周囲を明るく灯す人

高校生の時(生徒としては学生クラスから入会しているので、子ども時代の写真がなく残念)

小原です。真結花が先週の木曜クラスを最後に巣立っていきました。生徒としては、中学2から高2の冬まで4年間ミオスに通い、アシスタントとしては6年間働いてくれました。ミオスで過ごした14歳から22歳までの8年間、思春期の女の子は特に物凄い変化・進化をする…のが普通なのですが、全く変わらなかった。
本人は「ひねくれていた」なんて書いていましたが、私から見れば中学生にしてパーフェクトな人間関係を築ける人だったと思っています。常に元気一杯(結構うるさい)、常に情熱的(かなり暑苦しい)、常に明るく(眩しく目立ち過ぎ)、こんなにエネルギッシュな人間に会ったことがありません。熱いパッションを使い続けても、心の疲れ知らずです。いつ何をチャージすると、こんなパワフルで明るく響き渡る笑い声を連発できるのだろう?と不思議でなりません。圧倒的高コスパ、押し付けがましい程の力強さなんです!

褒めているのか貶しているのか分からなくなってきましたが、底抜けの明るさ・前向きさは魔法少女のよう。精神的に自分を満たす術を知り、余裕を作り、人に分け与えることで心を成熟させた人。
小学生相手でも学生相手でも、人の懐にスッと入り込んで話題を提供。笑わせ楽しませている内に、彼女が輪から離れても皆が会話を共有し友達になっている。また、制作に飽きて作品が悪くなり始めた子を見付けると、美術と全く関係のない話題でガス抜き。ストレスを発散させたら「ここカッコいいね!色が好き!」など作品を褒めてモチベーションを復活させる。私に怒られている子がいると慰めるのではなく(慰めると悪い事をしたことがうやむやになってしまうから)、その周りの子に明るく振舞い、重い空気を軽やかにして本人が立ち直れる雰囲気にしてあげる。高校生のアルバイト時代からナチュラルにそんな離れ業ができる人間でした。

とここまで褒めましたが、一気に落とすぞ。盛り上がると話が止められず、トーンも押さえられず。学生クラスでは「マユカうるせぇ!黙れ!」「笑い声がデカすぎて、私の話が聞こえねぇ!」と、生徒ではなく先生を怒るという珍事も一度や二度ではありません。それでもめげない逞しいところも尊敬してるけど、心に留めておいて欲しい事を2つ言っておきましょう。
・過剰な提供(サービス)はやりすぎるとウザいからね!自分の影響力がいかに強いか自覚して、相手に選択の余地を与えてあげなさい。
・笑い声に元気がありすぎて響くから、大人しい人と関わる時やナーバスになっている人を慰める時は、声は出さずに笑顔だけにしなさい。朗らかな顔だけでもマユカには十分癒す力がある。

これからは身近な人とだけでなく、異なる文化・世代・立場の人と関わるようになりますが、彼女ならきっと良い関係性をつくり、協働、連携していけるでしょう。積極的に人とコミュニケーションを取れる力は社会に一番必要で、進化したAIでも奪えない、人間にしかできない大切な仕事です。真結花ならではの能力、役割、存在意義を自らに問い、ますますグレードアップしてください。今まで本当にどうもありがとうございました。皆、いつも明るい真結花先生のことが大好きでした。救われた人もたくさんいます。生徒達が大人になってからもずっと記憶に残るでしょう。

追伸 社会に出て理不尽な目に合って落ち込んだら、受験の時と同様に駆け込み寺として利用してね。真結花の為にも、ミオスはいつでも頼って良い場所であり続けるから。「どうしても人手不足になったら、会社を休んででも参上します!」と言ってくれたこと、本当に嬉しかった。お礼に真結花が寒さに凍えることがあったら、暖炉の一番暖かい場所を譲ります。私が味方になるから、安心して思いっきり活躍してください。

ありがとうございました!

ナツメです。就職に伴い、本日がアトリエ・ミオスでの最後の授業となりました。
これまで本当にありがとうございました!

振り返るとスタッフとして携わっていた時間は思っていた以上に長く、大学生になって最初の年に担当した美術高校受験生の中学生が今年から大学生になり、現在はスタッフとして関わっているほどです。(夏波先生)さらに生徒として通っていた頃から数えると、小学2年生の頃からお世話になっていたので、ざっくり人生の7割ほどとかなりの時間を過ごしてきたことになります。

経験したことや学んだことがあまりにも多く、この最後のブログも何を綴ろうかと、書いては消してを繰り返してしまいました。それくらい自分にとってミオスは大きな存在であり、この卒業はひとつの大きな転換点なのだと感じています。

小さい頃から絵を描くことが好きで、幼稚園の工作教室を経てミオスに入りました。同じく好きだったポケモンを上手く描けるようになりたいな〜くらいの気持ちだったのが、油絵や日本画、版画に石膏…と、さまざまな素材に触れる中で、描くことにとどまらない「ものづくり」の楽しさを知ったことが、自分の原体験になっている気がします。また、先生方が子ども扱いをするのではなく、一人の人間として向き合ってくださっていることを感じられたのも、とても嬉しいことでした。大きくなるにつれて手放してしまった作品も多いのですが、それでも当時つくったもののほとんどを今でも鮮明に覚えています。

アトリエの話をするうえで避けて通れないのが、中高時代です。陰鬱を煮詰めたような拗らせ方をしてしまい、塞ぎ込んでろくに会話もせず、教室で絵を描いていても先生が来ると隠してしまうような状態でした。ありえません。自分で言うのもどうかと思いますが、これまでスタッフをしてきて、同じような生徒には一人も出会いませんでした。(そのせいか、小原先生にはこの話をよくいじられます。)そんな扱いづらい生徒を見捨てずに向き合い続けてくださったこと、今振り返ると申し訳なさと同時に、強い感謝の気持ちでいっぱいです。私にとっては学校や家とはまた違う居場所だったため、内心ではずっと大事だと思っていたけれど、言葉にしないと何も伝わらないこともこの5年間で学びました。

ミオスで過ごす中で、「やっぱりものづくりをしていきたい」と思うようになり、美大に進み、アシスタントスタッフとして関わるようになりました。優秀な先生方を見て「こうなりたい」と思ったものの、最初の頃は人と話すこともぎこちなく、緊張のあまり生徒さんと少し話しては引っ込み、また別の方と少し話しては引っ込み…と、今思えばかなり不安を煽る動きをしていたと思います。そんな自分にもあたたかく接してくださった皆様のおかげで、「楽しく制作できる場をつくることで応えたい」と思えるようになり、その思いをミオスに支えられながら、変わっていくことができました。

「先生方のようになりたい」、と思いながらも未熟だった自分にとって、小原先生に言われた「思いやりは想像力だ」という言葉が強く印象に残っています。それまで自分が“優しさ”だと思っていたものが、ただの独りよがりだったことに気づかされました。

相手が何を感じているのか、どう受け取るのかを想像すること。その難しさと大切さを、少しずつ学んできたように思います。

アトリエに通うことが日常だったからか、まだ実感はあまり湧いていませんが、きっとこれから少しずつ寂しさが増していくのだと思います。

「叱らない教育」という言葉も耳にするこの時代に、甘やかすのではなく、私のためを思って厳しく、そして愛情を持って導いてくださった小原先生。共に過ごしたスタッフの皆様。そして、日々たくさんの気づきや学びを与えてくださった生徒の皆さん。本当にありがとうございました。ミオスで過ごした時間は、かけがえのない、大切な人生の宝物です。

4月からはゲーム会社でUIデザイナーとして、ゲームを直感的に遊べるような画面のレイアウトやボタンなどをデザインする仕事に就きます。
またふらっと顔を出すつもりなので、そのときによい話ができるよう、社会人生活も精一杯頑張ります!

スタイルやアプローチを変えて

木村 油彩

1ヶ月振りです。岩田です。今回は、木村さんの作品をご紹介します。
2008年に入会されてから、長きに渡りアトリエに通われて、実に様々作品を描いてきた木村さん。
その作品は、油彩が多く、独特のタッチが印象的で、幾重にも絵の具を重ねることで作者ならではの絵肌を作り出しています。

今回の2作は、ペインティングナイフをメインに描いたもの。
やはり今までの作者の油彩とは異なる印象を醸し出しています。とはいえ、人物画の左半分の背景は、いつものような色の遊びが繰り広げられていて、面白い表情を垣間見ることができます。右半分は、ナイフを使ってい絵の具を乗せていった痕跡が見られますが、まだ慣れていないこともあってか、どことなく未消化といった感じが否めません。
色に関しても、左側程の奥深さはなく、感覚的に色で遊んでいるというより、道具を如何に扱うかに終始していた様子が見て取れます。

変わって右手の油彩は、実験的に下描きをせず描き始めた1回目の授業後、つまり2時間描いただけの途中段階。ナイフを使った2枚目の油彩ということで、キャンバスの上に直に絵の具を置いていったものですが、人物に比べると、いつものような感覚的な色遊びが戻ってきているところは、流石です。又、色だけではなく余白とのバランスもとても綺麗で、どことなく透んだ空気感を感じさせます。ここからどのような絵として完成するのか楽しみですね。

いつも描くモチーフを決めた上で、背景を色で遊ぶといったかたちで絵を組み立てている作者ですが、たまにはこうしてナイフや筆で画面に只々絵の具を感覚的に置いて、色や道具の痕跡を遊ぶだけの作品を作っても面白いかもしれません。または、そうした遊びをひとしきりした画面から起草させるモチーフを徐々に描き入れていく等、スタイルやアプローチを変えて、新たな世界に挑んでいって欲しいものです。

異なるモチーフ、共通する愛らしさ

武石 油彩・鉛筆

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、武石さんの作品です。左が油彩、右が鉛筆画となっています。

左のペットのハムスターは油彩初挑戦の作品です。実物大で仕上げるため、小さなキャンバスに描かれていますが、その画面の中からでもしっかりとした存在感が感じられます。手のひらに乗せたときのぬくもりや、ふわふわとした毛の柔らかさが伝わってくるようですね。くりくりとした目がなんとも愛らしいです。細かな毛並みも一本一本丁寧に捉えられており、隅々まで描いていこうとする気概が感じられますね。
また、背景のやわらかな色合いによって画面全体に優しい雰囲気が生まれています。小さな命の愛らしさを、シンプルな構成の中でしっかりと表現されています。

右の鉛筆画は、愛車のバイク。そのせいか、出かけるのを今か今かと待っている、子供のような無邪気さが私には感じられます。そわそわと出番を待っているかの様ですね。
車やバイクといった工業製品は、流れるようなラインによって構成されており、そのシルエット自体に計算された美しさがあります。描くにあたっては、それが難しい部分でもありますが、そうした形の魅力を捉えようと模索された形跡が窺えます。
また、金属の硬さやタイヤのゴムの質感など、異なる素材の違いを描き分けようとする工夫も見受けられます。基礎デッサンの経験が活かされていますね!光と影のコントラストを丁寧に積み重ねることで、立体感と重量感のある仕上がりになっています。平面な紙の上で重みを出す方法は色々とありますが、やはり黒をしっかり乗せ、密度を高めていく事が一番のポイントになっていきますね。

柔らかく温もりのある生き物と、硬質で精密な機械という対照的なモチーフですが、どちらも対象をよく観察し、自分に今出来る全ての技術を使い描いていこうとする積極的な姿勢が伝わってきます。新しい挑戦に楽しみながら挑まれているのでしょう。ずっと後になって作品を見返した時も、きっと新鮮な気持ちが蘇ってくるのではないでしょうか?その気持ちも含め、大切にして頂けたらと思います。

思い出が尽きない六年間

マユカです!講師のアルバイトは高校生から、木曜のブログは大学生になってから担当させていただいていましたが、ついに今日が最後の授業&記事になってしまいました。思えば短かった…なんてことはなく、むしろ思い出が多すぎて「頑張ったなぁ」だとか「またミオスをお手伝いしにいく機会があったらいいな」なんてことを考えています。寂しい気持ちも勿論ありますが、ミオスでの日々が私の生活の一部になりすぎていて、全く引退する実感が湧いていません。これが「学生気分が抜けない」というやつなのでしょうか。

しかしミオスには本当にお世話になりましたね…。小原先生や、今はもう引退してしまった先生方、一緒に働いた学生スタッフは勿論なのですが、生徒さん方との交流も私を大きく成長させてくれたと感じています。飲食などの普通のアルバイトとは全く違う形の仕事だからこそ、考えなければならないこともたくさんあり大変でしたが、それ以上に大切な経験をさせていただきました。私と関わってくださった全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。考えてみたら、ミオスで働き始めてから人付き合いがうまくいくようになり、友達ができやすくなったような気がします。(中学生以前の私は本当に捻くれていたので…)ミオスによって性格も真っ直ぐ矯正されたのかもしれません!

実は私は生徒として在籍していた時間よりも、講師をさせていただいていた時間の方が長く、中2の時に川崎総合科学高校のデザイン科を受験するためだけに通い始めたという経緯があります。昔から絵を描く事が好きではありましたが、受験に必要なデッサンなどは微塵も触れてこなかったので、体験でのデッサンは散々でした。負けず嫌いで無駄に自尊心の高い子供だったので、自分が下手だという事実が悔しいやら情けないやらで、反抗的な態度をとっていた様な記憶があります。(昔を思い返しながらこれを書いているのですが、ものすごく恥ずかしいですね?!あの頃の私を誰も覚えていないことを願います…)

その後で模試を受け現実を知り、真面目に頑張るようになり、いくらか性格がまっすぐになった時に小原先生にアルバイトのスカウトを受けました。「小学生クラスを手伝う」という、字面だけ見れば簡単そうなお仕事だったので、「年の離れた弟がいて小さい子の面倒見るの慣れてるし、できるでしょ!」と喜んで参加しましたが、全くもって簡単なんかじゃなく、毎回怒られていました。以前も何かで書いたような気がするのですが、未だに先生からの「指示待ち人間になるな!」の言葉が時々脳裏をよぎり、襟を正しています。

大学受験の為に一年間ミオスのバイトをお休みしましたが、その時に「受験で息苦しくなったらいつでも作品を持ってミオスにおいでね」と言っていただき、それが受験の心の支えになっていました。一度心が折れかけた時にアドバイスをもらいにいき、メンタルを立て直して再度奮闘。無事に合格してから、いつでも来ていいと言ってもらえたありがたさを噛み締めていました。居場所があると言うのは支えになるものですね
大学生になってから小学生や学生クラスを主に担当するようになり、関わる人が増え、責任も増え、後輩もでき、かつての先生方もこうやって責任感を持って私たちと関わってくれていたんだろうな、としみじみ実感。たくさんの人に支えてもらってここまで来たんだなぁと感謝の気持ちが尽きません。

書きたいことも思い出もあまりにもありすぎてここに書ききれないことばかりです。絵を仕事にしたい!という漠然とした思いを胸に生きてきた私が夢を叶える事ができたのも、ミオスのおかげだと思っています。勿論ずっとイラストや基礎画力を磨き続けていましたが、ミオスと関わってきたこの七年間、自分の「好き」を追い続け、たくさんの作品に触れ、社会や人との関わり方を教わり…と、本当に充実した経験を積む事ができました。ミオスでいただいた言葉や思い出を胸に、新社会人として頑張っていきたいと思います。改めて、皆様本当にありがとうございました!生徒作品展などにはまた顔を出しに行きますので、出会える日までまたいつか!

手応えの先へ

多田 油彩

人生初の引越し作業にてんやわんやの毎日です、ナツメです。本日は月曜大人クラスより、多田さんの作品をご紹介します!

海へ行くのがお好きだそうで、こちらは銚子を訪れた際に撮影された写真をもとに描かれました。晴れ渡った海辺の側に、佇んでいる一つの灯台。開けた景色の気持ちよさがまっすぐに伝わってきます。

画面のおよそ3分の2ほどを締める空には雲が浮かび、奥へと抜けていくような空間の広がりが感じられます。白一色ではなく、影の色として明るい青を濃淡の差をつけながら置くことで厚みが生まれ、光を受けたときの雲の立体感がしっかりと捉えられていますね。

一方で、波や手前の岩場にはペインティングナイフを使い、ざっくりと色を乗せる試みがされています。ペインティングナイフは、絵の具をすくい上げるように乗せたり、引っかけるように広げたりすることで、筆では出しにくい凹凸や偶然性を生むことができます。筆で描かれた空とは異なる質感が生まれ、同じ画面の中でもテイストに変化がついているのが印象的です。絵の具の盛り上がりがそのまま波の勢いや岩肌のゴツゴツ感に結びついていて、素材の特性を巧みに表現へとつなげています。

今回の作品を制作していく過程で、多田さんならではの表現を一つ開拓することができたのではないでしょうか。絵画にはさまざまな技法がありますので、ぜひこれからもいろいろと試しながら、手応えを感じたものを吸収して次の作品へとつなげていっていただけたらと思います!

環境に合わせた色使い

浩子 中3 アクリル

ひとみです。大学の桜が咲き始めていて新学期が近づいてる実感をしました。今回は学生クラスの浩子の海を泳ぐウミガメとクマノミの作品を紹介します。

ウミガメといえば緑の甲羅というイメージが私にはありましたが、実際見てみると全体的に茶色っぽくてイメージと違うんですよね。海の中での様子を描くともなると、周りは青く澄んだ色なのに、くすんだ重い色で馴染まない…なんてことも。実際浩子も描いてる最中の色の表現には悩んでるところも見受けられました。ですが、甲羅の中にピンクを感じさせる明るめの色を持ってきて、下側や影面にも色数を増やし、自然に見せる努力をしました。また甲羅特有の柄模様もよく観察し、手を抜かない描き方は、さすが真面目な浩子だなと感心します。

最初はウミガメだけを描いていたのですが、そこにクマノミを加えてたことで、画面にぱっとした目の引く色が生まれ、全体が華やかに仕上がっています。ウミガメとクマノミという組み合わせからは『ファインディングニモ』というアニメーション映画を思い起こして、海の情景や物語が浮び楽しい気持ちにさせてくれますね。

海には陽の光がさんさんと降り注いでいます。光の表現として黄色を差し込むことで、ひんやりとした海の雰囲気の中にも暖かさが生まれ、画面全体が柔らかな温もりのある印象に仕上がりました。浩子が求めた完成形になったのではと思います。
環境(背景)に合わせた主役の色使いが、穏やかな雰囲気をより一層感じさせてくれ、温厚な浩子ならではの作品になりました。

花の展覧会

小原京美 『揺らめき』 透明水彩・墨・絹本 

小原です。来週から銀座で展覧会を行いますので、お知らせです。今回は個展ではなく、画廊企画の四人展となります。企画のテーマは『花満開の時展Ⅲ』

私は古い着物の裏地の絹に、透明水彩や墨で描いています。日本画の世界では、絹本(けんぽん)と呼ばれ、掛け軸などの制作に使われることが多い素材です。絵を描く媒体として唯一の動物性。(蚕が作っているのでタンパク質で構成されています。)
絹は微かな光沢を帯びています。油彩のキャンバス(麻)などと比べると非常にもろいのですが、その儚さに心を奪われ、制作を続けています。自分と真逆なものに惹かれるのかもしれません。

DMより
花弁が散った後しばらくして蕊(しべ)は いっせいにはらはらと舞い落ちる。
満開の時が過ぎ その後の桜にも美を見出す。
和の神髄かもしれない。
そんな日本の春の風情に またひとつ酔わされてみたいと思います。

3月31日(火)〜4月11日(土) ​12:30〜18:00〈日曜休廊 / 最終日16時終了〉
あらかわ画廊|Arakawa Gallery
〒104-0061  東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビル3F
■有楽町線 銀座一丁目駅 出口10番11番より徒歩1分
■銀座線 京橋駅 出口2番より徒歩2分

東京方面についでがございましたら、ぜひお立ち寄り下さいませ。
私が在廊予定の日は、3月31日(火)全日 、4月2日(木)12:30~15:00 、4日(土)全日 、7 日(火)12:30~15:00 、9日(木)12:30~15:00 、10日(金)全日 、11日(土)全日です。
※4月5日(日)日曜休廊、最終日4月11日(土)16:00 まで

同じバイオリンでも

結衣 中2 油彩

大志です!昨日のはなに続き、今日は姉妹のゆいの作品をご紹介します。
こちらの作品は全体に彩度の高い色彩で、背景のオレンジや赤の色味がビビットな為、はっきりとした印象があります。その分、机の色にダークなオリーブグリーンをあしらい、しっかり画面を支えていて、モチーフ全体を引き立てています。色彩感覚の良さを感じました。

バイオリンと弓の斜めのラインが画面に動きを生み出しており、視線が画面全体に流れていくような心地よさがあります。軽やかな上部に対して、下に重心を置いた構図としてまとまりがあり、安定感とリズムの両方を感じられる点が素晴らしいです。

静物画はモチーフを整然とセットするのも良いですが、セザンヌのような遊び心を持たせるのも楽しいですよね?!そうは言ってもバラバラ過ぎると散漫になります。ゆいは物の影を黒ではなく色味を持たせた面として捉えることで、画面全体に統一感を出しました。シャープな形や色が際立ち、画面に迷いのない思い切りの良さが感じられます。
全体として「どう見せたいか」がはっきりしている作品だと感じました。色や構図の選び方にも芯があり、見た人に強く印象を残す力のある一枚になっていると思います。

今後の作品でも、それぞれの作画の個性をさらに引き出してあげられるよう、僕も精進します!

バイオリンの油彩画

花菜 中2 油彩

大志です。学校のワークショップで2週間ほどインドネシアに渡航し、竹やラタン(籐)を使って照明器具を制作してきました!このお話はまたいつかご紹介したいと思っています。
今回は、中学2年生のはなの静物油彩画をご紹介します。

作品のメインはバイオリンですが、他に果物や植物の入った花瓶、ボーダーの布など、たくさんのモチーフが並んでおり、描くのはかなり大変だったのではないかと思います。しかし今回は、姉妹のゆいと同じモチーフを囲み、お互いの作品を見ながら制作していたこともあり、その刺激でモチベーションを維持し、ここまでのクオリティにつながりました。

色彩は全体的に柔らかく優しい雰囲気ですが、花瓶や手前の果物にはエッジやハイライトがしっかり効いています。これにより画面の中に自然な抑揚が生まれ、視線が心地よく画面の中を巡るようなリズムを感じさせてくれます。
木のバイオリンの質感や布のしわ、果物のみずみずしさなど、素材ごとの違いがとても丁寧に描き分けられているのも印象的。「ちゃんと観察しているんだな」と感じられ、ひとつひとつのモチーフと大切に向き合っているのが伝わります。

また影の表現についても、モチーフそれぞれの影だけでなく、床全体が暗くなるように明度の低い藍色で塗られており、そのことでモチーフ同士の距離感や存在感がよりはっきりと伝わってきます。画面下を暗く引き締めたお陰で、上部の空間の広がりも感じられて、テーブルに置いた静物画ですが奥行きのある画面になりました。

情報量の多いモチーフを入れる為にF8号という少々大きめのキャンバスを選んだとはいえ、まとめるのが大変だったことでしょう。それぞれの質感や存在感を丁寧に描き分けている点がとても魅力的な作品だと感じます。今後の作品も楽しみです!