生命を描くこと

松野 油彩

サトルです。展示も終わり、大学も春休みなのでのんびり過ごしています。今回は松野さんの油絵3点をご紹介いたします。それぞれ違った生き物達を、いきいきとした雰囲気がよく伝わる場面設定で描いていますね。

中でも散歩をする犬たちの作品はただ犬を描くのではなく、夕日の光を逆光として使う事で犬をシルエットに見せ、雲の上の世界のような非現実感をドラマチクックに演出しています。

馬の作品も同じく夕陽の光を上手く使っていますが、特徴的なのは水面の色の華やかさでしょう。夕陽の色から夜の青色に変化していく様と、馬の走る姿が重なって、象徴的な魅力が生まれましたね。

鳥と桜の作品はぼやけた背景ですが、上手く色を重ねて左上のあたりをあたたかく深みのある雰囲気にしたことで、みどり色の鳥に目が行きやすい構成になっています。

動物を描くという事は、生命を描くという事です。静物デッサンをしたり、風景画を描く様にただ正確に形を合わせたり、細かく描写するだけでは活力にあふれた生命の温かさを感じる作品にはなりません。
松野さんは細かい描写に頼らず、動物の動きや色合い、背景との組み合わせなどで見事に生命の躍動感を表現しています。これは絵が上手ければ誰でも出来る事では無く、むしろ技術が高まるほど細かい描写に囚われてしまい、剥製の様な硬い印象の作品になる事が往々にしてあります。
ただ動物を描くのでは無く、動物のどんな姿に感動したのか、動物のどんなところが好きなのか、自分の動物に対する想いを作品に込めなければ絵に生命は宿らないでしょう。

必要なのは技術では無く、描く対象への愛です。動物に限らず人物でも風景でも静物でも、思い入れのあるモチーフを選んで、自分の感情と向き合いながら描いてみてください。上手くいかなくても、愛がこもれば松野さんのような素敵な作品になるでしょう。