好きなものはとまらない

Okashi

幼児クラス 年長

幼児クラスは、毎週毎週カリキュラムが変わりますが、月に一回は人物などをメインにしたお絵描きにしたいと考えています。人物画が得意な子はもちろんいますが、大抵は入会時にお絵描きに苦手意識を持ったお子さんが意外と多いのが現状。

全員が皆そうとは言えないけれど幼稚園生の大抵は、お絵描きの好きな女の子と立体制作が好きな男の子に分かれるような気がします。男の子はやはり発散できるような課題が楽しいようですね。

人物の顔だけ一部描くにしても、経験がないとどこから何を描いていけばよいか分からず、全く手が動かないこともしばしば。
人物上半身を大きく描き、ひとつひとつのパーツがしっかり描けるように、楽しいアイテムを取り入れながら制作した作品が今日ご紹介する絵です。
全体のバランスがとても良いですよね!!

お菓子が嫌いな幼稚園生はいないはず。
自分で切り取ったお皿の上に、ドーナツ・ポッキー・キャンディー・チョコレート・クッキーなどなど、大好きなお菓子をたくさん描きました。
ドーナツのトッピングや、ポッキーの味の種類など、お菓子の味まで考えてなかなか細かい制作です。大好きなアイテムは、描き始めるとなかなか終わりがなく、本題(人物画)を忘れてしまう勢いで描いていました。
先週の粘土で作ったお寿司の時もそうでしたが、食べ物関係の話はご家庭の様子が見えたりして面白いです。

写真右下は、おまけ。
授業最後に、2つのグループに分かれてクレヨンゲームをしている写真です。
以前には、2人組みで遊ぶクレヨンゲームをご紹介したことがあるかと思いますが、これは、4~5人がグループになり中央の丸印に向かってジャンケンに勝った人がクレヨンで線を引くという遊びです。ちょっとした時間でできるので、制作の気分転換になったり、コミュニケーションがとれるのでお勧めです。

伊藤

絵の具の特性を生かして

Photo石神 日本画
水曜午前クラス石神さんの日本画が遂に完成です!
ご実家のお庭に咲いていた花をモチーフに、ちょっとモダンな日本画を制作されました。
下絵の段階からよく見てデッサンされた花もさることながら、何層にも重ねられた背景の複雑な色味はとても初めてと思えません!
岩絵の具は粒子の粗さが様々で、同じ色でも小麦粉のようにサラサラしているもの~ほぼ砂状のようなものまで全部合わせると10段階以上に分けることができます。
粗い絵の具を最初から塗ると、ザラザラして細かい絵の具が塗りにくくなるため細かい絵の具→徐々に粗い絵の具・・・と色を重ねて行くのが一般的です。
粒子が粗いため、上から塗る色は下の色が透けて見えることを考える必要があり、また塗れ色と乾き色も全然違う日本画。
習得するには10年かかると言われており、美大で日本画を先行していた私もまだまだ勉強中の身です。
石神さんは手さぐりながら少しずつ絵の具の特性を身につけ、粒子の粗さを効果的に利用した絵づくりに挑戦されました。
背景の色を生かすように塗った葉の色がとてもこなれて見えますよね?!一枚目でここまで粒子の粗さを計算しながら進めることができるとは・・・恐れ入ります!
現在2枚目の制作にも取りかかったところで、すっかり日本画の魅力に吸い寄せられた石神さん。次回の絵もさらに色んな技法を身につけ、日本画を学んで行きましょう。私も負けていられないな・・・と実感した一枚でした!

美術談義

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石川です。
昨日、無事に帰国しました。
今回の経験で得たものをきちんと消化し、アトリエで皆さんの作品への意見や、アドバイスをしていく中で生かしていこうと思います。(厳しくなったりして)

帰国したということで、海外アートフェア関連はとりあえず今回で締めです。
今回、私がヨーロッパの芸術祭を見てきて、体感したことは、前回のブログのものとはまた別にありまして、それを書こうと思います。

私がもうひとつ気づいたこととは、芸術祭に出品されている作家の作品の思想や概念が、美術史的に変化してきているということです。

近代~現代の芸術祭が自国のパワーや知性を見せつけるようなものだったのにた対し、現代~現在では直線的な進歩史観の限界が見直され、さらにメディアの進歩により国境を越えたコミュニケーションを他民族・多国間同士でしやすくなったことも加味して、あらゆる価値観・思想が、氾濫している状態を示していたと言えます。

そして多様性に眼を向け、認めていこうじゃないかという動向も今や過ぎて、様々な価値観があることが分かったことで、今現在は、近代・現代の狭い視界よりも広い視野を得た現在の人類が再び「普遍的な価値とは何だ?」また、「本当に人類にとって大事なものって何だ?」と、改めて問い直すような時代傾向にあるのではないでしょうか。

そういえば、ちょっと前に流行った、政治哲学者のマイケル・サンデルの『これからの正義の話をしよう』も、「正義とは何か?」を今改めて問うような側面があったと思います。

今回見た作品はそうゆう傾向のものが多かったように思います。そんな長々と、固くるしい気づきでした。
ということで失礼します。

※画像はヴェネチアビエンナーレのアメリカ館の作品で、おそらく戦争を茶化したもの。戦車を逆さまにして、ランニングマシーンにしたもの。

その日の前に

20110627
小学生クラス 「その日の前に」

どうも幸介です!小学生クラスでは油絵と工作のカリキュラムの間に、「その日の前に」というタイトルから連想する空想画を描きました。その日の前に、という言葉から思い浮かんだものでれば何を描いても良しという課題。アトリエのトイレに飾ってある「その日の前に」という作品にヒントを得た課題ですね。そんなお題を与えられた生徒の皆は、何かとてつもない力に目覚める前の日、人類が滅亡しライオンの支配が始まる前の日、モデルデビューの前の日、漂流教室しちゃう前の日などなど、みんな思い思いのシチュエーションで制作していました。

本日載せました画像の一番右上の作品が個人的なお気に入り!!制作者曰く、自転車がパンクする前の日だそうです。自転車のタイヤめがけて、ありとあらゆる物事が総攻撃を仕掛けてきております。ロケットとか空とぶ手とかUFOとか、何でもアリの総攻撃です。自転車のパンクをここまで広げられるセンスはすごく好きです。空想画はこうでなくっちゃ!!と思い知らされました。

僕自身空想画は数えきれないほど描いてきましたが(というか写実や模写は描きすぎて食傷気味なので、空想画しか描く気がしないんです…)、生徒達のアイデアを見てるとまだまだ出来る事はありそうです。

大人クラスの皆様も、有名な作品からタイトルだけ拝借して制作、なんてのも良いかもしれませんね!脳みその普段使わない部分がフル稼働することうけあいです!!

田中幸介

自分の理想

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最近また気温差が激しくて大変な日が続きますね。急な暑さで一気に日焼けをしてしまいました。どこにっても「顔赤いよ」と言われてしまいます、酒井です。

さて、火曜クラス高学年組の作品紹介です!この4枚、左側の同じモチーフを描いた二人はどちらかというと大人っぽく、落ち着いて黙々と制作していくタイプ。右側二人は、授業中も賑やかにおしゃべりをしながら描くタイプ、といった感じの子たちなのですが、いかがでしょう?絵から人柄が滲み出てくるような感じがしませんか?きっちり形をとって正確な立体感をつけていく左側2人に対して、右側二人の金属やガラスに映ったいろんな色の写りこみの自由さ!一目見ただけで「あ!あの人の絵だ!」と人にわかってもらえるような絵が描けることは、絵を描く人間には憧れであり目標だと思いますが、実は子供のうちからその兆しは見えているのかな、と思いました。

「こういう風に仕上げたい」というイメージが自分の中で大きくなればなるほど、「上手く描けない」という気持ちも大きくなります。実は画家や小説家がよく陥るというスランプも同じ原理だとか。自分が作り出すものが急にどれも駄目に思えて何も描けなくなってしまうのは、自分の目が肥えてきて今まで良いと思っていたものが自分の理想を越えられなくなるからなのだそうです。作品自体が変わったのではなく、自分のが表現したいと思うレベルが上がったのですね。小学生クラスの子たちも高学年にもなれば「ここが出来ない」「こんな風にしたい」とかなり具体的な主張をしてくれます。レベルの高い完成予想図を自分の中に持っているということですね。小学生たちの理想の高さを見習って、まだまだ絵に「自分臭さ」を醸し出せない未熟な自分を叱咤です。

愛情と描きこみ

Fujitakame藤田 水彩

美大合格を目指す受験生だった頃、予備校の先生に「モチーフに愛をもって描け!」と、よく言われました。講師同士でデッサンについて話していると、そんなことを言われるのは日本画科だけのようでビックリした覚えがあります。日本画科の試験は見た物をそのまま描くことが多いので、いかにその物の良さが表現されているかが重要になってくるからだと思いますが、私は試験に関係なく、デッサン(ひいては作品制作)ではモチーフを愛して、良さを表現する所が重要だと思っています!

藤田さんの作品ですが、写真を見ながら鉛筆で模写をしています。そのあとに淡く水彩で着彩をしました。亀が、ぐっと首を伸ばした感じや、力強く大地を踏みしめている迫力が伝わってきます。
細かな亀の描写が美しいです。前回石膏デッサンを経験したことで描写力がアップしたのだと確信していたのですが、背景の枝に入ると、アレ?!と思うくらい亀に対してあまりにもうすっぺらい。。。
亀がここまで描けるのだからもっと描けるはず!と描きこむ方向でアドバイスしていたのですが、
枝を描いている日にお休みだったオバラ先生が一言。

「完全に愛がなくなってるね!」

ガーン となりました。

日本画はこつこつこつこつ我慢して描いて、その先に楽しさが待っている!!
という修行のような描き方なので、私もすっかり(もともと?)M気質。その私のエゴを押しつけてしまったなーと反省しました。「愛」を置き去りにしてしまいました。(作品を良く見せる為に描写を頑張るのも大切なことではありますが)

でも着彩したことで、メリハリもついて作品全体として良くなったから結果オーライ?!

・・・いえいえ、これからも講師としてレベルアップを目指します!

結婚オメデトー!

Ikekkon_2
A.I 上『ウェルカムボード』 透明水彩  下『Naviglio Grande』 鉛筆

オバラです。生徒さんの結婚式にご招待されました。
林の中の旧武家屋敷で座敷に漆塗りのお膳、初体験で興奮しました!(最初感動しすぎて着物姿撮り忘れた!)
いつもうだうだ制作している(ようにしか見えない)ので、アドバイスより「全っ然進んでない!今日どこ描いたかわかんない!」とハッパ掛けることの方が多い授業中ですが、「えぇ、そんな大学出身?」「そんな仕事?」「そんな立場?」「まともなスピーチ!しっかりした挨拶!」「新婦チョー美人!若い!」「妹かわい過ぎ!」と驚くことばかり。騙されていました!

でもまぁアトリエではのらりくらりなので、このウェルカムボードも私が無理矢理描かせました。ちなみにモデルはご自身で選ばれ、「彼女はテディベア、俺は…細いから棒人間でいいや。」とやっぱり適当。こだわり見えにくぅ!しかし受付(玄関)では見事な存在感(違和感?)で異彩を放ち、お客様の目を惹いていました。
アトリエで7年間ずっと鉛筆デッサンしかやったことがなく、これが初の着彩です。それでもなんなく透明水彩も使いこなしてしまうところは、やはり基礎がしっかりしているからでしょう。下の鉛筆デッサンも遠近感の描き分けが手馴れており、周りのぼかし方も絶妙です。ちなみにこの絵+縁起のいいこちらの作品(子宝を意味するザクロとベビーシューズ/しかし6年前になんでこんなモチーフ選んだんだ?覚えてないけど、どうせいつものごとく何にも考えないで適当に選んだモチーフだな。)が屋敷の中に飾られていました。

新婚旅行で描きたいモチーフを探してくるとおっしゃっていました。珍しくやる気アピール!どんなものを見付けてくるのか楽しみです!お幸せに♪

へぇい!おまち!

Sushi

幼児クラス

ねじりハチマキ姿、みんなとっても似合っていますね!
寿司ネタつくりの眼差しは真剣そのもの。職人さんになりきってますね~。

まぐろ、サーモン、エビ、軍艦巻きなど定番ネタから高級ネタまで、ずらっと揃いました。
最近は回転寿司など変わりネタが多く、みんなの作りたい寿司ネタリクエストも聞いているとなかなか面白いです。

写真中央の寿司を見て材料はお分かりでしょうか?
お寿司のシャリもネタも全て粘土で作りました。(のりは、色画用紙)
シャリを握る手つきもなかなか格好が良く、あっという間に寿司下駄にのりきらないくらいのお寿司がいっぱい。
幼稚園生の小さな手で握るお寿司の形は、小さいのあり、巨大なのあり、形もいろいろ。(巨大マグロは、かなりの大サービス!)

出来上がった後のお寿司屋さんごっこでは、寿司屋とお客さんに分かれて好きなお寿司を注文して遊びました。
気合いの入ったハチマキ姿と威勢の良い声で、お店は注文殺到!!(お母さん方からもたくさん注文していただきました)

実は作ったお寿司の中に、一つだけわさび入りのお寿司がありますよ!
のり先生が持ってきたわさびの正体は・・・?

伊藤

ぐんぐん成長中!

Photo藤原 上2点:アクリルガッシュ 下:透明水彩
赤尾です。思い描いた心象風景を描きたいとアトリエに入会されてから早1年。自宅でのデッサン課題も地道に続け、藤原さんはめきめき成長されています。右上の絵は濃度を自在に使い分けられるアクリルガッシュの利点を生かした自信作!厚く塗った下地の上から薄塗りでふわっと影をのせるこの技法は真似してみたくなりますよね!!影色の美しさは植物やてんとう虫の描写力があってこそ引き立っているのです。藤原さんの元々持っている色彩センスも相まって、構図といい色といい洗練された作品に仕上がりました!
この絵は額をつけてお祖母さんにプレゼントされたそうです。
以前から面白い構成や色遣いをされていた藤原さんですが、デッサンの基礎を勉強しながら描き続けた結果、元々持っていた目線の面白さにプラスしてパっと目を引く、魅せる絵づくりができるようになりましたね!デッサン力が上がることで描けるものが広がるんだなあ・・・と再確認させられました!これからも地道な基礎を固めつつ、描きためている下絵をどんどん作品にして行きましょう!

展覧会のすすめ

石川です。先週に引き続き、ベネツィアビエンナーレと、スイスのバーゼルアートフェアについてです。
現代美術の展覧会としては世界最大規模の両展示を実際に見てきました!会場は沢山の人間でごった返しておりました(ベネツィアは割と少なめ)。当たり前ですが、作品を観るために長い列に並ぶのは国内外変わらずキツいですね(日本でもゴッホ展はキツかった…)。展示内容としてはバーゼルアートフェアは絵画作品が中心で、活気がありました。歴史的に有名な作家の作品も数多く展示されていて(ピカソ、マティス、クリムト、ベーコン、モランディ、ゲルハルト・リヒターなど)凄く良かったです。※上の画像はモランディの作品
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対してベネツィアビエンナーレの方は、インスタレーションや映像作品が中心でした(束芋、シンディー・シャーマン、ジェームス・タレルなど)。こっちはイマイチかなと私は感じました。(今年だけ特別面白くないのかな?)※下の画像はカナダ館の様子の画像

改めて感じたことは、実際に美術館などにある作品を生で見て、五感(第六感?)で感じ取ることは、自分自身の制作にとってとても大切だということ。巨匠達の作品の中には、作り手にとってとても重要なヒントが盛り沢山なのです。ですから、ヒントを読み取り、盗むことが大切ですし、それが楽しみでもあるのです。私も今回の展覧会で沢山学びました。

近々、葉山の美術館でモランディ展(画像の人)があるので、是非皆さんお時間ございましたら足をお運びいただいて、ヒントを探してみてはいかがでしょうか?