見え方のリアリティ

黒木 透明水彩

ナツメです。本日は大人クラスより、黒木さんの作品を二点ご紹介します!

一枚目は牧場にいるアルパカを描いた作品です。横顔を捉えた構図で、どこか眠たげにも感じられる、落ち着いた表情が印象に残ります。毛量が多いことで知られるアルパカですが、特に顔まわりの毛のボリュームが丁寧に捉えられており質感が伝わってきます。

光の表現も印象的で、顔などの白い部分にもためらわずに影を入れることで立体感だけでなく朝のやわらかな日差しや澄んだ空気感まで感じられます。明暗を強いコントラストではなく、あくまで穏やかな明暗でまとめられているため、牧場の静かな時間がそのまま絵の中に留められているようです。

そして二枚目は、草むらの中に咲く一輪の花を描いた作品です。周囲を占める緑の中に淡いピンク色が置かれ、自然と視線が中心へと導かれます。花びらの輪郭や色の移り変わりが丁寧に捉えられており、触れたときの厚みに加えて水分を含んだ手触りまで想像させます。

葉の表現は比較的シンプルですが、単調にならないよう水彩特有のにじみや色の重なりが活かされています。そのおかげで、ざらりとした葉の質感や草むらの広がりも自然に感じられます。

アルパカの顔や花といった主役部分がよく観察され、はっきりと描かれている一方で、その周囲は描き込みすぎず、空気感を大切にしながら色が置かれています。その対比によって遠近感が生まれるだけでなく、視線が自然と一点に集まり、周囲はやわらかく捉えられるという人の見え方に近い感覚が表現されているように感じました。対象をよく見つめ、その場の空気を大切にしていることが伝わってくる作品たちです。