猫を包む光

松下 油彩

サトルです!夏も後半に差し掛かりましたが、まだまだ暑い日々は続きそうですね。今回は松下さんの油絵をご紹介いたします。北海道で撮影された写真を元に描かれたそうです。4匹の野良猫(放し飼い?)が可愛いらしいですね!

木々の隙間から差し込む木洩れ日が、暖かく猫達を包み込む様子が描かれています。平和で美しい、なんだか帰りたくなるような気持ちにさせる素敵な景色ですね。奥へとだんだん明るくなる雰囲気が、奥行きを出すのと同時にどこまでも画面の外まで広がっていく広い世界を感じさせる作品です。
今まで何枚も油絵を描かれてきた中で身につけた、独特の色使いと質感がとても魅力的です。緑の中に様々な色を混ぜ込みながらも、カラフルになり過ぎて葉に見えなくなったりしないように微調整がされており、深みを感じながらも見やすい画面が作られていますね。ただ写真通りに色を塗るだけでは、このようなノスタルジックな雰囲気は作れなかったでしょう。写真では伝わらない、その場にいた人にしか感じられなかった魅力が、作品から滲み出ています。

左下の地面が出ている部分は納得いくまで何度も何度も塗り重ねていました。光の表現はもちろんのこと、長い年月をかけて自然が作り出した土の歴史を感じるような厚みのある表現です。手前の猫ははっきり見え過ぎないよう絶妙な加減で描かれていますが、画面の中で最も目立つ様に、草との対比を少し強めに描かれていますね。それらに対して、画面奥の建物や明るい景色は、重くならない様に薄塗りで描く事で、画面全体での視線誘導が綺麗に決まりました。

画面構成も非常に理にかなっていますね。縦に長いキャンバスに合わせて、手前、中間、奥と三段階に展開する事で奥行きを出し、色調も変えることで飽きない画面作りがされています。さらに松下さんの構成力の高さがわかりやすく表れているのが、サインの位置です。普通は画面下ギリギリに書くことが多いですが、こちらの作品では少し高めに書かれています。高く描いてあるおかげで、絵の重心が画面中央に寄り、バランスが取れました。草の位置はどこにするのか、どこまで影を伸ばすのか、サインはどこに書くのか、ちょっとしたモチーフの配置で作品の魅力が倍増したり、台無しになったりする事があります。絵を描く時に一番大切なのは構成だと、よく言われますから、みなさんも描く前にじっくり構成を考えてみてください。