愛猫を描く

石井 アクリル

サトルです!涼しいを通り越して、肌寒い日が増えてきました。今年は例年より寒くなる予感がします。今回は石井さんのアクリル画をご紹介いたします!
石井さんは入会後のデッサン3作品を終えてから初の着彩絵画制作でした。最初の作品ということもあって、たくさんの愛情を注いで飼われている猫を題材にされたのでしょう。思いを込めて、時間をかけて描き上げましたね。

クッションに寝そべって眠そうにしている表情がとても愛くるしい。なんとも暖かい、ゆったりとした雰囲気を感じながらも、毛の一本一本まで表現されており、生き物らしさが写実的に描かれた作品に仕上がりました。特に顔は白、黒、グレーの模様をはっきりと描きわけ、立体的に見える様に毛並みの向きまで綺麗に揃えられています。描きながら中々似ない時もありましたが、諦めずに修正を繰り返していましたね。アクリル絵の具の何度も塗り重ねられる性質を活かした、素晴らしい工程であったと思います。

顔を前に出しながら寝そべるポーズなので、体は奥に位置しています。尚且つ主役は顔ですので、体の部分は目立たない様に描かなければなりません。しかし、そのためには少ない手数で的確に質感を描く絵心が必要。石井さんはデッサンを描いている時から大きな印象をとらえる事が上手く、今回の作品にもその力が発揮されているなと感じました。体を見てみると、顔より少し弱めた色の絵の具を、筆先を荒く使ったタッチでざっくりと描いているのが分かります。そのおかげで顔に目線が誘導されて、とても見やすい画面になっていますよね。これがもし、顔と同じくらい毛並みを細かく描いていたとしたら、散漫な印象になっていた事でしょう。
猫の周りはあっさりとクリーム色を施し、紙の地そのままを活かした白い背景へと自然に繋げ、重くなり過ぎない絵の中の世界感を作り出す一工夫も施されています。

完成形の作品からは分かりませんが、実はこの絵の具の下には超絶緻密に描かれたデッサンが隠れていました。石井さんは今回初のアクリル絵の具での制作だったので、着彩しやすい様しっかりめにデッサンしておくと、絵の具を塗る時に迷わなくて安心だとは伝えたのですが、まさか全ての毛を鉛筆の線で描き切ってしまうとは驚きでした。絵の具で厚塗りするので消えてしまうのが勿体無い気もしましたが、堅実に観察して下描きした事でモチーフへの理解が深まり、それが絵の具での緻密な描写を生み出した源だったのだと、今になって思います。

きめ細やかな描写力を身につけた石井さんが、ここからどんな作品を生み出していくのか、期待に胸が膨らみます。まだまだ試していない画材が沢山ありますから、どんどん色んな事に挑戦して、自身の強みを活かせる画材と巡り合ってください!