當山 岩絵具/和紙・パネル
聡です!今週から急激に暑くなりましたね。一気に気温が変わったので体調があまり良くありません、、、。皆さんも夏バテしない様お気を付けくたさい。今回は當山さんの日本画をご紹介致します!
當山さんは去年の展覧会に出品された作品から『恐怖』をテーマに日本画を描き続けておられます。ご自身で画材も揃えられていて、どんどん様々な技法を研究、発明されていて驚かされますし、僕もとても勉強になります。今回も前回描かれた『口裂け女』に続き、同じく怪談でお馴染みの『テケテケ』を描かれました。真っ二つに分かれた女性の浮かべる表情は、何とも言えない奇妙さがあり見ているだけで寒気がしてきます。背景を見ているとだんだん顔のような怨念が浮かびあがってきて、二重の恐ろしさを感じさせてくるような仕掛けも施されていますね、、、。
人物の形や内臓、画面構成は日本画である以前にイラストレーションとして見ても素晴らしいクオリティです。同じ下描きでペン画、油絵、水彩画など他の画材で描いていたとしても素晴らしい出来栄えになったでしょう。しかし岩絵具だからこその独特な質感がマッチし、テケテケの恐ろしい雰囲気が倍増しています。日本画を描かれたことのある方はお分かりだと思いますが、ただでさえ扱いの難しい岩絵具を使ってここまで精度の高い描写を行うのは至難の技。僕は小さい絵が苦手なので、堂山さんみたいに細かく描けたらなぁ、、、と羨ましい気持ちになっております。
細部を見ていきましょう。上半身の制服の部分をよく見てみると、服の皺に見える模様がありますね。これはあらかじめ和紙をぐちゃぐちゃに揉んでからパネルに張り込む事でマチエールを作る「揉み紙」という技法によるものです。揉む事で表面に皺が出来るので、普通に塗っても絵の具が引っかかり、独特の質感を出す事が出来きます。また、皺が出来るとツルツルの紙より破れづらくなるという利点もある便利な技法になります。
もちろん、絵の具を塗り込んでいくと紙の皺は見えなくなって行きますので、皺を残す所、絵の具で潰す所を描き分ける事も重要になってきますが、堂山さんは制服に残す事で上手くモチーフの質感に当てはめていますね。
堂山さんの作品に使われている技法で、もう一つ特徴的なのが、岩絵具と水干絵の具の使い分けです。背景をよく見てみると、粒子の荒い絵の具が沢山使われていますね。荒い絵の具は光を強く反射し、一粒一粒がキラキラとしていて、他の画材では出せない魅力を生み出す事が出来る反面、細かい描写には向きません。だからと言って細かい粒子の水干絵の具だけだ描いてしまうと、日本画らしい質感にならず、アクリル絵の具で描いた絵とあまり変わらなくなってしまいます。ですから當山さんの様に背景などの形のはっきりしない物や大きい物は荒い絵の具を使い、人物などの細かい表現をする部分は水干絵の具を使うのが良いでしょう。
また、荒い絵の具は透明感が強く深みのある色を作るのが難しいので、あらかじめ水干絵の具や細かい粒子の岩絵具で地塗りをする事をおすすめします。そうすると荒い絵の具が透けていても紙の地が見えてきませんから、抵抗感がありつつもキラキラとした質感の表現が出来ます。
僕は今まで油絵や水彩、アクリル、デジタルなど様々画材を使ってきましたが、日本画が一番難しく、絵の具が紙に定着しなかったり膠がシミになったりとトラブルが多いです。しかし、絵の具自体の発色の美しさは最も魅力的だと感じております。絵の具も筆も他と比べて高価ですが、それに見合う美しさのある画材だと思うので、興味のある方は是非、日本画科の僕にご相談ください!