみんなきっとがっかりしているだろうなぁ・・・と、急遽アトリエ内での特別授業に変更して、猛ダッシュで準備開始です。
カセットコンロ・鍋・ボウル・ポット等々、キッチン用品が続々とアトリエに集結。桜が満開のお花見シーズンですが、遠足にも行けないし花見もできないし、それなら「花より団子」ですね!

白玉団子に10色以上の食紅から好きな色を選んで混ぜて、カラフルというか怪しげな色のお団子がたくさんできました。
今年は遠足初参加のお子さんも多かったので、中止になったのは本当に本当に残念でしたが、手作りのお団子もお菓子もいっぱい食べてみんなの笑顔が見れて良かった・・・。
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ラストは、小学生の遠足でも大好評だったパラバルーン♪アトリエ内でもやっちゃいました!
気球柄の巨大な円形布1枚といったシンプルな遊び道具ですが、みんなで息を合わせて布を持ち上げて空気を中にため込むと、大きな風船の中に入ったような、モンゴルの移動テント・パオのような空間ができます。テントの中ではハチャメチャに遊んで、屋外並みのハイテンションでした。

遠足には行けず動物には会えなかったけど、お腹一杯とハチャメチャに遊んだ記憶は残ったかな・・・?
来年は晴れますように・・・。

伊藤 絵里

遠足報告ラスト

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この人数では横断歩道も1回の青信号では渡りきれません!

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行きの道すがら、遊歩道で。まだどこに連れて行かれるかもわからなくて、表情も硬いかな?

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もう、この写真だけで説明いらず。誰か酒持ってこーい!

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集合してから1時間半掛かってスケッチ場所の吊り橋に到着。道中ハシャギ過ぎて11時なのに「ここでお弁当?」の質問続出。
Sakura
オバラです。お陰様で今年も3万円がまんまと保険会社の利益になるという無事故記録を更新させることができました。
よくまぁこれだけ暴れさせて怪我も迷子もなく終了するものだと、毎回感心します。(転んだり鼻血が出たりはご愛嬌。)
何しろ行進が滅茶苦茶。歩いている最中はクラス分けも無視。60人が前後左右上下自由自在に、川に降り木に登り桜の花びらで髪飾りを作りながらハチャメチャに進みます。お行儀良く充実したスケッチ制作させる為に、外部の人に迷惑掛けなければなんでもアリとばかりに、こちらもわざとけしかけたりして。
お弁当後のバトルロワイヤルもその作戦の一つ。野蛮な肉弾戦に見えて実は頭脳派な講師陣が仕掛けたゲームなのですよ、フフフフフ。
なんて余裕こいて言っていられるのも、ノリのいい若い講師と、中高大学生のボランティアの活躍あってこそ!
お蔭で斬り込み隊長の役は少なくて済み、裏方の仕事に従事できました。毎年お弁当を食べないで動き回って働いている事を生徒達に知られないで済むのも、他の先生達が派手な働きで目眩まししてくれてるからです。
そんな先生達を手伝ってくれた学生諸君、ありがとう!
参加してくれた子ども達、楽しませてくれてありがとう!
信頼して預けて下さる保護者様方、ありがとうございました!
これにて小学生遠足の報告を終わります。
最後に、長い間遠足ブログにお付き合い頂いた読者の皆様、ありがとうございました!

僕の筋肉痛の代償は

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どうも!毎度おなじみ、晴れ男の幸介です!!今年は砧公園&世田谷美術館まで行ってまいりました。

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今年の遠足は小学生60人ほどの大所帯に、引率の講師陣が例年より少ないということで少々の不安もございましたが、ほんとにもう一週間分ぐらいの体力を出し切ったんじゃないかと思うほど体を酷使いたしまして乗り切りました…

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僕は吊り橋の上でのスケッチ部隊の担当だったわけですが、人が通るたびにゆらゆら揺れる橋の上でのスケッチは、それはきっと彼らの心の中にも興味深い経験として残ったんではないかと思います。

昼食の時間は例年のごとく大勢の男子に囲まれて食事をしましたが、スケッチの話・お菓子の話・モンハンの話・ジョジョの話などを一手に引き受け、完全に脳内は小学生そのものでした。じつはここだけの話ですが、ひょっとして自分の脳は小中学生として遠足に参加しているのではないかと思う瞬間もあったりして…

今回一番のミステイクですが、昼食後の遊びの提案として「俺が頭に風船をくっつけて逃げ回って、割った人が勝ち!ってやったら生徒の皆も思い切り走りまわるんじゃない!?」と考えて実行したことでしょうか。大人になってこんなに全力疾走するものか、と思うほど走らされました。そして走り回った後に希望の生徒数名をジャイアントスイングしたんですが、こちらも体力を酷使する技でして……走って転げ回った僕は息も絶え絶えで土と芝生まみれ、それを見た中高生の生徒がそっと汚れをはらってくれたのが思い出です。

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帰りの道中も賑やかそのもので、賑やかならまだしも「こうすけ先生・29歳独身の歌」などという失礼な歌を作詞作曲されて合唱されたり、何の前触れもなく鼻血の出る生徒がいたり、乳歯を抜いて見せにくる生徒がいたり、学校の先生を僕に紹介して外堀を固めてこようとする生徒がいたりと、なかなか普通に生活していたのでは出会えない突拍子もない出来事の連続です。これが小学生クラスの醍醐味ですね。脳が休む暇が無いのです。

そして私事ではありますが、今回の遠足は行きに僕のズボンが破けたり、まさかの寝坊をしかけて運良く朝に僕を起こしに来た中高生の生徒達に弁当を作ってもらったりと反省点が多くあったのですが、これは自分が厄を全部請け負ったんだ、それで遠足は成功したんだと勝手に思っています。

毎度のことながら、騒がしくも楽しい道中・暖かい陽のもとに描くスケッチ・おかずと駄菓子が入り乱れるお昼ご飯・昼食後の大運動会・打って変わって真摯に観覧する美術館と、リズムの良くメリハリの利いた遠足になったのではないでしょうか。

きっと生徒の皆の心にピンポイントで残っているのはスケッチや美術館よりも、道すがらの会話だったり皆で食べるお昼ご飯なのだろうけど、全部ひっくるめて楽しい遠足が思い出になっていると良いなと思います。皆が参加してくれて、こういう時間を提供できるということはなんて楽しいことなんだろう!と感じています。毎年翌日の激しい筋肉痛のことは忘れて楽しい記憶だけが残り、「また遠足行きたい!」と思ってしまうのは出産の心理にも似ていますかね?それはともかくまた来年にも期待してもらいたいと思います!

田中幸介

遠足スケッチピックアップ!

拓也です。
まずは毎年ボランティアで参加して下さるチケット制の優さん(都内の大学病院に勤める看護師さん・ミオスの遠足は看護師付きとは安心ですね!)から遠足報告見本のような文章を送って頂いたのでご紹介させて頂きます!

『今年も晴天、遠足で雨無しのジンクスは今年も健在。それも、丁度桜が満開!見頃の時期の、まさに遠足!スケッチ日和となりました。
砧公園では、桜や吊り橋を各々好きなように描きました。普段とは違うリアルな景色、匂い、音。部屋の中では味わうことの出来ないスケッチが出来たのではないでしょうか。
そして毎年恒例のお弁当&おやつ交換!フリスビーを追いかけ、幸介先生を追いかけ、走り回り……子ども達の無邪気な笑顔が素敵でした。
美術館では一転、静かにデザインを鑑賞。ちょっと難しかったかな?と思いましたが、四月からのケーキボックスのデザインにどう活かせるか、今から楽しみです!

誰一人怪我することなく無事に終えることの出来た遠足。
毎年思いますが、やっぱり楽しいですね。普段とは違った環境や子ども、絵が私を癒してくれました。今年は1年生がいつもより多くちょっと大変かなと思いましたが、自分も案外楽しめました~!来年また、皆の笑顔と素敵なスケッチに出会えるのを楽しみにしています!
優』

優さん、社会人なのに毎年参加して頂き、本当にありがとうございます!
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さて今週水曜日の遠足でのスケッチ、今日は気になったものを取り上げようと思います。
一枚目はこちら

当日は桜がとても綺麗に咲いていました。こちらの作品は非常に動きのある桜の絵が描けています。
写真と違い風や温度を強く表現出来るのも絵ならではです。
枝を丁寧に追って、濃淡で表現しようとしている事がうかがえます。
桜の花というとピンクのイメージが強いせいかピンク一色でべったりとした印象の絵になりがちですがこちらは濃淡や点描を上手く取り入れそれを回避しています。芝生面の黄色も絵に深みを与える役割を担っています。
スケッチに行き実物を前にしたからこそ描ける魅力ある作品になったと思います。

Ensoku17_2二枚目はこちらです

こちらは公園の滝を描いた作品です
桜を尻目に川を集中して描いてします大人びたセンスには驚かされました
非常に色彩豊かに描かれています。
滝が落ちるところのハイライトなどに気がつかわれていて水の動きが良く表現されています。
無彩色の中に鮮やかな色をちりばめる事で春の芽吹きも感じます。良くモチーフを観察したからこそ描けた絵になっていると思います。

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2_2このようにアトリエでは描けない、屋外の生のモチーフをみる事で躍動感のある絵が描ける事も屋外スケッチの魅力ですね。
五感で感じるからこその良い絵に仕上がったと思います。

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今回僕は初めて遠足に参加しました、まさか自分がこの年になって遠足に参加する事になるとは夢にも思いませんでした。大人目線での遠足は本当に新鮮でした。遠足に参加する事で気がついた事なのですが。それは子供達の距離感です、遠足当日に僕はアトリエにお弁当を忘れてしまいうちひしがれていたところ、生徒達が「しょうがないなー、僕の、私の、お弁当分けてあげる」と口々に言ってくれました。実際お弁当の時間は多くの子供達が僕にお弁当やお菓子をくれました。そして帰り道歩くのがおっくうな程周りを生徒に囲まれてしまいました。美術館でも生徒達は難しい絵を前に僕の話を興味津々に聴いてくれました。これは大人の社会では中々起こりえない事だなーと思いました、やはりいろいろな壁や距離感を作り出してしまう事が多いからです。ですが子供達はそんな物をいとも容易く突破してしまうのです。衝撃でした。彼らは容赦なく好きか嫌いかで人を判断します。そして好きであればとことん歩み寄ってくれるのです。そのシンプルさと子供達のエネルギーにとことんやられましたが、遠足終了後は心地よい疲労感が体を包みました。本当に良い時間でした。

遠足の記憶

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今日はスケッチ遠足のレポートです。(by南澤)
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この日も朝から携帯電話に仕事の関係者からの電話が鳴りっぱなしでありましたが、電源を切って子供たちの遠足に逃避と決め込みました。天気も上々!

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子供の頃行った遠足の記憶は不思議と目的地の記憶ではなく、移動中のふざけ合いやバスの中のおしゃべりばかり。
人生も遠足と一緒なのかもな、などと考える暇も全くなく、悪ガキ達の電車移動は大騒ぎ。
目的地は僕の住まいに近い砧公園。マズい、平日朝から花見で泥酔してる友人らが声掛けてきたらどうしよう、と足早にスケッチ予定ポイントまで行進。
僕は高学年向けの小さな渓谷?ポイントの指導を受け持ちました。桜満開のこの時期に、鬱蒼とした渓谷を選ぶ子供たちは、将来、暗黒舞踏やアングラバンドに入って親を泣かさないかしら、と心配しつつ涙をこらえて指導。
お昼ごはんは野郎チームと車座になり、定番の6000系車両の秘密や、アンパンマンの大乗仏教性、排泄物名称の無限連呼によるマントラ等、楽しい話題でなごやかに過ごします。
午後の予定は世田谷美術館鑑賞です。その前に悪ガキどもの体力を激しく消耗させてオトナシくさせなければならないとアトリエからキツくお達しを受けていたので、食後はフリスビーを力の限り遠投しまくりました。野犬の群れのごとく飛びつく児童の様を眺めながら、アトリエの叡智の真髄を垣間みたような気がいたしました。
おかげで美術館での子供達は、まるでロボトミー手術を受けたかのように良い子たちで、熱心に鑑賞してくれたのでした。僕の方も、たぶん記憶に残るのはおしゃべりと悪ふざけなので、適当な解説で切り抜けたのでした。

遠足日和

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春の一大イベント、小学生クラスの遠足に行って参りました!当日に一度も雨が降ったことが無いというミオスの遠足ジンクスは、今年も見事記録更新となりました。前日までのはっきりしない天気が嘘のように、当日は見事な快晴!朝は少し肌寒いかな・・・?と言っていたのですが、昼間には少し汗ばむくらいの遠足日和。今年は世田谷美術館&砧公園に行ってきたのですが、桜も丁度満開でスケッチには最高でした!今年は例年より引率の講師や学生ボランティアの数が少なくいろいろと不安もあったのですが、結局最後までけが人も無く、笑顔の絶えない充実した一日でした。今日遠足に参加した生徒たちが全員、ヘトヘトで家に帰って大満足でぐっすり寝てくれたら嬉しいなと思います。

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さて、こちらも毎年恒例となりますが、お手伝いをしてくれた学生たちも交えてのお疲れ会です。勿論学生たちはお酒は飲んでいません!普段とは違った環境の中で、小学生たちは勿論、学生達や先生方の新しい面を発見出来るのもこういったイベントの面白いところだなと思います。だからお疲れ会ではいつも、ついつい話が弾んでしまい、気が付いたら夜中・・・ということに。いくら話しても話題はつきません。私も飲みすぎてしまったので、報告はこのくらいで失礼します。とっても眠いのですが、写真を選ぶのが楽しくて楽しくて仕方ありません。スケッチや写真など、まだまだ他の先生方のレポートが続くのでお楽しみに!   酒井

軽やかに春♪

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春休みの子供たちに卒業式の晴れ姿、街も賑やかですね。卒業式シーズンに桜が盛りを迎えるのは何十年ぶりだそうで、お目出度い気分になっています。そして、ミオスも恒例のイベントウィーク開催中!春期講習にスケッチ遠足、後に控えるは花見宴会と目白押し!本日は担当変わりまして庄司です。

今日通った道は桜が満開だったので、ついつい撮ってきてしまいました。あいにく小雨でしたがにこやかに桜の下を歩く人と沢山すれ違いましたよ。古今桜には人の色々な心情が投影されてきました。力強い幹に透けるくらい薄い花弁、絵心も刺激されますよね。当アトリエミオスも住吉桜が望める絶好のロケーション♪暖かくなってきたし、ちょっと気分を変えたいな…とお思いでしたら、桜を描いてみるのはどうでしょうか?

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これは以前に油彩で桜の花を描いたものです。油絵と言うとどっしりとした厚塗りの印象が強いと思いますが、油を多めにして絵具を溶くことで、滲みや垂れを利用して水彩のように描くこともできます。テレピン(揮発性油)を下地に使えばすぐに乾くので、真っ白なキャンバスでも思い立った時にスケッチのようにどんどん描き進められますよ。サムホールだとサイズも手頃で2時間でもバッチリ完成させられますし、おつゆがけの練習などにも良いと思います。何枚か同時進行でちょこちょこと描いていくのもオススメです。気負わずに描くことで、いつもの自分とは違った画風と出会えるかもしれません。

落ちている桜の花を拾ってきてカップに浮かべてスケッチ、というのも気軽で楽しいですよ。今年の花は今年だけ、旬を逃さないうちにぜひ1枚。
今週はお花見ついでに、ひらりと筆を踊らせてみませんか♪

鉛筆で描く

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 金杉 鉛筆デッサン

卒業式にばっちり桜が咲いて、ほっこり気分になりました。酒井です。

今回は水曜大人クラス、金杉さんのエンピツデッサンをご紹介致します。ミオスでは入会したばかりの方に、基礎として決められたモチーフのデッサンを4枚書いて頂くのですが、このモチーフは3枚目のもの。アトリエに入会されている方は、皆さん1度は描いたことのあるモチーフだと思います。もしくは、今調度挑戦中!という方もいらっしゃるかもしれませんね。皆さん挑戦されるモチーフなので、普段はブログではあまり紹介しないのですが、今回金杉さんのデッサンの完成度がとても高かったので、参考に載せさせて頂きました。質感の表現が難しいモチーフですが、爪で弾くとキンキン、と涼やかな音が響きそうなほど、硬質なガラスの質感がとてもよく表現されています。そしてワイングラスの華奢な佇まい。瓶よりも薄いガラスの厚みまでしっかりと感じとることができます。影の色もしっとりと美しく、「習作」と呼ぶには勿体ない!まさに「鉛筆画」と呼ぶべき作品です。

鉛筆は色彩こそ白黒での表現しか出来ませんが、芯の削り方、筆圧や持ち方の変化で様々な表現ができる画材です。芯の丸いまま描いてもいいし、尖らせて細密に描き込むこともできるし、また芯を直角にカットして幅の広い面で塗ったり、鉛筆を寝かせて大きな面をザッと塗ることも出来ます。色彩を使えない以上、鉛筆で具体的に物を描く場合は、それらの表現を使い分けていくことが必要になります。明暗の調子のみで描くと、ものの特徴や質感は表現しづらく、生気のない絵になりがちです。逆に線の表現のみでは、重さや質感が表現しづらく、軽くぬるっとした質感になってしまいます。この明暗の調子と線の表現が複合したバランスこそが、生き生きとした絵を描くのに大切なことなのです。

鉛筆デッサンの時、「薄っぺらい」「重さを感じない」などと指摘されて首を傾げた、という経験はありませんか?その場合、まさにこの明暗と線の「バランス」が上手くいっていない場合が多いように感じます。瓶の黒さをしっかり塗る前に細かい描き込みをしてしまったため、線ばかりが目立って瓶の重さを感じられない。または細かい描き込みの上を塗りつぶしてしまったために線の表現が消えてしまった、など、バランスがどちらかに傾いてしまっているのです。金杉さんのデッサンは、必要な量の暗さの上に、それを損ねない丁寧な線の表現が乗っかっているので、こんなに洗練されて見えるのですね。対象の特徴をとらえ、それを自分の感性を持って描くためには、絶対に線での表現が必要になります。ながいもの、短いもの、動いているもの、そのもののもっている方向性など、ものに応じてタッチは変化します。「こんな描き跡が残ってしまって大丈夫か?」と不安になっても、多少冒険心を出して「このモチーフは丸みがあるので、形に沿ったカーブを描いてみよう」など、鉛筆の跡をしっかり残していくことが「薄っぺらい」デッサンを脱却するコツではないでしょうか。

猫のいる油彩

Sakamotoneko_2坂本 油彩
土曜日担当岩田です。大分、陽気も暖かくなってきましたね。ミオスから見える川沿いの桜も恒例の花見を前にすっかり見頃です。明日の日曜日はお天気が持てばの話しですが絶好の花見日和ですね。

今日は土曜日の午前にいらしている坂本さんの油彩をご紹介致します。
最初ということで、それでは3号位で焦らずゆっくりと行きましょうという感じで始まった坂本さんの初油彩ですが何ともスムーズな描き出しで、決して初めての油彩とは思えない程、ご本人が全体を客観的に見て描いていたのが印象的でした。

こちらの絵は出かけた先で撮影された写真を元に描いたものですが元ネタの写真と比較してもその印象を上手に取り込んでいて、最初にここまで描かれてしまうと、ちょっとこっちが困ってしまいますという位に良い絵になりました。
実際この絵を見てみると主役の猫の顔の表情がとても繊細に描かれていて、軟らかい毛並みの印象もとても良い感じです。そして手前のコンクリートのガサガサした壁面も使われている微妙な色と相まってその質感が魅力的に表現されています。

この壁に関してはペインティングナイフを駆使して描かれており、こちらも慣れていないと中々扱いづらい道具だと思うのですがその辺り難なくこなせてしまう坂本さんはちょっとただ者ではないと思います。というかもっと言わせて頂くと、対象を観察する上でかなり客観的且つ集中してものを見れているなという印象を受けます。
そして更に、目と脳と手、更に道具がちゃんと無駄無く連動していて、その読み取った情報を絵具という媒体を介してちゃんと画面上に表現できるという所に感心してしまいます。

こういったことは本来であれば、何度も練習して訓練を重ねていけば序々に出来てくることだと思うのですが道具や絵の具の特性を短期間で見極めて自分のものにすることができる力を坂本さんは持っていると思います。

次は更に大きい画面チャレンジして下さいね!

『やわらかさ』を求めて

Takahasiwata高橋 鉛筆デッサン

桜も大分開いてきました。冬の空気もシャキッとしていて好きなので少し惜しみつつ、暖かいのはやはり気持ちいいですね。庄司です。

今回ご紹介するのは水曜午前大人クラスより高橋さんのデッサンです。
ご本人は陽気でいつもクラスを湧かせて下さるのですが、実はとても地道に繊細で美しい線を描く高橋さん。油絵を描かれていたのですが、展覧会で他の方の作品を見て奮起!デッサンを何枚か描いて油絵、のサイクルで行こうと決心してから今回が2枚めとなります。

高橋さんのデッサンは繊細で美しい線の反面、強い調子が少なくまた布なども固い質感でしたので、今作は綿をメインに『やわらかさ』の表現を追求しました。更に綿の白さを際立たせるために今まであまり使わなかったB系の鉛筆を使い暗めの画面にも挑戦です!

そうして完成した作品からは丁寧な鉛筆使いが伝わってきます。暗い画面の中で綿の白が浮かび上がるように主張して美しいですね。はじめは固い質感でしたが、色を重ね最後に練り消しを強く押し付けて、ふんわりとしたやわらかさの表現に成功しました。
リンゴも黒い敷き布に濃い赤ですから、背景に埋もれてしまわないように途中で何度も描き起こしました。画面の中での色の明るさを意識していないといけません。デッサンだけのことではないですが、全体を把握して常に冷静な目を持つことが重要になります。ついつい細部の描写に拘りすぎて一部だけ描きすぎてしまった…ということは誰しも経験がありますよね。気付いた時に離れてみるだけでも、視界が画面でいっぱいになってしまっている時には見えていないものが見えてきます。手を洗ってみるのも感覚がリセットされて良いですよ。
最後に少し手を入れてモチーフの影を長くし、右の空間も境目をぼかしたことにより、寂しさと画面の中の空気感がより高まりましたね。

鉛筆で強い調子の色をのせていくのは、なかなかにためらわれるものだと思います。でも高橋さん、今回の作品でずっと新品のままだった6Bの鉛筆を削ってくれたので満足しております!大変嬉しいです!「いや~暗いところを描くのが楽だね!」とおっしゃっていましたが、そりゃそうですよー!(その場でついツッコんでしまいました)
しかし鉛筆を持ち替えても丁寧さはそのままにこつこつと地道に描くことで、このような美しい色調が生まれたのだと思います。ちょっと苦手だな…という道具もぜひ挑戦してみて下さいね。

さてさて高橋さん、次回は油彩に戻り尾瀬の風景を描く予定です。デッサンで培った力が油絵で発揮されるところが今から楽しみです!