
大竹です。今回ご紹介させていただくのは、香月さんの油彩画です。どちらもF20号(727mm × 606mm)の大作で、見応えのある作品となっています。
左の作品では、お二人のお孫さんの後ろ姿が描かれています。お兄ちゃんのきちんとした服装や、光を受けて輝くランドセル、そして満開の桜から、入学式の日であることが伝わってきます。新しい世界へ踏み出す高揚感と、少しの不安の両方を抱えながら並んで立つ姿が、とても愛おしく感じられますね。
満開の桜はまるで二人の門出を祝福しているかのようです。さらに、周囲の風景を映し込む川面の美しい表現は、画面に奥行きと静かな時間の流れを与えています。きらめく水面は二人の行く先に広がる明るい未来を予感させます。
香月さんは以前にも幼い頃の二人の後ろ姿を作品にされています(コチラ)。鑑賞者もまた、作品を通して時の流れや子どもたちの成長を追体験し、自身の記憶と重ね合わせながら温かな気持ちになることでしょう。
右の作品は、歌舞伎の演目「連獅子」を題材にしたものです。近年では、映画『国宝』の公開をきっかけに、若い世代の間でも歌舞伎への関心が高まり、改めてその魅力が見直されています。歌舞伎座では写真撮影が禁止されているため、ポスターやグッズなどを参考に制作されていますが、それを感じさせないほどの迫力がありますね!
豪華絢爛な衣装、金色の煌めき、緻密な文様の描写。大胆な構図の中に、歌舞伎独特の緊張感と静かなエネルギーが宿っています。特に、人物の表情と視線の力強さは圧巻で、画面から強い気迫が伝わってきます。背景を深い色でまとめることで、衣装の鮮やかさや人物の存在感がより一層際立ち、舞台の神聖な空気までも描き出しているようです。
日本の伝統芸能が持つ厳かな精神性を、丁寧な観察と確かな描写力によって表現しています。
こちらの作品は、3月より開催される実生会展にて展示される予定です。ぜひ会場で、実際のスケール感と絵肌の息遣いを体感していただきたいと思います。
【第11回 実生会展】
会期: 2026年3月6日(金)〜10日(火)
10:00〜17:00(初日12:00開館・最終日14:00閉館)
場所: 上野の森美術館 本館2階