産みの苦しみを超えて

Pap_0298_2太田 『S(スクエア)』 油彩

チノです。本日はブログコメントの常連、太田さん自らの作品レポート(日記風♪)をお送りします。読む前に作品をじっくり見て、読んでからまた見てみるのがオススメであります!

この作品で油絵2作目。描くにあたって、モチーフの写真をオバラ先生に見せると「スクエアでやってみてはどうでしょう?」。正方形のキャンバスは構図の取り方が難しいという。長方形の方がモチーフと余白のバランスは取りやすい。「しかし、その難しさをモノにしてうまくいけば、とってもオシャレな作品になりますよ。」と先生の誘導(誘惑?)が続く。オシャレな作品、と言われれば、何も考えずに自分の技術などそっちのけで話に乗っちゃうじゃないですか!うまいなあ~。やっぱ誘惑だわ。

幸いにもモチーフの写真が正方形に近かったため、構図にもそれほど苦労はしなかった。画面から溢れる感じを一番に伝えたかったので、とりあえずそれには成功したかな、と思う。主役はフルーツたちなのだろうけれど、タルトなので、パイの表現がしっかりしないと成功には近づかない、と思った。そのパイ生地の表現にとても苦労した。先生に何度「まずそう。」と言われたことか!

苺もかなり手ごわかった。本物の苺を見るために、お店を何軒も回って探し、買い求めた。苺の季節が終わりかけた頃だったので、どこのお店にも置いてあるという状況ではなくなっていて、しかも置いてあっても値段は高く、「見るために買う苺のために、何で・・・」と不満に思いながら、しぶしぶ買った。

パイの部分や苺など、描くのに苦労したところは見るとよくわかる。何度も手を加えているために、自然に絵の具が積み重なって盛られている。それがまた結果として良い効果になっていると思う。

最後の最後に背景の表現を決めるのに手こずった。オバラ先生は写真に近い感じを勧めたが、一度それをやってみたけど、どうしても納得がいかない。なぜだろう?自分が思うように描き直しながら、ここは私の心象なのかもしれない、ということに気付いた。パイに後光を描くことで、気持ちが躍動するのだ。光のオーラをまとわせることで、一層の存在感が出てきたと思う。黄色い光はチアリーダーなのだ!パイがパイである以上に華やいだ感じになった。(ということでオバラ先生、納得してくださるでしょうか?)

これを見る人がこの光に導かれて、「ニコッ」なり「ニタッ」なり、顔がほころんでくれること、心にちょっとした華やぎが生まれること、ひと時、そんな幸せな気持ちを届けられたら。

私からはもう言うことは何もありませんっ!展覧会に出品されるそうなので、額を含め、ぜひ実際にみて、感じて下さい♪

モデル スケッチ

Kurokki20107人物クロッキー会のお知らせです。
20分ポーズを5回とも同じ姿勢でとってもらう固定ポーズです。
今回は、20代前半の若い女性にモデルをしてもらう予定です。
ミオス生徒さん以外の方も参加していただけます。
アドバイスが必要な方はお申し出下さい。

日時   8月7日(土) 16:00~18:00
参加費 1500円 (ミオス生徒 1000円)
持ち物  スケッチブック、画材etc (イーゼル、画板、イスなどはご用意してあります。)
お申し込みはお電話でお願いします。   044-411-1600

ぜひ皆様のご参加お待ちしております!

続いて、ハイポーズ!!

Kamenyouji

小学生クラスに続いて、幼児クラスの仮面が完成しました!

幼児の仮面も制作途中を壁に飾っておきたかったのですが、何しろ今現在アトリエの全ての壁が油絵で埋め尽くされているため、残念、制作期間2週間ほどは窓辺に寝かせていました。
ぜひ、今日の写真でじっくりとご覧くださいね!!

小学生クラスでは、ベースとなる仮面や帽子のデザインにあわせて厚紙をカットして組み立てていきましたが、幼児の場合は、
お菓子の空き箱を開いて、そのままの形をベースにして、切り込みを入れたり、飾りのパーツをつけることで、お面ができ上がりました。
これ、全部長方形のお菓子の空き箱でできているとは思えないでしょう?

色塗りの時に気付いたのですが、塗り方や塗り残し方、色のにじみ、色の組み合わせ方、筆使いなどがみんな違っていて、このカリキュラムでまた新たに個性やこだわりが見えたような気がしました。

下塗りジェッソの白をわざと残して、ポイントにきれいな色を塗って、バランス良く仕上げた年長さん作品。
面全体を塗らずに、メインのところにス~ッとさりげなく筆跡を残したセンスの良い年中さん作品。
架空動物の耳や顔の一部に数色のにじみが美しい年少さん作品。

幼児は、絵の具を使う時に水加減がなかなか上手にできません。
どうしても水分が多くなってしまいます。
でも水分が多く淡い印象になりましたが、結果的に小学生クラスとはガラっと雰囲気の違う色合いが出せて効果的だったかもしれません。

小学生が先に作っていたお面を見てとても興味深々で「すご~い!」と言っていましたが、今では逆に自慢できる作品ができたので、展覧会では幼児クラスのみんなも仮装しよう!

伊藤

水曜夜クラスの巨匠!

Yahagi_2
矢作 日本画
赤尾です。
水曜日夜クラス最年長にして、物凄くピュアで豊かな感性をお持ちの矢作さん。
鮮やかな色と大胆な筆づかいで講師や生徒さんたちの注目を集めていますが、今回もそんな大胆さと日本画の繊細さがマッチした、素晴らしい作品になりました!!
金箔を自分流に使いこなし、ハサミでじょきじょき切ってペタペタと自由に貼る様子はまるで巨匠の日本画家のよう。
また矢作さんの描かれる自然物は本当に命を持って自生しているかのような魅力があります。
「草花は無心であるから美しい、人に好く思われようとしない心、私はそういう美しさをピンと感じるのです」と語っている女流日本画家の方の台詞をお借りしますが、そんな自然の飾らない美しさを意識せずとも見抜いているのでしょうね。

絵画はキッチリ手順通りに描くことが必ず魅力的になる訳ではなく、過程での試行錯誤や発見全てが作品であり、観る人の心に響くものです。
ぜひ展覧会では2年間の制作の成果を胸を張って皆さんに観てもらいましょうね!

目に映る「もの」

Kikutiumi菊地 岩絵の具・水干・麻紙

さとうです。毎日猛暑が続き私も少々夏バテ気味ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
今回はそんな暑さの中、見ているだけでとってもさわやかな気分にさせられる作品をご紹介します。

これは土曜大人クラス菊地さんの、先日完成したばかりの日本画の作品です。
菊地さんご本人がパラオ諸島に旅行に行かれた際に、実際に海に潜り水中の様子を写真におさめたものをもとに描きました。
「えっ、パラオで潜ってきたんですか!?」と、はじめに聞いた時はびっくりしてしまいました。
私も海の絵を描く時などついつい、すでにある写真集などを参考にしがちなので見習うべきところだと感じています。

たくさん撮ってきた写真の中から考え抜いて一枚を選び、一色一色を丁寧に、そしてこだわりを持って画面に向かっている様子が絵からも伝わってきます。なんといっても水中の青の透明感が本当にきれい・・・!!!この色を出すまでに下地の中に赤や黄色など何色も重ね、青色をのせてからもまた色を水でとったり、白で上から潰したり、、たくさんのことが積み重ねられています。
菊地さんはいつも青色がお好きということですが、やはり自分で海に潜り自分の目で見てきた海の色だからこそ出せる「色」なのだと思います。
(言い忘れていましたが、菊地さんが日本画の画材に挑戦するのはこの作品が初めて!というのがまた驚き・・・。個人的には次回作ももっと大きい作品で、また日本画を描いたものを見てみたいなー・・・)

その時に感じた感動は、時間が経っても頭のなかにしみ込んでいるものです。絵を描く上で、そのひとが何に感動して生きているかというのは、もしかすると絵の「核」になるくらい大切なことかもしれませんね・・・。
こうして生徒さんの作品を見ていると、私自身も気づかされることがたくさんあります。絵を描いているとついつい頭でっかちになり、絵を楽しむことをどこかに置いてきぼりにしてしまう気がします。でもその一枚へのこだわりは人を感動させたいと思う前に、自分がどれだけ感動した気持ちを表現しようとしているかによるのかもしれません。

これからいよいよ暑い夏の本番です。生徒のみなさんもまとまったお休みでどこかに旅行に行かれる方も多いかと思います。
この季節、身近な周りを少し見渡すだけでいろいろなものを発見できるのではないでしょうか。ちょっと公園など(涼しいところを選んで、、)を歩いてみると、ギラギラと太陽を浴びている自然の生き物がこの時期だからこそ瑞々しく尊い主張をしています。
みなさんそれぞれの創作のヒントに繋がる、魅力的なものを発見できるチャンスに溢れているのではないかと思うので、少しそうしたアンテナを張りながら楽しい夏をお過ごしください☆私もいろいろと探してみようかなと思っています!

夏休み企画デッサン!!

Gakuseikakomigetuどうも幸介です。今僕の担当の大人・学生クラスでは、夏休み特別企画として、数人で同じモチーフを描く「囲みデッサン」を行っています。ひとつのモチーフを数人でぐるっと360°取り囲み、皆で同じ物を別の視点から描く訳ですね。

いつものアトリエのデッサンでは、モチーフを自分で並べて自分で描きたい物を描きたい構図で描くことが多いかと思います。しかし今回は自分の好きなようにモチーフを並べるわけではなく、すでに並んでいるモチーフを自分で決めた位置から自分でトリミングして描かなければなりません。360°どこから見ても絵になるようにモチーフは僕が配置しましたが、配置してある物を全て描いても良い絵にはなりません。置いてあるモチーフを端から端まで全て描くのではなく、全体の中でポイントとなる部分を自分で決め、モチーフの中で画面構成に不必要な部分があればそれを排した構図を取ります。

この「構図を取る力」が美術系の学校の入試などのデッサンでは要求されてきますので、それを学んでもらおうということでこんな授業になりました。僕の担当の大人・学生クラスには高校生が5人もいましたので、その5人+大人の参加希望者+僕、という大人数で描いていますが、1人でゆっくり地道にやるよりも周囲で同じモチーフを同世代の生徒がガリガリ描いている方が良い刺激になりますね!!僕も手本としての参加ですが、なかなか楽しく描いております。そして、まだまだ高校生には負けません。危機感の薄い彼らを煽る手段として、「囲いデッサン」のようにあからさまに順位の着くような課題で追い立てるのは少々手荒かもしれません。ですが、エネルギッシュな(っていうかエネルギーの有り余ってる)10代なんだし、もっと負けん気とか意地を見せてもらいたいなぁと思っております。

各々の作品の途中経過は、アトリエ水道近くの窓に立てかけてあるカルトンにまとめてありますので、気になる方はどうぞご覧ください。特に僕のデッサンは、デザイン科のデッサンの手本になるような描く順序・構図のトリミングを意識して描いているので、学生の生徒は必ず見て欲しいです!!!

田中幸介

完成まであと少し

Abr01_2

ハヤシです!

モチーフ紹介が終わったばかりですが、曜日によってちらほら完成作品が出来上がり始めています。壁に掛けられた絵が1週間のうちにガラっと変わっていますが、皆さんの目をつけていた作品はどうなっていますか??

今日はそんな完成に近づきつつある小学生クラス、ハヤシ担当の水曜日の油絵をドーンとご紹介します。
下塗りが終わり本塗りが始まって黙々、もしくはワイワイと塗っていますが、ちょっと目を離しているとその間にブロックに影が乗り立体感が出ていたり、色のカタマリだったものに明るい色ツヤが入って果物になっていたり、劇的な変化があってすごくどきどきします!
そういえば、子どものうちは自分からなかなか「影」に気づかないんだそうです。私も「影」をいつ認識したかと言うと小学校3年か4年くらいのころ、写生をしていてふと葉っぱの下(裏)が濃い色をしていると思って気づいたのが初めだと思います。色の厚み、陰影の妙が油絵の魅力と思っていましたがこうして見ていると子どもの油絵は色や構図が面白いので、影がなければポスターのデザインのようだし、影がつくと急に大人びて風格のようなものが出てくるし、油絵は「絵を作る」武器になるんだなと感じました。
小学生に油絵を教えるのは初めてで悩みは尽きないのですが、みんなの苦戦している姿を見るとどうにかして本人の見ているもの、描きたいものを描けるようにアドバイスしたいと思う反面、生徒の色使いが面白かったり線が綺麗だったり、私が「いいな」と学ぶことが多く「アドバイス」より「のばす」方向で応援できるように頑張らねばと思う今日この頃です。
来週、さ来週には全員の完成作品をご紹介できると思うのでお楽しみに!

おまけ:こんな風に…劇的に変わっていたりするので、目をつけていた作品が無いぞと言う方もじっくり探してみてくださいね!
Abr02靴やグローブの形がモチーフそのままで驚いたのですが、花の陰影が凄い…大変身です。

大人クラス遠足三部作完成ですっ

20100710121713石垣 油彩

大人の遠足、と言っても春のお花見遠足の方ではありません!第一弾の新橋「浜離宮」に行ったときのスケッチをもとにした油絵です。何故「三部作」かといいますと、同じ土曜午前クラスの英保さんや、午後クラスの佐藤さんも同じように、遠足のスケッチや写真をもとに油絵を制作されていたからです。(製作中から私の中で勝手に名付けていました!)石垣さんはしばらく休会されていたので、完成の時期がずれ込みましたが、これで三部作が無事完結し、なにかスッキリとした気分になります。行ったことのある方は分かると思いますが、浜離宮には色んな風景があります。そのなかで、どこに注目し、どんな色を感じ、どう描くか、というのは人それぞれなので、こうした作品は並べてみると、鑑賞がより楽しくなると思います♪
石垣さんの作品は、光と影が、構図では大胆に手前と奥で分かれ、描写では、木漏れ日、細かな葉の動きが繊細に描かれています。遠足に行ったのは11月。日陰でずっと描いているのは体の芯から冷えるような寒さでしたが、そんな実感があるからか、日向の明るさ、あたたかさがとても強く感じられますね。
作品をずっと眺めていると、涼やかな気持ちになってくるから不思議です。。。

チノでした。

モチーフ紹介ラスト

Aburagetumotihu
Photo
オバラです。8日間続いた“小学生クラスの油絵モチーフ紹介”のラストとなります。
こちらは月曜日のモチーフ。
月曜日のクラス紹介は以前田中先生が書いた「生徒も講師もアクが強くて、ひねくれている」ブログに終結されていますが、そんな彼ら一人ひとりの顔を思い浮かべながらセレクトしました。
たぶん私と似たようなイタズラ(悪事?)を企てながら、叱られたって逞しく生きていると思われる月曜クラスの面々。
そんな彼らには『舞踏会』を主題として生と死の両極端なテーマを盛り込んだモチーフを選びました。
大海原にいたって、この餌で釣りをしたらきっと集まってくるはず!と思ったら、案の定いい食いつき♪みるみる自分の世界を展開していってくれました。ゾクゾクしますなー!

ちなみに月曜・木曜は私と田中先生の二人で授業をしています。
我々少々似ている部分があるので、木曜クラスではモチーフがかぶらないように事前に軽く打ち合わせをして気を付けました。(伊藤先生と一緒にモチーフを組む月曜クラスは打ち合わせなし。キャラが1mmもかぶってないから安心)
でも後から田中先生と話をしたら「本当は宝箱をひっくり返したイメージを取り込みたかったんだけど、コインチョコを探せなくて…」と、全く同じセリフが!
私はもうコインチョコの販売店を見付けた!来年の宣戦布告だ!?

夏の風を感じて欲しい

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伊藤です。

小学生クラスは火曜日の授業を担当していますが、油絵モチーフは月曜日クラスをセットしました。
普段月曜日クラスの授業はみていませんが、小学生クラスが始まる前の授業までいるので、ちょうど月曜日クラスの生徒達がわぁ~とアトリエにやってきて、「今日は学校で・・・だった」とか「先生○○知ってる?」とか授業始まる前のちょこっとコミュニケーションの時間があります。
その後の制作の様子は見れませんが、壁に製作途中のキャンバスが飾られているのは毎回チェックして楽しみにしています♪

私が用意したものは、ラムネのビン・下駄・かき氷ののれん・紙ふうせんなど夏の祭りの後の夕涼みを思わせるモチーフが中央にあります。
そして両脇には、夏の暑さにも負けず葉の色が鮮やかな観葉植物やカチッとした硬い感触の小物をセットしました。

他の先生達のモチーフはぎっしりと組まれているのに対して、私のセットは全クラス計8つのモチーフの中で一番シンプルだと思います。普段何をするのにもシンプル・イズ・ベストだと思っていて、いろいろ最初は盛り込んでいても、最終的にはこれだと思うものだけが残った結果スッキリまとまってしまいます。

モチーフとモチーフとの間の空間には夏の風がスッと吹き込むような、画面の中で空気を感じられるといいなと思い組みました。

月曜日クラスは前のカリキュラム仮面つくりでハイセンスな色彩感覚を見せてくれたので、油絵ではシンプルなモチーフのひとつひとつから感じとれる色を存分に描き込んでいってほしいなと思ってます。

今制作途中の作品です・・・
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