キレイ

Ss佐々木 水彩

佐々木さんは、奇をてらうことなく、日常のささやかな身の回りのモノをモチーフに選び、感じたまま愛情を持ってセンス良く的確に描くタイプの方だと私は思っています。
この絵も、心地良く身の回りの小さなモチーフを配置し、沢山の淡い色を使い(それでいて、要所要所きりっとしまる強い色を織り交ぜ)、全体はブルーでまとめ、素直でキレイでとてもセンスが良い絵に仕上がっています!!!
きっと、完成までには佐々木さんなりにモチーフの位置や構図、色使い等、考え迷いながら進めていたときもあったでしょうが、そんな所をみじんも感じさせない凛とした絵。
苦労を感じさせない完成度の高さに脱帽です。

本日、佐々木さんはアトリエをお休みされましたが、制作中の『息子さんの絵』の完成が楽しみでなりません。

一昨日クリスマスの撮影をし、今日は常夏の海とヤシの木を描く仕事をし、季節感がおかしくなりそうな白石でした。

もう自分のもの

St330265山口 「溶ける(仮)」 油彩

本日は土曜クラス山口さんの作品をご紹介します!
いつもより少し大きめのキャンバスに北欧の氷河の写真を見ながら描きました。
一見色が少なく、描くのには難しい題材でしたが、大胆なペインティングナイフ使いと、絵の具のかさね具合による質感の変化とで見応えのある魅力的な作品に仕上がりました。

以前模写された佐伯祐三の描き方を、ご自身で咀嚼し、見事、血となり肉となり作品に生かされています!この一つ前の作品ではドイツの街並を描きましたが、この作品で、「佐伯祐三風」ではなくしっかりと山口さんのものになったことがお分かり頂けると思います!

チノ

人物デッサン

Kurokki102人物クロッキー会のお知らせです。
20分ポーズを5回とも同じ姿勢でとってもらう固定ポーズです。
ミオス生徒さん以外の方も参加していただけます。
アドバイスが必要な方はお申し出下さい。

日時   3月6日(土) 16:00~18:00
参加費 1500円 (ミオス生徒 1000円)
持ち物  スケッチブック、画材etc (イーゼル、画板、イスなどはご用意してあります。)
お申し込みはお電話でお願いします。   044-411-1600

ぜひ皆様のご参加お待ちしております!

クレヨンの魅力

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幼児クラス

幼稚園生が絵を描く時に、最もポピュラーな画材として使っているのがクレヨン。
普段のクレヨン画では、線描きや塗りつぶし効果で絵を描いていますが、他に重色やスクラッチ(ひっかき)効果など様々な技法があります。

今日ご紹介します「するめいか」と「オマールエビ」の絵は、絵全体に重色効果をもたらしています。
力を込めてクレヨンを重ね塗りして、ぐりぐりと塗りこむことで発色が格段によくなり、重厚な感じに仕上がっています。

モチーフの色の中で深く濃い色合いのクレヨンから塗り始め、次第に明るく鮮やかな色合いを重ねていきました。
すると、上から塗った色の線の隙間から下の色が見えたり見えなかったりするところがあったり、色の違うセロハンを重ねたような色になったり、またクレヨン特有のつやと予想していなかった効果もあって、普段のクレヨン画とは一風違う雰囲気が漂います。

しかも、画面の表面には薄い布地が貼ってある台紙に描いたことと、輪郭線と仕上げの線入れには割り箸ペンを使ったことで、さらに趣きのある作品になりました。 

伊藤

透き通るような

P2010_0224_203450_2「花と瓶」秦野 水彩

秦野さんの新作が完成しました!
水彩自体の経験は少ないそうですが、持ち前のデッサン力と優しい色彩センスは水彩でも建材です。
実はこのバラの花は造花なのですが、まるで生きている花のようなみずみずしさを感じます。
また白い花を白い紙にそのまま描くとなかなか映えず、余計なグレーを入れて暗くなってしまいがちですが、
花のうしろに青い瓶を配置しているので花の白さを引き立たせています。
白、黄色、黄緑、青の色バランスが爽やかで部屋にずっと飾っておきたいような絵が完成しましたね!
この水彩を描いている間、他の生徒さんたちも「良い水彩を描くためにはデッサンを勉強っしなくちゃ!」と感銘を受けてデッサンの特訓を始めたくらいの影響力がありました!
現在水曜夜クラスでは日本画に挑戦されるる方が続出していますが、秦野さんも次回から日本画を描かれるそうで、どんな絵になるのか私もすごく楽しみです!
秦野さんのセンスを生かした爽やかな色彩の日本画になることを期待しています。 赤尾

きっかけの絵

Obarayaezakura小原 『ウェルカムボード』 水彩絹本

本日で展覧会が終わりました。
お休み頂き申し訳ありませんでした。
お忙しい中京橋までおいで頂いた皆様、本当にありがとうございました!

この作品は5年前メキシコで友達になった当時大学院生の男の子が、自分の結婚式のウェルカムボードにする為、購入してくれました。
世界一周旅行をしていた彼が、メキシコ日本大使館で開いていた私の個展をたまたま見てくれ、作風を気に入ってくれていました。
ちょっと自慢話しになりますが…
「美術になんの関心もなく今まで生きて来ましたが、この展覧会にメチャクチャ感動しました!いつか稼げるようになったら、京美さんの絵を買いたい。そういう体験をしてみたい。」という捨てセリフで別れた5年後、まさか自分の結婚式の為に買ってくれるとは!
「メキシコから先の旅行先では、美術館巡りもしたんですよ。急に美術に目覚めちゃって♪」なんて嬉しすぎ!ゆうじくん、お幸せに!   オバラ

内なる心理

Terayamaeki寺山 『新駅舎』 鉛筆

どうも幸介です。本日は大人クラスより、おなじみ寺山さんの作品をご紹介いたします。まずはご本人のコメントからどうぞ!↓

『いつものように自分が撮った写真をベースに描きました。
その写真には一つ前に描いた絵のときのような
エピソードも特に無く、取り掛かる前には
サラッと描いて終わらせてしまおうと思っていたくらいです。
でも結果としては、いつもより時間が掛かり、
出来栄えも予定外の滅茶苦茶具合となりました。
おそらく自分が日々抑えている内なる気持ちが
絵になって現れたのかなぁ、と思ったりもしています。
確かに描いているときは楽しかったですし、
完成のときもちょっとスッキリした気分になりました。
次も色々なものが湧いてきて、
もっと面白い絵にできれば、と思っています。』

いつも描き進めるにつれ、どんどん絵の中に予定外の出来事が増えて行く寺山さん。今回の作品は「日々抑えている内なる気持ちが現れた」とのこと…。では客観的に分析してみましょう。まず具体的にこの作品に描かれている情景ですが、現代的で冷静に見える駅舎の建築や駅前広場のエンバイロメントデザインに対し、荒々しくかつファンシーな空と、何か浸食するかのように光線を放つ街灯。人工物と自然物との対比が、上画面・下画面で分かれています。そんな対比の中、上下をつなぐよう配置された街灯がカギですね。

では、これを「気持ち」に置き換えて考えてみるとどうなるのでしょうか。下画面・つまり地面や土台などの物事の基盤は、これまでに培ってきた寺山さんのアイデンティティと考え、不安定な上画面は、日々変わりゆく空想や妄想などの脳内での「感情」とします。

これを踏まえて絵を分析してみると、寺山さんはカッチリとした駅校舎のように品行方正な生活をこなしてきた一方で、感情面ではフワッフワでファンシーな気持ちも持ち合わせていて、その気持ちが一定にとどまる事無く雲のように常にカタチを変えているということになります。さらに街灯に象徴されているように、実はそのカタチのとどまらない感情や本能が自分の基盤である普段の生活に少しではあるけれども影響を出してきている。もしくは、少しずつカッチリとした生活に感情的だったり本能的な部分を増やす準備段階にある、ということでしょうか。

…というわけで、幸介式心理分析をしてみました。絵に関して、技術的な面での話をする機会はアトリエでは常にありますが、そういえば皆さんと「なんでこの絵がこうなったのか」的な、絵を描く過程やきっかけなどの感情面に関してはあまりお話したことがなかったかもなぁーなんて、今日のブログを書いていて思いました。

そういうところにもっと気づければ、鋭いアドバイスも出来るようになるんでしょうか。いずれにせよ、まだまだ勉強させていただく部分は多そうです。という訳で最終的に自分の話になってしまいましたが、寺山さんのおかげで僕も勉強させていただきました!!次回の作品にもますます期待したいと思います!!

田中幸介

触れそうな質感

Mmm_2出町 パステル
パステルの特徴をふんだんに活かした作品。
紙の表面の凹凸に顔料の粉末をひっかけながら、塗り重ね、混色し、指や綿棒などで擦って伸ばし、ぼかしの表現をしていくパルテル画。
羽の暖かさ、柔らかさ、すべすべ感、触れそうに伝わってきます。
大胆に、繊細に、パステルを使い分け、ゆったり堂々とした鳥を存在させています。
春の陽射しを想わせる水色と黄色が混ざった背景の色は主役の鳥を引き立てる名脇役。
素晴しい表現力ですね!!

パステルでも鉛筆デッサンでも、いつも出町さんの作品は絵全体の雰囲気が柔らかく優しく統一されています。
誰もが出せる雰囲気ではありません。
出町さんのこの柔らかく優しい個性が羨ましい。

白石

絵になる遠足

Satouhamarikyu佐藤 「浜離宮」 油彩

さて、ここはどこでしょう??(既にタイトルで分かるかも知れませんが;)
ぴーんと来た方は、去年11月に行われたおとなの遠足参加者の皆様に違いありません!

ビルと自然とのコントラスト、東京タワーが水面に映るちょっとミスマッチのような、印象的な景色、静かに揺れる水の表現がすばらしいですね!これは、はじめに水に映り込んだ木々をしっかりと描写しておき、おつゆ描きで青系の色を重ね、リアルさをだしつつ、実像との変化をつけて表現されたものです。

・・・どちらかというと「飲み会」の方に重点が置かれたと思われる遠足でしたが、こんなに素敵な作品を仕上げていただけると、本当に、浜離宮に行って良かったな♪と思うのです。
オバラ先生も一安心されているのでしょうか?どうなのでしょうか?(笑)

土曜午前クラスでも現在2名の方がおとなの遠足の時のスケッチなどをもとに作品を描かれています!
参加された方は何かしら「身になる」遠足だったと思いますが、これぞまさに「絵になる」遠足です。

チノ

題名の説得力

Photo神宮 『小さなテーブル上の葡萄』 油彩

しっとりした雰囲気の静物画です。
ちょっと季節外れなのは、この絵を秋から描き始めたところ思うようにいかず、しばらく筆を置いて煮詰めていたからだそう。
以前アップした椎原さんの油絵もそうでしたが、自分の絵がわからなくなってしまった時は闇雲に突き進むのではなく、一度離れて冷静に見直す作業が必要になります。
一生懸命頑張るのが美徳とされることの多い日本ですが、そうではないことを2枚の絵が証明してくれました。

「実際に小さい机の上に乗っている葡萄なのですが、写実的な絵画なので少々机と葡萄の大きさの関係が違和感あるように見えるのが残念です。」とアドバイスさせて頂きましたが、こんな題名で解決して下さるとは!恐れ入りました!
神宮さんとお話させて頂くと、年齢差ももちろんあるのですが、いつも自分が小娘に思えてしまいます。
この技術とセンスにはかないません。   オバラ