優しい夕暮れ

文美 中3 油彩

ひとみです。よく「美大も一般教養の授業なんてあるの?」と聞かれますが、普通にあります。前期最後の言語のテストが終わり、胸を撫で下ろしています。

今回文美が描いた油彩作品は、夕暮れの踏切の風景。柔らかな光に包まれた空気感は、記憶の中や夢の中のワンシーンを切り取ったような、静かな時間の流れを伝えます。

敢えて中央に配置した、海に沈む夕日が生み出す光の表現に目を奪われます。夕日を受けた線路は金属ならではのきらっとした輝きを見せ、道路のアスファルトは少し落ち着いた鈍い照り方で描かれています。同じ光でも素材によって見え方が異なることを丁寧に描き分けていて、よく観察しながら制作していることが伝わってきます。
また手前のイエローラインは濃いオレンジ色に、道路にはやわらかなオレンジの光、奥の線路には白に近い黄色の光と変化を付け、太陽に近づくほど光が明るく眩しく表現されているため、自然と視線が画面の奥へ向けられ、夕日の美しさがより印象的に感じられます。

空のグラデーションもとても自然で、夕暮れならではの繊細な空が切ない気持ちにさせてくれます。背景の草は細かく描き込みすぎず、この作品の雰囲気に合わせて柔らかな質感を残しています。光を受けた微妙なサップグリーンに、穏やかな海の風を感じます。

制作の中で文美が最も苦戦していたのが遮断機。少しいびつになってしまいましたが、逆光の為わざとシャープに描かずに影でにじませるテクニックを使いました。手前を濃く、奥を薄く描き分ける遠近感も自然です。

すべてをくっきり描き込むのではなく、あえてやわらかく描き上げたことで、この瞬間だからこその儚さや静けさが感じられる作品になりました。実際にこの景色に出会ったら、沈んでいく夕日を眺めながら時間を忘れて見入ってしまいそうです。そんな一瞬の美しい時間を永遠に閉じ込めたような一枚ではないでしょうか。