流れる岩

P9301095
大澤   『水のたわむれ』  油彩

一件抽象画のようにも見えるこの油絵。水曜夜大人クラスの大澤さんのです。一体何をモチーフにした絵なのか、わかりますでしょうか?意味深なタイトルにも思わず心惹かれてしまいますよね。

せっかくなのでブログでは正解を!こちらの作品、アメリカの観光地として有名な「アンテロープ・キャニオン」の風景を描いたものです。幅の狭い渓谷の岩肌が鉄砲水や風の侵食されて地層を形成したもので、大澤さんご本人が旅行に行かれた際、ご自分で撮影した写真を元に制作しました。

キャンパスが小さかったのもあって狭い洞窟内の距離感を出すのが難しく、絵具を多めに盛ったりとかなり試行錯誤されていました。「岩」だからといって委縮せずにこれだけ鮮やかな色を使っていけるのも、大澤さんの強みですね!パッと見た印象は不思議な波模様が連なる抽象画のようにも見え、じっくり離れて見れば繊細な光が差し込む洞窟内部の風景が見えてきます。見る人の想像力をかきたてる絶妙な仕上がりのラインです。それぞれ上部から差し込む光の入り方の違いも、とても美しいですね。

キャンパスを3つ繋げた3連作。間に入ったピーコックグリーンがピリッと利いていると思いませんか?実はこれ、自作の額なんです!今年は大澤さんも含め何人か、ご自分で額を作った方もいらっしゃいました。これだけピッタリの色は、既製の物ではちょっと見つけられないでしょう。特注品ですね!額を制作された方の中には、「想像以上に大変でした。もうやりません・・・・。」という方もいらっしゃいましたが、自分の作品にピッタリの額を考えるのも、なかなか楽しいと思いますよ!

何百年もの時間をかけてゆっくりと形作られていった地層。水の痕跡。この独特の岩の通路の歴史を、展覧会の会場で是非感じて下さいね。

講評会

Iwata5オバラです。岩田先生が本日会津での展覧会搬入によりブログを変わりました。

生徒作品展の会期中、よく公募展などで見られる『講評会』(会場で講師が作品の解説やアドバイスをして歩き回るというアレです)を行うことに、つい先ほど(!)決めました。
大人クラスには、美術館で個展を開催したこともあるベテランから初心者の方まで在籍し、その方々の作品が一同に集まるのがこの展覧会の魅力です。その魅力をますますアップさせる為にご希望の生徒さんに、丁寧なアドバイスで定評がある土曜クラス担当の岩田先生が、会場内で講評をやらせていただきます。
普段の授業では、他の方の講評はほとんど聞く機会がないですよね?人の講評を聞くのも実は非常に勉強になり、面白いものです。ぜひ多くの方のご来場をお待ちしております!
(いやでも思いつきで決めたのさっきなんで、来週授業はお休みだし、もう直接生徒さんに言う機会もないから、あんまり人が集まらないような気もしますが…まぁ、作家本人がいなくても講師だけの漫才講評で勝手に盛り上がっています。むしろそっちの方が面白かったりして?)

日時 10月13日(土) 14:00~
場所 国際交流センター 展示ロビー
講師 岩田先生(予定)
「短い時間かもしれませんが、講評するにあたっては同じ作家の立場で作品を拝見し、生徒さんの力量に應じたアドバイスを心がけるつもりです。普段お目に掛かることの少ないクラスの生徒さんともお会いできるのを楽しみにしております。」

溢れんばかりに

Naganuma_03長沼 油彩

あと10夜寝れば展覧会!着々と準備は進んでおります。作品の数にびっくりするとともに感慨深いです~。どのクラスも、画材から様々でバラエティに富んでいるなぁとしみじみ実感します。皆様お楽しみに♪

そんな今週、水曜午前大人クラスも怒涛の完成ラッシュ!
水曜クラスは展覧会前最後の授業でしたから、皆さん筆が早い早い!やっぱり、ギリギリになるとアドレナリンも出てスピードもアップしますよね!(ですよね!?)
今回はその中から長沼さんの油絵をご紹介します。
一目見ただけで伝わってくるこのパワフルさ!花を抱えてアトリエにいらして、ゴッホのひまわりのような絵を描きたいです!とおっしゃられた時点で、もうわくわくでした。
画面に収まりきらないくらいの大ぶりな花でしたので、構図も大胆にカット!生命力を前面に押し出しました。

花って、そのものの形自体が完成されていて描くのはとっても難しいです。輪郭をとって…ときっちり描くと作り物めいてしまって、花の持つ柔らかさが出なかったり…。油で描く時は大胆に、フィーリングが重要です!花弁一枚一枚をしっかり、ではなくおおまかに色をどんどん置いていきましょう。
背景は中心部を暗くして、前面の百合との対比を付けました。この百合は一番手前で目を惹かせたいですから、絵具もたっぷりと置いてコントラストもくっきり出しています。めしべもここはきっちり描き込みました。なのでバッチリ!ぐぐっと迫り出してますね!緑も前回の川辺の絵で培った色遣いをフルに発揮なさって、花を立てつつも深みのある色で美しいです。
背景に散らした点々も遊び心とともに宇宙の星々にも感じられて、神秘的な印象も受ける素敵な1枚の完成!うずまきもゴッホチックでいい感じです!

元気いっぱい弾けるエネルギッシュさとあたたかさと静かに燃える情熱、今回の作品はより長沼さんの内面があらわれた作品になったと思います。花を描くことによって長沼さんの世界が描かれていると感じます。自分をそのまま表現するって、怖いようでなかなか楽しいことです。1枚ごとに、意外な『その人らしさ』を発見できるとなんだか嬉しくなっちゃいますね♪

展覧会も、皆さんのパワーがぶつかり合い(!?)織りなし合い、素敵な共演になるのでしょうね。私も気を引き締めて参ります!なんて、ここのところ毎日わくわくの庄司でした♪

お気に入りをお披露目

0926_2
展覧会出品のアトリエ搬入がほぼ終わり、只今膨大な数の皆様の作品をお預かりしています。
あと10日程でいよいよ開幕!お披露目ですね!
生徒さんが今までに制作された作品の中で、どの作品を持ってこられるかとても楽しみでしたが、やっぱりこれでしょうと思うものもあれば、意外なものもあり、怒涛の搬入週間でしたが作品チェックをしながらこっそり楽しませてもらいました♪
幼稚園生や小学生も作品に対する思い入れはそれぞれありますね~。何を出品したら良いか分からずお母さんから何人も問い合わせがありましたが、やっぱり本人が出したいものが一番です。
幼児クラスは、ほぼ毎週作品が仕上がるので、1年で40個。2年で80個。その中から選ぶ3作品。
搬入していただいた大切な作品を最高の形で飾る為、展示方法を検討中です。

上の写真の作品は、ちょっと不思議な生き物に見えますか?タカアシガニではありませんよ!
今週の制作では、カラフルでフサフサの体とかわいい顔を作りました。
この後体と顔をしっかりジョイントして、会場ではバッチリ組み立ててお披露目する予定ですのでお楽しみに~!

*幼児クラスの10月授業は変則的になるのでお知らせします。
<10月の予定>
10月 3日(水)  お休み
10月10日(水)  展覧会会場15時集合(通常の時間と違います)
10月17日(水)  お休み
10月24日(水)  通常授業
10月31日(水)  通常授業

伊藤 絵里

展覧会場でのイベント

201204161j
小学生クラス 約1時間で描いた油絵

チケット制の生徒さんへ

作品展会期中に国際交流センターの会議室を借りることができましたので、特別授業を開講します。 たまにはアトリエと違う場所で、気分を変えて制作してみませんか?

『新しい描き方をみつけよう』
    ~ 油絵講座 ~
ペインティングナイフで描くアクションペインティング
日 時:10 月14日 (日) 9 : 45 ~11 : 45 第1会議室
参加費:チケット1枚
材料費:500円 (お申込時にお支払下さい。)
・当日はフラワーアレンジメントをメインに制作していただきます。
※ペインティングナイフをお持ちの方はご持参下さい。

*参加人数に限りがございますので、お早めにご予約下さい。
*展覧会開催(10/8)後のキャンセルの場合、チケットを頂きます。
*大人クラスの生徒さんでも参加されたい方はお電話下さい。

小学生の描いたその他の作品はこちら

展覧会打ち合わせ

Mithinguオバラです。
昨日、物が挟まった状態のドアを子どもがグイグイ押した為、てこの原理で蝶番が曲がりドアが開きっぱなしになってしまいました。が、毎日のように私か田中先生が朝まで仕事をしているので問題なし!午前に来る先生と入れ違いで帰宅すれば、泥棒も入れません。
と、そんな感じの大忙しな展覧会前準備期間ですが、本日は会場となる国際交流センターで作品を数枚持って行って打ち合わせをしました。皆さんの作品をどのように飾ればより良く見えるか話し合って来ましたよ!
なにしろ作品数が多い(大人116点・学生46点・小学生187点・幼児45点・講師8点の計402点!)ですので、事前の入念なチェックが欠かせないのです。
皆さんが今まで制作を頑張って下さった分、今度は私たちスタッフが頑張る番ですから、死ぬ気で働きます!どうぞご期待下さいませ☆

オマケ 田中先生が働きすぎてリンパ腺がおかしくなり病院に行ったそうですが、点滴してもらうと一発で元気になるのでまた働き過ぎてしまうのが難点。ループ状態です。(私も2週間前に病院で点滴してもらって元気100倍、残業の嵐です。)
ここぞと言う時は都内にある点滴カフェ(もしかしたらもうつぶれたかも?)で血管に直接パワー注入、乗り切っていこうと思ってます!

目下準備中

20120924どうも!寒くなって来たけど半袖と短パンのやめ時が分からない、幸介です!

アトリエでは展覧会も間近に迫り、講師陣が夜中まで各々の担当作業中です。僕の担当は小学生クラスの共同作品である「惑星のアーチ」のメンテナンスですが、曲面の立体でしかもゴテゴテと飾り付けのしてある作品達を縫い付けるのに一苦労……縫い物なんて家庭科の授業以外ではアトリエでしかしたことないのですが、なんとか針と糸で指先を駆使して闘っています。

そんなこんなで徐々にアトリエも10月8日の展覧会開始に向けて展覧会ムードになってきておりますが、生徒の皆さんの作品はほぼ出そろったものの講師の作業はまだまだ宿題がありそうな予感…頑張ります、ただただ頑張るのみですね…でも寝たい。

というわけでミオスの名に恥じぬような展覧会に仕上げる為、目下作業中です!途中経過報告でした!

田中幸介

魅力的なタッチ

P9231083_2徳田  『憧憬』  油彩

酒井です。今日は突然寒くなってびっくりでしたね。朝あわてて押し入れから長袖を引っ張り出した方もいらっしゃるのでは?

さて今日は水曜夜の大人クラス、徳田さんの2枚目の作品を紹介します!前回ご紹介した一作目の作品も、「初めてとは思えない!」とかなり話題になったのですが、しっとりと画面に馴染んだこの仕上がり。試行錯誤の1枚目と比べて格段に徳田さんオリジナルのタッチが見えてきています。

落ち着きのある多彩な色使いは前回から健在です!白い布ひとつとっても、これだけの色数で表現が出来るのは本当にすごいことです。絵具をペタペタとのせていくような筆跡ともぴったり合っていると思います。

徳田さんの油絵はこのマチエールがとても魅力的で、豊かな発色を成り立たせている重要な要素のひとつです。色を「置く」ようにして重ねていくので、それぞれの色が消えてしまうことなく調和するんですね。油絵は、乾く速度などによってもかすれや下地の色の融合の仕方が変わり、それぞれ違ったマチエールが出てきます。人間が画面の上で試行錯誤した「痕跡」が、一枚として同じものであるはずがないですよね。

徳田さん、是非この魅力をこれからも存分に発揮して下さいね。徳田さんの作品は、近くで見ることでまた一段と魅力を発する作品だと思いますので、皆さん展覧会では是非お楽しみに!

展覧会に向けて

Iwatasagyou土曜日担当講師の岩田です。アトリエは今、皆さんの作品が所狭しと置かれていますね。机や棚に並びきれない程の作品を見ますとこれだけの作品がスペースに一同に展示されたら凄いだろうなと思います。

土曜日の生徒さんの作品は、毎週指導をしながら拝見させて頂いていますが他の曜日の生徒さんの作品は、壁で乾かしているものか、ブログに載っているものしか見た事がありませんし、なんといっても2年に一回の展覧会ですから、私がこちらでお世話になるずっと以前の作品を久しぶりに皆さんの前でお披露目しようという方もいらっしゃると思います。皆さんの中でもあの方は、そう言えばあんな作品を描いていたなあと懐かしく思い出すなんてこともあるかもしれませんね。私もまだお会いしたことの無い生徒さんの作品を楽しみにしています。

そんなこんなで今日は、小学生のデッサンや水彩に色紙の台紙を貼っていました。この作品は、何色の台紙にしようかと考えながら貼っていきましたがなんとか全部の作品を無事貼り終わりました。やはりこうすると作品も締まってみえるなと、我ながら上出来といった感じでした。

まだ展示予定の作品を継続して描かれていらっしゃる方もおられると思います。時間は、まだありますので焦らずに頑張って下さい!

ファンタジア

Isigami_02石神 日本画

展覧会の作品リスト制作中の庄司です~。大人から幼児まで題名がずらりと並んで圧巻ですよ!フィーリングで行くぞという方、ひと捻り加える方、直球が一番という方、様々で興味深いです。あの作品がこの題名じゃないかな?なんて想像しつつ作業しているととっても楽しいです♪
でも題名つける時って、悩むな~と言う方も多いはず(私も…)。そんな時は紙の辞書をおすすめ♪フィーリングで開いたとこからピンと来るのを取ってもよし、触発される言葉をどんどん引いていって見つけ出すのもよし…電子辞書も便利ですが、やはり紙も手放せないです!そのまま目的を忘れて読みふけってしまうこともあるのが難点!?でしょうか。

さてさて、本日は水曜午前大人クラスより石神さんの作品をご紹介します。

今回のモチーフは、まるでCG?と言いたくなってしまうほど鮮やかで幻想的な朝焼けの風景です。次はこれを描きます!と見せて頂いたとき、このモチーフ選び面白い!さすが石神さん!と感じました。日本画で表現するときっと興味深く素敵な作品になるだろうなぁと楽しみにしていましたが、バッチリ!岩絵具のざらっとした質感ともマッチして、迫力満点の仕上がりなんですよ!

毎度言っているかも?ですが、石神さんは拘り派!そしていつもご自宅に持って帰ってすすめてきます!と意欲抜群で素敵ですっ。手前の草むらはご自宅で、「やっぱり描きすぎちゃったかな…」とおっしゃっていましたが、背景との対比が効いていてとってもいい感じです。フェレットちゃんたちを描いた時の経験が生きてますね。こちらもついつい触りたくなってしまうのは私だけではないはず?
逆光になる山や木々の形も魅せどころ。このままじゃシンデレラ城になっちゃうよ~とおっしゃっていたところも、じっくり手を入れてそびえ立つ巨木になってます!水面に移りこむ風景は少し濃く描きすぎていたので、馴染むよう色を重ねて落ち着かせました。陽の色は黄色をさらに重ねて手前と奥の変化を更に強調して、完成!光を受けた雲もまた美しい~。たくさんの色を重ねて現れる日本画ならではの色合いですね。元の写真ともまた少し違うご自身で作り上げた色合いで、幻想的な景色を引き立てていると感じます。

夜が終わって朝がはじまる時の昂揚感を感じさせられるこの画面。落款が入るとまたいっそう引き締まって格好いいです!じっくりと描かれていく石神さんの持ち味がいかんなく発揮されていますね。もちろん展覧会の出品作ですので、ぜひぜひじっくりご覧になって下さいませ♪
次作のモチーフも面白そうな予感…更に深まる石神さんワールドをお楽しみに!