トリミングの魅力

御影 油彩

サトルです!今回は御影さんの油絵をご紹介します。
大胆なタッチで絵の具を厚く盛り上げるように描かれていて、一見抽象絵画に思えますが、具象絵画です。まず、何を描いているのか想像してみてください。なんとなくいろんなものが見えてくる気がしませんか?こうして作品を見ながら想像を膨らませるのも、絵画鑑賞の楽しみ方だと思います。

では、一体何を描いたのか。答えは「木星の地表」です。答えを聞くと、一気にリアルに見えて来たでしょう。木星の表面に渦巻いたガスが上手く捉えられています。普通星を描くとしたら全体を捉え、分かりやすい様に描きますよね。しかし御影さんはあえてズームアップし、何を描いているのか分かりにくくする事で、謎掛け的な面白さと、抽象絵画の様な魅力、さらには答えを聞いた時に感じるリアリティを共存させました。
こちらの作品がギャラリーに展示してある姿を想像すると、「何を描いているんだろう?」と気になった人たちが目の前で立ち止まって鑑賞し、キャプションを見て何を描いたかに気づき驚愕する姿が目に浮かびます。景色の切り取り方一つでここまで魅力的な作品になるのですね。

絵の具の扱い方も遊び心があって魅力的。筆跡を上手く使った表現や、ナイフで盛り上げた迫力のあるタッチなど、このモチーフだからこそ出来る技法が幅広く使い分けられていて、どうやって描いてあるのだろう?と隅々まで見てしまいます。キャンバスの上で絵具が混ざっていたり、複雑に色彩が入り組んでいて、細かい所まで単調にならないように描かれていますね。

美術館に訪れた人が一枚の作品を見る平均の時間は、約10〜20秒程度と言われています。良い作品は鑑賞者の足を止め、長い時間鑑賞させることが出来る作品だと考えると、御影さんの作品は、まさに長時間鑑賞者を引きつける事が出来る作品ではないでしょうか。見れば見るほど深みが出てくる、面白さと魅力の詰まった作品だと思います。

油彩への挑戦

小嶋 上2枚-油彩 下-透明水彩

大竹です。今回ご紹介させていただくのは、小嶋さんの油彩作品と水彩作品です。
上段の二点は油彩作品で、左が初めての油絵、右が二作目となります。

左の初めての油彩作品では、絵の具の混色や重ね塗りを試しながら制作された様子が伝わってきます。背景には様々な色が散りばめられていますが、単に木々や花を描写したというよりも、自然界の持つ豊かな色彩そのものを表現しているようにも感じられますね。柔らかな色調でまとめられていながらも、油絵具ならではの深みがあるため、決して弱い印象にはなっていません。また、背景が細かな筆遣いと豊富な色彩で構成されているのに対し、主役である小鳥は白と藍色を中心としたシンプルな色でまとめられています。その対比によって画面に心地よいメリハリが生まれ、小鳥の存在が自然と目に入ってくるバランスの良さも魅力ですね。
二作目では、一作目と比べて空間の広がりや空気感が大きく増しています。枝にとまる小鳥の周囲には木漏れ日のような光が差し込み、画面の奥行きを感じさせますね。手前は絵の具を厚く塗り、背景は薄く仕上げる等、絵の具の厚みや色の重なり方にも工夫が見られます。ふっくらとした羽毛の柔らかさや、陽の光を受けた温かさもよく表現されており、二作品を並べてみても油絵具の扱いにも慣れ、表現の幅が広がっているのが分かりますね!

下段は透明水彩で描かれた千手観音の作品です。こちらは先ほどの油彩とはまた違った魅力がありますね。観音様は大胆にデフォルメされ、どこか親しみやすいイラストのような姿で描かれています。一方で、周囲の蓮や建物、風景は比較的現実的な描写でまとめられており、その対比が面白いですね。色数もあえて抑えられているため、主役である観音様が画面の中で自然と目を引くよう工夫されています。
観音様という本来は荘厳な存在を描きながらも、どこか親しみやすさが感じられるのも印象的です。神々しさと可愛らしさ、その両方が絶妙なバランスで共存しているのでしょう。
海外では、このようなデフォルメされたミニキャラクターのことを「Chibi(チビ)」と日本語のまま呼ぶそうです。日本では古くから人や動物、果てには無機物までもをキャラクター化する文化が育まれてきました。小嶋さんの作品もまた、そうした日本人らしい感性が自然と表れている一枚なのかもしれません。

油彩では自然の豊かな色彩を、水彩では親しみやすい観音様の世界を。それぞれ異なる表現でありながら、見た人が穏やかな気持ちになれる温かみを持っています。それはきっと、作者が身の回りのものへ向ける温かなまなざしを、作品を通じて私たちも感じ取っているからなのでしょう。

たゆたう波打ち際

高橋Y 油彩

湿気に初夏を感じています、夏波です!今回は大人クラスの高橋さんの2枚目の油彩を紹介します。
朝焼けでしょうか、陽の光を反射してキラキラと輝く海が美しいですね。まず目を引くのは、繊細な色の重なりが美しい波打ち際です。何層にも色を乗せたおかげで様々な色が細かく入り交じっており、プリズムの反射を連想させます。細い筆で何度も描くことで凹凸ができ、下の層に置いた色を完全に潰すことなく隙間が見えますが、このテクニックは波のゆらめきととても相性が良いです。白波の動きに合わせて筆を動かし、一切気の緩みを感じない筆致が鑑賞者に緊張感を与え、画面全体の粗密が心地良いですね。

私が一番魅力的だと思うのは白波。中央の勢いよく弾ける波に目が奪われてしまいました。周囲の鮮やかな色彩の中でも、ひときわ明るいハイライトの白で厚みをつけることで、存在感を放ちます。
黒を使う箇所を絞っており、見せ場となる白波の下には強い黒色で締め、左下手前の濡れた砂浜や奥のビル群には、しっとりとやわらかいダークカラーを使っています。暗い色の置き方が非常に上手く、視線が自然と誘導されてしまいます。
そして何より、横に真っ直ぐと水平線を入れるのではなく、あえて斜めに傾けたことにより、ドラマチックな構成となりました。安定感が崩れる分、圧倒的な奥行きを感じさせます。

作者の優しく丁寧なお人柄が反映され、温かく穏やかな空気感が伝わってきます。一方で、現実の風景でありながらも幻想的な雰囲気をまとっており、ゆったりと時間が流れる別世界を覗いているかのような感覚を覚えます。打ち寄せては帰って行く波の動きや、波の音しか聞こえない空間の静けさが、見る人の感情に静かに寄り添い、引き込んでいくようです。想像力を掻き立てる魅力的な作品となりましたね。

記憶と重なる絵画

成松 透明水彩

本日が誕生日の大志です。昨年二十歳になったと思ってから、あっという間の1年でした。今年も頑張りますのでよろしくお願いします!

今回ご紹介する成松さんの透明水彩作品は、前回、4ヶ月前に描いた絵の続きのような一枚。(前回の絵はこちら)イギリスでのピクニック風景でしょうか?広がる草原の中を歩く三人の姿が描かれていて、鮮やかな緑の風景に対して空には重たそうに広がる雲。その合間から覗く青空が印象的で、天気が移り変わる直前のような、少し湿度を含んだ空気感まで伝わってくる作品です。

草原部分には細かな筆致が重ねられており、水彩特有の滲みや色の混ざりによって、風に揺れる草の柔らかさが表現できています。一方で空は、筆に水をたっぷり含ませた大胆なにじみを活かし、雲の厚みや風の流れを感じさせます。濃く色を置く部分と、あえて白い紙を透かしたり残している部分とのメリハリが美しいですね。またにじみと対比する、水彩の約束の一つ「乾く前に触らない」という場所も作り、瑞々しい透明感を活かした魅力が画面全体に広がっています。

前作同様に人物の描き方も印象的で、表情を細かく描き込まず、見る人それぞれが物語を想像できる余白が生まれています。家族での散歩なのか、旅の途中なのか、それとも休日の何気ない時間なのか、、、静かな風景の中に、小さな会話や足音まで聞こえてきそうです。

どこかヨーロッパののどかな丘陵地帯や田園風景のようでもあり、同時に、昔どこかで見た記憶の景色のようにも感じられ、懐かしさや愛おしさを覚えます。見る人自身の心の中の風景を投影させて、思い出と重なりながら穏やかな時間を運んでくれる作品。心に直接語りかけてくるようです。

動きの探求

翼 中2 油彩

最近コンビニの美味しいお菓子を買うことにハマっています、ひとみです。今回は学生クラス、翼の油絵作品を紹介します。中学1年生の間に描き終えた作品ですが、アップが遅れてしまいました。

翼が所属する陸上部の競技大会の風景を描いています。画面内に2人描かれていますが、左側が翼であると一目見て分かりますね。顔のパーツや表情を自分だけ描くことで、主役がどちらであるか瞬時に判別できる構成になっています。

疾走感溢れる画面にするために髪の毛の動き・揺れ方など、実際に走った時の動きを思い出して描いたのだなという印象ですが、一番時間を掛けたのは、肌の色や立体感の描き方です。ふくらはぎ辺りはやや細いものの、腕や足がただの棒や平面的にならないように人体の丸みを意識し、どこに筋肉がついていて、どこに影が落ちてくるのかを理解して描けていることが分かります。また、手前の足と奥の足の明度差をつけることで、前後の距離感を感じられますね。今回の絵のこだわりのポイントであります。

青い走者レーンの地面には反射が描かれ、深い青色と白のハイライトを加えることで、雨上がりに走っているのかな、と情景が浮かんできます。足元に暗い紫色を乗せていることで、明るい画面の上部に視線を誘導されるよう調節+額には赤いハチマキを巻き、寒色でまとまっていた画面の中に暖色を入れ、顔を目立たせる効果も生みました。実はハチマキの色は決まっておらず、何色にするか悩んでいましたが、とても良い選択になったと思います。(トラックの丸みに沿ったサインの赤も効いてる!)

運動神経抜群で、人間らしい動きを意識し工夫して描くことが得意な翼。彼女の作品は、スポーツへの観察力や探求力が反映されておりますので、これからも躍動感ある自画像を楽しみにしています!
6年生の時のドッジボール大会の油絵はこちら(下段右から2番目)
3年生のコロナ禍、マスク姿の運動会・徒競走の油絵はこちら(上段左)

小学校受験の5月

慶應初等部合格 早生まれの女の子 受験直前の絵画

小原です。年長さんの小学校受験クラスで、GW明けに保護者講座を開きました。
昨年、慶應初等部・慶應幼稚舎・早稲田初等部に合格したお子様達の作品を絵画・立体制作ともにお見せし、その子達は1年前の5月頃にどのような家庭学習の取り組み・プライベートレッスンのご利用の仕方をしていたかをお話ししました。

ここ2年ほどの受験は、制作物のクオリティーもさることながら、プレゼン能力の方に重きをおいている傾向にありますので、どのように掘り下げると良いかを考えて行きます。
小学校受験では「テスター」と呼ばれる試験官の方がいらっしゃいます。制作物に対して子どもと一対一で、回答の聞き取りや質問「お尋ね」を行う専門の先生です。
先生からお尋ねの際には、覚えていることをただ伝えようとしても、自然な感じが欠けてしまいますし、練習し過ぎても親に言わされている感が出てしまい、好ましくありません。
先生とテンポよく会話が続くようにするには、好きなことや頑張っていることから結びつけてテーマを選ぶこと、声を掛けて頂く為に、目を惹く作品に完成できるレベルに仕上げる必要があります。
まずは将来の夢など分かりやすいものから考え、なぜその職業に就きたいのか、その子らしい理由を考えていくと良いでしょう。

また、事前に試験に出そうな質問の答えを全て決めて覚えていた方が安心して問題に取り組める子と、行き当たりばったりで制限なく自由に考えた方が気分が乗る子がいますので、お子様がどのような性格かも考慮して導いてあげると結果が出やすくなります。
夏休みの前に色々な方法を試し、どのような勉強方法が一番合っているかを見極められると、やみくもな詰め込みにならずに済みますね。直前に頑張っても結果が出辛い美術に関しては、早目の対策を心掛けてください。

不安な方は、ぜひ一度当校の小学校受験クラスをお試しください。ホームページはこちら

グレートーンの響き合い

田 透明水彩・ペン

サトルです!今回は田さんの水彩画をご紹介いたします!
イタリア旅行の中で訪れた、ポンペイ遺跡を描かれました。ポンペイ遺跡は西暦79年に起こったヴェスビオ火山の大噴火により、灰に埋もれた町の遺跡です。一晩のうちに町全体が完全に埋もれたため、その時の生活が生々しく残っています。火山灰に埋もれていたため建物や屋内の美術品がほぼ完全な状態で残っていて、考古学的にとても価値のある遺跡との事。

今回、田さんは先にペンで形を描写し、水彩で色を塗っていくスタイルで制作されました。よく見てみると、輪郭や石のひび割れなどがペンで描かれていますね。黒い線で細かく描いてから彩色するのは日本画と通じるところがあります。日本画は元を辿ると中国壁画に行き着く描き方ですので、同じく中国や台湾でもペンで描いてから水彩で描く手法が流行っています。

水彩絵の具の塗り重ねが、ポンペイ遺跡の石造りの質感をよく出し、少し脱色した様な色味からは、大噴火で亡くなった人々の悲しみが伝わってくる様な気がしますね。
光の表現も見事です。左上から差し込む光を出すために、屋根の下や奥の廊下に強い暗さを乗せたおかげで、イタリアのカラッとした光の雰囲気がよく出ています。水彩絵の具は暗い色のコントールが難しいのですが、ペンであらかじめ形を描いていたおかげで、ぼやけない様にしっかりと塗り分けられました。
ペンで描いたメリットは他の部分からも感じられます。特に手前の石造りの浴槽の様な構造物を見てみると、少し苔むした様な石の質感がとてもリアル。絵の具で塗り込んだ部分を水で洗って作った質感ですが、ペンで描いた輪郭が残るので、石の硬さと、ざらっとした質感が上手く両立出来ています。

ただ写実的に写真を模写するだけではなく、作品としての雰囲気作りも魅力的。正面の壁に目が行く様に彩度をコントロールしてあり、とても見やすい画面構成が作られています。空に関しては特に演出が上手くいっていますね。鮮やかな青を塗ってしまうと、遺跡のグレートーンが負けてしまいますから、彩度を下げて少し曇りっぽい雰囲気に描いています。よく見てみると、雲に茶色が入っていたりして、味があります。

作品を見る時、絵が上手いな!と感じるポイントの一つに、グレートーンを上手く使えることがあります。彩度の高い綺麗な色は魅力的ですが、全体を鮮やかな色で描いてしまうと目が痛くなる様な絵になってしまいますよね。夜ご飯がトンカツだけだと胃もたれ不可避。やはり千切りキャベツがないと苦しいのです。鮮やかな色だけでなく、それを補助するグレートーンが大切。田さんの作品は明るいグレーも暗いグレーも上手く扱えていますから、非常に参考になると思います。

窓辺の家族

木佐貫 油彩

大竹です。今回ご紹介させていただくのは、木佐貫さんの油彩作品です。
モデルはご自宅で長年共に暮らしてきた愛猫。木佐貫さんにとって今回が初めての油絵制作となります。もともとの参考写真は部屋の角にいる様子を撮影されたものでしたが、作品では窓辺で柔らかな日差しを浴びる姿へとアレンジされており、穏やかで温かな空気感が生まれています。
また、白と黒の毛色を引き立てるため、背景には赤いカーテンと緑の景色が配置されています。補色に近い色同士を使うことで画面に華やかさが生まれ、猫の白い毛並みをより印象的に浮かび上がらせています。油絵具を重ねたことで生まれる毛の厚みや柔らかな光も魅力的ですね。
制作の中で特に苦労されたのが顔の部分で、どうしても似ない…何か違う…!と何度も塗っては描き直しを繰り返し、完成までに半年以上の時間を要しています。初めて扱う油絵具に戸惑う部分も多かったかと思いますが、それでも諦めずに向き合い続けられたのは、やはり愛猫への深い愛情があったからこそでしょう。
猫や犬を飼ったことのある方なら共感して頂けると思いますが、動物たちも年齢を重ねることで表情や顔立ちが少しずつ変化していきます。若い頃の張りのある印象とは違い、こちらの作品からは、老猫ならではの穏やかで落ち着いた空気が伝わってきますね。少し乾いた毛並みや、静かにこちらを見つめる眼差しにも、長い時間を生きてきた存在感が滲んでいます。貫禄がありますね。

初めての油絵とは思えないほど粘り強く制作されており、その時間の積み重ねが作品の温度として画面に現れているように感じます。ただ猫を描いた作品というだけではなく、一緒に過ごしてきた時間そのものを閉じ込めたような、静かな愛情に満ちた一枚です。

ぼんやりとした眼差し

Sasa 油彩

夏波です!今回は大人クラスのSasaさんの油絵を紹介します。
F4号の小さめのキャンバスからはみ出すように、堂々とした迫力でコアラが描かれています。まず目に飛び込んでくるのは、少し気の抜けたような愛らしい『無』の表情でしょうか。食事中のコアラが、ぽけーっとどこかを見つめています。コアラ自体はカラフルな色合いで描かれていますが、瞳は暗い茶色で力強く描かれているため、自然とコアラと目を合わせてしまいます。ですがコアラの方はどこにも焦点が合っていないような、遠くを見つめる表情をしており、その不思議な空気感が魅力。瞳の中をよく見てみると、茶色一色ではなく赤や黄色の暖色を混ぜることで、立体感を逃さず描かれていました。

グレーの毛並みは、まるでオーロラ色のように輝いて見えます。灰色の上にペールグリーンやネイプルス イエロー、コバルトバイオレットを重ね、丁寧に層を作ったことで色合いに深みが生まれました。コアラの毛は二層に分かれ、表面のオーバーコートは少し固くゴワゴワとしているそうです。下地に暗めの色、乾いてから明るい色の絵の具をポンポンと筆を置くような動きで分厚く重ね、まさにその特徴を表すような質感に仕上げました。

背景の木々は描く面積も狭いので、近い色相の中で目立たぬように処理しています。その中でも手前の木は、ペインティングナイフを使い木肌を追うようなマチエールを付けながら、コントラストをつけすぎない色合いにして調和させました。コアラが印象的な仕上がりだからこそ、背景まで強く描き込みすぎると画面全体が散らかった印象になってしまいます。Sasaさんの油彩は、情報量を整理して見せどころを絞り、主役であるコアラをしっかりと引き立てる画面になりました。

コアラは栄養の少ないユーカリを消化・解毒するため、表情や動きを最小限にしてエネルギーを温存しているそうです。心身を消耗させるせかせかした現代社会ですが、『余白の時間を勧めてくれるコアラの絵』を見ることで、心穏やかに自分らしくいられそうですね!

色鮮やかな

大城 透明水彩

大志です!大学の課題講評まで残り1週間となり、追い込みの時期に入りました。最近は一日のほとんどを学校で過ごしていて、気づけば12時間以上制作している日も増えてきています!

今回は、大城さんが旅先で撮影した写真を元に描かれた水彩画をご紹介します。ツヤのある緑のトレーに乗せられたスイーツとアイスコーヒー、上に添えられたドライオレンジが目を引く、とても爽やかなモチーフです。

まず印象的なのは、画面全体に広がる鮮やかな色彩です。ウィンドウ越しの青い背景や緑のトレーなど、一見強い色同士の組み合わせですが、水彩絵具特有の透明感によって軽やかにまとまっています。特にドライオレンジと、白いソーサーに落ちる電球色の黄色味がかった光が、暖かい色味の差し色となり画面の中心で存在感を放ち、その影の部分では補色の青を利用し、洗練された陰影が作られています。
この配色はお互いを引き立て合う効果があるので、影の色として補色を利用するテクニックを覚えると、深みを出す幅もますます増えていきますよ!

また、水彩ならではのにじみや筆跡も魅力的です。窓辺から差し込む柔らかな青や、テーブルに反射する明るさがラフに表現され、作品全体に心地よいリズムを与えています。対照的に見切れたコーヒーグラスの透明感や、金属のスプーンのさりげない反射、ドライオレンジの少し乾いた表面などは丁寧に描き、モチーフごとに描き分けられた質感の違いにも惹かれます。

旅先で過ごしたゆったりとした時間を切り取り、記憶を作品の中に閉じ込めたように感じます。風景そのものではなく、ふとしたテーブルの一場面を描くところにも、女性らしい視点の面白さが表れているのではないでしょうか?見ているこちらまで、カフェでひと休みしている気分になってきました。