主役が引き立つ絵作り

心寧 中3 油彩

春休みをなんとなく過ごしていたらあっという間に2月末で驚いています、夏波です。今回は学生クラスから、心寧の作品をご紹介します!

心寧は高校受験を控える身でありながら「アトリエは勉強の息抜きだから辞めない」と試験直前まで通い続けてくれました。その中で描いたのが今回ご紹介する生き生きと泳ぐペンギンの油彩です。現在は無事に合格を果たし、のびのびと制作を楽しんでいます。

水族館のガラス越しで見ているような、水中の断面を見せる構図が臨場感を作っています。クリアな水の青と大胆な体勢のペンギンが映えて、力強い画面に仕上がりました。写真等の資料から絵画に落とし込む際には、『描写する所』、『簡略化にする所』、『省いてしまう所』を見極め画面を作ります。その点で言うと心寧のこの油彩は、ペンギンの細部は描き込まず、陰影や色に注目していますね。魅力を伝えたい箇所がはっきりとしていて、手を抜く箇所であっても考えながら丁寧に描き進めたことが分かります。全体的にグレートーンで描き、メインとなる水中とペンギンには明度・彩度共にコントラストの差をつけた効果が出ましたね。

また絵の具をペンギンの丸さに沿ってたっぷりと置いているところが良いです。立体感を意識しつつ描き込みのシンプルさに負けないマチエールがつけられていることで、モチーフ自体の魅力が引き立ちました。絵の具の厚みをコントロールすることで、モチーフの関係性が明白になり見やすい絵作りに成功しています。特にペンギンの背中と水面のキラキラとした反射に使われている絵の具のタッチが素晴らしいです!

絵画を描く中で主役を魅力的にするために、メインとなるモチーフだけに力を入れて描くのではなく、あまり重要では無い脇役にシンプルな仕事を施すことで、メインを引き立たせた画面全体の完成度がぐっと上がるのです。