スタイルやアプローチを変えて

木村 油彩

1ヶ月振りです。岩田です。今回は、木村さんの作品をご紹介します。
2008年に入会されてから、長きに渡りアトリエに通われて、実に様々作品を描いてきた木村さん。
その作品は、油彩が多く、独特のタッチが印象的で、幾重にも絵の具を重ねることで作者ならではの絵肌を作り出しています。

今回の2作は、ペインティングナイフをメインに描いたもの。
やはり今までの作者の油彩とは異なる印象を醸し出しています。とはいえ、人物画の左半分の背景は、いつものような色の遊びが繰り広げられていて、面白い表情を垣間見ることができます。右半分は、ナイフを使ってい絵の具を乗せていった痕跡が見られますが、まだ慣れていないこともあってか、どことなく未消化といった感じが否めません。
色に関しても、左側程の奥深さはなく、感覚的に色で遊んでいるというより、道具を如何に扱うかに終始していた様子が見て取れます。

変わって右手の油彩は、実験的に下描きをせず描き始めた1回目の授業後、つまり2時間描いただけの途中段階。ナイフを使った2枚目の油彩ということで、キャンバスの上に直に絵の具を置いていったものですが、人物に比べると、いつものような感覚的な色遊びが戻ってきているところは、流石です。又、色だけではなく余白とのバランスもとても綺麗で、どことなく透んだ空気感を感じさせます。ここからどのような絵として完成するのか楽しみですね。

いつも描くモチーフを決めた上で、背景を色で遊ぶといったかたちで絵を組み立てている作者ですが、たまにはこうしてナイフや筆で画面に只々絵の具を感覚的に置いて、色や道具の痕跡を遊ぶだけの作品を作っても面白いかもしれません。または、そうした遊びをひとしきりした画面から起草させるモチーフを徐々に描き入れていく等、スタイルやアプローチを変えて、新たな世界に挑んでいって欲しいものです。